政略結婚なのにどうして執着するのですか?

政略結婚なのにどうして執着するのですか?【63話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。

今回は63をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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63話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 釣り糸の先④

首都の雰囲気はこれまでにないほど活気づいていた。

災害が連続して起こるという噂が広がっている以上、当然と言えば当然のことだ。

リアムは少し苛立ち気味に尋ねる。

「公爵はこの件を知っているのか?」

「おそらく今頃、伝えられたことでしょう。」

「特に何も言っていなかったのか?」

「はい。」

「ということは、やはり何の対応もしないほうが良いと判断したということだな。」

とにかく、少し待てば勝敗が明確になるだろう。

豪雨が降り注ぐようなことは起きず、それに比べて月は落ち着いた光を放つだろう。

リアムはカーテンをそっと開けて窓の外を眺めた。

秋の空は雲一つなく高く青かった。

その景色を見ていると、思わず微笑みがこぼれる。

「この時期に災害が起きるなんてあり得ない。」

相手を騙すつもりなら、もう少しもっとらしい話を作るべきだ。

翌日も、その次の日も、空は晴れ渡り、穏やかさを見せた。

月食が起こるその日には、少し雲が出ていた。

雲が立ち込めていたが、豪雨が降るほどではない。

すべてが穏やかに流れている。

そのため、リアムはその日も安心して眠りについた。

目を覚ましたときには、自分を苦しめていた噂はきれいに消えているだろう。

そして、それからどれほど経ったのだろうか・・・。

―トク、トク。

一筋の雨音が聞こえ始めた。

 



 

科学が発達しておらず、迷信に頼っていた時代。

月食も月食だが、水害が発生するという噂に強く影響された村人たちは、不安に震えるしかなかった。

村人たちは一堂に会して話し合いを始める。

「こういう時こそ、今すぐ避難すべきではありませんか?」

「いや、その前に王室の管理者たちは何をしていたのか?」

「どんな抗議をしても、彼らは無言で取り合わなかった。」

その言葉にあちこちから罵声が飛び交った。

ほとんどの税金が搾取されているかのように重くのしかかり、民生には目もくれないという内容だ。

ある日、「災害が起きる」という漠然とした噂が広がったが、具体的にいつどのように災害が発生するのかまではわからなかった。

さらには、災害がどれだけ続くかも不明で、家や生業を捨てて避難するという決断を簡単に下せないのが村人たちの現実だ。

こうした状況の中、王室が出てきて国民を守るべきではないのか?という不満が沸き起こる中で、村人たちも結論を出さなければならなかった。

「一番大事なのは命じゃないのか?とにかく生き延びることを考えなければ。」

「避難するとしても、どこへ行けばいいというのですか?また、いつまで村を空けなければならないのでしょう?」

「それは今から考えないといけません。家族の命を賭けて冒険をすることはできませんから。」

大多数の人々が席を立ちながら言った。

「私も同じ考えです。」

「一緒に行きましょう。」

不安感は発散すべき対象を探し、やがて行動へと向かう。

必要最小限の荷物だけを持ち、隣の村へと足を進める彼らの口からは、絶え間ない不平が漏れていた。

「貴族たちは税金をしっかり徴収しておきながら、こういう事態にはいつも対応が遅いんだ。」

「まぁ、偉そうな奴らはみんなそんなものだ。」

不満があふれる中、誰かが不意に口にした一言に、皆が毒づくのをやめざるを得なかった。

「え?あれって王室の紋章がついた靴じゃない?」

「・・・!」

その言葉通りだった。

一団の兵士が、王家の紋章が刻まれた靴を前面に掲げながら近づいてきていた。

まさか・・・この通りで聞いた話が現実になるのか?

つい先ほどまで興奮して怒りを吐き出していた人々の顔は青ざめる。

しかし、間近に迫る兵士たちの目的は全く予想外だった。

「村の人々か?ちょうどいいところに出会ったな。避難所を準備したので、一緒に来なさい。」

 



 

同時刻。

ナディアはウィンターフェル邸の居間で、目を覚ましたまま夜を明かしていた。

音が軽く鳴る。

窓の外をじっと見つめている彼女のそばにトレーが差し出された。

簡単なお菓子が乗っているトレーだ。

ナディアがトレーを持つ手を見上げると、グレンだった。

「これで少しは気分が楽になるか?」

「緊張して眠れないんです。ここで失敗したら、この先の計画が全部ダメになってしまうんですから。」

避難民を助けるのも大事だが、うわさの対象になっているフレイの評判も取り戻す必要がある。

ナディアはフレイに二つの仕事を頼んでいた。

「王子の個人資産で避難者たちのための滞在場所を作ってください。ただし、それは王子自身の名前ではなく、王室の名義で行わなければなりません。」

「どうして?普通に自分が助けたことで済ませたら駄目なのか?」

「これは陛下の信頼を得るための一環です。失態の責任で王室全体が非難を受けている中で、王子お一人だけが称賛されれば、陛下はどう思われるでしょう?今回の件に注目している貴族たちも、王子の賢明な対応を見て考えを改めるはずです。そして二つ目は――」

ナディアが二本目の指を立てて話を続けた。

「リアム殿下の拠点が崩壊したことが明らかになれば、彼はしばらく身動きが取れなくなるでしょう。その間に陛下へ王子が儀式を執り行うことを提案してください。陛下は王子からの助けを受け入れ、承認を下されるでしょう。もちろん、王子が儀式を執り行うのは月食の後でなければなりません。王子が直接行動を起こした直後に災害が収まれば・・・世論は一転して王子を称賛するでしょう。」

「おお。」

自然災害が続き、不安が高まっていた廷臣たちの反応が続いた。

救世主のように問題を解決した王子とは。

「王座に座るべきではない者」がどちらなのか、誰の目にも明らかになるだろうか?

滴る音。

窓の外を見ていたナディアは、椅子が引かれる音に気を取られた。グレンが彼女の向かい側に座る。

グレンは椅子に腰を下ろしながら言った。

「じゃあ、俺も一緒に待つとしよう。」

「いつ報せが届くかわからないんですよ?」

「これは君にだけ重要なことじゃない。俺も待つべきだ。」

「それもそうですね。」

ナディアはため息混じりに顎を指で触れた。

バラジット家は彼女にとって復讐の対象であるが、グレンにとってもまた宿敵だ。

『父と対等に渡り合える潜在能力を持った貴族が跡取りならば、どれほど結婚相手として理想的だろうか・・・。』

もしウィンターフェル家が存在しなければ、ナディアは未来に起こることを予見できず、相当な困難に直面していただろう。

何もない荒れ果てた土地で城を築き上げるのと、崩れゆく城を守るのとでは、月とすっぽんほどの違いがある。

規模が大きいため、彼とウィンターフェル家の存在は、それだけで圧倒的な意味を持っていた。

「運が良かった。それはもちろん、努力の結果でもあるけれど。」

「グレン。」

「うん?」

「あなたがいて、本当に幸運です。」

「えっ?急にどうしてそんなことを・・・?」

「もし私が一人で復讐を果たさなければならなかったら、どれほど現実的な困難が多かったか、想像もつきません。」

「・・・ああ、そういう意味だったんだ。言ってくれて嬉しいよ。」

グレンの顔に一瞬、失望の色が過ぎる。

だが彼はすぐに表情を隠した。

「俺も・・・あなたがいて本当に幸運だと思っている。もしあなたと結婚していなかったら、次の王位の問題だけでなく、領民たちを適切に管理することさえできなかっただろう。」

「いいですね。お互いにとってのウィンウィン(win-win)の結婚ですね。」

「公爵家を懲らしめた後も、私たちの協力関係がうまく続くといいのだが。」

「もしも遠い将来に困難なことが起きたら、その時は私に頼ってみてください。お手伝いできることがあれば、力になります。」

離婚を再考するよう促す意味だったが、どこか物柔らかな響きがあった。

その意図を汲み取ったのか、それとも汲み取っていながらも知らないふりをしているのかは分からない。

何か言おうとしたグレンは、静かに口を閉じた。

今は彼女も考えることが多く混乱しているだろう、この問題は後に回すべきだ。

「侯爵様はお元気にしていらっしゃるのでしょうか。」

「一度も風邪を引いたことがない方だから、私たちが戻る頃には元気になっているはずだ。」

「いや、親しい仲なのだから、真剣に心配してみてもいいんじゃない?」

「実際のところ、そんなこと気にしてどうなる?」

「みんな元気にしているかな?」

壁暖炉の火が燃え上がる部屋の中で、二人は互いに遠慮がちな会話を続けていた。

どれだけの時間が過ぎただろう?

夜が更けるにつれ、明かりはますます弱くなっていった。

夜明けが訪れる時間になったが、曇りに覆われた空は夜中のように暗かった。

ナディアがしきりにため息をつく様子に、グレンは彼女を励ますつもりで肩を叩いた。

しかし、城壁の外から聞こえる音は信じられないほど奇怪で、耳を疑うような音が広がっていた。

 



 

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