政略結婚なのにどうして執着するのですか?

政略結婚なのにどうして執着するのですか?【76話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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76話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 気恥ずかしい光景④

マイア一行が去った応接室内。

ナディアはテーブルに座ったまま、首にかけたネックレスを手に取り眺めていた。

白い台座の上に飾られた芸術品のようなネックレスが光を放っている。それを詳しく見るたびに、より一層その美しさに魅了された。

『突然、どうしてこんなに風変わりなプレゼント攻勢を?』

少し疑わしい気持ちはあったが、贈り物を断る気は全くなかった。

ただし、特異なものは特異なものとして受け止め、確実に進むべきことを進めなければならない。

ナディアは隣を振り返り、口を開いた。

「グレン、最初からそうだったんでしょう?」

「何のこと?」

「マイアの一行が見ている前で見せた行動のことです。本当は、彼が応接室に来ていたのを知っていたんですよね。」

「……。」

そこで彼がそっと視線をそらす。

彼の反応を見るだけでも、答えは明白だった。

「なぜそんなことをしたんですか?」

「なぜしたと思う?」

「まあ、きっと。他の家門の人たちが自分を出し抜こうとして警戒しているのではないかと先に察知したからじゃないですか?我々がこれほど大切に扱っているのを見て、バラジットの協力者であるからといって特別視する必要はない、という意味でしょうか?」

「……やはり君の目はごまかせないな。」

グレンは短くため息をつき、言葉を続けた。

「マイアー家門はこの広大な地域の主君ではない。しかし、大抵の場合、北部に拠点を置いている由緒ある家門だ。」

「それってつまり、北部ではかなり名の通った家門ということですね。」

「そうだ。今日彼が見たことは、徐々に他の家門にも広がっていくだろう。そしてそれが会合の場で話題になったとき、彼を無視する者はいなくなるはずだ。」

「……。」

つまり、自分がどこへ行っても軽視されないように、過剰な行動を取って存在感を示そうとしたということだ。

こうしたことが起きるたび、ナディアはグレン・ウィンターフェルという男がどのような人物なのかについて改めて考えさせられるのだった。

『意外にも繊細だなんて。本当に良い男だわ。』

見た目だけなら冷たそうな北部の男そのものだが、予想外に細やかな部分にも気を配る性格を持っている。

名門の出身で、容姿も立派で、人を引き寄せる魅力まで備えている。

どんな家門の女性であっても、こんな男性が求婚したならば、感激して歓迎するだろう。

ナディアはふと、彼が自分と離婚した後に、その求婚を受ける女性が羨ましいと思うかもしれない、と考えた。

『いや、いや。私は一体何を考えているの……。』

初めからそんな考えをしていたら、後になって本当に痛々しい姿を見せることになるかもしれない。

一瞬、無駄な考えにふけることを反省しかけたが、ナディアは少し困ったような笑みを浮かべて口を開いた。

「それで、私にはあらかじめ言っておいてくれたんですか? あなたがあの三段の階段の前でエスコートしてくれる時、手を差し出した瞬間、どこか体調が悪いのかと思ったんですよ。」

「ああ、それは予定外の出来事だったんだ。」

「え? そうなんですか……。」

「以前、あなたがヒールを履いて階段を降りるのが大変だと言っていたのを覚えていたんだ。」

「……。」

ナディアは言葉を失い、口をつぐんだ。

何か……何か非常に奇妙な感覚が胸に湧き上がってきた。

まるであの男性が自分を引き寄せるような感覚……。

『この感覚、もう何度も感じている気がする。』

『気のせい?』と何度も自分に問いかけてみるが、それはもはや単なる気のせいでは済まされない。

特に領地に戻ってきてから、その感覚は一層強くなっているようだった。

突然、彼の行動が変わった理由。

何かしらの罪悪感が関係しているのだろうか。

「では、近しい家臣たちだけには真実を打ち明けるというのはいかがです? 私が侯爵様を愛していると。」

「そんな嘘なんてつく必要ありませんし、私を惨めに扱う必要もありません。……それよりも、適当に演じてみたらどうだろう。」

「え? 演じるって……?」

「例えば、休日に散歩に出かけたり、劇を観に行ったり……。他の人々が見たときに、私たちの関係が良好だと思うような振る舞いをする、そういうことさ。」

ナディアの視線は再びビーチのネックレスに向けられた。

突然、このネックレスを贈られた理由が思い浮かぶ。

『まさか、それが理由だったの?』

本当にそうだとしたら、グレンは不必要な贈り物をしたことになる。

父親はすでに娘が裏切り者だということに気づいていたのだから。

それはつまり、これ以上秘密を守ることに労力を割く必要がなくなったという意味だった。

『これからはこんなことは必要ないって言ってあげるべきなのかな? いや、それでもまだ心配なのは疑い深い性格だからだし、少なくともこちら側に確信を持たせておく必要はない気もするけど……。』

さらに真剣に考えれば……グレンの親切な態度はかなり気になる。

もしも彼の態度が突然変わってしまったら、少し気まずくなるかもしれないと思うくらい。

様々な感情が交錯する彼女の内心を読み解くのは簡単ではなかった。

不意に、グレンが目を瞬かせながら尋ねる。

「なんでそんなに見つめてるんだ? 何か言いたいことでもあるのか?」

「ただ……外見とは違って、本当に優しい人だと思っただけです。」

「俺が?」

「そうです。ここで話しているのは当然あなたのことですよ。」

「そんな風に言われるなんて、本当に光栄だな。」

称賛は控えめに受けるものなのに、「光栄だ」と返してくる彼の口元が少し上を向いていた。

ナディアが次の言葉を口にする前までは。

「新しい侯爵夫人になる女性は、きっと素晴らしい方なのでしょうね。」

「……何?」

一瞬、グレンの身体が軽く揺れたように見えた。

驚いたのだろうか?

ナディアはためらうことなく続けた。

「旦那が裕福な侯爵で、しかもハンサムで優しいなんて、どれだけ素晴らしいことでしょう? 誰もが羨むことでしょうね。」

「誰もが羨む……。まあ、そうかもしれないな。」

「誇り高い貴族であれば誰もがウィンターフェル侯爵夫人の座を狙うでしょう。自信を持ってください。」

「………」

しばらく彼女をじっと見つめていたグレンは、ため息をつきながら答えた。

「俺が……もう少し努力してみようか。」

「何をですか?」

「君が言ったように、『すべての』貴族が侯爵夫人の座を狙うほど、ね。」

「……?」

ここでさらに努力するというのは何を意味しているのか理解できなかった。

王室の干渉を気にしなくてもよいほどの強力な勢力の主になるということだろうか?

彼の言葉の意味を解き明かそうと頭を悩ませている彼女の前に、一冊の書類が差し出された。

「これは、まもなく開かれる狩猟大会に参加する貴族家門のリストだ。形式的には狩猟大会だが、実際には北部貴族の集会と言っても差し支えない。華やかな場になるので、顔と名前くらいは把握しておくといいだろう。」

「その程度は基本ですね。」

ナディアは書類を受け取りながら微笑んだ。

 



 

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