こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は162話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
162話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 永遠の時間
ジェレミーはじっと立ったまま視界に映る顔をぼんやりと見る。
きっとこれよりも美しい光景はないと思ったが、ロクサナの顔にこれまでジェレミーが狂うほど懐かしがっていた優しい笑顔が浮かんだ瞬間、それが愚かな考えだったことに気づいた。
「遅かったわね。待っていたのに」
耳元に溜まる音声は信じられないほど甘かった。
ロクサナは依然として固まっているジェレミーに手を差し伸べる。
「もっと近くに来て、私の弟」
ジェレミーの目元は、あっという間に赤くなった。
「姉ちゃん・・・」
彼は言葉では言い表せない気持ちに包まれ、ふらふらと歩き出す。
長い間道に迷っていたが、ようやく正解を発見したように、ジェレミーの身振りにはそのような切迫感と盲目的な感情が込められていた。
そしてついに目の前に幻想のように存在した人と手が触れ合った時。
「サナ・・・、姉ちゃん・・・」
ジェレミーは完全に崩れ落ちた。
彼はアグリチェでいつもしていたように、ロクサナの前に躊躇わず跪いて彼女のスカートの裾に顔を埋める。
「ジェレミー、会いたかったわ」
親切な手つきが彼の頭と頬を撫で下ろした。
耳元に広がる囁きも、胸が詰まるほど暖かく柔らかい。
「ジェレミー・・・」
これが夢なら永遠に目覚めたくなかった。
このまま永遠に時間が止まってしまってもいいと思えるほどに。
「泣かないで」
ロクサナがそう言った時になって、ようやくジェレミーは自分がみっともなく泣いていることに気づく。
地面にポロポロと落ちていく涙を、細い指が盗んでいく。
久しぶりに会うロクサナの前でこんなにみっともない姿を見せたくなかったが・・・。
それでも視野を遮りながら流れる涙を防ぐことができなかった。
結局、ジェレミーはその後もしばらくロクサナのスカートに顔を埋めて泣いた。
彼を慰めるように背中を撫でる手は、このまま永遠に抜けたくないほど暖かい。
まさかジェレミーが泣くとは思わなかったので少し驚いた。
15歳の最後の月例評価の時も、私に慰められ、目頭を赤くしても涙を流さなかった。
ところが今、彼は自分でもコントロールできないように何も言えず、私の前で涙を流している。
ジェレミーにとって、私が小さくない存在であることは以前から十分に認知していた。
けれど実際に彼がこんなに私の前で弱い姿を見せて泣くのを見ると・・・。
私はジェレミーの震えが収まるまで彼の背中を慰めた。
その時、誰かが花園の入り口に足を踏み入れる。
チラッと視線を動かして顔を確認すると、久しぶりに見るリュザック・ガストールだ。
満開のバラのように赤い彼の髪が風で細かく舞う。
彼はジェレミーと私を見つけて一瞬立ち止まった。
私は静かに手を上げ、人差し指を唇に当てる。
ジェレミーはまだ落ち着かない状態なので、リュザックが入ったことに気づいていないようだ。
幸い、私の行動の意味に気づいたリュザックは、息を殺し、静かに後退りして花園を抜け出した。
それ以来、再び私の目につく人はいなかった。
もう少し時間が経ち、ようやくジェレミーの泣き声を止まった。
「姉ちゃん、僕が・・・、今泣いたのは・・・、その・・・」
彼は今になって落ち着いたようだ。
しかし、今になって泣かなかったと言い切るには遅すぎた感がある。
ジェレミーが顔をうずめていた私のスカートの裾は、既に湿っていた。
彼は私にめちゃくちゃな姿を見せるのが恥ずかしいのか、顔を背けている。
「ジェレミー、ちょっとここにいて」
今の状態で花園を離れると、外で出会う人にジェレミーが泣いたという事実に気づくだろう。
だから私はユグドラシルにいる使用人に、目の腫れを鎮めるようなものを用意させるつもりで席を立った。
「どこ行くの?」
ところがジェレミーはビクビクしながら、すぐに私の手首を掴んだ。
私を見上げる彼の顔には、まだ少し前まで泣いた跡が残っている。
ジェレミーは少し前までそれを私に隠していたことさえ忘れたかのように、頭をもたげて不安そうに私を見つめた。
「花園の入り口まで少し出かけてくるわ。使用人に冷たいおしぼりを持って来させようと思うの」
「いらない」
ジェレミーはキッパリと断った。
私をここから離そうとしないのが如実に見える。
けれど、今すぐは大丈夫だと言っても、本当にこのまま他の人たちの前に立つなら、ジェレミーは長い間地面を叩いて後悔するに違いない。
「5分だけだから。すぐに戻ってくるわ」
私は彼をなだめるように言った。
するとジェレミーが私をじっと見つめてくる。
「本当にまた戻ってくるよね・・・?」
「もちろんよ」
私は彼が不安に思っていることを知って躊躇わずに答えた。
確答を聞いても、ジェレミーは中々私の手を離してくれない。
それでも彼は唇を噛み締めながら私の手首を離した。
私はジェレミーを起こして、座っていた椅子に座らせ、入り口に足を運んだ。
ジェレミーが号泣するとは・・・。
それだけロクサナのことが大事なのですね。
5分だけ席を離れると言ったロクサナですが、まっすぐ戻ることはできるのでしょうか?
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