こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は209話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
209話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 秘密の会談⑤
誓うが、今まで想像すらしたことのない方向転換だった。
それで今目の前にいる人から聞いた言葉がとても非現実的に感じられる。
この交渉テーブルに座って交渉対象者と向き合う時までも、バドリサは歯が震えるほどの羞恥心と恥辱感に胸を痛めていた。
そもそもそのような非現実的な麻薬を作ったアグリチェにも歯が割れてはいたが、それを搬入してきたのは、あくまでガストロの意志だ。
そのため、バドリサはアグリチェを軽蔑し憎悪するものの、彼らに全ての責任を転嫁することはできなかった。
ところが今彼女の中に映った一筋の光が、今回は逆にそのような否定的な心を徐々に追い出し始めた。
新しい可能性をほんの少し覗いただけでも、中から何かが込み上げてきて、首を絞めるような気がした。
「アグリチェがなぜガストロにそんな提案をする?」
しかし、バドリサは騒がしい本音とは違って、動揺のない鋭い目でジェレミーを凝視する。
彼の言葉を信じてもいいのか?
もしかして嘘をついてガストロを愚弄しようとしているのではないか?
それとも他の意図が?
そう、やっぱり新しい罠かもしれない。
しかし、ジェレミーはバドリサの疑いに直面しても、一点の揺るぎもない確固たる声で躊躇なく答えた。
「今あなたの前に座っている私が、ラント・アグリチェではないからです」
静かに感じられるほど低く落ち着いた若い青年の短い言葉は、相手を説得するために他のどんな甘い美辞麗句を持ってきて塗ったよりも、むしろ強く心臓を叩いた。
「また、今のアグリチェは父が生きている時のアグリチェではないからです」
先ほど彼が宣言したことと一貫した意味での言葉。
それがもし嘘なら、どうせ近いうちに明らかになる事実だった。
その上、今向き合った青い目はあくまでも透明な真実を語っているように見える。
じゃあ、もしかしてあの時ガストロの宿舎にあった麻薬を隠してくれたのも、他の黒い本音があったんじゃないか?
バドリサは何とも説明のつかない気持ちで向かいに座っている人を見た。
彼女は目の前にいる者を、まだ完全に信頼していない。
しかし、もし本当にこの若い黒の首長の言葉が真実である可能性があるのなら・・・。
それに信頼をかけてみたいのが当然だった。
どのくらいの時間が経っただろうか。
しばらく沈黙したまま微動だにしない視線だけを送っていたバドリサの口が、ついにゆっくりと開いた。
「アグリチェがガストロに望むものは何か?」
さっきジェレミーに聞いたのと同じ言葉だが、実際その中に込められた本質は少しも同じではない。
今は本当に胸から湧き出て、アグリチェで解毒剤の交換に要求することが何であれ、喜んで払いたいという気持ちで切り出した言葉だったから。
しかし驚くべきことに、アグリチェはガストロに何も要求しなかった。
「アグリチェはガストロに代価を望んでいません。ただ・・・」
ジェレミーは今までとは違う目で自分を見つめるガストロの二人を見て、ロクサナから学んだ慈愛に満ちた笑みを顔に描き入れる。
「これで黒と赤は、今までとは違う新しい関係を築いていく機会を得ることになるでしょう」
ロクサナはテーブルの上に置かれた熟した果物を見下ろした。
「ジェレミーは頑張っているかしら?」
彼女はしばらく考えた後、すぐに胸の底の微かな心配を払い落とす。
ジェレミーは上手くやっているだろう。
前に伸びた細い指が、赤い果物を皿の上でゆっくりと転がした。
ロクサナがユグドラシルに来てやろうとすることは、ある意味で果物を摘むことと似ている。
性急な気持ちで未熟な果物を摘むのは無駄だ。
渋くて酸っぱい味に結局一口も食べずに吐き出すことは明らかなのだから。
そのような意味で、ガストロの出会いは今は一番良い時期だといえる。
きっとガストロは最悪の最悪を想定していたのだろう。
そうするうちに突然想像すらできなかった最善の解決策が空から落ちた時、その驚きと胸いっぱいの感情はどれほど大きいだろうか。
ぬかるみに閉じこもって絶望していたガストロを救う唯一の縄が目の前に現れたのと同じなのだから。
意外な安堵感に囚われ、そもそもその原因がどこにあって今日に至ったのかも、これ以上重要ではなくなってしまうだろう。
アグリチェはこの件でガストロに借金を背負わせるつもりはなかったが、それは本当に表面通りの意味ではなかった。
バドリサとリュザークは一度受けた恩を決して忘れない人だったので、結果的に今すぐ彼らから代価を受け取るより遥かに大きな利益をアグリチェにもたらすことだろう。
アグリチェの未来のために新しい同盟を構築しなければならないとすれば、ガストロが最上の選択だった。
全てはロクサナの計画通り。
これでガストロの関係が確固たるものになりましたね。
ベルティウムやフィペリオンとの関係にも変化があるのでしょうか?