こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は253話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
253話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 事件後③
マリアは家の中で最も奥まった部屋に向かう。
彼女はノックもせずに部屋のドアをバタンと開けて入った。
そして、ベッドに横たわっている人を鋭い目つきで睨む。
しかし、彼はマリアの視線を感じなかったかのように席から身じろぎもしなかった。
意識のない状態だったのだから、当然なら当然だ。
結局、マリアは眉をひそめて覗線を落とし、やや神経質な足取りを前に運ぶ。
「いったい、どういうことよ」
ベッドに横たわっているのは彼女の息子のデオンだった。
数日前、ロクサナが血まみれになったデオンを連れてきた時、家にいた皆がびっくりする。
ロクサナは詳細な説明もなく、ただデオンを放り投げた後、再び姿を消した。
片方の腕はどこに置いてきたのか、今もがらんとしているデオンの左腕を見ると、それでも子供は子供だと心が少しは乱れる。
もちろん、それより明らかに大きな感情は不満だった。
「あなたのせいでシエラが不便に感じるじゃないか」
しかし、息子をそのまま追い出すわけにもいかないし。
もちろん、デオンはマリアの息子だったが、彼女には母性愛と言えるものがあまりない。
それで今もデオンをシエラの視線に届かないところに投げてしまいたい気持ちが山々だった。
その上、息子の突拍子もない意地悪のためにシエラを訪ねて罪のないところだけしばらく探したことを考えると、けしからん気持ちになったりもする。
しかし、母親としての最小限の道理で、それでもデオンが目覚めるまでは我慢するつもりだった。
「そのためにはこいつが早く目を開かなければならないのに」
ふと、もしデオンがすでに気がついたのに、そうでないふりをしているのではないかと疑われ、手を伸ばしてみた。
確実な効果のために、手に肉まで入れて。
しかし、彼女の手が首を絞めている間も、デオンは微動だにしなかった。
ここまで無防備な息子の姿は初めてで、マリアはなんとなく見慣れない気分になる。
結局マリアはデオンからやや照れくさそうに手を離して後に退いた。
「デオン、早く起きなさい。君が消えてくれれがシエラが気楽に過ごせるじゃないか」
そのように相手が聞いているかとうか確信できない言葉を一人でつぶやいた後、マリアは部屋から抜け出す。
ロクサナが訪れたのは、しばらくしてからだった。
「サナ!」
5日ぶりに顔を出したロクサナを見て、一番先にシエラが席から体を起こす。
さっきから隣に座ってシエラの顔色を伺っていたマリアも、違う仕事をしていたエミリーとベスも手を止め椅子から立ち上がった。
「何の知らせもなく申し訳ありません」
口クサナは淡々とした顔で口を開いた。
マリアはすぐに彼女の視線がとこに向かっているかを察知して言った。
「デオンはまだ起きてないわ」
続いて、ロクサナの歩みが覗線が留まったところに動く。
彼女はデオンの部屋に行き、冷たい目で彼をじっと見下ろした。
直接彼を見に来たのは5日ぶりだ。
しかし、これまでロクサナはたまに毒蝶でデオンの状態を見守っていた。
デオンの体を見ていた赤い瞳が左腕がいなければならない場所に特に長く留まる。
ロクサナは長居せずにドアを出た。
「明日また来ます」
何か他に忙しいことがあるのか、彼女はすぐにここを去ろうとした。
「サナ」
そんなロクサナをシエラが呼び止める。
「いったい何があったの?デオンはどうしてあんなことになったの?」
マリアも気になったことをシエラが代わりに聞く。
彼女の声には懸念がこもっていた。
デオンがこのように大きな負傷を負ってロクサナと一緒に帰ってきただけに、ひょっとして娘にも危険なことが起きたのではないかと心配する様子だ。
ロクサナはしばらくシエラの顔を黙って見つめる。
そのうち、すぐにロクサナの視線がこっそりと下に下がった。
彼女はユグドラシルでの出来事を大まかに説明した。
しかし、ロクサナの話には最も重要な内容が抜けている。
それだけ聞いても4人は驚いた。
「サナちゃんは、怪我してないの?」
「はい、私は・・・」
その答えからどんな余韻が感じられたためだろうか。
ロクサナの話を間いた人たちは、デオンがあんなに怪我をして意識不明状態である理由がロクサナのためだという事実を突然悟った。
シエラは顔をこわばらせ、ベスは戸惑いと驚きを隠せなかった。
マリアも開いた口がふさがらない。
エミリーだけが表に出る反応なしに、ただ彼女の主人であるロクサナの顔を見ていた。
・
・
・
『あの子が簡単に死ぬわけがないじゃないか?』
口クサナが去った後、マリアはアグリチェを離れる時、ジェレミーと交わした対話をふと思い出す。
『そして、デオンは自分の死に至る場所を自分で決めることができる子じゃないか』
あの時は何も考えずに言った言葉だったが、今になっては改めて他の感想が浮かんだ。
ロクサナを送ってドアの前にしばらくぽつんと立っていたシエラが先に足を回して部屋に戻る。
エミリーとベスもシエラとマリアの顔を交互に見た後、うまく引き下がった。
しばらくしてマリアは何とも言えない気持ちで閉ざされた部屋のドアを見る。
デオンはマリアの一人息子だったが、彼女は彼のことを知らない。
それでもなんとなく・・・。
デオンがまだ目覚めていない理由がわかった。
「・・・間抜けな奴」
マリアはそのように耳障りなことを呟く。
今の中で浅く水の流れをする感情が不慣れで、マリア自らもそれが何なのかよく分からなかった。
ロクサナはシエラの家から出て、中立地帯の中を横切る。
足が着いたところは中立区域の境界に近く位置している小さな邸宅で、歩いて1時間ほどかかる距離にあった。
目的地に到着してドアを開けて中に入るとグリゼルダの姿が見えた。
彼女は椅子に逆さまに座り、背もたれに置いた腕に顔をつついて居眠りをしていたが、口クサナの気配を感じてばっと目を開ける。
「来たの?」
いつ居眠りしたかのようにはっきりとした目つきと自然な話し方だったが、ロクサナには通じなかった。
「そのまま寝てなさい」
しかし、グリゼルダは曲がっていた背中をまっすぐに伸ばしてきっばりと答えた。
「私は一人でいる時じゃないと寝ない」
ロクサナがここに来たのは昨日で、昨夜は彼女もグリゼルダと一緒に眠れなかった。
しかし、グリゼルダはロクサナより明らかに疲れているように見える。
もちろん、表向きにはそのような気配があまりなかったが、長い間彼女を見てきたロクサナは気づくことができた。
それでおそらく自身が来る前から徹夜したと予想したが、今グリゼルダの話を間いてみるとやはりそうだった。
おそらく、彼女はここに滞在する5日間、ほとんど眠ることもできなかったはずだ。
あの呪術陣が描かれたドアの中にいる人のせいで。
なるほど、アグリチェ人らしい慢性病だと思って、ロクサナも2度も勧めなかった。
「調子は?」
「好転なし」
ロクサナの問いにグリゼルダが短く答えながら席から体を起こす。
「あなたも食べる?」
「何を?」
「覚せい剤」
「私はいらないわ」
「そうだね、君は大丈夫そうだね。私はちょっと食べないと」
すでにほとんどの薬物には免疫があり、中途半端では役に立たなかったため、グリゼルダは純度100%に濃縮した覚醒剤を12粒も生で噛んで飲んだ。
今、彼らがいるところは昨年の冬、アグリチェを離れた後、グリゼルダがしばらく滞在したという隠れ家。
グリゼルダが覚醒剤を噛んで食べている間、ロクサナは呪術陣が描かれた部屋のドアを開けた。
そんな彼女を見て、グリゼルダは舌打ちをする。
「いくら長く付き合っても人の気持ちは全部分かりにくいわ。私の妹に自虐の趣味があるとは」
・
・
・
「・・・またあなたなの?」
ロクサナは耳元で小さな音を間きながらドアを閉める。
部屋の中にいた人がロクサナと目が合うやいなや割れた唇を取った。
「またドアを開けて出て行け。私の目の前から消えろ」
これといった内容とは裏腹に、その声には元気がなかった。
布団で体をぐるぐる巻いていて、やっとあごのあたりだけ見えるその人は、まさにニックスだった。
「今日は会話ができる状態みたいだね」
ロクサナはしばらく黙って彼をじっと見つめ、言った。
すると、ニックスが一度唇をぎゅっと噛んだ。
そして、すぐにその間から硬い声を流しす。
「君とは話すことがない」
知られていることとは裏腹に、ニックスは死んでいない。
5日前、ロクサナはお互いを攻撃しているデオンとニックスを発見し、毒蝶を使って彼らを止めた。
近づいたとき、二人はともに倒れていた。
すでに状態が満身創痩だったうえに、毒蝶の強い幻覚効果を正面から受けることまでしたので、これ以上耐えられず気絶したのも当然だろう。
彼らを連れて席を離れようとした時、グリゼルダが時間通りにロクサナを訪ねてきた。
ジェレミーの話を聞いて、彼女はロクサナを助けるためにここまで追いかけたのだ。
後から来た追撃隊が発見したのは偽装されたニックスの偽死体であり、それはグリゼルダが持ってきた人形の身体彫刻で飾られたもの。
状況が思わしくなく、ひとまず最も近い距離にあるシエラの住居地にデオンを任せた。
今思えばあまり良い選択ではなかったようだが、あの時は思い出すのがそこしかなかったのだ。
デオンとニックスを同じ場所に置いても危険ではないと確信が持てなかった。
しかもこのままニックスをシエラに見せてもいいのか、それについても迷いができた。
悩む時間が長くなかったので、結局デオンだけ母親に任せ、ニックスはグリゼルダの隠れ家に置くことに。
さっきもロクサナはシエラにニックスの話をしなかった。
ニックスの存在が母親に苦痛なのか慰めなのか分からなかったためだ。
それに、まだ彼女も彼を知っていると認めたわけではない。
ニックス自身も混乱しているようだった。
昨日のロクサナの訪問以来、彼は彼女に会うたびに態度を変える。
彼はある時、ロクサナをアシルとして扱い、ある時はニックスとして扱った。
ニックスは彼女を大喜びしながらも、また泣きながら申し訳ないと謝罪し、それでも彼女を押しのけて拒否感を示した。
「うん」
そして今は・・・。
「じゃあ、一つだけ聞いてみる」
ロクサナは無意味かもしれない質問を彼に投げかけた。
「あなた、知ってるの?」
最初に投げかけた直接の問いに、ニックスが浅く息を吸う音が聞こえた。
ロクサナはじっと彼の返事を待つ。
ニックスはまだ布団をかぶって黙っていた。
布団の中に隠された彼の瞳が向かい合った顔をのぞき込んだ。
今、彼を凝視するロクサナの顔は内心を計りにくいほど静かだったが、なんとなく今の彼女なら彼の返事がどちらであれ完全に信じてくれそうだった。
「イライラする」
しばらくすると、ニックスの口から低いささやきが出た。
ついに流れた布団の間から現れた、鮮やかな目つきがロクサナに打ち込まれる。
「私がどこを見てそんなに間抜けだというの?」
あまりにも泣いたので、爛れた目元が赤かった。
ようやく完全に現われた彼の顔は、もはや15歳の少年の姿ではなかった。
前より成長したニックスが充血した目で自分の前に微動だにせず立っているロクサナをにらんだ。
目立った変化は他にもあった。
グリゼルダが呪術を刻んだ部屋に彼を置いた理由。
そして、ニックスが布団をしっかりかぶって自分の姿を隠していた理由。
「そんな嫌な名前で私を呼ばないで。」
彼が悪文の間に一言、一言を吐き出す度にひびが入ったように割れた顔から皮膚の破片が落ちる。
「私はニックスだから」
成長し始めたニックスの肉体は急速に崩壊していた。
必ずしも今回のことで生じた現象ではない。
事実の兆しは以前からあった。
初めてアシルの悪夢を見始めた時から。
ロクサナはニックスを見て、母親に彼を連れて行かなかったのがいい選択だと思った。
こんなニックスの姿を彼女に見せることはできなかったから。
自分も今ニックスを見ながらこんな気がするが、母親がこれに耐えるはずがなかった。
口クサナは静かにニックスを見つめ、それからゆっくりと唇を離した。
「そうだね、ニックス」
本当に彼の言うことが正しいと思うのか、それとも彼女もただそう信じたいだけなのか。
「君は知っているわけではない」
ただ彼女は彼の望み通りに言ってくれた。
その瞬間、ニックスの表情が変わる。
しかし、すぐにニックスが再び頭の上に布団をかぶって、ロクサナは彼の顔を長く見ることはできなかった。
ロクサナはニックスを置いて一人で部屋を出た。
デオンもニックスも生きていたのですね。
ですが、二人とも状態は非常に悪いです。
特にニックスはこのまま生きていけるのでしょうか?