こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は78話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
78話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 決心
「デオン?」
低くずれた音声が頭上から重く落ちた。
カシスは外に埋もれてきた冷たい空気に包まれている。
彼の手が私から落ちる。
「私が彼に似ているとは一度も考えたことがないな」
カシスの瞳から涼風が吹いているようだった。
「私の部屋に眠っていた君の口から、なぜその名前が出たのか理由が分からない」
彼は低く囁き、微かに笑う。
けれど、それは愉快で微笑んだ訳ではない。
カシスを見上げながら深呼吸し、その後、ゆっくり息を吐き出し、横になっていた体を起こした。
いつの間にか口の中が乾いている。
「特に意味はな___」
「そういえば、ユグドラシルでもデオンと呼んでいたよね?」
和合会の最終日、まだ夜が明ける前の深い夜の出来事。
確かにカシスが言ったように、あの時は彼をデオンと勘違いした。
しかし、それは「カシス」を3年ぶりに見たため。
それにあの時は彼の顔が暗闇に呑まれていたから、体型と雰囲気を見て誤解しただけ。
「彼が出てくる夢でも見たようだな」
からからに乾いた声。
私はこの状況が酷く重く感じられた。
何を言っても通じないという考えが、私を沈黙させる。
ひとまず、今この席を避けるためベッドから体を起こす。
けれど、私はカシスに手を抑えられた。
その後、彼と私の間の距離が縮まる。
動こうとしても動けない状況。
「もしかして、今までデオン・アグリチェを待っていた?」
凍りついた金色の瞳が、正面から私を貫く。
そっと唇を噛み、カシスに掴まれた手を動かしてみたが、びくともしなかった。
彼がこうした反応を見せるのも当然だろう。
ついさっきデオンの名を呼んだ私の声は、待ちに待った相手を迎えるような感じを漂わせていたから。
けれど、カシスが何を考えていても、それは真実とは違う。
私はアグリチェの最終日に別れたデオンがどうなったのか知らない。
彼が死んだのか、生き延びたのかも。
でも、もし彼がどこかで生きていたなら、きっと私を訪ねてくると思った。
アグリチェを去った私がどこにいても、おそらくデオンなら屈しないと。
目の前の黒い形を見た時、私はそれが今だと思った。
それがデオンの名前を口にした理由。
その瞬間、私は諦める一方で、滑稽にも胸がドキッとするのを感じてしまった。
(私がカシスの隣を終着地だと思わなかった理由。どういうわけか、デオンの手で死ぬ自分が時々見えたから)
「あの人と君の関係はどこか奇妙だ」
どっしりと冷たく、そして鋭い声が鼓膜に突き刺さる。
「アグリチェを出て今まで、君はラント・アグリチェ以外の人については一度も聞いていない。デオン・アグリチェについても」
息を殺した視線が私の目をじっと見つめていた。
まるで私に現れる一寸の隙も逃さないというように。
「だからあの日私は言った。君の望み通りになったと」
そこに込められた意味は、確かに軽くない。
けれど、その言葉を聞いても、私は何一つ決めることができなかった。
なぜなら、あの日デオンがあの場所で死んで欲しかったのか、それとも生きて欲しかったのか、まだ私はそれを知らなかったから。
「アグリチェに戻りたい?」
囁くような低い小さな声が、吐息と共に空中に散らばる。
私の手を握る力が一層強くなり、カシスはすぐにでも唇が触れそうな近い距離で言った。
「だが、行かせない」
その言葉を聞いた瞬間、心臓がグッと締め付けられる。
他のものは全て不透明な中で、カシスが私に求めているたった一つだけは今にも手に取るようにはっきりと目に見えた。
その瞬間、私が感じたのは、もはや否めない喜び。
それと同時に、おそらく私がカシスに望んでいることも、その不慣れな感情に霧のようにちらつくことが分かった。
それで仕方なく私はぼんやりと笑ってしまう。
「うん」
一点の揺れもなく、真っ直ぐな目つきがより近くなる。
「もし君が他の場所に行っても、また連れてくる」
「うん」
不思議だ。
きっと、誰にでもこんな気持ちになるわけではないだろう。
カシスが噛みちぎるように私の唇にキスした。
「ん・・・」
普段は慎重に私に接するくせに・・・、こういう時は遠慮がない。
暴風が吹きつけるように激しく執拗なキス。
(どうしよう・・・。死ぬのが、少し残念になる)
カシスと一緒にいると、私はとても尊い人になったような気がする。
彼は私のような人でも、この世に生きていく価値があり、また誰かに愛される資格があるように感じさせた。
ここで会った皆が、私を追い出すどころか、むしろ歓迎してくれて、本当に私がここにいてもいいのではないかという気がした。
彼の隣にいる?
そんなに長い時間ではなくても、死ぬまでの間だけ彼を独占してもいいのだろうか。
そんな気持ちで、私はカシスの背中に腕を巻いて、彼をもっと近くに引き寄せた。
私はどうせ自分勝手な人間で、生きている間に欲望を持つためなら何でもしてきた女だった。
だから砂粒のように胸の下に敷かれた他の物は、そのまま全部埋めて私の心が動くままにしようと・・・。
今までの悩みを振り切って、結局私はそう決めた。
すると、飛んでいるタンポポ胞子のように、しばらく宙に浮いてどこにも降りることができなかった心が重さを負って徐々に落下し始める。
カシスは後日、自分の選択を後悔するかもしれないが、申し訳ないことに私には知ったことではない。
ロクサナがカシスへの気持ちを自覚した瞬間ですね。
このままカシスとシルビアと一緒に平和な時間を過ごしてほしいと願います。
一方で、デオンの消息も気になります・・・。
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