こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
8話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 犬と主人
もちろんのことだが、尊敬する父であるランド・アグリチェが、カシスをただ黙って地下牢から解放してくれたわけではなかった。
カシスはランドの部下たちに引きずられ、床に無理やり跪かされていた。
聞き取れないほどの低い声で呟く中、ランド・アグリチェが彼の前に歩み寄ってきた。
私は二人の視線が宙で交わる様子を静かに見守っていた。
カシスはここに来た初日と同じように、全身が縛られた状態で、口には猿ぐつわが噛まされていた。
その時からしばらく経っても、カシスの体は傷だらけのままだ。
それどころか、今はさらに強制的に屈辱的な姿勢を取らされているようだった。
しかし、相手を真っ直ぐ見据えるその目は、少しの曇りも感じさせない。
今カシスを見て、誰もが彼を弱者だと思うだろうか?
ランド・アグリチェを正面から睨みつけるカシスの目には、強烈な殺気が漲っていた。
あのように膝をつかせた姿勢でも威圧感を生むとは。これもまた大した能力だと私は思った。
ランド・アグリチェも、その鋭い目つきでカシスを見下ろしていた。
私は二人の間に漂う緊張感がまるで電気のように弾ける様子を見守っていた。
そんな中、突然ランド・アグリチェの顔に薄い笑みが浮かんだ。
バシッ!
その直後、彼の足がカシスの胸板に蹴り込まれる。
その光景を見て、私は内心でため息をついた。
そうか、今日も父は徹底的にデッドプレーを楽しんでいるのね。
ドン!
あぁ、あれではまるで凶器を刺したかのように相手をぐちゃぐちゃにしてしまうではないか。
カシスを完全に叩きのめした後、治療する素振りも見せず、まだ手を出すのを止めようとしない。
そして今度はついに転がった相手をわざわざ足で踏みつけるのだから。
本当に私の父だとしか言いようがない。
バシッ!
「クッ……!」
今度はカシスの顔がランドの足に踏まれていた。
私は少し前の地下牢での出来事を思い出し、そっと彼に同情の目を向ける。
カシスの無残な姿をこれ以上見ているのは耐えられなかった。
この場からなんとか無事に抜け出せるよう見守ろうと思っていた矢先に、こうなってしまったことに少しの無力感を覚えた。
しかし今はどうすることもできなかった。
私はまだ完全にカシスを救う立場ではなかったし、加えて今彼に暴力を振るっているのは他でもないランド・アグリチェだった。
「リセル・フェデリアンの血を引くものだからこそ、あのような鋭い目つきになるのだろうな。実にそっくりだ。」
ランド・アグリチェはついに新たな血としてカシスを認め、彼を蹴り上げるのを止めた。
カシスは床に横たわり、肩を上下させながら荒い息をついていた。
その唇には血が滲み、さらに再び口にくわえた木片には鮮血が滴っていた。
しかし、それでもなおランド・アグリチェに向けるその目つきだけは鋭さを失わず、並外れた気高さを保っていた。
「あの小僧に、こんな生意気な目つきをする息子がいるなんてな。」
彼を見て最初はどれを選ぶべきか少し迷ったものだ。
その時、ランド・アグリチェは全世界の悪党たちの骨の髄まで震え上がらせるほど冷酷な笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「それでも、鶏小屋よりは長く耐えられると思ってあいつを選んだのに、どうしてこんな有様になる?」
愛する父は、なんとか機嫌を満たさないと気が済まない様子だった。
家族愛、兄弟愛が過剰なほど溢れ、カシスに対して妹のシルビアを口にするとは。
今、主人公のお兄さんの目をよく見てみろ。ただ目つきだけで人を一撃で仕留めることだってできそうじゃない?
「ロクサナ。」
「はい、お父様。」
もちろん、ランド・アグリチェに私の心の声が聞こえるはずはなかった。
彼はカシスの髪を無造作に掴みながら私を呼んだ。
初めからランドの背後に静かに佇んでいた私は、彼の呼びかけに落ち着いて返事をした。
カシスの燃えるような視線が私に向けられた。
えっと、でも主人公のお兄さん。まさか今、私を敵だと思っているわけではないですよね?
私が今いる立場がこうだからって、本当に父の味方だとは思わないでほしいんだけど。でもその目つきはちょっと……。
いや、まあ。そうだな、今の状況では仕方がないか。
もし私がカシス・フェデリアンであったとしても、ランド・アグリチェと私を同じ悪党の娘として見ていたことだろう。
ため息が出そうだったが、今は我慢しなければならない。
「ちょうどお前の誕生日が過ぎてから、そんなに経っていないだろう?」
「はい、覚えてくださって嬉しいです。」
「この犬はお前へのプレゼントとしてやる。一度じっくり付き合ってみて、好きなように遊んでみろ。」
本当にこの人ったら。
くれると言うなら素直にくれればいいのに、わざわざ誕生日を口実に持ち出してくるなんて。
今まで子どもの誕生日をまともに祝ったことなんて一度もないくせに。
「ありがとうございます、お父様。」
私は冷静な心を隠し、ランド・アグリチェに微笑んだ。
「失望させないように、しっかりとしつけます。」
こうして私は初めて自分の所有物として犬を持つことになった。
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「ロクサナお嬢様、いたずらっ子への処置はどうなさいますか?」
ランド・アグリチェがその場を離れた後、カシスの運搬を担当していた従者が私に尋ねた。
「私の部屋の空いている部屋に連れていきなさい。」
カシスは意識を失った状態だった。
体は傷ついていないが、少し前にランド・アグリチェが行った無慈悲な暴力を再び耐え忍ばねばならなかったため、その衝撃は計り知れない。
それでもランド・アグリチェの視界から完全に消えた後になってやっと意識の糸を手放したことを見ると、カシスの意志力は認めるべきだと感じた。
「永遠に見ていられないね。」
私は血まみれになったカシスをちらりと見下ろしながら口を開いた。
「このままではとても連れて遊ぶ気にはなれないわね。何にせよ、まず治療くらいはしてあげないといけないと思うから、準備しておいて。」
「はい、わかりました。」
カシスは従者2人に両腕を抱えられながら引きずられて行く。
彼がいた場所にははっきりとした血痕が残っていた。
当然ながら、その血の原因であるカシスの体は見るに堪えない有様だ。
私はアグリチェ家で内なる屈辱を抱え続けるカシスを、不憫に思いながら見つめていた。
すると突然、胸の奥にかすかな違和感が走った。
血だらけのカシスを見つめる間に、ある微かな疑念が脳裏をかすめた。
私は目を細めてカシスから距離を取り、一瞬視線を外した。
そして、いずれまた彼と再会したときにその疑念を確かめるつもりで、その場を立ち去った。
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