こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は219話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
219話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 突拍子のない話題転換
シアンは手に持った手形を見下ろした。
天文学的な金額。
大公家が納める賠償金の、なんと5倍以上の金額だ。
「本当にこれを私に?」
「私よりも殿下にもっと必要なお金ですから」
シアンの口元に苦笑いが浮かぶ。
この手形には、自分を助けようとするエレナの心からの思いが込められていた。
全部分かっているのに、どうしてこんなに悲惨な気分になるのだろうか。
この手形を受け取らざるを得ない今の境遇があまりにも悲観的だった。
断れないから尚更に。
「ありがとう。表現できないほどに感謝している」
手形を握ったシアンの手に力が入る。
エレナにお世話になるのは今回だけだ。
二度と今日のような日を作らないと、シアンは心から誓う。
覚悟を決めたシアンは、自分がサロンに残った理由について打ち明けた。
「私も君に渡すものがある」
エレナは瞬きをして、シアンをじっと見つめる。
「爵位を下賜しようと思う」
「あの、殿下?」
「あなたが前に言っただろう。北部3国連合のベルカン王国の爵位を持っていると」
思いもよらなかった話に、エレナは当惑して頷いた。
エレナが活動するLの身分は、エミリオが運営するカストール商会の本拠地であるベルカン王国でお金を払って手に入れた爵位だ。
シアンが高低のない声で話を続ける。
「大公家を出て本格的に活動するためには、帝国から与えられた爵位があった方が良いだろう」
「いいえ、私はこのままで十分です」
エレナは手を振って断った。
爵位を下賜できる権利は皇室固有の権限である。
皇太子であるシアンにとって、それほど難しくないだろう。
しかし、エレナは例外だ。
(問題は私が女性だということ)
帝国の歴史を通して、女性が爵位を下賜されたケースは数える程度。
ほとんどが父親や夫の爵位を世襲されたケースであり、単独で爵位を与えられたケースはほとんど見ない。
もちろん帝国内でのLの評判と名望、そして名声は高い方に属す。
しかし、それだけだ。
生真面目な中立貴族の反感を買う可能性は非常に高いだろう。
既得権を重視する貴族は快く思わないはず。
「貴族に名分を与えることができます」
「あなたが何を懸念しているのか理解している」
「退いてください。殿下の心を受けただけでも十分ですから」
エレナは丁重だが断固として意志を明らかにした。
自分によって非難の矛先がシアンに向けられることを望まなかったのだ。
「貴族の殺害は重罪だ。あなたに下した爵位が最小限の安定装置の役割をすると信じている」
「殿下」
大公家だとしても、公式に爵位を与えられた貴族を勝手に迫害したり殺害したりすることはできなかった。
その場合、貴族会議に上程され、爵位剥奪に近い議論が行われる。
シアンは自分の力量が届く限りエレナを守ってあげたかった。
貴族たちが自分を守るために作った法律を逆利用して、公爵家がエレナを迫害できないようにするために。
「あなたが私を心配する以上に、私はあなたを心配している。拒絶は許さない」
シアンの心のこもった言葉に、エレナは胸がジーンとした。
意地を張ってこの爵位を断るなら、シアンも手形を受け取らないという気持ちが分かる。
「・・・いただきます、殿下」
「爵位は準男爵だ。授与式は外部で略式で行うことで措置する。サロンに人を行かせないようにしよう」
「帝国が騒がしくなるように盛大に迎えてください」
どうせ爵位を受けることに決めた以上、Lが名実共に帝国貴族になったことを賑やかに知らせるつもりだ。
それがシアンの好意に対するエレナの唯一の報いだった。
そして、彼女の名声と評判は、誰も文句がつけないようになるだろう。
(その次は社交界ね)
そうでなくてもベロニカを刺激するために社交界に進むところだった。
シアンが与えた爵位は、エレナの唯一の汚点である身分をベロニカと同じスタートラインに立たせたのだ。
うずくまっていた体と翼を広げて飛翔する時期だった。
「遅い時間だね」
シアンは貴族たちが植えた監視者たちの目を避けて、こっそり出てきた。
皇居をあまり長く空けておくわけにもいかないので、帰らなければならない。
「そうですね、不本意ながら話が長くなりましたね、殿下」
「シアン」
「え?」
「そう呼ぶように」
名前を許すと、エレナがビックリしながら手を振った。
「いいえ。殿下のお名前をどうしてあえて・・・、私はこのままが好きです」
「・・・」
「決してあり得ないことです。どうか、退いてください」
かつて皇妃だったため、エレナはこのような法令に敏感だ。
シアンの名前が許される女性は、一生を共にする伴侶だけなのだから。
「そうだね」
「え?」
エレナは鹿のように目を開けて瞬きする。
何事にも慎重なシアンだ。
こんなに簡単に噛むつもりなら、言葉さえ出さないのが正しかった。
「ただし、条件がある。いや、お願いと言えば正しいだろう」
「お願いですか?」
「あなたの本当の名前を私に許してくれないか?」
あまりにも突拍子のない話題転換に、呆気に取られたエレナがシアンをぼんやりと眺める。
まさか私の本当の名前が知りたいから、彼はあんな提案を?
いや、違うと思う・・・。
「申し訳ありません」
「難しいのか?」
「早くお知らせすべきだったのに、遅すぎました」
エレナの目はこの上なく柔らかくなる。
シアンは今まで一度も催促しなかった。
名前さえまともに知らないエレナが先に教えてくれることを黙々と信じて待ってくれていたのだ。
今はその待ち受けに報いる番だ。
「エレナです」
「エレナ・・・」
低く詠むシアンを見るエレナの表情が妙に。
彼に初めて本当の名前を知らせることも、彼の声を通じて本当の名前を聞くことになるのも、全て感慨深かった。
シアンは刻印でも彫るようにエレナの名前を呟く。
彼の口元には薄い笑みが浮かんでいた。
「その名前を長く大事にしよう、エレナ」
シアンにも自分の本当の名前を教えたエレナ。
エレナもいずれはシアンの名前を呼ぶようになるのでしょうか?
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