こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は293話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
293話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 長い夜の始まり
「今日かな?」
鉄格子の中、涼しさが漂う壁に背をもたれたリアブリックが天井を見上げながらつぶやく。
日差し一つ入らないここにいると、時間の概念が消える。
今が昼なのか、夜なのかさえ見分けがつかなかった。
わずか数日前、アルディールが来ていなかったら、どの程度時間が経ったのかさえ分からなかっただろう。
「L、いや、エレナ。君が私より優れていることを認めるわ。私は君を越えられなかった。だからここに閉じ込められたんだ」
敗北を認めたのだからプライドが傷つくはずだが、リアブリックの口元から笑いが消えなかった。
「でも世の中は広い。お前は死ぬ。これは変わらない」
リアブリックの顔が歪む。
敗北者の悔しさから見ると、どこか気に障る言葉だった。
「もしかしたら、君は全部予想しているかもしれない。あなたはいつも常識を超えていたから」
リアブリックは狂人のように髪をほどいた。
まともに食べることもできず、骨と皮に傷がついて満身創痩だったが、目つきは死んでいない。
「でもね。君が知らないことが一つある」
まるでエレナがそばにいるように話しかけるリアブリックの声に意味深長さが載せられた。
「頭だけ使ってはフランチェ大公を絶対に超えることはできない。あの男はね」
余韻を残すように言葉を止めたリアブリックが、エレナにささやくように話した。
「本当に怪物なんだ」
リアブリックがきゃっきゃっと笑う。
鳥肌が立つほど奇怪な笑い声で。
悠久の歴史を誇る首都をこの上なくロマンチックにした夕焼けが消え、漆黒のような夜が訪れる。
日が暮れると、活気に満ちて慌ただしかった首都の街に人の気配が消えた。
ホンドウン街や夜市に人出が集中したが、少数に過ぎない。
「長い夜の始まりだね」
フランチェ大公は執務室の窓越しに真っ暗になった外を見て独り言を言った。
何事にも怖いことはない彼だったが、旗揚げを控えた今日は微妙な緊張感が見える。
「ご報告いたします。皇居近衛隊が数寄山でキャンプ中であることをフクロウが確認しました」
アルディールは時間ごとに上がってくる情報を選んでフランチェ大公に伝えた。
「皇居に残った皇居近衛隊は全部で4人です。その他に皇居守備隊30人が残っているそうです」
「・・・」
「サロンでは盛大な舞踏会が行われています。大多数の首都貴族が参加したものと把握されます」
フランチェ大公は手を後ろに組んで、黙々と聞くだけで何の反応もなかった。
何を考えているのか無心な目で窓の外だけを限りなく眺めたまま。
「なんと、天が私たちを助けてくれるのでしょう。そうじゃないですか?」
ソファーに傲慢に座っていたベロニカが口元をひねりながら笑う。
普段よく着るマーメイドドレスではなく、体にびったり密着する乗馬服姿の彼女は、旗揚げに同行する準備をすべて終えた後だった。
「油断は禁物だ」
「油断というものはありますか?彼らが私たちの計画を知っていたら、あんなに安易に動かなかったでしょう。せめて皇居に半分の近衛兵を残しておくべきだったのでは?」
フランチェ大公は沈黙を守るだけで、返事をしなかった。
ベロニカの言葉に間違いはない。
もし反乱に気づいたなら、あの無防備に近いように皇居を空けておかなかっただろう。
(私が過敏なのかな?誰かが私を煽っている気分だ)
リチャード皇帝とシアンの対処は粗末極まりなかった。
奇襲的に皇宮近衛隊を改革した時とはあまりにも違う行動だ。
「皇宮近衛隊と関連した他の報告事項はない?」
「石橋を叩いて渡るように」という言葉がある。
逆謀の失敗は三族の滅門である。
フランチェ大公でも慎重にならざるを得なかった。
「はい。別に疑わしい情況はありませんでした」
アルディールの報告にもかかわらず、警戒を緩めないフランチェ大公を見てベロニカが眉をひそめる。
「過敏に反応しすぎじゃないですか?」
「過敏な反応か。そうかもしれないね」
フランチェ大公がさっと笑い飛ばした。
少しだけ理性的に考えてみても大事が失敗する可能性は皆無だ。
皇居は空っぽで、皇居近衛隊は首都から馬に乗って半日の距離にある数寄山に駐屯している。
彼らが消息を聞いて皇居にあたふたとやって来たとしても、旗揚げは終わった後だろう。
「私も老けたね」
若い頃、フランチェ大公は何の問題もなかった。
言葉より行動が先だった。
決断を下せば、帝国の皇帝を塗り替えることすら躊躇わなかった。
ところが変わった。
年を取ると、厳しい状況で体を気にするようになる。
慎重なこととは別に、若い頃の覇気が消えたのだ。
「アルディール」
「はい、大公殿下」
「騎士団を集合させろ」
フランチェ大公の言葉が落ちると、アルディールの目に異彩が浮かんだ。
ついに彼が決断を下したのだ。
ガラスの棚のドアを開けると、黒い一本が置かれていた。
名匠の手で製作された宝剣には、大公家を象徴する文様が陰刻と陽刻の絶妙な調和で刻まれている。
「フランベルジュ」
フランチェ大公が剣の名前を軽く口ずさんだ。
若いころから彼が愛用していた愛剣だ。
「私がこの剣を取り出すたびに、世の中が変わった。今日もそうだろう」
指先で剣身を掃いていたフランチェ大公が、剣鞘に剣を入れて腰に蹴られた。
「行こう」
「はい、お父様」
フランチェ大公はベロニカを連れて練兵場に向かう。
国外任務を遂行中の騎士団員を除く第1騎士団と第2騎士団が全員列と行を合わせて起立していた。
非公式遂行騎士まで含めれば、その数は何と100人余りに迫る。
フランチェ大公の登場に合わせて、騎士団全体が節度をもって剣を抜いて額に突きつけ、礼儀をわきまえた。
演壇に立ったフランチェ大公は彼らを見下ろして厳粛に演説する。
「今夜、君たちと皇居に行く」
衝撃的な発言にもかかわらず、騎士団の構図は動じなかった。
彼らが忠誠を誓った対象は皇帝でも国家でもない。
世界で唯一無二の主君、フランチェ大公だけだから。
「皇居を占拠し、無能な皇帝を廃位させる。その場に有能な皇帝を擁立するだろう」
騎士たちは悲壮だった。
主君の命により、命により死ぬ。
それが騎士の名誉であり、忠誠であり、人生である。
「行こう、大公家の騎士よ。帝国の新しい歴史を書き換えよう」
「存命」
フランチェ大公の宣言に騎士たちが剣を斜めに高く振り上げて勝利の儀式を行った。
壇上を降りてきたフランチェ大公が騎士団を査閲し、すべての準備を終える。
やがて夜陰に乗じて、フランチェ大公を筆頭にした騎士団が後門を通じて速かに大公家を抜け出した。
目的地は皇居、目標はリチャード皇帝だ。
リアブリックに怪物と言わせるフランチェ大公。
フランベルジュは大公が所持していたのですね。
リチャード皇帝の作戦は通用するのでしょうか?
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