こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は297話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
297話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 大公家の力
ラインハルト公爵家。
開国功臣の家門であり、4大家門と呼ばれる帝国の柱。
そのようなラインハルト家を率いる首長クロム公爵の執務室を、娘のアヴェラが訪れる。
「中にいらっしゃるのは知っています。入りますね」
ドアを開けて入ると、執務机に座って深刻な表情で補佐官と対話を交わしているクロム公爵の姿が見えた。
「アヴェラ、こんな遅い時間にどうした?」
補佐官に噛まれたクロム公爵が優しく尋ねる。
自分にそっくりで、奸計に長けた娘への愛情がたっぷり感じられた。
「今、首都で起こっていることです。知らないわけじゃないですよね?」
「その話はどこで聞いた?」
アヴェラが取り出したテーマにクロム公爵の表情が固まる。
就寝に入らなければならなかった彼が、この時間まで執務室を守る理由もそのためだ。
「今それが重要なのではないでしょう。大公が騎士団を動かして皇居に行ったのは本当ですか?」
「・・・本当だ」
クロム公爵は素直に認める。
まるで他人事のように淡々とした態度にアヴェラは眉をひそめた。
「それをじっと見てるんですか?」
「何をしようというのか?」
「分からないのですか?このまま皇帝が廃位され、大公が新しい皇帝を擁立すれば、大公家の世界になると」
アヴェラは壁に向かって話しているようなもどかしさに拳で胸を打った。
「天才」という修飾語が足りないほど、政治的識見と奸計に長けた父親をいつも尊敬していた彼女だ。
ところが、今日に限ってどうしてこんなに他人事のようにふるまっているのか、気が狂いそうだった。
「だからこそ、このチャンスを狙わなければならないのです他の4大家門に協力を求め、大公家を逆謀に追い込むべきです」
「逆謀に駆られる? 4代の家門が力を合わせて?」
「はい、できないことはないでしょう?今でなければ機会がありません。大公が新しい皇帝を擁立して後ろに立つ瞬間、一生大公家の尻だけを追って終わると」
アベラは千載一遇の機会だと思っている。
情治績の立地と財政不安を経験する大公家が無理をして騎士団を動かした。
「大公家を圧迫してその力をくじき、4大家門を中心に権力の版図を組み直さなけれはならない」と主張した。
「不可能だ」
「なぜですか?ダメだと言う理由は何ですか?」
クロム公爵が言葉を切ると、アヴェラは眉をひそめる。
「だから、アヴェラ、君に聞く。「あなた」は4大家門が力を合わせると思うか?」
「できないことはまた何ですか?お父様が求心点に出れば断る理由がないと思います」
アヴェラの主張は一見すると極めて妥当だった。
大公家の権勢に押されて、これまで4大家門は気勢を張ることができなかった。
ただ暗黙の同調をして大公家を牽制するだけで、これといった行動を見せることはできなかった。
「4大家門は決して力を合わせない」
「・・・私が知らない理由でもあるんですか?」
アヴェラは慎重に尋ねる。
クロム公爵は絶対に根拠のない失言をしない性格であることを知っているからだ。
「ホイット公爵が動いた」
「・・・!」
4大家門の一つであるバッキンガム公爵家の家主ホイット公爵。
4大家門の首長の中で最も年長者で、敵を作らないことで有名だった。
「あの方がどうして・・・まさか違いますよね?」
「君の思い通りだ。大公を助けるためだよ」
アベラの瞳が揺れる。
ホイット公爵は大公家と親しくはあったが、形式的な関係として退けた。
ところが、そうではないかも知れないという気がした。
「両家がどういう関係なのかは私もよく分からない。一つ明らかなことは、善皇の廃位の時も彼らは一体のように動いた」
「そ、そんなはずが・・・」
アヴェラは絶望する。
やっと大公家の盛勢が折れるかと思ったが、4大家門の一つであるバッキンガム公爵家が暗黙的に大公家を助けているという。
それだけでも勢力の均衡は大公家に傾いたも同然だ。
「娘よ、胸に刻みなさい。世の中はね、目に見えるものがすべてではない」
「・・・」
アヴェラは唇をかみしめる。
彼女は野心に満ちた女性だった。
弟が家門を率いて、自分が皇后になって帝国を自分の手の中に入れるという欲望をいつも胸に抱いていた。
その時が来れば、大公家だとしても、自分の思い通りに出来ると信じて疑わなかった。
ところが、それがどれほど傲慢な考えだったかを悟った。
「父がどうしてうずくまってばかりいるのか?そうするしかないからだ」
「・・・」
「肝に銘じなさい。フランチェ大公が健在である以上、大公家は決して没落しない」
クロム公爵は絶望に陥ったアヴェラを慰めるよりも、冷たく現実を悟らせた。
それがテーマも知らずに爪を剥き出しにして、家門が滅門するよりましだと考えたためだ。
「彼が帝国で一番強くて危険な男だからだ」
エレナは訳の分からない不安感で執務室をうろついた。
深呼吸して落ち着こうとしても、なかなか良くなる気配が見られなかった。
手は汗でびしょ濡れになり、しきりにいらいらした。
このような不安心理が大きくなったのは、皇居に残ったリチャード皇帝の突発行動も少なくない影響を及ぼしている。
「こんな場合じゃない。見逃すものがないかチェックしないと」
エレナは不安を克服できず、再び机の前に座った。
伝書鳩を通じてもらったメモを絶えず読みふける。
コントロールタワーを自任した彼女だけが冷静に状況を分析し、能動的な対処が可能なのだ。
執務室に入ってきた鳩が天井をくるくると回り、台座に座った。
エレナは手を伸ばして.新しい足に縛られていたメモを確認した。
シアン、大公街占拠。
ベロニカ不在。
フランチェ大公とともに皇居に行ったという。
エレナの唇からうめき声が出た。
大公家を制圧し、ベロニカを人質に取るという計画が食い違ってしまった。
「がっかりしないようにしよう。この程度の変数は予想したでしょう?」
エレナは他のメモを冷静にチェックする。
状況を締めくくったシアンが計画通り皇居近衛隊員を同行させ、バスタージュ家に移動するという話だ。
「複雑に考えることはない。計画通りに大公さえ捕まえればいい。そしたら終わりだよ」
ベロニカの身柄を確保できなかったのが残念だったが、皇帝リチャードが死んだだけにフランチェ大公もリスクを抱えている。
結局、勝敗はフランチェ大公を制圧するかどうかにかかっていると見てもいい。
立て続けに伝書鳩が到着した。
フランチェ大公、騎士団員を率いてバスタージュ家に移動中。
レン、バスタージュ家掌握完了。
リンドン伯爵、騎士団を率いてバスタージュ家に移動中。
ヒュレルバード、首都北門近くに到着。
変数があったが、大きな枠組みで見ると、計画は支障なく進行している。
「よかった。合流が遅くはない」
エレナは少しでも安心した。
バスタージュ家で最後の決戦が予想されるだけに、エレナは戦力を一ヵ所に集中しようとした。
どうしても騎士団の規模から見て、フランチェ大公に比べて劣勢であるだけに火力を集めることが重要だと判断したのだ。
また、伝書鳩が飛んできた。
「・・」
手紙を確認したエレナの顔は真っ青になる。
瞳孔が地震でもあったかのように揺れた。
先立ってきた便りとは比較もできないほど、一瞬にしてすべての計画を水の泡にしても残る衝撃的な内容が含まれていたのだ。
計画に変更はあるものの、ここまでは順調だったエレナの計画。
最後に書かれていた手紙の内容とは?