こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

331話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 慌ただしいスケジュール⑥
「私の答えはここまでです。今日は非常に有意義で印象深い時間でした。いつかサロンでお会いできることを願って、これでご挨拶とさせていただきます。」
エレナは軽くお辞儀をする。
あっという間に過ぎ去った講義の時間が名残惜しい様子の学生たちは、盛大な拍手でそんなエレナを送り出した。
「卿」
壇上から降りたエレナは、背後で待っていたヒューレルバードを呼び止めた。
「今、講堂に行けばレンがいるはずです。あの人間が逃げられないよう、しっかり捕まえておいてください。」
「了解しました。」
冷静な表情の騎士は、一言も無駄にせず講堂へ向けて体を動かした。
その間に、エレナは急いでやって来たために挨拶できなかった学術院の院長、副院長、そして何人かの教授と挨拶を交わす。
「その間に、Lの名声については噂で聞いていましたが、実際にお会いする機会がなく、今日ようやくお目にかかることができました。」
「これも偏に、著名な院長先生がこうした貴重な機会をくださったおかげです。」
振り返ってみると、彼女たちがどれだけの歩みを重ねてきたかが明らかになるが、同時に現在の帝国内におけるLの地位と評判がどれほどのものかも窺い知ることができた。
彼女たちは、ただLを引き留めたい一心で彼女を招待した。
この機会を通じてエレナと人脈を築きたいという考えだ。
エレナはその招待を丁寧に受け入れ、講堂の外に出る。
「おや、あれはLじゃないか?」
「本当だ。この方向に来るよ?」
「おい、近くに行って見てみよう!」
講義を終えたばかりの学生たちは、エレナを見つけようと集まってきた。
突然現れた学生たちは、エレナに近づこうとするが、一定の距離を保ったままじっと見つめるだけで声をかけることはできなかった。
その優雅な足取りと洗練された微笑みから漂うエレナの気品に触れた瞬間、彼女の存在が他とは異なるものとして感じられたからだ。
「レン。」
エレナの足が止まると同時に、後ろに控えていたヒューレルバードが静かに彼女の後方に立った。
自身の任務を全うし、彼女の護衛に集中するためだった。
「これは偶然だな。君が来て捕まえるべきだよ、あの化け物を送るなんて。」
レンは微笑んだ。
彼特有の自由奔放な態度とジットリした笑顔、それに批判を避ける独特の皮肉の表現が垣間見えた。
「ここで何をしているの?」
「何って、講義を聞きに来てたんだ。そしたら偶然君を見つけて、嬉しくなったんだよ。」
軽々とした態度で答えるレンを見て、エレナは少し呆れながらも軽く褒めるように言った。
「偶然ね。さっきも見かけたじゃない。それに、つい最近も見たわ。」
「いや、それを全部覚えてるのはちょっと困るな。恥ずかしいよ。」
「恥ずかしいことをしている自覚があるんじゃないの?」
エレナが鋭く切り返すと、レンは少し笑いながら答える。
このやり取りが彼にとってはまるでお気に入りの遊びのようで、楽しそうにしていた。
「見て、あれはレン伯爵じゃない?」
「そうみたいだね?」
「わぁ、近くで見るとまるで展示品みたいだ。美しいね。」
「彼、完全にかっこいいわ。」
「どんな先輩かなんて関係ないでしょ?性格がちょっと悪かったらどうなの?あんな人なら私の魂まで捧げるわ。」
今年入学したばかりのような女子学生たちは、レンを見て密かに盛り上がっていた。
学術院内でのレンの悪評は噂で聞く程度だったが、それよりも彼の魅力的な外見に惹かれる視線の方が圧倒的に多かった。
エレナは目を細めながらレンをじっと見た。
「人気者なんですね?」
「この勘違いが怖いんだよね。あの子たちは僕が良い人だと思ってるんじゃない?」
「悪い人でもないでしょう。」
エレナのさらっとした言葉に、レンは一瞬言葉を失った。
自分が悪い人間ではないという事実を、彼女が本当にそう思っているのか確かめたくなった。
「で、本題に戻るけど、ここで何してるの?来たなら知り合いぶるか、用事でも済ませたらどう?もしかして私に借りを返しに来た?」
「いやいや、そんなに誤解しないでよ。借りなんて作らない主義だってば。」
エレナは軽くため息をつきながら、話を続ける準備をした。
「本当に話さないんですか?」
「言っただろう、偶然だって。ああ、この間は君を見に行ったのは確かだ。」
「……」
エレナは目を細めてレンをじっと見た。
その視線は真実を問いかけるようで、レンは肩をすくめた。
「それで今日はどうして来たんですか?」
「誰かが君を見てる気がして、ついてきたんだ。」
「見てるのは誰ですか?」
「それは……誰だと思う?」
レンは意味ありげな微笑みを浮かべながら後ずさった。
その冗談交じりの態度の裏に隠された真意を、エレナは見逃さなかった。
「危険な人物ですか?」
「そうかもしれないし、違うかもしれない。」
曖昧な返事に、エレナは近くにいたヒューレルバードを見た。
何か怪しい点がないか確認するためだ。
ヒューレルバードは黙ってエレナを見守っている。
その目は、エレナを狙ったり、ささいな脅威ですら感じ取れば見逃さないと誓うように光っていた。
「緊張を解けよ。お前が考えているようなつまらない話じゃない。」
「じゃあ、なんですか?ちゃんと説明してくれないとわからない。」
エレナが問い詰めるが、レンは薄笑いを浮かべるだけで、はっきりとした答えをしない。
むしろ、すっきりと話してくれたらいいのに、それも叶わず。
これでは、自分からレンについて調べるしかないとエレナは考えた。
・
・
・
「失礼します。」
低めの声だったが、耳に心地よく響く声がエレナの耳に届いた。
エレナはその声の持ち主に視線を向ける。
初対面にもかかわらず、彼の存在感に圧倒されて立ち止まる。
その気品と自然に身につけた威厳から、ただの平凡な人物ではないとすぐに感じ取った。
威厳というものは、礼儀正しいだけでは成り立たない。
育った環境の中で培われ、自然と体に染み込むものだ。
その男性の姿を見た瞬間、エレナは「銀髪の貴族」と思わず心の中でつぶやいた。
『銀髪の貴族……誰だろう?』
エレナは興味を抑えきれず、控えめな微笑みを浮かべながらその男性を見つめた。
「エドと申します。いつも尊敬しているL様に少しでもお話できることを大変光栄に思います。」








