こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

340話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 大切な人⑧
都に到着したときには、すでに日が沈んでいた。
それでも帝国の都としての威厳は夕暮れにも消えることなく、堂々とした雰囲気を保っていた。
「着いたね。」
「長い一日でしたね。」
「僕には短い一日だったよ。」
エレナが微笑んだ。
同じ時間を過ごしても、感じ方が違うことに興味を覚えた。
「陛下、あの建物をご存じですか?」
「建物?」
「ええ、かつて皇室の所有地だったらしいのですが、何をしているのか気になって見ているんです。」
街道沿いを歩いていたエレナが、不明な建物をじっと見つめていた。
工事は長い間中断されているようで、外観は簡単に覆われており、用途や意図を判断することができなかった。
「わからないな。」
「………」
エレナは得体の知れない不安感を覚えた。
シアンの行動や言葉遣いがいつもとは違い、妙にぎこちなかったからだ。
「急ぎましょう。」
広場のすぐ手前まで来たところで、まるで迎えを待っていたかのようにヒュレルバードが現れた。
「陛下。」
「お待ちしておりました、お嬢様。こちらへどうぞ。」
ヒュレルバードが差し出した手を取ると、エレナは静かにうなずきながら馬からゆっくりと降りた。
そして、皇宮へと戻らなければならないシアンを見送り、礼を述べた。
「素晴らしい一日を贈ってくださり、陛下に感謝します。」
「また会おう。」
別れの挨拶を終えたシアンは馬の頭を向けて去っていった。
エレナは彼が視界から消えるまでじっと目で追った後、ようやく身体を回転させて歩き始めた。
「どうして外に出てきたんです?疲れるでしょうに。」
「心が落ち着かなくて。中に入りましょう。疲れているように見えます。」
「体は疲れていても、心は今まで以上に軽やかですよ。」
エレナは微笑みを浮かべながら、サロンへと向かった。
その時、サロンの路地の隅に体を預けて立っていた男性が、エレナをじっと見つめていた。
「これは面白いな。一体誰のお陰でこんな苦労をしているのに、昼間からデートだって?」
独り言をつぶやいているその男性はレンだった。
エドモンド王子のことを気にしていたら、シアンがこんな形で絡んでくるとは思わなかった。
「まあいいさ、笑っているならそれでいい。」
レンは薄く笑いながら身体を反転させた。
今まで一度も見たことのなかった安心した笑顔をエレナから見た。
それが必ずしも自分のおかげではないにせよ、レンはそれだけで満足だった。
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「先輩!」
二日後に控えた誕生日を前に忙しそうだったエレナの声に、落ち着かないラファエルはサロンを訪れた。
彼は、地下の作業室で黙々と何かを描いていたが、ついに外に出てきた。
「元気でしたか?北部地方に行っていたと聞いていたけど。」
ラファエルは特有の人懐っこい笑みを浮かべながらお茶を飲んでいた。
「作品は完成したんですか?」
「だからここに来たんですよね?」
「とても楽しみです。どんな名作が誕生するのか。カリフ先輩に話して、大々的な作品発表会を開いて、みんなを驚かせますよ。」
エレナは少し笑ってみせた。
ただの一個人でありながら、ラファエルの新作がこの場で発表されるというだけで、それは大きな名誉だった。
「そういうつもりじゃないんです。この作品は人目に触れるために作ったものではないんです。」
「駄目です、絶対に駄目です。いや、偉大な名画になる可能性のある作品をただしまい込んでおくだけなんて。私が弁当箱にでも入れて持ち歩きながら止める前に、すぐに中止してください。さあ早く。」
エレナがラファエルの手を掴むような勢いで話すと、彼は笑いながら言った。
「まさか、私の作品が倉庫にしまい込まれるだけなんてありえませんよ。」
「そうですか?」
「私のミューズにプレゼントとして贈るつもりです。誕生日の贈り物に。」
ラファエルが用意した意外なプレゼントに、エレナの目が驚きで揺れた。
「その誕生日の本人って私のことではありませんよね?」
「なぜそう思うのですか?」
「先輩。」
思いがけない贈り物に、エレナはどうしたらいいのかわからなかった。
むしろ、半年間二人三脚で完成させた名画を贈ろうとするラファエルの心がありがたくもあり、同時に負担でもあった。
「受け取れません。『ベラドナ』だけでも十分すぎるのに、どうしてまた受け取れるんですか。」
「それとこれは別のものですよ。『ベラドナ』は後輩の助けがなければ最初から完成することはなかった作品です。でも今回の絵は、私が贈る初めてのプレゼントなんです。」
「先輩。」
「負担に感じずに受け取ってください。これは私の気持ちなんですから。」
感動したエレナが視線をそらしながらも、ラファエルの気持ちを拒むのは申し訳ないように感じた。
「作品は宴会で直接渡しますね。誕生日のプレゼントですし、その日に自分の手で渡したいんです。」
「分かりました。それなら喜んで受け取ります。」
ラファエルはソファで飲み物を空にし、立ち上がった。
「忙しい人を長い間引き止めてしまったようですね。」
「お帰りですか?少し食事でもどうですか?」
エレナはラファエルの予定が詰まっていることを知りつつも、せっかく彼が誕生日プレゼントを持参してくれたのだから、このまま送り出すのは申し訳なく感じた。
「無理しないでください。それと、セシリアとも約束があります。」
「セシリア先輩はお元気ですか?」
エレナは学寮を卒業してからセシリアにほとんど会う機会がなかった。
かつて彼女が意図せず宮廷に入ることになった後、現在どのように暮らしているのか気になった。
「元気ですよ。今度一緒に会いに行きましょう。挨拶も兼ねて。」
「挨拶ですか?」
エレナの返答にラファエルは意味深な微笑を浮かべながら応接室を後にした。
彼が姿を消した直後、北棟で待機していたメイが現れた。
「お嬢様、すぐに出発しなければなりません。」
「そうね。」
エレナは躊躇うことなく動き出した。
ラファエルの突然の訪問により、予定していたスケジュールが詰まり気味になっていたのだ。
「スケジュールを調整しましたが、昼食は簡単に済ませる形になりそうです。」
「仕方ないわね。馬車の中で軽く食べましょう。」
スケジュールがタイトな時は軽食で済ませるのが日常茶飯事だった。
しかし、体力を消耗しないようにと医師に注意されたこともあり、馬車の中でパンや果物を食べる習慣が身についていた。
エレナは馬車に乗り込み、向かった先は改選地区の通りだった。
ここでは路上で活動する芸術家たちを支援するためにチャリティーバザーが開かれていた。
反応は上々だ。
王室が使用していた物品が並ぶという理由で多くの品が購入されていた。
アート仲介者カリフが管理していた芸術家たちが後輩のために提供した品々は高値で取引された。
特にエレナが手ずから提供した品物は多くの人々の関心と注目を集めている。
『改選通りで開催して正解だった。』
路上芸術家のほとんどが無名であり、その多くがサロンの門を超えられない状況だった。
エレナがこの自転車バザーを開催し、直接参加した理由は、この活動を通じて路上芸術家たちの生活を活性化させるだけでなく、彼らの才能を開花させる機会を提供するためであった。
『貴族たちが才能ある芸術家を支援できるきっかけになればいいのだけれど。』
気づけば、バザーに出品された物品はすべて売り切れていた。
本当にあっという間の出来事で、エレナ自身も驚きを隠せなかった。








