こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

343話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- これからの未来②
エレナが納得して応接室を出て、別館のメインホール側に移動すると、そこで待っていたのはエミリオとルシアだった。
「お誕生日おめでとうございます、お嬢様。」
「お姉様!お誕生日おめでとう!プレゼントは後で渡すね。ちょっと公開するのは恥ずかしいから。」
ひそひそと話していたつもりのルシアの声も、結局エミリオにはしっかり聞こえてしまっていた。
「ルシア!何度言えばわかる。お嬢様には礼儀を守りなさいって。」
「大丈夫だよ。わかったわ、ルシア。後で時間がある時に渡してくれる?」
エレナは優しく微笑んだ。
帰還してから最もよくできたことを挙げるなら、それはルシアを助けたことだ。
娘を失った悲しみで絶望していたエミリオを救い出した功績である。
エミリオもまた、今まで生き延びることができた。
「今日はカリフに代わって私が恩人をお迎えします。」
「よろしくお願いいたします。」
サロンの進行は主にカリフが取り仕切るものだったが、客員の一人であるケイト嬢が特別に来場することで、いつも以上に盛り上がっていた。
エミリオのエスコートを受けながら、エレナはメインの会場へと降りていった。
エレナの登場を祝うクラシック音楽が奏でられ、集まった来客たちが拍手で迎えた。
壇上に立ったエレナは、訪れた人々に向かって一礼し、話し始めた。
「このように素晴らしい場を用意していただき、私の拙い誕生日を祝ってくださるすべての方々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。皆様が多忙な中、時間を割いてここに集まってくださったことは、私にとって何よりの贈り物です。この大切な瞬間を記念して、乾杯したいと思います。」
エミリオが手渡したシャンパンのグラスを掲げながら、エレナは微笑んだ。
集まった客たちもその意を汲み取り、各々グラスを手に取った。
「この夜に乾杯を。」
「乾杯を。」
エレナの乾杯の音頭で、本格的な誕生日パーティーが幕を開けた。
階段を降りたエレナは、来場者たちと挨拶を交わし、祝福の言葉を受けた。
仮面をつけたままのため、名前や身分はわからなかったが、逆にそれが祝福の言葉に対して形式的でなく、真摯さを感じるきっかけとなった。
パーティー会場の中で目を引いたのは、仮面をつけていても一目で分かる二人の存在だった。カリフとケイトだった。
「お誕生日おめでとう。」
「おめでとう、エレナ。」
「ありがとうございます。」
微笑むエレナに向かって、ケイトが小さな箱を差し出した。
「小さな贈り物ですが、時間をかけて作ったものです。」
ケイトが箱を開けると、そこには繊細な彫刻が施されたメダルと、緻密に刺繍されたリボンが入っていた。
「リボンも色や柄を慎重に選んだんですよ。特別な日にふさわしいものをと心を込めました。」
その贈り物に、エレナの顔がほころんだ。
「とても素敵ですね。ドレスにもよく似合いますし、直接つけていただけますか?」
エレナが嬉しそうに言うと、慎ましやかなケイトが一瞬戸惑った表情を見せたが、彼女の手首に丁寧に結びつけた。
エレナが想像していたよりも、そのブレスレットは手首や装飾品としてよりもドレスと調和して際立って見えた。
カリフもその場で内心安心した様子だ。
「ほら、私にぴったりだと思いません?」
「大切に感謝して大事に使わせていただきます。お二人の結婚式の時にお見せしますね。」
もっと話をしたかったが、エレナを祝おうと待ち構えている来客が多く、これ以上時間をとることができなかった。
会場の片隅には一枚の絵が飾られていた。
布で覆われており、どんな絵なのかはまだ確認できなかった。
興味と関心が集まる中、エミリオがその絵の横に立った。
「L(エル)の誕生日を記念して、画家ラファエル様から贈られた心のこもった絵です。この場で初公開するために、この席に参りました。」
会場がざわめいた。
ただの誰かではなく、「ラファエル」という名前が聞こえたからだ。
「えっ、ラファエルだって?聞き間違いじゃないよね?」
「ええ、これは一体どういうこと?ラファエル画伯の新作を見ることになるなんて。」
「L(エル)とラファエルってどんな関係なんだろう。絵を贈るくらいだから、ただの知り合いってわけでもなさそうだけど。」
Lとラファエルの関係について公にはほとんど知られていなかったため、意見が飛び交った。
しかしエレナは微笑みを浮かべたまま何も言わなかった。
過去から続くラファエルとの縁を彼らに伝えたくても、説明する理由も見つからなかったのだ。
「公開します。」
エミリオが絵を覆っていた布をそっと取り除いた。
絵が公開されると、そこかしこから感嘆の声が上がる。
一目見ただけで繊細な表現と色使いに心奪われ、芸術性の高さに誰もが息をのんだ。
絵を見たエレナの瞳からは涙がこぼれ落ちそうになり、その感動で胸がいっぱいになった。
その絵の背景は壮大でありながらも、どこか親しみのある情景だった。
絵には、群衆が非常に現実的に描かれており、その緻密なディテールが印象的だった。
エレナが注目したのは、広場の壇上で演説を行う一人の女性だった。
まるで聖女のように、彼女の言葉を群衆が熱心に聞き入り、同調し、従う様子が描かれており、その光景は感動的でありながら圧倒的な迫力を持っていた。
問題は、その女性の容姿や顔が、エレナに似すぎている点だ。
この絵はラファエルの革新を象徴する作品であり、彼の名作『ベラドナ』のモデルがエレナであることを暗示していた。
「そうですよね、先輩。」
エレナは恥ずかしそうに言葉を漏らしたが、絵に描かれた姿が注目を浴びる中、彼女は立ち尽くした。
架空の人物ルシアが前に立ち、群衆を導いているような描写は、エレナが文化の進歩と革命を象徴する存在として暗喩的に表現されているように見えた。
「私なんて、先輩が考えるほど立派な人間じゃないんです。」
絵に込められた意味を理解したエレナは、穴があったら入りたい気分になった。
彼女がこれまでにしてきたことに比べ、このような偉大な存在として描かれるのは過分すぎると感じていたのだ。
「確かに、この色彩と描写をご覧ください。感嘆せざるを得ません。」
「全く見事ですね。」
「ご覧ください。民衆を導く女性です。『ベラドナ』のモデルに似ていませんか?」
「そうですね。『ベラドナ』のモデルを目指して表現しようとしたのでしょうか?」
幸いなことに、絵の中のルシアやエレナの姿とは異なっていたため、彼女がモデルだったとは誰も気づかなかったのだ。
「L。」
耳元で聞こえた声に、エレナの顧客が振り返った。
仮面をつけているものの、落ち着いた雰囲気と鋭い眼差しだけでラファエルであることを認識した。
「これは……。人をこんなにも驚かせるなんて、どこで……お、あ!」
ラファエルと共に現れた女性を見て、エレナの目が大きく見開かれた。
仮面をつけているにもかかわらず、隠しきれない品の良さを感じさせる女性、それはセシリアだった。







