こんにちは、ピッコです。
「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

68話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 魔塔主からの贈り物
皇帝がフィロメルに贈った贈り物の知らせを聞き、危機感を抱いた者が一人いた。
魔塔主ルグィーンだ。
さらに、彼は最近になって、皇帝がフィローメルに与えたという財産についても知ることになった。
金ならいくらでもあった。
しかし、金を渡したところで、皇帝と対等にはなれないだろう。
しばらく考え込んでいたルグィーンは、服のポケットをまさぐった。
少し後、机に座って新聞を読んでいたフィローメルのもとへ、ルグィーンが近づいてきた。
「フィル、これを見てくれ。」
彼が古びた本を一冊差し出した。
表紙が黒一色の本だ。
何とも言えない不吉な気配を感じながら、フィローメルは尋ねた。
「これ、何ですか?」
「禁書に指定された魔道書だ。お前、少し前に誕生日だっただろう? 俺からの贈り物だよ。」
フィローメルは手を引いた。
「結構です。魔法使いでもない私が見ても意味がありませんし。それに、禁書に指定されているということは、むやみに開いてはいけないということではないのですか?」
ルグィーンはフィローメルの目の前に本を差し出した。
「違う。書かれている内容が強力すぎるんだ。魔法使いでなくとも、この本さえあれば上級の魔法を簡単に扱えるようになる。」
「……別に他人を依存させたくないです。」
しかし、それは少し正直ではなかった。
続く言葉を聞くまでは。
「代わりに依存された者も、それ相応の代償を支払うのさ。」
「……それなら、何の意味があるんですか?」
「元来、依存とはそういう意識なんだ。自分が被害を受けるより、他人に害を与えたがるものさ。」
「やっぱりやめます。」
その様子を見ていたジェレミアが口を挟んだ。
「その本、私が研究に必要だから貸してくれと言った時、なくしてしまったって言ったよね。」
ルグィーンは何も言わずに言葉を飲み込んだ。
「俺がそうしたって?起こしてやるのが面倒だっただけさ。」
ジェレミアが歯ぎしりをしたが、ルグィーンは気にすることなく本をポケットに押し込んだ。
『どうやってそこに入ったの?ポケットに魔法でもかかっているのか?』
フィローメルが不思議そうに彼のポケットを見ていると、ルグィーンは別の物をポケットから取り出した。
「ジャジャーン!これはどう?マンドラゴラだよ。」
マンドラゴラはフィローメルも知っている植物だった。
茎と葉は比較的普通の植物に見えるが、根の部分は小さな人間の形をしている。
「どうだい……ちょっと気味が悪いけどね。」
さまざまな効果を持つ貴重な植物ではあるが……
「これはただのマンドラゴラじゃない。むしろ、引き抜くときに悲鳴を上げない『精神を失ったマンドラゴラ』だ。」
そもそも、マンドラゴラは引き抜くときに鋭い悲鳴を上げるとされている。
その悲鳴がどれほど強烈かというと、それを聞いた者は命を失うほどだという。
『……静かだな。』
フィローメルは根をくすっと笑いながら見つめた。
「悲鳴を上げない方がいいの?」
「当然だ。あまり知られていない事実だが、普通のマンドラゴラは悲鳴を上げることで強力な催眠効果を発揮する。しかし、このマンドラゴラは万能鎮痛剤の材料として使われるんだ。役に立つよ。秘密を守るためにマンドラゴラを引き抜くと、中に含まれている良い成分がたくさん失われるんだ。」
「……うーん、そうなんですね。」
「これも気に入らない?」
「すごいものだってことはわかるけど、どうしても見た目が……。」
その後もルグィーンはいくつかのアイテムをプレゼントとして押し付けた。
しかし、フィローメルが贈り物を気分よく受け取るには、どれも微妙に違和感があった。
ポケットの中にあったものはすべて取り出したのか、せっかちなルグィーンは「他にいいものを探してくる」と言い残して立ち去った。
フィローメルは剣を磨いていたジェレミアに話しかけた。
「ルグィーンは貴重な品々をたくさん持っているんですね。」
「全部大したものだけど、摘み取るのが大変なものばかりだよ。お金を積んでも買えないものも多いし。」
やはり、いったん手に入れたものは後で売るつもりなのだろうか?
それでも、こんなに貴重なものなら自分よりも有効に活用できる人の手に渡ったほうが良さそうだった。
ジェレミアが淡々と言った。
「自分にとって価値があるものなら、他人にとっても価値があると思って譲るんだ。」
「そうだったんですね。思いやりで私のことを考えてくれたんですね。」
フィローメルの胸に、暖かな風が吹き込んだ。
ルグィーンと初めて会ったときは最悪だと思ったが、付き合ってみると良いところもあった。
父親のように感じることはなかったが、親しみを感じることは少しあった。
少し前までは、彼が自分の役に立つから仲良くしなければと思っていたが、今では彼の気持ちを以前よりも理解しようとしている。
ルグィーンが猫の姿で長くいたからだろうか。
それとも彼の子供のような性格のせいなのかもしれない。
時には、フィローメル自身も「私、彼の気持ちを気にしなさすぎ?」と反省することもあった。
フィローメルは、ルグィーンにもう少し優しくしようと決めた。
『次のプレゼントは気に入らなくても、嬉しいふりをして受け取らなきゃ!』
しかし、そのようなフィローメルの決意は長くは続かなかった。
戻ってきたルグィーンが、自分の体よりも大きな卵をプレゼントだと言って押し付けてきたのだ。
「ドラゴンの卵だよ。ドラゴンの巣から一つ取ってきた。」
「えっ、そんな!許可はもらったんですか?」
驚きのあまり口を開けたままのフィローメルに、ルグィーンは淡々と答えた。
「いや。まさか許可を取ると思う?」
「ドラゴンの卵を勝手に持ち帰ったらどうなるか知ってます?すぐに襲われますよ!」
「ドラゴンを育てるの、嫌?」
「嫌です!というか、そもそも人間がドラゴンをどうやって育てるんですか!」
「でも、猫は好きでしょ。」
すると、隣でジェレミアが眉をひそめながら叫んだ。
「猫とドラゴンが同じに見える?今すぐ返してきなさい!」
こうしてルグィーンはドラゴンの卵を返しに行き、怒ったドラゴンが皇宮まで押しかけるという不測の事態は何とか回避された。
ただ、彼ともっと親しくなるかどうかは、もう一度考えてみるべき問題かもしれない。
ところで、フィローメルに贈り物をしたいと思っている人は他にもいた。
ある日、南宮を訪れたのはレディ・メリンダと彼女の友人たちだ。
彼女たちはどちらも、フィローメルが皇女であることを羨むと同時に、彼女に好意を抱いていた者たちだった。
南宮の庭園でお茶を飲んでいたとき、メリンダが最初に口を開いた。
「私、フィローメル様に差し上げようと思って用意していた贈り物があるんです。今からでもお渡ししてもよろしいでしょうか?」
すると、隣に座っていた令嬢も同じようなことを言った。
「失礼でなければ、私もそうしたいです。フィローメル様を思いながら、心を込めて選んだ贈り物なんです。」
「私も!あっ、もちろんフィローメル様がご不快に思われるなら仕方ありませんが。」
彼女たちがこれほど慎重な態度を取っているのには理由があった。
本来、この贈り物はフィローメルの誕生日に渡すつもりだったのだが、その日に彼女が逃亡してしまったからである。
誕生日の宴のために用意されていた贈り物は、突然の出来事により、まだ渡されていないままだった。
『贈り物を渡したら、その時のことを思い出させてしまうかもしれないって、私を気遣ってくれているのね。』
みんな優しい心を持っていた。
逃亡していた時の記憶が自分にとって傷になるかもしれないと、気を使ってくれていたのだ。
会話の話題も、日常的なことで満たされていた。
フィローメルは、胸が温かくなるのを感じた。
『皇女として生きる中で築いた人間関係は、すべて表面的なものだと思っていたのに……。』
彼らも、デレス伯爵夫人も、ナサールも、もしかするとユースティスまでもが。
フィローメルを本気で想ってくれていた。
もし自分が皇宮に戻っていなかったら、最後まで知らなかったかもしれない話だ。
少なくともここを去るその時まで、彼らと良い関係を続けていきたいという気持ちがあった。
フィローメルは明るく微笑みながら、侍女たちに答えた。
「ありがとう。でも、皇女への贈り物として準備したものなら、とても貴重な品ばかりでしょう? 私が受け取ってもいいの?」
メリンダが声を上げた。
「もちろんです! 次回訪問するときに持ってきます。」
他の人たちも次々と口を開いた。
「私もです!せっかくなので、他の令嬢たちにも一度声をかけましょうか?」
「もし他の人々が加わるなら、まるで誕生日の宴になってしまいますね。」
誕生日の宴。
その言葉に、フィローメルの頭に良い考えが浮かんだ。
よく考えてみれば、皇女フィローメルではなく、一人のフィローメルとして迎える初めての誕生日だった。
たとえ本当の誕生日はとっくに過ぎてしまっていても、何も問題はない。
自分が決めた日こそが誕生日なのだ。
フィローメルはすぐさま言葉を発した。
「それでは、正式に令嬢たちを私の誕生日の宴に招待することにします。贈り物をくださるなら、当然ながら丁重にお受けします。それ以外にも、参加を希望される方がいれば、どなたでも構いませんので、お手紙でお知らせください。」
こうして、遅ればせながらフィローメルの誕生日宴会が開かれることになった。









