ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【86話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

86話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • エレンシアの日記帳

二人はすぐに計画を実行に移した。

フィローメルは自らエレンシアの故郷へ向かうことにした。

ルグィーンは「自分が一人で行っても大丈夫だ」と言ったが、それは自分のことなのに他人任せにはしたくなかった。

『エレンシアとカトリンが住んでいた家を、もう一度見てみたいし。』

ジェレミアは国賓館に残り、去っていく彼らを見送った。

「ちぇっ、ここでじっとしてるのもちょっと退屈だな。」

彼は不満げだったが、一人はここに残らなければならなかった。

フィローメルは彼を見て言った。

「ごめんなさい。誰かが来たら、適切に対応して送り返してください。人形は話せないから、ジェレミアが代わりに私の意志を伝えてあげてください。」

ジェレミアの隣にはフィローメルとそっくりな人形が立っていた。

ルグィーンが魔法で作った人形だ。

見た目だけでは本物の人間と区別がつかず、簡単な動作まで真似ることができた。

唯一の短所は話せないということ。

だから隣で補助する人が必要だった。

ジェレミーがぶつぶつ言った。

「わかったよ。さっさと行ってこい。ルグィーンは帰って来なくていい。」

「無礼なやつだ。」

「また喧嘩ですか。さあ、出発しましょう。ジェレミー、甘いデザートを買ってあげますから!」

まばゆい光が広がる。

目を開けると、二人は山の中にいた。

ルグィーンはただ木々に囲まれた無人の小屋を見回して目を細めた。

「間違って来た?人気が見えないな。」

ここは彼が一度も来たことのない場所で、地図に表示された座標を頼りに移動魔法を使うしかなかった。

しかし、エレンシアの故郷のような田舎の村は、地図上の位置と実際の位置が違う場合もあった。

フィローメルは持ってきたユティナ地方の地図を広げた。

「そんなにずれてないと思います。少し歩けばいいですよ。」

「じゃあ、僕が君を抱えて飛ぼうか?空の上から探せばいい。」

「落ちるかもしれませんよ?」

「大丈夫。」

フィローメルとルグィーンがそんな会話をしていたとき。遠くない場所からざわめく声が聞こえてきた。

二人は約束でもしたかのように、静かにそちらへ歩を進めた。

地面には乱雑に物が置かれ、五、六人の若者たちがその周囲を取り囲んでいた。

ただならぬ雰囲気から見て、普通の集まりではなさそうだ。

二人は茂みに身を隠して、彼らの様子を見守った。

熊の人形を手に持った男が冷たく言った。

「おい、金になりそうなものは一つもねぇな。」

鍋のふたを開けていた男が答えた。

「おい、宝石箱に唯一残ってた指輪を取ったやつはお前だろ。それが気に入らないなら返せよ。」

「おいおい、袋に入った瞬間にもう俺のもんだろ。それに俺が言ったのは、“明らかに皇女が住んでた家でも特別なものはない”って意味だったんだ。」

……皇女が住んでた家?

「こいつ、これ全部お宝なんだぞ。」

男は呆れたような顔をした。

「これのどこがお宝なんだよ?」

「鈍いなあ、お前。新しい皇女、エレンシアって、今帝国で一番有名な人じゃないか。」

「それが何だっていうんだ?」

「そんな皇女様が庶民として生活していたときに使っていた物だと宣伝してみろ。馬鹿みたいに売れるぞ。」

「そんなに売れるって?ただのガラクタじゃないか。」

「もともと有名人の持ち物なら、ゴミでも売れるさ。」

鍋のフタを開けていた男は一言もなかった。

「そのエレンシアが皇女様だなんて、今でも信じられない。あいつが顔を真っ赤にしながら町をうろついてたのを覚えてるよ。」

化粧品の店主が不敵な笑みを浮かべた。

「それにエレンシアは本当に美しかった。美人の持ち物なら、もっと大事にして欲しがる変態もいるからな。」

「わあ、じゃあこれ全部お宝じゃん!あの家に戻ってもっと持ってこようぜ!」

「何が残ってるっていうんだよ。俺たちがゴミ箱までひっくり返して全部持ってきたじゃん。」

その時、しばらく黙って本棚をひっくり返していた男が叫んだ。

「おっ!これすごいんだけど!」

「え、何?どうした?」

男がピンク色の冊子を高く掲げた。

「日記帳みたいだぞ!」

「誰の?」

「表紙に描かれたこの幼稚な絵、見てみろよ。」

「カトリンおばさんがこれを使ったと思う?当然エレンシアだろう。」

他の男たちの顔が一斉に明るくなった。

「ほんと?」

「この中で一番価値が高そうだな。」

「売ったらいくらになるかな?」

「これ売って得たお金は、みんなで平等に分けるって分かってるよな?」

「ふざけんな!俺が見つけたんだぞ!」

フィローメルは、今にも喧嘩が始まりそうな殺気立った店主たちの集団を見ながら考えた。

『日記帳を見つけるのは無理そうね。』

ルグィーンの手からかすかな光が広がった。

「処理するか?」

「悪い奴らではあるけど……それでも殺さないでください。」

ルグィーンが草むらをかき分けて、彼らの前に出てきた。

現場をまさに押さえられた男たちは叫んだ。

「だ、誰だお前!」

「お前もこれ狙ってるのか!」

「これは俺たちが先に目をつけたんだぞ!」

「よそ者なら、よそ者らしくさっさと消えろってんだ!」

わあああああ!

駆け寄ってきた男たちは、一瞬で床に倒れ込んだ。

ルグィーンは目の白目だけを見せたまま動かずにいた一体の男から、日記帳をすっと取り出す。

フィローメルに日記帳を渡した彼が言った。

「一人逃げたやつがいるんだ。俺には飛びかからず、最初から逃げてたよ。連れてこようか?」

フィローメルは日記帳についた埃を払いながら答えた。

「放っておいてください。別に自警団の活動をしに来たわけじゃありませんから。」

今はこの日記帳の中身を確認するのが急務だった。

表紙にかわいいクマが描かれたピンク色の日記帳。

果たしてこの中に、エレンシアの秘密が書かれているのだろうか?

フィローメルは近くにあった岩に腰掛けて、ドキドキする心臓の鼓動を感じながら、日記帳を開いた。

『とりあえず最初のページから。』

エレンシアの最初の日記は、今から約3年前に書かれていた。

【○月×日、天気は晴れ。

ママが可愛い日記帳を買ってくれた。これから毎日毎日日記を書くぞ!】

次の日記は、それから1週間後の日付だった。

【○月×日、天気は晴れ。日記を書くと決めたことを力強く宣言した。明日からは本当に、本当に毎日書くんだから!】

そして一か月後。

[○月×日、天気:くもり。日記は気が向いたときに書くことにした。今日はお母さんが夕食にビーフシチューを作ってくれた。おいしかった。]

[○月×日、天気:晴れ。今日の朝ごはんのメニューは、まずいレタススープ。昼ごはんは硬いパンで、夕ごはんは茹でたジャガイモだった。]

[○月×日、天気:雨。ジェクリーンお姉さんが、大きな町に行って「シュークリーム」っていうお菓子を食べたって自慢してた。シュークリームはすごくおいしくて柔らかいんだって。私も食べたい……。】

【○月×日、天気は晴れ。ママが枝豆とにんじん料理を作ってくれた。枝豆は食べたけど、にんじんはこっそり捨てた。】

【○月×日、天気はくもり。朝はパン、昼はじゃがいも、夜は豚肉の炒め物。】

フィローメルはぼんやりと目をしばたたいた。

『ほとんど食べ物のことしか書いてないじゃない。』

エレンシアって、そんなに食べてばかりいたの?

『辛い食べ物が好きだったけど、そんな印象はまったくなかったのに……。』

いずれにせよ重要なのは、日記の冒頭ではなく、突然人が変わった時期に書かれた部分だった。

フィローメルは素早く日記のページをめくった。

「ん?」

その時、手が止まった。

ある時点から短かった日記が、急に長くなっていた。
奇妙なのはそれだけではなかった。

[■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■]

果てしなく続く文字の羅列。

白い紙の上に、彼女が知らない文字がびっしりと書かれていた。

わからない。まったくわからない。

単に意味が理解できないという話ではない。

彼女にとって初めて見る、まったく新しい文字だった。

フィローメルは混乱に陥った。

皇位継承者として教育を受ける間に、存在するほとんどの文字には触れてきた。

意味は分からなくても、文字そのものは目に馴染みのあるものがほとんどだった。

けれど、この文字は違う。

見たことも聞いたこともない、彼女の知識にない文字だった。

ルーン文字に似た構成はなかった。

『少数部族だけが使う文字?それとも古代文字?』

だが、そういう文字であれば、エレンシアが使っていたのはおかしい。

フィローメルが真剣な表情で日記を見つめていると、ルグィーンが近づいてきた。

「どうした?」

「ルグィーン、この文字知ってますか?」

フィローメルが開いたページを見た彼は眉をひそめた。

「知らないな。初めて見る。」

「古代文字じゃないですか?」

「そうかもな。古代遺跡をいくつも回ってきたけど、こんな文字、見たことない。」

「どこかの辺境の島で少数民族が使ってる文字とか……」

「でも、そんな気がしない。」

二人はしばらく頭を突き合わせて考えたが、これだと言える仮説を立てることはできなかった。

かなりの時間が経ってから、フィローメルは日記帳をかばんにしまった。

「とりあえず日記帳は持ち帰りましょう。レクシオンやジェレミアにも話してみて。」

「カーディンはあまり役に立たないかもしれないけど。」

「……ううん、必ずしもそうとは限らないわ。」

ルグィーンは、依然として床に倒れている男たちを隠した。

「こいつらはどうする?このまま放っておく?」

フィローメルは周囲を見回した。

男たちと生活用品がごちゃ混ぜになり、混乱の現場だ。

「この人たちが二度とエレンシアの家から盗みをしないようにするには、何か方法はないでしょうか?」

ルグィーンが不敵な笑みを浮かべた。

「任せて。ちょうど今回新しく開発した精神系魔法を試すいい機会だ。」

フィローメルはその魔法について詳しくは聞かないことにした。

 



 

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