ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【98話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

98話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 世界樹⑤

こうしてフィローメルとルグィーンは、その夜をこの近くの小屋で過ごすことにした。

族長とオルラカンはドワーフの村へ彼らを招待したが、ルグィーンはその招待を無視して、娘を世界樹の上部へと連れて行った。

そこでフィローメルは、彼がなぜ世界樹に「狂った人間」と呼ばれているのか、その理由の一つを知ることになった。

『自分の体に装飾を彫ったから、ああいうのが嫌われるんだな。』

木の幹には壁一面にびっしりと彫刻が彫られていた。

「入って。ここは、私が瞑想したい時にこもる場所なんだ。」

確かにルグィーンの言う通り、その家の窓から見える景色は素晴らしかった。

限りなく広がる平原が続いていた。

昼食を果物で済ませた代わりに、夕食はボリュームのある肉料理だった。

ルグィーンが直接料理してくれたのだ。

どこかで捕まえてきた肉をさばいていた彼に、フィローメルが尋ねた。

「料理もできるんですか?」

「食堂で働いてたときに、見よう見まねで覚えた程度だよ。」

「食堂で働いてたんですか?」

「若いころは生きるために、あれこれやってたんだ。」

「……てっきり、生まれつき魔法使いなのかと……」

「力に目覚めたのは、ちょっと遅かったんだ。」

「レストランの仕事以外では、どんなお仕事をされていたんですか?」

「別に関係ないけど、つまらない雑用をやってただけさ。」

「それでも知りたいです。」

その晩、二人はたくさんの話を交わした。

夜空いっぱいに広がる星のように、無数の話題があった。

窓にもたれながら夜空を眺めるフィローメルを、ルグィーンはそっと見つめた。

「フィル、ここに来てよかったかい?」

「よかったです。」

「旅も楽しいだろう?」

「はい。」

「魔塔に来たら、たくさん旅行に連れて行ってあげるよ。どう?」

「いいですね……でも、しばらくは旅行は控えたいんです。」

「え? さっきはいいって言ったのに。」

「出かけてみてわかったんですけど、家が一番です。」

「……複雑だなあ。」

かすかに微笑みながら、フィローメルは言った。

「それでも、魔塔に行くのは前向きに考えてみます。」

「本当?」

「前は魔法使いじゃない私が行ってもつまらないと思ってたけど、考えが変わりました。」

きっと楽しいに違いない。

この人、そして三兄弟と一緒なら。

フィローメルは決意した。

『戻ったらみんなに〈皇女エレンシア〉の内容を正直に話そう。』

最初は驚くだろうけど、きっと真剣に聞いてくれるはず。

たとえ彼らが「フィローメル」という悪女を知っていたとしても、それだけで自分への見方が急に変わるわけじゃない。

彼女はゆっくりと気づいた。

たとえ彼らの関心が一時的なものだとしても、今のこの決断を後悔することはないだろう。

フィローメルはルグィーン、レクシオン、カーディン、そしてジェレミアが好きだから。

その翌朝。

世界樹がやっと見つけた聖物を持って、フィローメルとルグィーンは南宮に帰還した。

ドン!

そして南宮の後庭に、昼寝用の岩が一つ置かれていた。

でこぼこした岩だった。

帰り道に、エレンシアが住んでいた村に立ち寄って持ってきたものだ。

「見たところ、見た目以外に特別な点はなさそうだけど、一度持ち帰って調べてみよう。」

「・・・え」

フィローメルが調査を頼んだところ、彼が一言つぶやいた。

ところが二人が国賓館に入ると、そこはまるで戦場のような有様だった。

花瓶は倒れ、カーテンは引きちぎられてベッドの下に散らばっていた。

さらにクローゼットや装飾棚の中の物もすべて引き出されていた。

その惨状を見て、フィローメルは手にしていた紙袋を取り落としてしまった。

兄たちへのお土産として世界樹の実を持ってきていたが、それが床に転がった。

ちょうどそのとき、扉を開けて入ってきたジェレミアが、二人の人物を発見した。

「お……来たの?」

「何かあったんですか!」

フィローメルの問いかけに、彼は困ったように目を伏せた。

「俺とカーディンが事情で席を外していた昨夜、泥棒が入ったんだ。」

「泥棒ですか?」

「他の場所で働いていた宮廷の職人たちだったよ。普段は食材を届けに来ていたという名目で衛兵を騙し、南宮に侵入したらしい。」

「……ということは、この荒らされた跡は、彼らが盗む物を探して荒らした痕跡ですね。」

「そうだ。あの短い時間に、この広い場所を手当たり次第に荒らしたのは無理だと判断したのか、結局中途半端にして去っていったようだ。」

部屋の中を一通り見回したフィローメルは、ほっと息をついた。

「それでも幸いでした。もしもの事態に備えておいてよかったです。」

床にはかすかに魔法陣の跡が残っていた。

それはルグィーンが施していた魔法の痕跡だった。

これは、特定の物品を無断で持ち出そうとしたときに発動する魔法である。

通常の職員であれば絶対に手を出さない品だけを対象に指定してあった。

さらに国賓館には、暗殺者・魔法攻撃・放火・侵入など、さまざまな事態を想定して施された魔法がかけられていた。

『ちょっとやりすぎでは?』と思わなくもなかったが、ルグィーンが自らの手で施してくれたものだったため、さほど気にはならなかった。


ジェレミアは魔法の痕跡は特にないと説明した。

フィローメルはジェレミアに尋ねた。

「犯人たちは?」

「簡易魔法で縛られていたところを、私たちが戻って見つけた。今はレクシオンが尋問している。」

「何人ですか?」

「三人だ。今、行ってみるか?」

「いえ、今はちょっと確認したいことがあります。」

そう言って、フィローメルは素早く歩いて書庫へと向かった。

そこもまた、突風にあおられたかのように荒れ果てていた。

本棚から引き出された本が床に散らばっていた。

一冊も抜けることなく。

普通の泥棒なら、貴重品でもない本をここまで徹底的にひっくり返す理由がない。

『やはり目的は……』

フィローメルは壁を押して、特定の部分をぐっと押し込むと、「ガコン」と音を立てて壁が左にスライドした。

すると、小さな秘密の空間が現れた。

そこに保管されていたのは二冊の本──『皇女エレンシア』とエレンシアの日記帳だった。

幸い、どちらも無事だった。

旅に出る前にここへ隠しておいたのだ。

もちろんこれらにも盗難防止の魔法がかけられていた。

慎重に調べてみても悪いことではないから。

『〈皇女エレンシア〉を狙っていたのだろう。』

確実な証拠はなかったが、フィローメルはそう推測した。

そしてまもなく、その推測は確信に変わった。

官人たちの出入りが少ない国賓館の倉庫の中で、レクシオンが言った。

「こいつらに犯罪を指示したのは、エレンシア皇女が主人公として登場する小説を持って来いと命じたそうです。」

女性一人、男性二人が床に倒れていた。

「三人とも公告にも目を通していないほど金に困っていた者たちでした。よくもまあ、こんな者たちを探し当てましたね。」

国賓館がこのように徹底的に荒らされたにもかかわらず、肝心の手がかりは見つけられなかったため、彼らは金品を狙った泥棒の犯行として偽装しようとしていたらしい。

そのため、化粧台の上に置かれていた貴金属を持ち去ろうとしたところで、魔法が発動したのだ。

まるで魚のようにビクビク震えていた犯人たちは、戻ってきたジェレミアとカーディンによって発見されたとレクシオンが詳しく説明した。

フィローメルは、焦点の合わない目をした彼らを見て尋ねた。

「この状態はどうしたんですか?」

「精神系魔法の副作用です。口を閉じて我慢させようとちょっと強めにかけたら……つい……」

彼が軽く肩をすくめた。

「これ以上のことがあれば回復するでしょう。証言も可能です。」

「証言って……あの者たちは命令を下した者が誰か知っていたんですか?」

「一度直接会ったそうです。顔は隠していたそうですが、声や体格などから推測すると……」

レクシオンの微かな眼差しだけでも、フィローメルには答えがわかった。

「エレンシア。」

口に出すその名は、ただただ重苦しく感じられた。

レクシオンは顎を引いた。

「そういうことですね。」

エレンシアも、本気で身元を隠すつもりはなかっただろう。

むしろ、彼らが推測しやすくしていたのかもしれない。

『だから、命を助けてもらえるように。』

王宮の中でも、貴人の部屋を狙って荒らすなんてことはそう簡単にできるものではない。

いくら金が必要でも、確信がなければこれほど大胆な行動には出なかったはずだ。

『罪を犯しても、皇女が自分たちを守ってくれると確信していたんだ。』

しかし——そう考えながら、フィローメルは口を開いた。

「エレンシアにとって、使い捨てにされた感じでしょうね。」

「その通りです。もし彼らが本当に自分の仲間だと思っていたなら、確実に正体を明かしていたはずです。」

「命令を下した者がエレンシアであるというのは、あくまで彼らの推測にすぎません。確実な証拠とは言えませんし、それに……」

「帝国の皇女を反逆罪で告発するなんて、身分不相応な戯言になってしまうでしょう。」

罪が認定されるのも難しい上、仮に認定されたとしてもエレンシアの名誉が損なわれる程度で終わるに違いない。

「この件を公にするつもりはありません。」

「やはり。それは私たちのやり方ではありませんから。」

フィローメルは一瞬、「私たち」という言葉に妙な一体感を感じて、胸がざわめいた。

『でも、それがどうしたの?』

エレンシアは一線を越えた。

これまで彼女が見せてきた言動の中で、最も露骨な悪意だ。

目につくものは多かったが、明らかな犯罪はなかった。

少なくともフィローメルが知る限りではそうだ。

『とうとう忍耐が切れたのかしら。』

もしエレンシアが本当に“異世界からの侵入者”で、神がわざわざ警戒せよと告げるほどの邪悪な存在であるならば——これは始まりに過ぎない。

神の啓示には「侵入者がこの世界に混乱をもたらすだろう」とあった。

そんな存在に対して、ただ一つの対処法だけに頼るのは愚かだ。

『そうだとすれば、今自分にできることは……』

フィローメルは、世界樹が差し出した聖なる品を手に取り、呪文を唱え始めた。

 



 

 

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