ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【99話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

99話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • この世界は

フィローメルの書斎。

彼女と四人の部下が集まっていた。

散らかっていた部屋の中はルグィーンの魔法でほぼ片付けられていた。

倉庫にあった犯人たちは一旦魔塔へ移送された。

フィローメルは無意識に喉を鳴らしながら口を開いた。

「皆さんにお見せしたいものがあります。」

彼女は一冊の本を皆の前に差し出した。

「彼らが探していたのは、まさにこの本です。エレンシアが主人公として登場する小説です。今は別の本の表紙をかぶせてありますが、本当のタイトルは『皇女エレンシア』なんです……」

喉が緊張で渇いた。

この本について誰かに話すのは初めてだ。

誰にも見せたくなかった秘密。本来であれば、自らそうならざるを得なかった“邪悪なフィローメル”。

『でも、この人たちになら大丈夫。どんなことでも打ち明けられる。』

彼らと過ごした時間は、たったの三ヶ月程度でしかないかもしれない。

でもフィローメルには分かっていた。

長い話が続いた。

ゆっくりと、そして決して軽くはない内容だったが、誰一人として彼女の話を遮らず、じっと聞き入った。

「……そして、本の中の“フィローメルとして罰を受けることになったんです。幼い頃、この本で未来を知ることになって、予定された結末を変えるために……」

星明かりの中で何かがこみ上げてきた。

結末を変えるために孤独に奮闘していた過去の日々が走馬灯のように脳裏をかすめた。

もちろん良い記憶もあったが、辛かった記憶の方が多かった。

「変えるために……」

言葉を言いかけてはやめていた彼女の言葉を、レクシオンが引き取った。

「話すのがつらければ、そこまででもいいですよ。十分に分かりました。」

春の日差しのように優しい表情だった。

カーディンは駆け寄ってフィローメルを抱きしめた。

「フィル!これまで本当に辛かったでしょう? きっと大変だったはずよ。」

彼は涙をこらえながら、フィローメルの腕に力を込めた。

「僕がその年齢のとき、人生で一番の悩みは『何食べようかな』だったのに、君はそんなことを考えてたなんて……」

感謝の気持ちで胸がいっぱいなのに、呼吸が詰まりそうだった。

幸いにもジェレミアが近づいてきて、彼女からカーディンを剥ぎ取った。

「これでも食べなよ。」

ジェレミアはズボンのポケットからチョコ味のキャンディーを取り出した。

甘い物好きの彼がよく口にしていたお菓子だ。

「……気分が沈んでるときは、これに限るんだ。」

フィローメルは、硬い殻付きのクルミをかじるように、冷え切ったキャンディを口に入れた。

最後にルグィーンが彼女の頭に手を添えた。

そっと頭を撫でながら彼は言った。

「ここまでよく頑張ったな。」

大きな手だった。

なぜか心が落ち着くほどに。

フィローメルはみんなと順に目を合わせたあと、理由のわからない照れ臭さを感じながら小さく言った。

「……みなさん、ありがとう。」

その短い一言でも、心からの感謝を伝えるには十分だった。

少し時間が流れたあと、レクシオンがいたずらっぽく口を開いた。

「それにしても、ジェレミアが元の世界では皇女が好みだったなんて、また思い出してしまったよ。趣味がほんと……」

フィローメルが気まずがっているのに気づき、雰囲気を和らげようと話題を変えた。

ジェレミアが慌てて言った。

「でたらめだよ!僕があんな女を好きになるわけないじゃん!」

彼は《皇女エレンシア》の本に向かって怒りをぶつけた。

「きっとあの本には、真実と嘘がごちゃ混ぜになってたんだ!」

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。」

カーディンが茶化すように笑った。

「いいじゃん。僕は君の趣味、尊重するよ。」

「黙ってて。」

ふざけ合う兄弟たちを見て、フィローメルの口元に笑みがこぼれた。

その様子を見守っていたルグィーンが言った。

「それで、これからどう動くつもりか決めたのか?」

エレンシアに関する話だ。

やはり彼女は《皇女エレンシア》の存在を知っていた。

だからこそ、この本をどうしても手に入れたかったのだ。

盗賊まで送り込むほどに切実に。

フィローメルは笑いながら手に持った本をひらひらと振って見せた。

「そこまで欲しいなら、あげようかと思って。」

その後に続く言葉はなかった。

「ほんの少しだけ。」

同じ日、深夜の始まり。

フードを深くかぶったフィローメルは、宮殿の中でも足取りがほとんどない場所に立っていた。

盗賊たちの犯行を指示した人物と会うためだ。

同じくフードで顔を隠したジェレミアが、低い声で尋ねた。

「あの女が直接来ると思ってるのか?」

「そう予想してます。すでに一度姿を見せた以上、今回もその可能性が高いでしょう。何より今はこれをどうしても見たいはずです。」

フィローメルは《皇女エレンシア》を手に持っていた。

「もし他の誰かが来たら、一番偉い人が来るまでは本を渡せないって、突っぱねればいいんです。」

盗賊たちにとっても、これは一世一代の取引。

直接皇女に会いたいと言っても不思議ではなかった。

黙って聞いていたカーディンが一言つぶやいた。

「やっぱりフィルだ。賢いね。」

「何の話か、わかったの?」

「いや。」

「おバカだね。」

フィローメルは干し肉を口に運んだ。

「お二人とも静かに。」

現在、三人は盗賊に変装したまま、エレンシアを待っていた。

彼らはここで彼女に本を渡すつもりだった。

情報を突き止めたのはレクシオン、彼らに変身魔法をかけたのはルグィーンだ。

二人は少し離れた場所からここを指示している

フィローメルは本を持っていない方の手で、ポケットの中にあるゴツゴツとした物体を握った。

手のひらほどの大きさの、滑らかな玉だった。

『真実の涙石』

世界樹から渡されたこの聖物は、生物に使用すると、その存在が持つ記憶の一部を見ることができるというものだと伝えられている。

世界樹の言葉によると、他の世界から来た侵入者を警戒せよという神託を受けた神官は、思い切ってヴェレロン神に質問したという。

「他人の体を奪ってその中に潜んだ者を、どうやって見つければいいのですか?」

すると神は、神官に「真実の涙玉」を授けた。

神官は死の間際にそれを世界樹に渡し、侵入者を無慈悲に裁く勇者が現れたら、伝えてほしいと頼んだ。

世界樹は、その聖物の使い方について次のように説明した。

「私も聞いた話だけど、媒介物があれば、見たい記憶をより正確にのぞくことができるらしいよ。」

「媒介物ですか?」

「ある存在が一生かけて積み重ねた膨大な記憶の中から、いらないものばかり見ても困るでしょ。」

「それはそうですね。」

「だから、他の世界を連想させるような媒介物を用意するのがよかったんだよ。あの神官は神から授かった内容をもとに、自分が描いた曖昧なイメージを持ち歩いていたらしいんだけど……。君には何か特別なもの、ない?」

「特別なもの……」

ひとつだけあった。

このすべての疑問の出発点であり、他の世界から来たものと思われる本、『皇女エレンシア』。

エレンシアの記憶の中で最も見たかったものがその本に関する内容だった。

うまくいけば、今日フィローメルはあれほど渇望していた答えを得ることができるかもしれなかった。

「来た。」

ジェレミアのつぶやきと同時に、二つの人影が現れた。

フードで顔を隠していたが、フィローメルにはわかった。

エレンシアと、彼女の護衛騎士だ。

ぎこちない再会だからか、いつもより多くの官人たちに囲まれていた皇女も、今回はたった一人の護衛以外には反応を示さなかった。

今でなければ、いったいいつエレンシアに密かに会えるというのだろう。

従者を装ったフィローメル一行を見て、護衛が皇女に耳打ちした。

「はい、この者たちで間違いありません。」

エレンシアが手を差し出した。

「持ってきたという本は?」

フィローメルは無言で恭しく《皇女エレンシア》を差し出した。

エレンシアはそれを受け取り、静かに灯火にかざして表紙を眺めた。

「やはりフィローメルが持っていたのね。どうにも妙な気がしていたの……。」

彼女がページをめくっていたとき、「あっ!」と叫んだ。

「なに?なんで破れてるの?」

本は、以前フィローメルが自分に関する見出しをびりびりに破ったままの状態だった。

その時だった。

ジェレミアがそっと飛び出し、エレンシアの護衛の背後に近づいた。

「今だ!」

エレンシアと護衛が本に目を奪われていたその隙をついて、フィローメルの背後に静かに近づいていたジェレミアが合図を送った。

フィローメルは真実の涙の玉を持った手を高く掲げた。

パシン!

そして、すかさず力いっぱい金髪の後頭部にそれを振り下ろした。

「きゃっ!」

それが世界樹が教えてくれた「真実の涙石」を作動させる方法だった。

聖物がまばゆい光を放った。

そしてフィローメルの意識はその光に包まれていった。

 



 

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