こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
今回は109話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
109話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 脱出②
他の選択肢がなければ、これといった方法がなかった。
耳たぶくらいなら、指を怪我するよりずっといい選択肢だ。
しかし、頭で納得したからといって、心臓も理解してくれたわけではない。
心臓が一人でドキドキした。
覚悟した私は歯を食いしばって、指と指をぎゅっと結んで手に力を入れる。
その時、私の指に何かが感じられた。
(指輪!そうだ、リューディガーさんがくれた指輪があったんだ)
手がぎゅっと縛られて感覚がなくなったので、しばらく忘れていた。
ネックレスとイヤリングがあれば当然指輪も思い出すべきだったが、まだ思い浮かばなかったのを見るとかなりパニック状態だったようだ。
自分の馬鹿げたことに笑いが出てしまう。
でも、やらかす前に気付いてよかったというか。
私はそう思って、指にぴったりとくっついた指輪を外そうとする。
孤軍奮闘の末、指輪がはずれた。
プロポーズの指輪。
宝石の大きさが大きく、宝石の周りを飾っている襟章が華やかだ。
私はその襟章の曲がった部分の尖った先を利用して、縄を組んでいる縄を一つ一つ取ろうと努力した。
その貴重なラベンダーダイヤを、たかが縄を切るのに使うと文句を言う人もいるかも知れない。
(リューディガーがもう一つ買ってくれるだろう。いや、最初から準備しておいた指輪の余分があるはずだよ。少なくとも一つ。いや、二つ。もしかしたらラベンダーダイヤに関連して独占事業を行ったかもしれない)
私はそんなつまらない考えをした。
部屋にいっぱいのラベンダーダイヤを積んでいるリューディガーを思うと、自然と笑みがこぼれる。
おかしな考えでもしなければ、この状況の緊張感と圧迫感に耐えられなかった。
ロープを切るのは思ったほど簡単ではなかった。
手が何度も空回りし、ロープの代わりに他の指を掻いてしまう。
そうしてやっと一本切ったとしても、まだ残っている口ープは厚かった。
着々と、着々と。
少なくともこのように続けていれば、今夜が過ぎる前には切ることができるだろう。
希望に満ちた期待を抱いて、私は熱心に縄を切ることに集中した。
そうして時間がどれくらい経ったのだろうか。
部屋の中に入ってきた太陽の幹がだんだん朱色に染まった。
もうすぐ夜が訪れるだろう。
ロープは時間の経過と比べてしっかりしていた。
焦った私は歯を食いしばって、指輪でロープを引っ掻く。
しかし、指先に感じられる感覚が最初とは違った。
何時間もロープと摩擦した結果、尖っていた装飾がいつの間にか薄くなったようだ。
「ああもう・・・」
私は指輪のとがった部分を指先で探り、心から祈った。
漠然とした状況におのずと悪口が出てしまう。
その時、急に石ころ一つが私の前にころころ転がってきた。
誰もいない部屋にもかかわらず。
突然転がってきた石ころの行方をさがすために、私は頭を上げる。
この部屋の唯一の窓に誰かが顔を出していた。
逆光になって顔がまともに見えなかったが、勘違いしようとしても錯覚できない相手。
「ル・・・!」
びっくりして思わず叫びそうになったが、状況に気づいてようやく話す前に声を殺すことができた。
私と目が合ったルカはすぐどこかへ消える。
そして間もなく窓にロープが垂れ下がった。
ルカはかなりしっかりと締めたので、ロープを伝って部屋に降りてきた。
幼いルカにとってかなり高い高さだろうが、躊躇う様子は見られない。
「ここはどうやって知ったの?」
「イザベラが教えてくれた」
「イザベラが?生きてるの?」
「なんとか。フランツが叔母さんを拉致して行ったという話を伝えて、気絶した」
生きていてよかった。
ルカの話を聞いた瞬間、安堵感で体から力が抜ける。
負傷で生死が行き交う状況でも、イザベラが最後まで私のことを考えていたという事実に一瞬泣きそうになり、喉が詰まった。
「王宮が大騒ぎだよ。暴徒が騒いでいる間に王宮の真ん中で侍従たちが死んで叔母さんが消えたから」
イザベラが生きていたという話にもしやと思ったが、侍従まで生き返ることはできなかったようだ。
私は悲しみと罪悪感にため息をつく。
それでもルカが早く私を見つけたのは幸いだった。
王宮にも私がここにいるという知らせが入っているはずだから。
「貧民窟は見つけるのが大変だったはずだけど。どうしてこんなにすぐに訪ねてきたの?」
「貧民窟は慣れているから」
「・・・」
原作でフランツの目を避けて貧民街に隠れていた当時の話なのだろうか。
ルカは淡々と語ったが、実際にその過程がいかに険しいものであったかについての小説を読んで知っているほど、私は簡単に言葉を継ぐことができなかった。
「それでも・・・あなたが直接来るにはあまりにも危険だったはずだけど」
「しかし、私でなければ貧民窟の道しるべの役割をする人がいなかった。心配しないで。おじさんが私の後を追って近衛兵たちを率いてきているから」
「リューディガーさんが?ところで、ルカあなた・・・」
私はルカが自然にリューディガーを叔父さんと呼んだという事実に驚いた。
皮肉を言う時を除いてはただの一度もおじさんとまともに言ったことがない子供だった。
「とりあえず、抜け出そう。訳もなくフランツにつかまったら困る」
しかし、ルカは彼についてあまり話したくないように話を変える。
ただ話してばかりいては困る状況だということには私も同感だった。
ルカは腰から短剣を取り出し、腕をしっかりと締め付けていたロープを巧みに切り取った。
私が今まで努力したことが虚しくもロープはすぐに解けた。
長い間同じ姿勢でいたせいか、腕が痺れてくる。
私は腕を揉みながら、私が握りしめていた指輪を見た。
私の血痕と土ぼこりのせいで汚れた指輪は、やはり予想通りに厚く装飾が磨り減っていた。
(それでもまあ、つけることさえできればいいんだよ)
私は再び指輪を指にはめた。
襟章は磨り減ったが、ラベンダーのダイヤは依然として輝いている。
その時、私の手を眺めていたルカが突然眉をつり上げた。
「その指はどうしたの?」
私の手をあちこち回してみるルカの目つきがきらめいた。
その時やっと私は自分の手をじっと見下ろす。
手が赤いボールペンであちこち引いたようにめちゃくちゃだった。
傷がついたとは思っていたが、こんなにひどいとは思わなかった。
私はきまり悪そうに答える。
「私もそれなりに逃げようと努力したのよ」
「・・・」
ルカの小さくて密な口元が不満にも噛まれた。
しかし、今はこんなことで言い争っている場合ではない。
ため息と共にしたい言葉を喉越しにに飲み込んだルカは再び顔を固く固めて私を催促した。
「その手でロープをつかめる?」
「私を何だと思っているの?ロープがなくてもいいよ」
私は自信満々に笑った。
しかし、ルカは耳の甲からも聞かず、ロープに向かってあごを使う。
「余計なことしないで、早く上がって」
「・・・はい」
私はおとなしくロープをつかんだ。
荒れたロープの表面が指の傷に食い込んだ。
つらかったが、これくらいなら我慢できる。
それからロープをしっかりと掴んで、壁を靴のヒールで踏み込んだ。
それでも体重をロープが分散してくれてずっと良かった。
私は一歩、一歩窓に向かって踏み出していく。
ユディットを助けにきたのはルカでしたね!
イザベラも無事のようで安心しました。
後はフランツにバレずに脱出できるかどうか。