こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
138話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 新婚生活③
ついにリルラニベルへ向かう日がやってきた。
先王は送り出すのが名残惜しいのか、溢れそうな未練を目に湛えた表情を浮かべていた。
しかし約束されたことがある以上、どうしようもないようだった。
正直なところ、私としては一刻も早くリルラニベルへ行きたかった。
本当に、心からそう願った。
先王がどれだけしつこくつきまとい、リューディガーと一触即発の雰囲気になっていたことか。
リューディガーの忍耐力もほぼ限界に近かったようで、彼のオーラは恐ろしいほど張り詰めていて、何か大変なことを起こしてしまいそうな雰囲気だった。
結婚してからまだどれだけ経ったと言うのか、なのに夫を王族に手を出させてしまうのは、絶対に避けたいことだった。
法で裁かれ、牢獄に送られるか、平凡で何の変哲もない人生を送るしかないのか。
私は数日間の出来事を振り返りながら、胃の底が冷え切るような思いをしていた。
それでも何とか無事に抜け出すことができて幸運だ。
私は安堵のため息をつきながら、王宮のロビーを後にした。
先王は見送りには現れなかった。
現れたかと思えば、行かないでほしいと泣きついてくるのではないかと不安に思っていたが、それも杞憂に終わった。
「思ったより自己管理がしっかりしてるわね・・・。」
そうは言っても、いつも無理やり押し付けられるのは慣れないし、必要性を感じることも少ないせいか、違和感を覚えるのは仕方がなかった。
私は先王の部屋がある方向にしばらく視線を向けていた。
太陽の光が反射して窓越しには見えなかったが、彼がその場所にいるような気がしてならなかった。
まだ冬は終わっていないせいか、寒さが厳しかった。
私は分厚い毛布をきっちりと巻き付けていた。
それとは対照的に、北国出身のリューディガーはこの程度の寒さではほとんど平気なのか、モッズコートを羽織った程度だった。
それでも、私が手作りしたマフラーを首に巻いていたのは、なんだか微笑ましく感じられた。
彼の首元にかけられた手が、ほんのりと温かさを感じさせた。
アイボリー色のマフラーはシンプルで上品に見えた。
家の大部分を馬車に積み込んでいる間に、準備を終えたルカが王宮から出てきた。
白いカシミヤコートの上に、私が作ったアイボリー色のマフラーを巻いている姿が妙に目を引いた。
じっと馬車の状況を見渡していたルカの視線がリューディガーに固定される。
正確には、リューディガーが巻いているマフラーに。
その瞬間、自分とリューディガーのマフラーがお揃いであることに気づいたルカは、不機嫌そうに問いかけた。
「これ、何だよ!」
「何って、マフラーでしょ。」
「マフラーってことくらい分かるけど、なんで巻いてんだ?」
やや気まずい空気の中で、ルカが怒ったように私をにらみつけた。
(いや、何でこんなに過敏に反応してるの?・・・私がリューディガーにあげたマフラーを見たのが今回初めてだから?)
私は記憶をたどり返した。
そして、どうやら二人がマフラーを巻いて顔を合わせたのは今回が初めてのようだった。
でも二人が同じマフラーを巻いていたとして、別にそれが何か問題だろうか?
どうってことないじゃない。
ルカの過剰な反応が理解できずに微笑んでいると、ルカは顔をしかめて口を尖らせた。
「いや、ならいっそ全部お揃いにでもすればいいじゃないか。なんで叔父さんと俺だけなんだ?」
「二人だけだからこそ特別で可愛いんでしょ。」
「すごく仲良しな叔父と甥みたいじゃない!」
「仲良しじゃん?」
「うぅぅ・・・!」
ルカは鶏が首をすくめるような仕草で黙り込んだ。
それでもマフラーを外して投げつけたりしないのは少し不思議だった。
私は肩をすくめながら言った。
「元々これ、私が自分用に編んでたんだよ?」
もともとリューディガーに渡したものは、私自身のために作ったマフラーだった。
それを彼にプレゼントした後、新しく自分用を編んだものだ。
「でも当時は・・・その・・・リューディガーさんとお揃いのマフラーをするのがちょっと照れくさくてね。」
「私とお揃いのマフラーをするのが恥ずかしいのですか?」
黙って聞いていたリューディガーが、不意に視線を落とした。
ああ、なんてことだ。
なんと言っていいかわからない。
「今じゃなくて、あの時のことです。その頃はリューディガーさんに告白される前でしたから。」
何もかもが分からないまま、片思いを一生懸命育てていた時だった。
いくらなんでもそんな状況で、こっそりカップルのマフラーを作り、一人で楽しそうに眺めていたわけではない。
でも、私の説明は二人の男性を納得させるには至らなかったようだ。
リューディガーは理解できないという顔をして、ルカは後ろを向いた。
「どうせなら全部お揃いにすればいいじゃないか!なんで叔父さんと僕だけなんだよ!」
「私も入れて三人ならいいってこと?」
「わかるもんか!」
ルカはかなり感情を爆発させながらも、最後には怒ったように口を尖らせていた。
ピンと跳ねる金色の髪と、それに伴って揺れる耳が、怒りの兆しとして新たに際立っていた。
本当に、二人とも少し落ち着けたらいいのに。
どうしてこんなにわからないことばかりなんだろう?
ルカの理解しがたい基準に、私はただ微笑むしかなかった。
こうして私たちはブルーエンを後にした。
目的地はリラニベル。
これからの思い出を積み重ねる、私たちの新しい生活の場所だった。