こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

153話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 記憶喪失⑦
二人の間に漂う張り詰めた空気に私は冷や汗を感じた。
もちろんルカの発言は年齢相応ではなかった。
しかし、普通ならリューディガーもそのまま聞き流していただろう。
それどころか、いつもなら私が一言口を挟めば、リューディガーはルカを軽くいなしていたはずだった。
でも今は……。
リューディガーの態度は明らかに苛立っていた。
リューディガーがルカを警戒する理由が一体何なのか?
子供であるルカが、亡き兄ヨナスに似ているから、ただそれだけで彼の心を乱すというのか……。
『まさか、私とルカが仲良すぎて……それで嫉妬しているの?』
私は心の中でそう考えた。
もちろん、リューディガーがルカに嫉妬するなんて想像するのは滑稽だと分かっていたが、それでも私は静かにため息をついた。
嫉妬したこともあった。
ただ、それは……私が彼にルカと同じくらい関心を払わない、という勝手な推測に過ぎなかった。
実際にはルカに嫉妬していたわけではない。
むしろ、今は誰よりもリューディガーを気にかけているのだから、ルカに嫉妬する理由などない。
『他に理由があるはずだ。ルカがリューディガーの神経を逆なでするようなことを言ったとか……。そうだ、記憶を失った初日に、ルカがリューディガーに状況を説明していたことがあった。』
その時の第一印象が悪かったのかもしれない。
それが今でも尾を引いているのだろう。
これが最も信憑性のある仮説。
そうやって私がリューディガーの奇妙な行動の原因を考えていると、ルカが呆れたように失言を漏らした。
「おじさんは記憶がないから分からないんだろうけど、叔母さんを甘やかすのはよくないよ。分かってる?」
「そんな風に思いたいのか。年も重ねた割には、叔母の腰につかまっている姿も悪くないな、ルカ。」
「本当にさ、僕がおじさんをどれだけ支えてきたと思ってるの?今になって記憶がないとか、何それ。」
「私が後ろ盾になってあげたのは感謝してほしいけど、それが叔母に執着していい理由にはならないよ。」
「執着しているのはおじさんの方だろう?!」
ルカは声を荒げた。
これまでルカとリューディガーの間は特に波風立たず、バランスの取れた関係を保っていたが、それはリューディガーがルカの言動に対して冷静な態度を崩さなかったからだった。
しかし、その基盤が崩れると、二人の関係はあたかも崩れかけた氷のように不安定になった。
リューディガーと話していたルカが胸を抑えながら困惑気味に叫んだ。
「早く!記憶を取り戻して!」
「それを考えているところだ。」
皮肉にも、ルカと私の思いが一致した。
リューディガーはルカの言葉にも特に感情を見せなかったが、内心は違うだろう。
先ほどの何気ない一言に対してすら反応していたのだから……。
そもそも彼は無骨な男だが、記憶を失った後では、知っているリューディガーと知らないリューディガーが入り混じり、ますます扱いに困る存在となっていた。
私は深いため息をつき、都への道のりに心を決めた。
これが困難なことになるのは確実だった。
やはり予想通り、リューディガーとルカの関係はその後もぎこちないままだ。
都へ向かう馬車の中でもそれは変わらなかった。
むしろぎこちなさが増したのは、リューディガーと私の間だ。
窮屈な空気に押しつぶされそうになり、私は堪えきれずついに口を開いた。
「リューディガーさん。」
「はい。」
「少し……離れてもらえますか?」
「どうしてです?」
どうしてだろう?
彼の質問には、戸惑いを感じることなく真っ直ぐに向けられる視線があった。
その問いにうろたえた私は、彼と私の距離を意識せざるを得なかった。
少しの隙間もなく、彼の腕にぴったりとくっついている自分がいた。
他の人が見るにはとても奇妙に映るだろうし、幼い子どもにでもするような振る舞いを受けていることが少し恥ずかしかった。
私は大きく息を吐き、状況を整理する決意を固めた。
「ルカもいるし……こんなにくっついている必要があるのかな……。」
「ルカが何の関係があるんです?」
リューディガーは理解できないというように、眉をひそめて笑みを浮かべた。
「私たちは夫婦ではありませんか。ユディットさんのおっしゃる通りなら、少し距離を取るのがいいのではないでしょうか?」
それはそれで構わないが、こんな風に他の人が見ている前でぴったりとくっついているのは、私たちのスタイルではないと前に言ったはずなのに?
『まさか……リューディガー、もともとこうしてくっついていたいと思っていたのに、今まで我慢していたんじゃないだろうか。』
それでも仕方がない。
こういうことは私がどうこう言えないし、私はぎこちなく笑いながら、そっとリューディガーの胸を押し返した。
「それでも他人の視線には気を遣いましょう。」
「他人の視線をなぜ気にする必要があるんです?」
「……。」
壁に向かって話しているほうが、これよりもまだ効果的かもしれない。
以前のリューディガーと、こんな風に話し合っていたのがどうやってだったか、思い出せそうにない。
いや、それよりも、この男をどうやって説得するつもりだったのだろう?
『あの頃はリューディガーの目から外れるようなことをしたらいけないと考えていて……いろいろと我慢していた。』
過去に一度は乗り越えた問題だったが、再び向き合うと息苦しさを覚えた。
初めてのときは無知と無謀な勇気で切り抜けられたことでも、二度目となると、余計に臆病になり、何も手が出せない状態になってしまった。
そんな中で、リューディガーと私が言い争っている最中、窓枠に肘をつき、外の風景を眺めていたルカが静かに言った。
「諦めな。」
「はあ……。」








