こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
今回は97話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
97話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 罰ゲーム
付き合っている間に、プロポーズまでしておいてキスするのが過分なのだろうか?
私はとんでもない覗線でリューディガーを見た。
そうしようがしまいが、パニックに陥ったリューディガーは、簡単に答えられないまま右往左往している。
私は気丈にあごを上げた。
「これは聞いてあげられないでしょう?」
「反則です。酷いです」
リューディガーの顔は困惑した表情で覆われていた。
彼の青灰色の瞳が目につくほど揺れている。
今、はっきりわかった。
リューディガーはこの種の小細工を使うゲームはしてはいけない。
私はにやにやと笑っている気持ちを抑えながら、わざと厳しく脅した。
「反則ではあります。それで、いいですか?それとも罰ゲーム?」
「罰ゲームが何であれ、我慢します」
リューディガーは決然と頭を下げる。
出征命令を受けても、これよりは厳粛ではなさそうだ。
ああ、まったく。
それとなくからかう面白さがある男だよ。
席から立ち上がった私は、リューディガーの前に立って言った。
「さあ、顔を上げてください」
「はい」
「目を閉じてください」
「はい」
リューディガーは従順に私の言葉に従った。
私が何をしようとしているのか見当はつくだろうか。
私が知っているリューディガーなら全然できないと思う。
私はじっとリューディガーの顔を見下ろした。
いつも鍛えられた刀のように鋭い彼の顔が無防備に露出している。
誰の恋人なのか、敷かれた濃いまつげが特に長かった。
本当に羨ましい。
私はまつげも色が薄くて、いくら長くて豊かでもあまり目につかないのに。
(ハンサムは本当にハンサムなんだね・・・)
私は唾をごくりと飲み込んだ。
思わず見惚れてしまった。
さあ、ちょっと待って。
これ本番に入ると思ったら、思ったより外見破壊力がすごいね・・・?
しかし、このままでは一生ほほ笑んで手を握ってばかりいるかも知れない。
口づけの話を持ち出すや否や、過分だとか、何だとかいうリューディガーの話を聞いただけで角が生えた。
そうでなければ、ファーストキスの雰囲気づくりのための「1ヵ月プロジェクト」のようなとんでもない荒唐無稽なことをするとか。
どっちにしても嬉しくない!
(いいよ。ユディット。お前が行動しないと。あなたしかない)
それでも、リューディガーの顔を見ると、どうしてもできない。
私は目をつぶって、彼の唇があると思われるところに自分の唇を押し下げた。
幸いにも位置が間違ってはいないようなのか、私の唇に柔らかい感触が感じられた。
か弱い肌が肌と触れ合う感じがするやいなや、恥ずかしさに耐えられなかった私は彼から唇を離す。
元々思ったのは、こういう単純なチューじゃなくて。
この単純なキスだけでも顔が熱くなった。
(恋人とチューしようと思って、これが何なのか分からない)
私が恥ずかしさを鎮めるために色々考えている間、いつの間にか目を覚ましたリューディガーが私をぼんやりと眺めていた。
私が先に口付けして恥ずかしがるというのは、なぜかプライドが傷ついた。
私は平気なふりをして、ずうずうしく口を吐いた。
「罰ゲームです」
「・・・」
リューディガーが何か反応してくれればいいのに、彼はぼんやりと私を見つめるだけ。
余計なことを言っていたのかと思った私は、訳もなく剌されて付け加えた。
「ただのいたずらでした。罰ゲームだからといって、大したことをするわけがないじゃないですか。私があなたをデコピンするとでも?」
してみたところで、私の手だけが痛いだろう・・・。
私はぐちぐち言いながら、リューディガーを見た。
彼は相変わらずしっかりできずにいた。
衝撃がひどいようだ。
リューディガーが果たして罰ゲームとして何を考えていたのかは分からないが、ここまでショックを受けることはないじゃないか!
リューディガーがあまりにも衝撃を受けて、私の方がもっと衝撃だった。
もしかしたら、リューディガーはファーストキスは付き合い始めてから6ヵ月後、月明かりが満ちた夜、テラスでワイン一杯と一緒に、とロマンを抱いていたかもしれない。
それとも結婚式場で厳粛な司式者以降とか。
そして、私がしたことはまさにそのファーストキスに対するロマンを粉々にしたことで。
(そう思うとちょっと申し訳ないけど・・・)
私がそのように微弱な罪悪感に包まれている間に、リューディガーの焦点がますます明確になった。
すると突然、リューディガーが席から飛び起きた。
いきなり目線が逆転する。
大きな山のように前に垂れ下がったリューディガーの図体に思わず後ずさりした。
「あの・・・」
しかし、私が後ずさりしただけ、リューディガーがつかつか近づいてきた。
思わず追われる人のように後ずさりする速度が速くなる。
リューディガーも同様だ。
彼は獲物を追う猟犬のように私との距離を縮めてきた。
今この状況に非常に当惑した私は、リューディガーを落ち着かせようと口を開く。
「リューディガーさん、ちょっと待ってください・・・ウプ!」
しかし、リューディガーの唇が私の言葉をそのまま飲み込んだ。
彼の腕が私の腰に巻きつく。
罠にかかった獲物のように、私は彼から抜け出せないまま無力に垂れ下がるしかなかった。
しかし、嫌な気分ではない。
いや、むしろ。
・・・思わず手が彼の腕をつかんだ。
まるですがるように。
実際、一瞬足が緩んで彼に頼るしかなかった。
キス一回で慌てたかと思ったら、急にこんなに急変するのは反則じゃないか・・・!
決して上手な口づけではない。
下手で、ごつごつして・・・それだけ必死だった。
何度も息がつまったのだろうか、彼の腕を握った手に力が入る。
この辺で手放す価値もあったが、彼はかなり執拗だった。
まるで飴を初めて舌に当てた子供のように。
彼は私の舌の先に甘い果肉があるかのように、なかなか手放さなかった。
そうやってしばらくしてから、私は何とかリューディガーから解放される。
いつの間にか壁の端まで来たのだろうか。
よろめく私の背中に壁が触れた。
私は壁にもたれかかり、息を切らす。
私はかろうじてまぶたを開けてリューディガーを見た。
ここまでしつこいキスをした当事者であるリューディガーが、いったいどんな表情をしているのか気になる。
しかし、私の意図は成功しなかった。
そのままリューディガーが私をもう一度抱きしめたからだ。
私の胸に触れた彼の胸の筋肉が大きく膨らんだ後、沈むことを繰り返す。
彼の心臓の鼓動が私の心臓まで響いた。
そのように私を抱きしめたまま、しばらくいちゃいちゃしていたリューディガーは、静かにささやいた。
「私をここまで振り回す人は、断言できますが、人生においてあなた一人だけです」
彼の声が枯れた木の枝の間にかかる風の音のように私の耳元をくすぐる。
初めて間いた時から胸を震わせた中低音だ。
それをこんな瞬間に聞くと、全身から力が抜けていく。
リューディガーがしっかりと抱き合っていたおかげで、床に座り込むことができなかった。
彼の鼻先が私の額をくすぐる。
顔を上げると、私を見下ろしていたリューディガーと視線が合う。
薄氷の冬の湖のような青灰色の瞳に私がそっくり映った。
「悪くない気分です。いや、むしろいいです。今まで白黒だけで見ていた人生に色が加えられたような」
そう言って、リューディガーはにっこりと笑った。
口元に染み込んだ笑みが、まるでレモネードを含んだように清涼だった。
さっきあんな獣のような口づけをした男だとは、まったく信じられなかった。
満面の笑みを浮かべている彼は、初恋に気づいたばかりの、夏の日差しの下の16歳の少年のように見えた。
そのためだろうか。
私は衝動的に彼の首に手を伸ばす。
彼は従順に私の手に引かれた。
そして唇がまた近くなった。
2回目のキスだった。
二人の甘い時間。
また離れ離れにならないといけないのが寂しいですね・・・。
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