こんにちは、ピッコです。
「死んでくれと言われて」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

26話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 最初の協力②
平和な一日。
それは、聖ブライト騎士団の上層部訪問を終えたニナベルが、今まさに自室へ戻る途中で思ったことだった。
今日は本当に平和な一日だった。
いつもそうだったかのように、すべてが彼女を中心に回っていたからだ。
「マッサージを受けた後から肌の感触がすごく良かったんだよね。ニナベルの肌はいつも白いけど……今日は特にツヤツヤしてた。」
独り言のように呟く声に、ニナベルの後ろを静かについてきていた侍女が思わず笑い声を漏らした。
「服のチョイスも結構よかったと思うよ。ね、ニナベル?ニナベルは白が本当に似合うんだ。すごく。」
「それにしても、バトルロワイヤルの場で月桂冠を授与された時のニナベルは、まるで勝利の女神のように優雅で神聖に見えたじゃないか。」
「はい。本当にお美しかったです、お嬢様。」
「ニナベルは一見すると素直そうに見えるけど、見る目が確かな人には違うってわかるのよ。あの時、誠実さを感じたって言えばいいのかな?競技場の雰囲気はどうだった?招待された外部の人たちも、同じように感じたと思う?」
寝室のドアをそっと開け、ニナベルの道を譲った侍女が、慎ましやかに答えた。
「もちろんです、ニナベルお嬢様。女性たちはお嬢様を羨み嫉妬し、男性たちはお嬢様を称賛するような目で見つめていました。」
化粧直しのために椅子に腰掛けたニナベルは、その侍女を心配そうな目で見上げた。
「そこまでだったの?まあ、なんてこと!ニナベルはまだ十七にもならない純粋な少女なのに……しかも、あんな男たちとは釣り合わないじゃない。片想いってすごく苦しいって聞いたことがある。みんな私のせいで、心を痛めたりしなければいいんだけど。」
「そんなに気にしないでください。彼らもニナベルお嬢様が手の届かない存在だと分かっていますから。」
寝室でニナベルを待っていた侍女は、全部で三人だった。
乱れた髪と化粧を直すための侍女、服のしわを整える侍女、そして軽い夜食を準備してくれる侍女。
この三人は全員キャロンの命で、ニナベルをお世話するために付けられた者たちだ。
気が利き、口が堅いのは当然のことだったが、彼女たちに課された最も重要な任務は別にあった。
それは、ニナベルに関する不穏な噂や情報が流れた際、すぐさまキャロンに報告することだった。
ニナベルの評判が好意的に保たれていたのは、彼女たちの働きが最も大きかった。
「お嬢様、夕食まで休憩なさいますか?」
「うん、そうね。あ……今日の夕食には家族とお客様全員が出席するんでしょう?だから、地下の執事様と、あなたが案内した来客たちもね。」
侍女の一人は、ここ最近ニナベルの口から頻繁に聞かれる二人の顔を思い浮かべた。
欲しいものは全て手に入れようとするからなのか、自らの意思で動けない相手に対して異様に強い執着を見せるニナベルだった。
『あんなふうにケネル様の前で媚びたら、とんでもない大騒ぎになりそうだけど。』
侍女は密かにため息をつき、控えめに答えた。
「確認した上でご報告いたします。」
「うん。」
全ての侍女たちが退出した後――長く伸びをしたニナベルは、ブドウの粒をひとつ口に入れながら立ち上がった。
『そういえば……ワインにして熟成させると皮膚がきれいになるって聞いたことがあったな? お母様に話して、今年のブドウは全部、美容用ワインにしてもらうよう頼まなきゃ。』
しばらくブドウのトンネルを眺めていたニナベルは、展示室の前に立ち止まった。
「……きれい。」
驚嘆まじりの感嘆とともに、ガラス扉が開かれた。
フィンディアス大寄付者感謝プレート、臨時合同団優秀任命状、聖ブライト騎士団名誉騎士任命状など、数えきれないほどの表彰物が展示されており、胸の奥にこみ上げるものを感じた。
この展示室のすべてを、彼女自身が成し遂げたのだ。
しかもその半分は、ニナベルが生まれる前には存在すらしなかった品々だったので、彼女が初めての所有者となった。
ニナベルは、自分にそれほどの「価値」があるという事実に、ひどく喜びを感じていた。
──だからだろうか?
展示場を見回り、管理することは、ニナベルの日常的な業務であり、また趣味のひとつだった。
彼女は今日受け取った像を確認するため、嬉々として展示場内部を見て回った。
しかし、どれだけ探し回っても、彼女が探していた物は見つからなかった。
「……なぜないの?」
ない。
ない、ない。
どこにもない。
ヤナに、確かに展示場に置くように指示したはずなのに、どうして見当たらないのだろう?
「まさか……。」
彼女の命令に背いたということなのだろうか?
「そうかも!わからないけど、最近ヤナが変じゃない?」
今日の出来事もそうだった。
ヤナは慎重で気弱な性格で、おっとりしたマリウスが理由もなく頭を撫でてもただじっと耐えていた子だった。
けれど今日は、マリウスの膝を蹴り飛ばして反撃しなかったか?
『うーん。天香花の実でも食べて頭がおかしくなったのかな。』
おかしいのはそれだけではなかった。
ヤナがジハードに抱きついた姿を見た時、どれだけ驚いたことか。
明らかに、競技場にいる全員の視線がヤナに集中していた。
無理もない。ジハードは、普段子どもに対しても冷たく、滅多に抱きしめたりはしない人だったからだ。
『ニナベルならともかく、ヤナみたいな子を抱くなんて。』
くすんだ茶色の髪は以前と変わらずパサついていた。
大きな変化はなかったが、全体的に見たときに、ずいぶんと清潔感が増したように思えた。
最後に、ちらりとすれ違ったヤナの険しい表情を思い浮かべたニナベルは、ひとつの結論にたどり着いた。
「ヤナはニナベルの真似をしたいんだ。」
口に出してみると、ますます確信が深まった。
ヤナはニナベルのようになりたかったが、それが叶わないために、ニナベルの持ち物を盗んだに違いなかった!
「はあ。」
フレンヒルディも、彼女を真似しようとして破滅してしまったではないか?
ヤナも同じ道をたどろうとしているのだ。
『どんなに頑張ったってニナベルには勝てないのに……どうしてそんな無駄なことをするんだろう?しかも、どんな企みかも全部聞いたじゃないか。ニナベルがあまりに可愛くて、頭までちゃんと回るとは想像できなかったのか?』
しかし、今回ばかりは絶対に見過ごすつもりはなかった。
「……チェフ、君はあの子をただ可哀想な子だと思ってるかもしれないけど。」
ヤナの血を拭っていた真っ白なハンカチ、そしてチェフの心配そうな表情を思い出すと、彼女の気分は一瞬で冷めた。
『チェフとヤナは、釣り合わない。』
それなのに、同情心を買って無理やり関心を引くなんて!
しかもヤナは、哀れでもなんでもなかった。
嫉妬に駆られて彼女の持ち物を盗んだ、立派な泥棒だったのだ。
ヤナには悪いけれど、今回だけは仕方がなかった。
姉となった立場では、ヤナの過ちを見過ごすわけにはいかなかった。
母様にこの事実を伝えて、しっかり叱ってもらわなければならないだろう。











