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77話




 

こんにちは、ピッコです。

今回は77をまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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77話

76話 こんにちは、ピッコです。 今回は76話をまとめました。 ネタバレ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 出征命令②

突然の言葉にマックは不安そうに目を丸くした。

ルースは真剣な顔でうなずく。

「もちろん、強要しているわけではありません。現在、アナトールには少なくない数の傭兵が入っています。中には当然魔法使いも混ざっています。彼らのうちの1人でも雇えれば幸いですが、傭兵たちを定着させるのはとても難しいことです。もし使えそうな魔法使いが見つからなかったら、昨日同じ事故が起きたとき、収拾できるのはカリプス夫人だけなのです」

彼は淡々と並べ、後ろに行ってためらった。

「奥様が工事現場で大変なことになるところだったのは私も知っています。魔力の枯渇に注意しろと申し上げなかった私の責任が大きいです。すぐにお詫びしたかったんです。ただ、カリプス卿が目に火をつけていらっしゃるので、お伺いすることが・・・」

「謝る必要はありません。ルースも、いきなりワイバーンが暴れるとは・・・予想できなかったじゃないですか」

「いいえ。私は魔物のせいで事故が起こる可能性があることを知っていました。しかし、奥様が負傷者を助けるためにそこまで無理するとは予想できなかったのです」

「・・・え」

あまりにも率直な言葉にマックはしばらく言葉を失った。

「そのために魔法を習ったわけじゃないですか。事故が起きた時、助けろと・・・わ、私に魔法を教えてくれたのではなかったのですか?」

「そういうつもりで教えてはいたんですが・・・積極的に取り組んでくださるとは期待していなかったんですよ」

彼は肩をすくめて告白する

マックはぽかんと口を動かして、ゆっくりと顔を引き締めた。

魔法を学ぶようにと願いを入れた張本人が、実は自分にあまり期待をしなかったという事実に裏切られた気持ちが押し寄せてきたのだ。

冷たく冷めた目でにらむと、ルースがらしくないようにこっそりと顔色をうかがう。

「奥様の正義感を過小評価されたことについてはお詫び申し上げます。中途半端な気持ちで教えたことをどれだけ後悔したかわかりません。倒れたという話を間いた時は、一晩中良心の呵責に悩まされました」

「ルースの良心は・・・別に大したこともない、じゃないですか」

「そこまでおっしゃることはないじゃないですか。本気で自責したんですよ」

マックは返事もせずに彼をにらみつける。

本気で気分を害したことに気づいたのか、ルースが照れくさそうな顔で後頭部を掻いた。

「中途半端な知識より危険なものはないということを改めて悟りました。機会を与えていただければ、奥様に魔法を使う際の注意事項から様々な危機対処法まで、もれなくお教えします」

「私に・・・あまり期待しないんですって・・・」

「そうではありません。カリプス夫人が私の期待を軽く越えたという意味で申し上げた言葉でした。奥様の対処はとても素晴らしかったです。多少度が過ぎましたが、それでも習ったばかりの魔法で誠心誠意助けてくださったことは知っています」

彼女は本気で言っているのかと疑わしげに彼を見上げる。

ルースは真剣な表情で彼女に向き合い、冷静に説得した。

「前回のことで魔法にうんざりしているのでなければ、中断していた魔法の授業を続けていければと思います。奥様の実力が今より向上したら、私も安心します」

ますます重くなるプレッシャーに、マックは乾いた唾を飲み込んだ。

彼女も魔法を磨く必要性は感じていた。

ここに来てから1年にもなっていないのに、すでに大きな事故を2度も経験したのではないだろうか。

昨冬は、ウェアウルフの襲撃で台無しになった伐採場で、大量の負傷者の世話をし、最近は台無しになった道路建設現場でワイバーンの襲撃まで受けた。

二度とそのようなことが起こらないということはない。

ルースもおらず大量の負傷者に耐えなければならない状況に置かれることになれば、果たして自分がまともに対処できるだろうか。

自らの能力を冷静に見計らっていたマックは、すぐに首を横に振った。

たった4、5人の治療をすれば、底をつく今の微弱な魔力では、まったく見当もつかなかった。

自分が数ヵ月間練習したからといって、ルースの代わりになるはずがない。

(それでも何もしないよりはましだろう)

彼女は砂のように体から抜け出そうとする自信をかろうじて掴んだ。

「分かりました。お、教えてくれたら・・・一生懸命学びます。リプタンはあまり好きじゃないけど・・・それでも私はずっと魔法を学びたいです」

「いいですよ。時間があるたびに図書館に来てください。私も特別な日程がなければここに泊まります」

彼は満足そうな顔で彼女の肩を軽くたたいた。

すぐに練習を始めたかったが、ルースの日程がまだ終わっていないため、彼らは明日午前から勉強を始めることにする。

ルースは本棚で役に立つような本を2、3冊選び、羊皮紙の束を持って外に出てしまい、マックは図書館に一人で残って黄色く色あせた厚い本を丁寧に読み始めた。

彼が渡した本は高等幾何学。

理解できないほど複雑な内容にだんだん頭が痛くなり、目は乾いていった。

精一杯眉間にしわを寄せ、深刻にページをめくっていたマックは、すぐに疲れ果てて首を後ろに反らす。

いつの間にか、空は鮮やかなオレンジ色から淡い藍紫色に染まっていた。

彼女は固くなった肩を揉みながら窓の外に濃いオレンジ色の太陽を眺め、本を覆って席から立ち上がる。

折しも忘れていた空腹が押し寄せ、お腹がぐうぐうと音を立てた。

そういえば、昼間にパンとスープで簡単に腹ごしらえをした以外は、きちんとした食事を摂っていない。

彼女は揺れ動くお腹をこすりながら図書館の外に出た。

 



 

廊下では使用人たちが慌ただしく明かりをつけていた。

マックは彼らに丁寧な挨拶をした後、階段をゆっくりと下りていく。

彼女がちょうど2階を降りたところ、手すりの下に4人の使用人が何かを背負っていく姿が目に入った。

思わずそれを見つめていたマックは、彼らが運ぶものが血に濡れた鎧であることに気づき、顔を固く引き締める。

「どうしたのですか?あと・・・誰が怪我をしたのですか?」

残った階段を滑るように駆け下りると、重い鎧をキャンキャンさせながら運んでいた使用人たちが足を止めた。

マックは彼らが答える前に急き立てた。

「まさか・・・領主様がふ、負傷したのでは・・・?」

「いいえ、違います。奥様!これは魔物の血です。領主様はお元気です」

彼女は真っ黒な血でふんだんに濡れた胸甲、腕甲を次々と目を通し眉間にしわを寄せた。

リプタンの鎧が当たるようだった。

彼の血ではないとしても、大変な戦いがあったのは明らかだ。

「りょ、領主様は今・・・どこにいらっしゃいますか?部屋に上がりましたか?」

「いいえ。領主様は私たちに鎧をきれいに拭いておくように命じ、裏庭の井戸端に行きました。そこで体を洗っていらっしゃると思います」

彼女は面食らった顔をする。

「どうして・・・外で洗うのでしょうか?」

「それは・・・私たちもよく・・・」

使用人たちが困った顔で言葉の最後を濁すと、マックは彼らに聞くのをやめてさっと身を向けた。

一体何があったのかすぐ自分の目で確認しなければならなかった。

 



 

マックは一気に裏庭に駆け出した。

広い空き地を見て回ると、薪を割る働き手たちと、馬車に水を積んで通り過ぎる馬小屋の人たち、そして井戸端で水を汲む下女たちの姿が次々と目に入った。

マックはその横に上半身裸で立って頭に水をかけているリプタンの姿を発見し、目を細める。

女中2人が水筒いっぱいに水を汲んで渡すと、彼が頭頂部から冷たい水をかぶっては、手でごしごしこすって髪の毛から血気を洗った。

澄んだ水の流れが彼の長くて雄大な首筋を濡らしながら流れ、岩のように硬い肩と滑らかな背中、そしてスリムな腰を順に見た。

若い下女たちがその姿をちらちらさせながら、彼ら同士で微笑み合う光景を目撃したマックは、熱い顔で彼に向かって走っていく。

手のひらで首筋をこすっていたリプタンが彼女を見て目を大きく開けた。

「マキシ・・・?」

「なんでこんなところで・・・そのままでいてください」

人々が行き来するところで体を洗わずに体を洗っている行動を責めるつもりだったが、実際に彼に向き合うと誰かが首を絞めているように声が這ってしまう。

マックは日暮れ行く赤い太陽の光に黄金の神像のように輝く彼のがっしりとした上体をぼんやりと見上げた。

彼の巨大な体は精巧で繊細な筋肉で隙間なく編まれており、金褐色の肌は生き生きとした色で華やかに輝いている。

マックは乾いた唇を潤した。

彼の裸体は数十回は見たが、突然喉が渇いていった。

「私の修行騎士を傷つけた魔物たちを追跡してすべて捕まえて殺した」

マックは胸のあたりをさまよった視線をさっと持ち上げる。

リプタンが水に濡れて、さらに真っ黒に輝く髪の毛を掃き、どこかぎこちなく感じられる口調で話を続けた。

「そのせいで全身が血で汚れて洗っていたところなんだ」

「へ、部屋で洗えばいいじゃないですか。すぐにお風呂のお湯を用意したはずなのに・・・」

「みっともないじゃないか。鬼のような格好だったと」

彼が聞こえそうで聞こえない声でぶつぶつ言いながら、下女が中腰で持っている水筒を奪って。もう一度頭の上に水をかける。

マックは流れ落ちる水を避けて一歩後ろに退いた。

彼は犬のように頭を振って水気を払い、息を切らして腕から匂いを嗅いだ。

「くそ・・・、血なまぐさい匂いが消えないよ・・・」

「そ、そんなこと言わないで・・・部屋に戻りましょう。よく効く石鹸を使ったら、綺麗に・・・洗い流されるでしょう」

マックはだぶだぶのドレスの袖で水がぽたぽた落ちている彼の顔を軽く盗み出した。

すると、リプタンが火に火傷でもしたかのように、ばっと後ろに退く。

彼の反応にマックは目を丸くした。

リプタンは困惑した表情をし,慎重な口調で話した。

「・・・訳もなく服を汚さないで。ウェアウルフの血は悪臭が酷い」

「ふ、服は・・・着替えたらそれで終わりです」

彼女はだらりと垂れ下がった袖で彼の頬と首筋から水気を拭き取る。

リプタンは振り払おうとしているかのようにびくびくして、おとなしく頭を下げた。

マックはかすかな笑みを浮かべながら、水がぽたぽたと落ちる彼の髪の毛を額から取り除く。

夕焼けの光のせいか、彼の耳たぶが赤くなったように見えた。

もしかして熱でもあるんじゃないかな?

心配そうに彼の腕を触ってみたマックは冷たい感触に眉をひそめる。

「体が・・・冷たいです」

「これくらいは何ともない。真冬に湖の氷を割って体を洗ったことも・・・」

「ば、馬鹿なこと言わないでください。風邪をひいたら、ど、どうするつもりですか!?」

リプタンは彼女の乱暴な話し方に驚いたように目を大きくする。

ひょっとして生意気なおせっかいだったのかと目を下げようとすると、リプタンが体をかがめて水にびしょ濡れになったチュニックを手に取った。

そうして血がだらだら流れる生地を何度か揉んで、下女に投げるように渡す。

「灰汁に浸しておいて洗濯してみて。それでも匂いが抜けなければ、そのまま焼却するように」

「わかりました、旦那様」

メイドたちが洗濯室に向かって素早く走ると、リプタンが彼女に向かって目配せした。

「さあ、入ろう」

マックはほっとした顔で彼のそばに寄り添って歩いた。

一体どれだけ水をかけたのか、彼が足を離すたびに床に黒い水たまりができた。

それを見下ろしてマックは叱り声で言った。

「次からは・・・すぐにへ、部屋にお越しください。外でそ、そうしないでください」

「血濡れのまま現れて、またあなたを気絶させろと?」

彼のぶっきらぼうな返事に眉をひそめていたマックは、彼がオーガ群れに襲撃された時のことを話していることに気づき顔を赤らめた。

「あ、あの時は・・・魔物を見たのが初めてだったので・・・驚いただけです」

「そうだね・・・」

彼は懐疑的につぶやく。

彼女が自分を見て恐怖におびえたことを正確に気付いたようだった。

マックは不安そうに目を転がす。

「これからは・・・前みたいに血が怖くないから・・・そ、そんなに気にしなくてもいいですよ」

自分が怖がっていたのは血だったということを強調するために一字一字はっきり吐き出すと、なぜかリプタンの表情がさらに暗くなった。

彼は目を伏せて彼女を見下ろした。

「そんなことに慣れさせるつもりはない」

「・・・」

マックは返事もせずに黙った。

妙な緊張感が流れるのが感じられた。

リプタンは何かもっと言おうとしているかのように彼女をじっと見下ろして,すぐに城の中に入ってしまった。

マックはもじもじと後に続く。

 



 

ルースも反省していたのですね。

まあ貴族のお嬢様がここまで頑張るとは彼も予想できなかったでしょう。

これからは更に教えてくれるようですので、マックの実力も更に向上するのでは?

リフタンとは相変わらずぎこちないまま・・・。

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