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85話




 

こんにちは、ピッコです。

今回は85をまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

各話リンク こんにちは、ピッコです。 ネタバレありの紹介となっております。 ...

 




 

85話

84話 こんにちは、ピッコです。 今回は84話をまとめました。 ネタバレ...

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • あの日

その晩の晩餐会はこれまで以上に盛大だった。

白鳥焼きと子豚の丸焼きが食卓の真ん中を見事に飾り、クローブとナツメグ、クミンとコショウが惜しみなく使われた数十種類の料理が豊かに用意された。

騎士たちは使用人たちが丁寧に準備した食べ物と質の良いワインを楽しみながら別れの挨拶を交わす。

彼らの誰も陰気な顔をしたり、心配したりする様子を見せなかった。

まるで明日また会う人たちに接するように意地悪な冗談と悪口を交わす騎士を見て、マックはいつかは自分も遠い旅に出るリプタンを笑顔で見送ることになるのか気になった。

今のところ想像もできないことだ。

彼と別れの挨拶を交わす場面を想像するだけでも体が半分に割れるようだった。

彼女は柔らかな光に包まれた彼の顔を見上げ、リプタンが自分の人生でどれほど重要な人になったのか改めて自覚する。

彼と半年は離れていられそうになかった。

リプタンが騎士ではなく平凡な田舎の領主だったらどんなに良かっただろうか。

しかし、そうだったら、そもそも彼と結婚することもなかっただろう。

彼女はすすり泣きたい気持ちを落ち着かせる。

立ち去る騎士たちのためにもっともらしい激励の言葉でも一言言ってあげたかったが、呆然とした口ぶりになったように一言も言えなかった。

 



 

翌日、騎士団は夜明け前に出征した。

巨大な軍馬数十頭がお尻の上に大きな荷物袋を載せ、鞍の上には武装した騎士たちを乗せて列をつないで城門を渡っていく。

マックは城壁に登り、堀を渡る騎士たちの姿を見守った。

リカイド卿が先頭に立って、藍青色に染まった暗い夜明けの道に馬を走らせている。

その後をルースとカロン卿がくっついて後に続き、馬蹄が大地をどっしりと叩く規則的な音がしばらく続いた。

彼女はじめじめして涼しい夜明けの風に吹かれながら彼らの姿が見えなくなるまでハンカチを振る。

棒の前に立って固い顔で騎士たちを見送っていたリプタンが彼女に向かって首をかしげた。

「もう帰らないと。風が尋常でないのか、雨が降りそうだね」

マックはアリほど小さくなった騎士たちの姿を心配そうな目で追う。

「だ・・・大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だよ。雨が降れば魔物と出会う確率も落ちるから、むしろよかった。ただ・・・夕方前には止んでほしいんだけど・・・」

リプタンは眉間にしわを寄せながら暗い空を見上げた。

彼の口からいらだたしいため息が漏れる。

「遠征隊も遠征隊だが、建設現場も心配だ。雨が降る前に城の外に出てみないと」

彼は彼女の顔を引き寄せ、冷めたい額にキスをし、優しく微笑んだ。

最近、リプタンはそのようによく笑った。

少年のような苦笑いが彼の顔の上に留まる時、彼は普段より10倍はハンサムに見える。

「顔が冷たいね。歩き回らないで、おとなしく部屋に戻って休むようにしなさい」

彼は彼女の耳たぶをいじくり回して、妹にでも言い聞かせるような口調でささやいた。

マックは頬を赤らめ、不満そうな顔でぶつぶつ言った。

「私は・・・子供じゃないです・・・」

「言うことを聞いて」

リプタンはいたずらっぽく彼女の頬をつねって、もう一度まぶたの上にキスをした。

かさかさした指の感触やしっとりとした唇の感覚がとても気持ちよかった。

彼女は熱い目で彼の顔を見上げる。

もう少し優しく撫でながらキスしてほしかったが、彼はその軽いキスだけで満足そうに離れ、早く城に入るように彼女の背中を軽く押す。

マックは物足りなさを飲み込んで、とぼとほと部屋に足を運んだ。

 



 

リフタンの言う通り、正午になると追跡雨が降り始めた。

マックは緑豊かな庭の上に雨脚が霧のように白く流れるのを眺めながら顔色を曇らせる。

色とりどりの花が光を失って垂れ下がり、濃い青色の葉まで黒く染まってくすんだ光を帯びた。

冷たい風で窓がガタガタと揺れるたびに彼女の心配は深まる。

遠征初日から雨に降られながら険しい山道を歩く騎士たちを思うと、気の毒な気持ちになった。

「すぐ終わりそうにないですね」

窓際に座って静かに裁縫をしていたルディスさえもため息をつく。

「そ、そうですね・・・」

「よりによって騎士たちが出征に出かける日に雨が降るなんて・・・」

彼女は頬をこすりつけ、縫い物を置き、暖炉に火をつけた。

マックは雨粒が窓ガラスにぶつかる音を聞きながら、しきりに窓の外を眺める。

工事現場は大丈夫なのだろうか。

雨が降れば魔物の出没が減るというから事故は起きないだろう。

しばらくの間、彼女は頭をそむけた。

余計な心配で時間を無駄にしている場合ではない。

一刻も早くルースの空席に代わるほどの実力を育てなければならないのではないか。

マックはルースから渡された羊皮紙の山を取り出し、きちんと整理することから始めた。

整理整頓に絶望的にオ能のない人らしく、順序がめちゃくちゃだ。

薬草に関する内容、魔法に関する内容、治療療法と薬物製造法が乱雑に混ざっていて、内容が抜けているように途中で文章が途絶えたことも目についた。

どうやら何枚か塔に落としてきたようだ。

(几帳面なのか。適当なのか分からない)

抜けた内容は後で塔に立ち寄って調べることにし、まずは理解できることから勉強することにした。

彼女はきれいな新しい羊皮紙を取り出し、魔法式を簡単にまとめる。

ルースがまとめた魔法は2つだ。

ひとつは魔力の流れを加速させて魔法力を増加させる術式であり、もう一つは魔力が及ぶ範囲を2倍に拡大する術式だった。

王女の火炎魔法のような強力な魔法式が書かれているのではないかと密かに期待していたマックは肩を落とす。

確かに、そんなすごい魔法を習ったとしても、現在の自分の持つ魔力では蝋燭レベルの炎しか呼び起こせないだろう。

現在、彼女がまともにできる魔法は治癒魔法と解毒魔法、そして回復魔法だけだった。

その他の魔法は、なかなか進まない状況。

新しい魔法を学んでも大きな助けにはならないことは明らかだ。

むしろ、できる魔法の威力を強化させることに集中した方が良い。

ルースの判断に自分なりに納得して、彼女は魔法式の仕組みを勉強し始めた。

幸いにもルースが詳細に説明を書いてくれたおかげで、難しくなく作動原理を理解することができた。

「問題は実習なのに・・・」

ルースの魔力誘導なしに一人で新しい魔法式を身につけられるか不安だったが、やってみるしかない。

彼女は魔法の複雑な構造を覚えるために集中した。

そのようにしばらく勉強に熱中していると、ふと、下腹に重い痛みが感じられた。

ペンにインクを飲ませていたマックは、足の間に何かが流れるのを感じ、表情を固める。

17歳になった年から繰り返されていたあの不快なことがまた始まるようだ。

彼女は裁縫師たちが丸2週間かけて作ってくれた美しいサテンドレスが台無しになるのを防ぐために慌てて椅子から立ち上がった。

ルディスに注意深く助けを求めると、彼女はすぐにお湯ときれいなリネン、そして新しいドレスを持ってきた。

マックは嫌悪感に顔をしかめ、熱いおしぼりで足の間をきれいに拭き、内側にリネンを厚く重ねた綿の下着を着る。

そうして鏡を通じて、ひょっとしてお尻の付近に染みができていないか何度も調べた。

リネンのせいでアヒルのようにお尻が大きく見えるのが嫌だった。

冷たい砂利が入ったように下腹がきりきり痛みと不快感を感じるのもイライラする。

これを少なくとも5日間耐えなければならないと思うと、自ずとため息が漏れた。

「あまりがっかりしないでください、奥様」

マックは突然の慰めの言葉に当惑した顔でルディスを見る。

女中が用心深い口調で話し続けた。

「ある夫婦は最初の子供を持つのに3年以上かかることもあるそうです。心を楽にして待っていれば、神様が最も適切な時に最も美しい子供を授けてくださるでしょう」

マックは少しぼんやりした顔で瞬きをする。

やっと自分が経験しているこの不便さがリプタンの子供を持っていないことを確認させてくれる現象だということに考えが及んだ。

不安に襲われ、彼女は忍び寄る声で尋ねた。

「こんなに遅くなる事は・・・ち、違うということですか?」

「時期が合わなかっただけです」

ルディスは安心させるように優しく微笑んだ。

「今回は特にお月様が遅くなって期待が大きかったと思いますが・・・あまり焦らないでください、奥様」

皮肉なことに、実際にそう言っているルディスが彼女よりもっとがっかりしたように感じた。

マックは、「月の距離が遅れている」という自覚すらなかったのだ。

実は、アナトールで過ごした後、むしろ周期が短くなった方だった。

以前は2、3ヶ月に一度あるかどうかして、5ヶ月近く便りがなかったこともあった。

彼女は混乱して唇をかんだ。

他の女性たちは自分よりもっと頻繁に言いがかりをつけるのだろうか。

ロゼッタはどうだった?

目を細めて記憶をたどってみたが、何も浮かばなかった。

そもそも彼ら姉妹は、このような隠密な話を交わすほど近いこともなかったのだ。

もしかしたら、自分に大きな欠点があって子供ができないのかもしれないと思うと、背筋に冷や汗がにじんだ。

母親の憔悴しきった顔がふと頭の中をよぎる。

マックは動揺を隠すために、わざと平然と要求した。

「あ、温かいお茶が飲みたいです。ハーブティーを・・・作ってくれますか?」

「そうですね、奥様。すぐにご用意いたします」

女中が部屋の外に出ると、彼女は力なく机の前に座って顔を包み込んだ。

ルディスに率直に打ち明けて助言を求めたかったが、もしかすると彼女がリプタンにその事実を伝えるのではないかと怖かった。

自分の妻に欠点があるかもしれないということを知ったら、彼はどんな反応を見せるだろうか。

彼女は、相続者が男性にとってどれほと重要な問題であるかをよく知っていた。

当然、リプタンも自分の城と領土を譲る男の子を願うだろう。

とげが刺さったように首の内側がひりひりする。

彼女が母親のような宿命を持っていても、今のように変わらず大事にしてくれるだろうか。

マックは羊皮紙をいらだたせた。

しかし、お腹の痛みがますますひどくなり、貧血期まで回ると、一抹の集中力さえも粉々になってしまった。

 



 

ついに遠征隊が旅立ちましたね。

マックの体調が悪いのを見て、リフタンはどのような反応を見せるのでしょうか?

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