こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
今回は98話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
98話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- クリケット
お別れの時間になった。
私は別れの挨拶でリューディガーの頬にキスをする。
初めて彼の唇に自分の唇を押し付けた時とは比べ物にならないほど自然だった。
やっばり人は何でもやってみないと。
やってみないと慣れるんだから?
しかし、キスを受けるリューディガーの顔はそうではなかった。
今まで固くなっていた彼の顔が一気に武装解除されたように内心をそのまま表わしている。
私は彼の腕を軽くたたきながら言った。
「気をつけて帰ってください。事故を起こさないでくださいね」
「心配しないでください。ユディットさんが、気になることのないようにします」
返事は本当に上手なんだから。
私は決然と答えるリューディガーを頼りない目で見る。
私が考える思考の定義と、リューディガーが考える思考の定義が同じではないということだけは確信できた。
別れの挨拶を交わしたにもかかわらず、リューディガーは美的な足を移すつもりはなかった。
行きたくない様子が露骨に表れる態度だ。
それがまた人の心をくすぐるのだけど。
「遅すぎました。もう行かなければなりません」
「分かっています。ああ、そういえば、お話したいことがあります。ユディットさんに会った喜びでしばらく忘れていました・・・」
お伝えしたいこと?何だろう?
しかし、リューディガーの言うことをすべて聞くことができなかった。
見張りをしていたローラがあたふたと駆けつけてきて、急いで手をもがいたからだ。
「お、奥様!坊ちゃんが!」
「うん?リューディガーさんがなんで?」
リューディガーはここにいるのに、どうして坊ちゃんを探すんだろう。
しかし、言葉はやはり最後まで、きちんと聞いてみなければならなかった。
「末っ子の坊ちゃんです!」
「・・・」
まさかばれたのかな?
私は驚いて、秘密の通路がある場所にリューディガーの背中を押す。
余裕を見せる時ではなかった。
急に追い出される自分の境遇に戸惑ったのか、リューディガーは目を大きくする。
「ルカに説明して・・・」
「説明がうまくいくくらいなら、私もあなたを行かせません。とりあえず今日は行って、後で!あ、おっしゃることは急か重要なんですか?」
「いいえ、それは違います」
「では、また後で会いましょう」
私は強くリューディガーに言い聞かせた。
リューディガーに意見を提示するだけの時間を与えるのも贅沢だ。
そうしているうちに、ふっと思い出したことがある。
「あ、フランツを監視することを続けていらっしゃいますよね?」
「もちろんです」
「これからもよろしくお願いします!ぜひ!徹底的に!」
確認に確認を重ねた私は、慌ててリューディガーの頬に唇を押し付けて、彼を完全に追い出した。
そうするやいなやルカが押しかける。
本当にきわどい瞬間だった。
私は偶然のように笑いながらルカを迎えた。
「ははは!ルカ!どうしたの?」
ルカの顔はかたく固まっている。
赤く上気した頬と空気中に広がる息遣いは、ルカがどれほど急いでここに来たかを教えてくれた。
冬だから寒いのか、ルカは私があげたアイボリ一色のマフラーを巻いている。
(最初はぶつぶつ言っていたけど、結構うまくやっているんだよね)
鼻先までマフラーをした姿が本当に可愛かったが、ひたすら可愛がっているわけにはいかない状況だ。
「おばさんが急にどこかへ走って行ったという話を聞いたんだ。どこに行ったのかいくら聞いても知ってる人はいなくて・・・それで王宮を全部探したんだけど・・・すごく見慣れたところだね?」
「私はただここが人目もないし、静かで好きなだけよ・・・?ここで時々運動するの。あなたも知ってるじゃん。私が運動をしないと落ち着かないって・・・」
「ふーん・・・」
私がぶつぶつ言い訳をすればするほど、ルカの目が細くなった。
疑いで輝く青い瞳と向き合えば、自然と緊張してしまう。
ここが秘密通路と通じるということをルカも知っている。
けれど証拠がないんだよ!
物証がなければすべて無効だって!
私はそう思って、びくぴくと顔を上げた。
煮えた者が負けるのだ。
何事もなかった強く言い張ればルカもどうしようもないはずだった。
しかし、ルカは思ったより素直に問い詰めることを諦めらた。
「今日で2回だよ。3回はないよ、おばさん」
ルカの意味深長な言葉に私は唾をごくりと飲み込んだ。
しつこく問い詰めるより、なぜこれがもっと怖いのか分からない。
私はルカの目を避けて安堵と心配が入り乱れたため息を小さく吐いた。
そのようにリューディガーと別れた後も、彼の唇の感触が何度も思い浮かんだ。
私を抱いていた腕の固い感触も。
はあ・・・本来ならこうしている場合じゃないのに。
太ももが丈夫で力があってハンサムな男が私の男なのに、私はどうして今ここで毒手攻防をしているの・・・!?
悔しかった私が何の罪もない枕だけ拳でパシャパシャ叩きつけている時、先王が急に外出しようという提案をした。
「外出ですか?急にどこにですか?」
「ああ、行ってみればわかる。行ってみればわかるよ」
目的地も明かしていない外出だなんて、何か魂胆があるに違いない。
毒手攻防の怒りでゆがんだ私の気持ちがぐらぐらと湧いたが、私は努めて押さえつけたまま先王に従った。
そのように私たちが行った所は・・・・
「ここは・・・」
「どう?あなたがクリケットが好きだと言うから、私がいい席を探してみた。たまにこうやって試合でも見て、気分転換もしないと。気に入らなかったかな?」
先王は意気揚々と私を振り返った。
広々とした競技場と観客席にぎっしり詰まった観客たちが私の前に広がっていた。
そして・・・先王が言った「良い席」とは、まさに競技場のハイライトを一番近くで見られる貴賓席。
どれくらい近いかというと、ほとんどダッグアウト同然のレベルだ。
それだけではない。
冬の日差しが強いのではないかとテントが設置されていて、冬の風に寒いだろうかと座席が近くに暖かい火鉢も置いてあった。
さらにベルベットカーペットと古風な座席まで。
競技場の観客席というよりはオペラの観覧席にふさわしい姿だった。
私が言葉を失ったまま「良い席」をぼんやりと眺めていると、先王はすぐに焦りながら私の顔色を伺う。
「クリケットが好きなんじゃないの?私はこんなことはよく分からなくて・・・」
「いいえ、大好きです。ありがとう、おじいちゃん」
私はそう言って席に座る。
私が好きだと言うと、やっと安心したように、先王の顔が明るくなった。
クリケットの試合は本来ならリューディガーと直観デートに来るつもりだったのに、どうしてこうなったんだろう。
私がクリケット競技が好きだという言葉が流れる所なら・・・やっばりルカだろう。
キャッチボールの時に流した言葉を覚えていて、先王に伝えたに違いない。
(リューディガーに関することでは拍子がよく合うんだから。本当に色々話したみたいだけど・・・)
でもまあ、別に気があるわけでもないし、クリケットの試合を観戦するくらいならね
リューディガーとは後でもう一度来ればいいだろう。
私はそう思って試合に集中しようとした。
しかし、容易ではなかった。
先王が声をかけ続けてきたからだ。
「おい、ユデッィト。あの男はどうだ。体がとてもいいだろう?」
・・・うん?
「背もすらりとしているし。顔はヘルメットに隠れて見えないが、ハンサムに違いないね。昔から男はあんなにお尻が精一杯上に上がったやつが最高だよ」
「・・・」
「それともあの選手はどうだ?顔もとてもなめらかでハンサムだね。あなたのおばあちゃんもあんな顔が好きだった」
強いて言えば、私はお婆ちゃんと趣向がちょっと違うのですが・・・。
私は渋く笑った。
先王はこの人、あの人を指差して続けて体がどうだとか顔がどうだとか評価をした。
要するに今、先王はリューディガーの代わりに私が取り憑かれるような男がいるのか披露しているのだ!
私が好きな、クリケット競技選手という加算点をつけて!
ここまで競技場と近い必要があるのかと思ったが、目標がクリケット競技観覧ではなく、選手たちの張りのある体つきを見せるためなら仕方がなかっただろうね。
確かに・・・日本の野球選手たちにはなかなか見られない体つきではあった。
先王が一番最初に指名した男には、思わず視線が戻ってしまうほど。
体つきがいいのは本当によかった。
リューディガー顔負けのほど。
(とにかく試合に集中しないと・・・)
先王の言葉を片耳で聞き、片耳で流し、マクロを回したような返事で先王のすべての言葉に応対したまま試合に没頭する。
クリケットも面白いけど、やっばり元ソフトボール部で物足りなさが残るんだよね・・・。
女子の試合がないのもそうだし。
後で機会があれば、女子ソフトボール大会でも作ってみようかという気がした。
以前だったら、思いもよらなかっただろうが、今は状況が違うのではないか。
お金も多いだろうし、権力もあるだろうね。
賞金をたくさんかければ志願者もできるんじゃないかな?
気持ちとしては私が監督としてチームを一つ組みたかったが、そうすれば大会という公平性に反する。
そのようにクリケットの試合を見ている途中、打者がボールを打つ。
ボールは大きな放物線を描きながら観客席の向こう、塀の外に向かった。
ホームランだった。
一気に6点を記録した打者はピッチをゆっくり歩く。
大きな歓声が降り注ぎ、私も席から飛び上がって手を叩いた。
「い、いいものなのか?何かすごいことなの?」
よく分からないという言葉は本気だったのか、先王は試合のルールもよく分かっていないようだ。
しかし、空気だけは鬼のように速い人だ。
この歓声の主人公が誰なのか素早く分かった先王は、にっこり笑って言った。
「私が大丈夫だと言った選手が点数を出したみたいだね!体つきと同じくらい立派な選手みたいだね。どうだ、ユディット。試合が終わってあの選手と食事でもして「才能を作ろう」と言うのはどうだ?」
「あ、いや。それはちょっと・・・」
悪徳球団オーナーのような発言はしないでください!
選手は選手として活躍する時が一番なんです!
その時、私たちの会話のテーマに上り下りしていた打者がヘルメットを脱いだ。
一瞬時間が止まったように、彼の行動一つ一つが私の視線をとらえる。
ピッチまで少し距離があるが、黒い髪の毛が乱れるのはもちろん、打者の目鼻立ちもはっきりと見えた。
「いや、あ、あいつがなんでここにいるんだ!」
打者の顔を確認した先王は突然、卒倒しそうに息を切らした。
そうして私もあわてずにはいられなかった。
当然だ。
登場したのは、わずか数日前、私と濃いキスを何度もして別れた恋人、リュディガー・ヴィンターバルトだったからだ。
どうしてリューディガーが・・・?
いや、しかもあの上手なフォームは何?
一緒にキャッチボールをした時も才能が半端ないと思ってたけど、あの時まではアマチュアの実力だったのに、ただのプロでもなく、高額年俸をもらうだけの実力のプロになって現れるなんて!
まさかこれ買収された試合じゃないよね?
リューディガーを信じないわけではなかった。
ただ、他の種類の信頼があるだけ。
しかし、八百長とかそういうことではないか、他の選手たちは純粋にリュディガーの実力に感心していた。
(それはそれでよかった)
私はため息をつく。
まさかお伝えしたいことがあると言ったのは、この話だったのか・・・?
先王はリューディガーに向かって指を差しながら大声で叫んだ。
「あの、怨霊め!とてもしつこいね!よりによって今日現れるなんて、まるで私が今日クロケットを見に来ることを知っていたかのように・・・まさか偶然?違う。そんなはずがない!」
先王の推測は家庭を越えて被害妄想に近いほど広がった。
ひどく歪んだ先王の顔が赤くなったり青くなったりした。
しばらくの間、競技場を睨んでいた先王は、すぐに呪いのように吐き出した。
「よし、最初は偶然だったに違いない。あいつがどんなに恥をかくのか見てみよう」
試合についてよく知らない先王は、本塁打がどれほどすごい実力なのか分からないようだ。
案の定、リューディガーはその後も活躍に活躍を重ねる。
普通のプロ選手よりはるかに優れた実力に、点数はまたとれほどよく出るかリューディガーが点数を出す度に観客は歓声を上げ、その度に先王の顔がぐしゃぐしゃになった紙のように歪んだ。
先王の機嫌を損ねるか否かにかかわらず、私はリューディガーの活躍を見守りながらこぶしをぐっと握った。
そもそも先王が私を競技場に連れてきたのも選手たちを見物しろという理由だったじゃない?
私は先王の意思に誠実に従っているのだ。
キャー、いつも黒い将校服ばかり着てたのに、白い服もよく似合うね。
クリケットの服装は平凡ともいえる。
白いシャツとズボンの上に保護具をつけるのがちょっと珍しいだけ。
だが、それを着ている当事者がリューディガーであり、風変わりな魅力があった。
秘密通路を利用してリューディガーと会うのも難しくなりましたね。
クロケットの試合にリューディガーが出場しているのは予想外でした。
先王の怒りがますます激しくなりますね。
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