こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は32話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
32話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- レイシス皇子の情報
すぐ到着したのは皇太子宮だった。
下級侍女が皇太子宮に突然訪れたのは、大きな無礼だ。
それでシアナは言いたいことを考えておいた。
(アリス姫様が送ったからって言い張らないと)
しかし、事前に考えたことが色褪せるほど、皇太子宮の侍女たちは、尋ねも問い詰めもせず、シアナを宮に入れる。
(皇太子宮の保安がこんなにずさんでもいいの?)
当惑するシアナに向かって侍女が落ち着いた声を一つにして話した。
「皇太子殿下は、シアナ様ならいつでも入らせるように仰っていました」
「・・・あ、はい」
シアナは先日行った応接間に案内される。
間もなくラシードが現れた。
走ってきたのか、少し顔が上気したラシードが明るい顔で尋ねる。
「どうしたの、シアナ?」
きらめく瞳が必ず「うんうん?」、「どうしたの?」、「まさか私に会いたくて来たの?」と言っているようなものは錯覚だろう。
シアナはラシードの視線を無視しようと努力して言った。
「突然訪ねてきて申し訳ありません、殿下。気になることがあって伺いました」
「・・・あ、そうなんだ」
ラシードは空気の抜けた風船のように声を小さくする。
しかし、しばらくだっただけで、すぐ美しい顔に笑みがこぼれた。
「何の話が聞きたいの?」
「アンジェリーナ皇妃様のご子息であるレイシス皇子殿下についてです」
その瞬間、ラシードの声が低くなる。
「彼の事はなぜ?」
シアナは「しまった」と思った。
(そう、私の前ではいくら花をさしたお嬢さんのようにへらへら笑っても皇太子だった)
アリスには好意的で忘れていたが、皇族の子孫たちは互いに敵だ。
敵について聞くと、敏感に反応するのは当然のことだろう。
シアナは急いで言った。
「アンジェリーナ皇妃様に皇子殿下の教育を頼まれました。それでどんな方なのか気になって聞いてみただけです」
念のため言葉を付け加える。
「絶対にどんな私心も、野望も、魂胆もありません。本当です」
「・・・」
細い目でシアナを眺めていたラシードが、知っていたかのようにうなずいた。
「わかった」
ヒュウ。
シアナは、「余計な誤解を受けなくてよかった」というように、小さなため息をつく。
どうりで普段より少し目が細くなったラシードは頭の中に入力された情報をすぐに吐き出した。
「4番目の皇子、レイシス・レヴィジュアン・ド・シアマン。アンジェリーナ皇妃の息子。年齢12歳」
シアナは目を輝かせながらラシードの言葉に集中する。
しかし、ラシードの言葉は虚しく終わった。
「私が彼のことを知っているのはここまでだ」
「・・・はい?」
呆れたように瞬きするシアナに向かってラシードが言った。
「レイシスは生まれて間もなく皇居を出たんだ」
「皇居を出たんですって?それが可能なのですか?」
皇帝の血を持つ皇子は神聖で貴重な存在だ。
それも生まれたばかりの皇子が皇居の外に出るのは平凡な状況ではなかった。
ラシードは目を伏せて言った。
「思ったより難しいことではない。お父さんは子供にあまり興味がないから」
[陛下、皇子殿下のお体がひときわ病弱で、おじいさんとして恐縮です。ヴィルヘルム侯爵家で手厚くお世話になり、元気になったらまた陛下のもとにお返しします]
アンジェリーナ皇妃の実家の父親であるヴィルヘルム侯爵が頭を下げた時、皇帝は特に話さなかった。
ただ面倒だという目でヴィルヘルムを眺めてうなずいただけ。
こうして皇子レイシスは皇居を離れた。
1歳になったばかりだったからだ。
ラシードは続けた。
「その後、レイシスはヴィルヘルム侯爵家で過ごした。その後、誰もレイシスのことを簡単に知ることができなくなった。ヴィルヘルム侯爵家が皇子に対することを徹底的に隠したんだ」
アンジェリーナ皇妃が侯爵家と皇居を行ったり来たりしながら皇子に対する便りを伝えるだけ。
[皇子はよく育っています。しかし、まだ体が弱く、もう少し時間が必要です]
しかし、一年、二年、時間が長くなると言葉が出始めた。
皇子が宮の外にいる時間があまりにも長くなるのではないか。
皇帝の子孫を貴族の家門で務めている。
見た目がよくない。
もしかして、皇子に隠したい問題があるのではないか。
それを聞いたアンジェリーナ妃の顔が真っ赤になる。
「高貴な皇子に誰がそんな無言を言うんですか!]
「そうでなければ皇子殿下の姿を見せてください]
[皇子殿下が生まれてもう何年も経ちますが、皇居に殿下の姿をまともに見た者がいないなんて不思議ではありませんか!]
皇居の人々がアンジェリーナ妃に圧力をかけ始める。
アンジェリーナ皇妃は窮地に追い込まれた。
その知らせを間いたヴィルヘルム侯爵が出た。
[皇子が12歳になる年に皇居に入城し皆様にご挨拶申し上げます。そうすればいいんじゃないですか!]
そうして状況が整理された。
それが今年。
「数日後の誕生日の宴会でレイシスは人前に姿を現すだろう。それでアンジェリーナ皇妃と一緒に皇居に入ってきた・・・。ところでレイシスに問題があるようだね」
ラシードの視線はシアナに向けられる。
「よく知らない侍女に教育を頼むぐらいだからね」
シアナは肩を動かした。
ラシードに余計なことを言ってしまったのだろうか。
いいや、ラシードは皇太子だ。
彼が調べようとすれば何でも聞き出すだろう。
今日シアナがもらった頼みであれ。
レイシスの現在の状態だとか。
(殿下がレイシス皇子について知らないなら、それは本人があまり関心がないからだろう)
体が柔弱だという理由で生まれてすぐ皇居を離れた幼い弟は、皇位継承権をめぐって争うライバルにもなれないと判断したはずだから。
改めてシアナはラシードの立場を思い出した。
皇位を得るために非情に戦う帝国の皇太子。
戦場を駆け巡る彼の姿があまりにも残酷で、「血の皇太子」というニックネームまで付けられた。
それをしばらく忘れたのは、彼が自分の前ではとても馬鹿みたいにふらふらしていて。
いつも春風のように優しくて。
それで・・・。
「何を考えているんだろう?」
シアナはラシードの声に目を覚ました。
あっという間に耳元が真っ赤になる。
(私は今、何をしていたの?)
皇太子の前でぼんやりと他のことを考えたことが信じられなかった。
慌てた顔を隠そうと、ふーん、ふーんと咳払いをするシアナを眺めていたラシードが口を開く。
「とにかく私の話を聞いたから、分かった?」
「え?」
「レイシスは母と母方の祖父の懐も抜け出せない弱々しい小僧だ」
「・・・」
「君が関心を持つ必要が全くない存在なんだ」
どこか尖った声にシアナは当惑する。
レイシス皇子の教育を引き受けることと、レイシス皇子が若造であることに一体どんな関わりがあるのだろうか。
シアナはまばたきをして言った。
「殿下の言葉のように弱い方なら、もっと考えてみなければなりません。私の小さな力でも必要な方かもしれませんから」
「・・・」
ラシードは眉をひそめ、頬を膨らませる。
世の中で一番気に入らない言葉を聞いたように。
(どうしたんだろう?)
ラシードがおかしいのは1日や2日ではなかった。
彼の行動にいちいち理由を考えても疲れるだけだ。
そのため、シアナはラシードがそうであろうと気にせず、口元を上げる。
徹底した業務用の笑顔だ。
「よく聞きました、殿下。おかげさまで十分な情報を得ることができました」
「・・・」
「話代は何にすればいいですか?」
ラシードは,彼らしくない顔でシアナを見て小さなため息をつく。
そして白旗を掲げた敗北者のように言った。
「お茶を淹れて」
シアナは優雅な身振りでお茶を注ぐ。
すぐにラシードの前に置かれた茶碗に湯気がゆらゆらと立ち上り始めた。
ラシードの顔はいつの間にか甘い香りにほころびていた。
ラシードは美しい芸術品に向き合ったかのように光惚とした顔で茶碗をすすりながら言った。
「どうも厄介なことに巻き込まれたみたいだね」
「・・・おそらくは」
「やりたくなければ断って」
「私は一介の下級侍女ですもの。そんな力はありません」
「じゃあ、私が手伝ってあげようか」
「殿下がですか?」
ラシードは目を丸くしたシアナに向かってうなずいた。
「これ以上君に迷惑をかけないようにしてあげる」
皇居に血の風が吹くかもしれない。
シアナは真顔で首を横に振った。
「お気持ちはありがたいのですが、丁重にお断りします。私の仕事ですから」
かわいい顔に似合わない断固たる声。
それでティーカップを持ったラシードは少し落ち込んでしまった。
レイシスに関する有力な情報はありませんでしたね。
ラシードの嫉妬も可愛いです。
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