こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は46話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
46話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 外伝
皇太子ラシードの一日は少し遅く始まる。
彼は朝寝坊だからだ。
「・・・うん」
どっしりとした瞼をやっと持ち上げて目を開けると、すぐに主人の気性に気づいた小さな動物たちがベッドの上に近づいてきた。
「キュ?」
「チッ!」
「チェク!」
「よく眠れた?」
ラシードは気だるげに笑って、自分を歓迎する子供たちを撫でる。
明るい日差しの下、彫像のようにがっしりとした体つきを半分露出した美しい男。
そして愛らしい三匹の動物。
まるで絵のような光景だった。
「殿下、お目覚めになったのですね」
部屋の外で待機していた護衛騎士のソルが部屋に入ってきた。
彼の手には洗顔用の水の入った皿と乾いたタオルが握られている。
ソルはタオルを水に浸してラシードに渡し、ラシードはタオルで簡単に顔を拭いた。
本来、このような仕事は侍女たちがするのが一般的だったが、ラシードはそのようなことを嫌っていた。
長い間戦場で過ごしたため、そのようなことが面倒だったためでもあり、暗殺の脅威のためでもあったからだ。
だから、いろいろ一人でやったほうが楽だった。
服を羽織るラシードを眺めながら、ソルは言った。
「今日の昼には御前会議があります」
「御前会議」という言葉にラシードは長いまつげを落とし、「はあ・・・」とため息をつく。
もううんざりだという表情だ。
本来、御前会議に出席して貴族といざこざするのは皇帝の仕事だった。
しかし数ヶ月前、皇帝が療養のために皇居を離れてから、そのことは皇太子の役割になったのだ。
「お父さんはいつ帰って来そうかな?」
ソルは瞬きしながら答えた。
「そうですね。皇后さまから送られてきた手紙を見ると、しばらく療養をしなければならないそうです」
今月も帰らなければ、皇帝と皇后が皇居を空けて半年になる。
ラシードは目を伏せて言った。
「療養というには長すぎるな」
「そうなんですよ。それでも皇帝陛下にはそこの空気がよく合うようです」
療養に行く前、皇帝は激しい頭痛のために日常生活が不可能なほどだった。
しかし皇居を去った後、日々状態が良くなっているという報告を受けている。
「それなら幸いだけど・・・」
ラシードは一言つぶやいたが、すべての準備を終えた状態だった。
ソルは思わず我を忘れて主人を見つめる。
体にぴったりの紺色の制服に小さな宝石が数百個剌さった真っ赤なマントをまとったラシードの姿はまさに圧倒的だった。
ラシードは傲慢な顔で言った。
「行こう」
ソルは気を取り直してうなずく。
長い机が並んでいる会議室には人々が座っていた。
帝国の名高い貴族一族の首長たちだ。
しかし、皇居の外では恐れることなく堂々としていた彼らは、緊張した表情を浮かべている。
会議室の中央、高い黄金の椅子に座っているラシードのためだ。
何かを言えば火のように怒っていた皇帝と比べると、皇太子は上品な方だった。
大声を出すこともなく、変な意地を張って貴族たちを怒鳴りつけることもなかった。
それでも・・・。
(こ、怖い・・・)
大臣たちは同じことを考えていた。
それもそのはず、鳥肌が立つほど美しい男は少し前まで戦場を残酷に走り回った存在だったからだ。
両手にどれだけ多くの血を付けたのか「血の皇太子」というニックネームがつくほどだった。
そのような皇太子が城に戻って皇帝の代わりに顔を出したのが半年目。
大臣たちはまったく皇太子に馴染めなかった。
気に障るとどうなるか分からない。
喉が飛ぶかも。
そう思い、大臣らは唾をごくりと飲み込み、覗線を交わした。
皇太子殿下の神経を逆なでしないように頑張ろう、という無言のメッセージだ。
貴族たちは椅子に座った皇太子を意識し、帝国の大小について情熱的に意見を交わし始めた。
その瞬間、ラシードの頭の中には一つの考えしかなかった。
(シアナは、何をしているんだろう)
二日前、ルビ一宮に寄ってシアナを見てきた。
別に話をしたわけではない。
ただシアナが注いでくれたお茶を飲み、短い話を交わした。
それだけなのに・・・。
(楽しかった)
不思議なほど。
(今日も行こうか?)
アリスがなぜまた来たのかと唸るだろうが、巨大なチョコケーキを一つ持って行けば静かになるだろう。
シアナは侍女のように微笑みながら(しかし目つきでは「いいかげんにしてくれ」と言っている)迎えてくれるだろう。
そして誰よりも優雅な身振りでお茶を淹れてくれるだろう。
その姿を思い出すと、ラシードの顔に笑みが留まった。
(いいよ。ルビ一宮に行こう。今日はアスティサンのダージリンを持って)
今やルビ一宮も昔のように窮乏していないので、高級茶葉が用意されていた。
それでもラシードはシアナに会いに行く前には、その日に飲みたい茶葉を持って行く。
ラシードの小さな楽しみだ。
そのように大臣たちの話を聞いていない時だった。
「レイシス皇子殿下は精神異常者のようですね」
ラシードは聞き慣れた名前に頭を上げる。
貴族の視線がすべて一方に向いていた。
ヴィルヘルム侯爵だ。
普段は皇妃の父だと言って首に力を入れていた侯爵は、彼らしくなくとてもいじけていた。
彼を見つめながら貴族たちが鋭い言葉を吐き出す。
「ショックなのは、今までそのような重大な事実を隠していたということです。まんまと」
貴族たちの言葉にヴィルヘルム侯爵がひび割れた声で叫んだ。
「みんな酷いね。私が一人一人を訪ねて説明したじゃないか!」
皇帝陛下にご心配をかけたくなく、真実を隠して皇子を直すために努力したのだ。
結局は皇子を直すのに失敗し、このように公開することになったが、そんな選択をせざるを得なかった自分を理解してほしいと。
(そう言ってお金まで握らせたのに・・・!)
いくつかの貴族には通じ合ったが、いくつかの貴族には通じなかった。
彼らには少しのお金も、同じ貴族として義理を守ることよりもっと重要なことがあった。
まさに皇太子ラシードによく見えるためだ。
(この機会にレイシス皇子を皇居から追い出せば、皇太子殿下の皇位継承を脅かす存在を一つなくしてしまうのだから、どんなに喜ばしいことだろう)
そこで貴族たちは大声で叫んだ。
「決してこのままではいけないことです。大事を隠したアンジェリーナ皇妃と皇妃の実家のヴィルヘルム侯爵家、そして申し上げる皇公であるが、レイシス皇子殿下にも適当な罰を与えて皇室の安危と名誉を守らなければならないでしょう」
皇太子殿下、私たちは殿下の味方です。
しかし・・・。
「知らせを聞いたお父さんもお母さんも何も言わなかったね。私も同じだし」
ラシードは口元を上げて話し続ける。
「ところで、どうしてこんなにみんな口数が多いのだろうか」
「・・・」
ラシードの一言に騒いでいた貴族たちは、冷たい水を浴びたように驚愕した顔をした。
(い、今皇太子殿下がレイシス皇子の肩を持ったのか?)
(一体なぜだ!?)
彼らの知る限りでは、ラシードは兄弟の誰とも手を組まなかった。
しばしば権力を握るために皇族同士が連合を結ぶ場合もあったが、ラシードにはそのようなことは必要なかった。
一人でも十分に残りの兄弟を下すことができたためだ。
そのようなラシードがレイシスの肩を持ったという事実は、貴族たちを当惑させた。
(皇太子殿下がレイシス皇子側と手を組んだのか?それとも、正常でない弟への同情なのか?)
ありとあらゆる意見が飛び交ったが、本当の理由は一つだけ。
レイシスがうまくいかなかったら、シアナは動揺するだろうから。
率直に言って顔も知らない弟はどうであれ関係なかった。
しかし、シアナが心を痛めるのは嫌だった。
たかがそんな理由だ。
しかし、波紋は大きかった。
貴族たちは今や堂々とレイシス皇子のことを話すことができなくなった。
皇子の後ろに皇太子ラシードがいるからだ。
固い顔の貴族たちの間にいたヴィルヘルム侯爵は座り込んでしまった。
(あの小さな侍女の言葉が本当だったんだ)
シアナはヴィルヘルム侯爵に話しかけた。
皇太子がアンジェリーナとレイシスを見守っていると。
あまりにも堂々と話すので、全くない言葉のようではなかったが、だからといって簡単に信じることもできなかった。
皇太子にはそのような理由がなかったからだ。
しかし、シアナの言葉は事実だった。
ヴィルヘルム侯爵は安堵感と同時に恐怖に襲われる。
(一体どうやって皇太子を味方につけたんだ?)
・・・とにかく皇居には当分来ない方がいい、娘の目に障らないように。
ヴィルヘルム侯爵は悲惨な決心をした。
ラシードの頭はシアナでいっぱいですね。
その感情は動物たちに向けている愛情と同じ?
ヴィルヘルム侯爵はしばらく大人しくしているでしょう。
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