こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は193話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
193話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ちび王子様の夏②
正面の石の壁を見上げる。
まずい、こんな時に恐ろしい不屈の近衛大将が現れるなんて!
「王子様? それにお二人の公子様、今は剣術の授業時間のはずですが・・・ここで何をされているのですか?」
私たちは何も答えられなかった。
すると近衛大将は苺鼻と鼻声の近衛兵を交互に見やった。
苺鼻が様子をうかがうような素振りを見せる間、ダニルは震え始める。
恐ろしい不屈の近衛大将は静かに耳を傾けつつも、私たちを鋭く見つめた。
その険しい目がきらりと光り、緊張感が走った。
震えが止まらなかった。
気がつくと、私とユリはお互いに手をしっかり握りしめていた。
どう見ても、この不屈の近衛大将と私の剣術の先生が兄弟であるという話は嘘のように思えた。
「ここは許可なく立ち入るべきではない場所です。それに・・・」
「・・・」
「授業をサボるようなことをすれば、叱られますよ」
「笑うな!」
隣で震えながらガタガタしていたダニルがピタッと静かになったのはその時だった。
あまりにも突然のことだったので、私は驚いてしまった。
ダニルはそのまま地面に両膝をつき、座り込んで泣きじゃくりながら、「自分を叱れるのは父さんだけだ!」とわめき始めたではないか。
近衛兵たちが何か声をかけようとしたが、彼の耳には全く届いていない様子だ。
喉が枯れて、顔が真っ赤になるまで泣き続けていた。
泣きじゃくる彼を見て、ちゃんと息をしているのかさえ心配になるような状態だった。
私も思わず顔が熱くなり、涙が出そうになるのを堪えている。
見ると、ユリも「もうやめて」と言いたげに拳を握りしめ、目に涙を浮かべていた。
「もういいからやめなさい、この泣き虫め!そんなことをしていたら、死ぬぞ!」
「そうだ!誰も僕たちに手を出せないんだ!なぜなら、僕は王子なんだ!」
そうだ。僕は王子だ。
でも、宮殿の秘密倉庫に入ることもできなければ、中を覗くことすら許されない。
美しい母上を支えながらも、父上に振り回されるような姿。
世界中で僕ほど不甲斐ない王子なんて、他にいるだろうか?
ダニルをなだめようと、勇気を出して声をかけたが、逆に自分の無力さを痛感してしまった。
「いや、王子様、王子様はどうか・・・どうか泣かないでください。お願いです、陛下が知ったら私たちは・・・」
横で聞いていたイチゴ鼻とコショウひげが何を言っているのかもよく分からなかった。
私たち三人は同じように歯を食いしばりながら泣きじゃくっていた。
怖い隊長は口を半開きにしたまま、じっと私たちを見つめている。
私は隊長が私たちよりも大きな声で叫ぶ準備をしているのだと思ったが、隊長はその代わりに鼻で笑いながらため息をついた。
「まあ、ちょっとだけ見せるだけなら大丈夫ですよ」
少しして私たちはひっそりと彼の後ろをついていき、秘密の書庫の中に入った。
コショウひげは外で見張りを続けていたが、怖い隊長の姿はどこかに消えてしまった。
何がどうなったのかはわからないが、ひとまず成功した。
心臓が喜びと興奮で再びドキドキし始める。
ほんの一瞬の出来事だった。
「これが宮殿の秘密倉庫?ただの古い本の山じゃないか」
ユリが小さく震えながら呆れたように言った。
私は自尊心がぐっと傷つく。
さらに、ダニルさえも小刻みに震えながら不満を漏らしているなんて。
「宝石みたいなものがぎっしり積まれているとばかり思ってたのに」
「宝石は宝石倉庫にあるべきでしょ。どうしてこんな書庫にあるわけ?この馬鹿たちめ!」
イライラして叫んだが、不思議なことに私の声が驚くほど大きく響き渡った。
私たちは揃って目を丸くし、前方のホイッスル音を聞いて身構え始める。
外で聞くよりも数倍、いや二倍以上も強く響いていた私のホイッスル音が、連続的に反響して大きな音を立てていたのだ。
「動かないでください」
空気が悪いせいか、いきなり苺鼻の男がぐったりして辛そうに見えた。
私たちは何とも思わなかったが、大人たちはどうしてあんなに敏感なのか理由がわからなかった。
とにかく埃っぽさと換気の悪さで、騒がしい状況に飲み込まれていた。
見るだけでも奇妙な光景だ。
「苺鼻さん、笛を吹いてもらえますか?」
苺鼻は笛を吹く代わりに、ぶるぶると手で頭を抱えながら奇妙な息をつき始めた。
ああ、やっぱり空気のせいだったのか。
無理なお願いをしてしまったなと思った。
少し申し訳ない気持ちになりながらも、ここに来た本来の目的を思い出し、彼を気にせず先に進む決心をする。
それにしても、秘密の地図は一体どんな見た目なんだろう?
「おい、あれを見て!」
笛を吹くのをやめて、キョロキョロしていたユリが指さした方向には、大きな机がぽつんと置かれていた。
私たちはそっとその場所に向かって歩き出した。
「うわあ!」
「これ、何?大人たちのいたずら?」
大きな机の上には、美しい庭園の模型が広がっていた。
まるでユリの苗場のような温室の入口が、模型の中に溶け込むように現れている。
庭の中には小さな木々や花々がたくさん並び、鉢植えも非常に多かった。
それなのに、どうして誰一人としていないのだろう?
「この扉、本当に開くのかな?」
「勝手に触ってはいけません・・・!王子様、そこは『水の庭園』の復元模型なのです!」
何だって?
走ってきた苺鼻を見て、私は耳を疑った。
『水の庭園』とは、母上の宮殿にある非常に大きくて神秘的な温室庭園のことだ。
冬でも非常に暖かく、花も多く、隅々まで綺麗に整えられている。
母上とそこを訪れて果物パーティーを開いた時の楽園のような思い出は、他に比べるものがないほど素晴らしかった。
「そんな馬鹿な!『水の庭園』はこんなんじゃない!」
「復元模型と言いましたが、上から見るとこのように・・・」
「復元模型って何?」
苺鼻の鼻が先ほどよりさらに赤くなっているのが見えた。
とにかく苺鼻は説明を始めた。
つまり昔々、私が生まれるずっと前、まだオメルタ家の公爵だったお父様が新婚の母上のために公爵邸の敷地内に水の庭園を作ったらしい。
ところが二人が王と王妃になることになり、それを宮殿に再現するためにこの復元島を作ったとか。
そんな話を披露する苺鼻がどういうわけか突然うれしそうに見えた。
反対に私は冷めている。
「何それ、そんな話があったの?」
水の庭園にそんな伝説があるなんて全然知らなかった。
母上はいつも水の庭園が一番美しいと言っていたけれど、そういう理由だったのか?
「ただ動かして植え直せばいいじゃない?」
意気揚々と鼻で笑いながらそう言う彼は、それ以上何も言わなかった。
彼は再び身構えながら周囲をきょろきょろ見回し始める。
何か探しているのだろうか?
「それで庭園をどうやって移して植えるの?」
ダニルが頭を傾けながらした質問を、私は無視した。
兵士が復元島について説明している間、ユリが一人で本棚を開けたり閉じたりしながら遊んでいたが、急に近づいてきて私の横腹を軽くつついたのはその時だった。
「出よう」
「でも、まだ・・・」
「もう出てもいいよ」
内緒話のようにささやくユリの瞳が自信に満ちて輝いていた。
すると、彼女は胸を軽くたたいて見せた。
まさか!?でも一体どうやって?
「もう行こうよ。あまり面白くないし」
「本当ですか?」
兵士さんは少し不審そうな目つきをしたが、それでも先頭に立って、もともと私たちが入ってきた扉へと案内してくれた。
その後、私たちは兵士さんと案内役の使用人たちに礼を言い、手を振って別れた後、急いで安全な場所を探し求めた。