こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
今回は63話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
63話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 手放してはならない手⑦
ああ、魔力を使いたい。
魔物を何匹か仕留めることができるだろうか。
問題は能力でも内力でもなく、四歳の身体の根本的な体力不足だった。
そうだ、四歳の赤ちゃんには寝る時間だ。
「魔王様、頑張ってください!」
代わりに戦ってくれ。
いつの間にか戻ってきて、嬉しそうに爪を研ぎながら前足で地面を叩くチョコを見て、本当にそう思った。
「はあ・・・。」
私は短く息を吐きながら再び魔物に向かって杖を振り回した。
「パキッ!」
「ポロン!」
急ごしらえの武器で、装飾だけはしっかりしたものだから、見た目はとても美しい。
動かすたびに華やかに輝き、効果音までついているので驚いた。
「はは、目が痛い。こんなことならもっと真面目に魔力を込めておけばよかった。他にも武器はあるけど、今の体力に合うのはこれくらいだった。」
「パキッ!」
「ポロン!」
数回杖を振るたびに響く鈍い音と効果音が一緒に聞こえた。
私はふと、周りの魔物が大挙して逃げていくのを悟った。
「はあ、疲れた。」
あまりにも疲れて声すらまともに出なかった。
その時、隣で私を守ってくれていた虎が「キュウキュウ」と鳴きながら私をしっかりと抱きしめてくれる。
挑んで期待を込めた。
「オルチオルチ、チャカダヤ。」
感謝の気持ちで虎の腹を思い切って叩いたら、私の子犬がびっくりして跳びはねた。
「魔王様、チョコですか!?チョコも一生懸命応援してここまで来たんですよ! チョコも褒めてください!」
そうしているうちに、私の腹の近くに来たマグがくっついてきて、私は残りの力でチョコの頭を撫でる。
「よくやった。」
「キャン!」
動物の森、チョコが名前を聞いて訪ねてきたその地には、本当に驚くべきものがたくさんあった。
魔力だけでなく。
どの程度さらに状況が悪化しているのか理解していたはずだが、今は奇跡に頼るしかない状態だった。
そして、もう本当に耐えられないと思いながら眠りに落ちるその時。
「私がこうなるなんて。」
私は思わず声を上げながら寝床から立ち上がった。
その状況を我慢できず、またしても動物たちの鳴き声が耳に響いたのだ。
久しぶりに平穏に戻れて良いものだ。
しかし、これが99回目の命の終わり際で、幼い身体に過酷な環境だなんて、とても耐えられるものではない。
最近はあまりに楽をしていたのだろう。
(魔力が戻るまで耐えきれないかもしれない。)
4歳の体力的限界を感じながら、その存在を示さなければならなかった、アナスタシア・エンデブラン。
「キャー!」
視界が揺れ、狙いが外れた瞬間、魔物が猛スピードで突っ込んできた。
ああ、もうどうしようもない。
一度くらいは攻撃を受けても死なないだろう——そう思いながら魔力を引き出そうとした瞬間、衝撃を受けた。
「赤ちゃん!!」
予期しなかった声とともに、矢が鋭く飛び、魔物に突き刺さった。
頭が一瞬混乱した。
(本当に、私は馬鹿だな。)
ただ生きているだけではだめなのに。
ぼんやりと飛び去るものを目で追いながら、目の前の魔物だけでなく、背後から近づいてくる他の人々の気配を感じた。
ミハイルと彼に続いてきた大空の騎士たちだ。
(過去の命とは違う!)
奇妙な感傷に浸っている場合ではなかった。
一人で全てを解決して生き延びるだけでなく、私を助けに来てくれる人々を待つのも一つの答えではないか。
私は再び魔物に向かって走り出し、素早く魔法の杖を突き刺すように放り投げた。
同時に、ミハイルの矢が光の筋を描いて魔物に突き刺さった。
その衝撃で魔物が弾き飛ばされるとともに、巻き上がる煙の中で私は魔法の杖とチョコの召喚を解除した。
(これならミハイルも気づかないだろう?セーフだよね?)
そんなことを気にする私とは異なり、しっかりと状況を見極めているミハイル。
「・・・赤ちゃん。」
少年は私を呼ぶのがやっとの様子だ。
ミハイルは馬から飛び降りて駆け寄り、震える手で私の体をぎゅっと抱きしめた。
「・・・また失ってしまうかと思った。二度と会えなくなるかと思って怖かった。」
震えるような小さな声でつぶやかれたその言葉には、私が気づけなかった感情が込められていて胸が痛んだ。
孤独に耐えてきた時間が終わったのだ。
ミハイルが連れてきた大公家の騎士たちは、どちらも卓越した技量を持つ者たちだった。
彼らは疲れを見せることなく連携した攻撃を繰り出し、現れる魔物を次々と倒していった。
魔物たちを一掃していった。
そして私は、
(まるで愛玩人形にされた気分ね。)
ほかでもない、ミハイル・レベンティスだ。
少年は騎士たちが魔物を片付ける間、私を決して離してくれなかった。
一体何がそんなに怖いのだろう。
(次は手や何かをそんなに強く掴まないでほしいものね。)
本当に強く握られたわけじゃないけれど、見守ってくれるつもりだったのかしら。
まあ、ちょっとした事件が起きてこうなったのだけど。
(実際、この状況もいろいろと疑問が多いわね。)
どうして父や公爵家の騎士団ではなく、ミハイルと大公家の騎士団がここに来たのだろう。
そして、なぜチョコが首都からここまでわざわざ十二日もかけてやってきたのか。
時間がかかったけれど、魔力封印が解ける前に到着したというわけか。
(でも、それじゃ完全に突っ走ってきたってこと?あの子に知らせてすぐ呼びつけたの?)
私が怪我をしなかったのは幸運だけれど、こうした出来事を全て後回しにするほど、ミハイル・レベンティスの状態が気になった。
私が心配そうに彼を見つめると、大公家の騎士が小さな天幕を指しながら提案してきた。
「お嬢様、私たちの若公爵様はかなりお疲れのご様子です。よろしければ、少し一緒にお休みいただけますか?」
「この近くに危険なものがまだいるかもしれないので、しばらく見回った後、すぐに出発する予定です。それまで少しだけでも。」
どういうわけか、彼らの方が切実な表情で話しかけてきた。
そのおかげで、私は一人で落ち着いて、初めて少し快適な場所で休むことができた。
(ミハイルの腕の中から抜け出せないこと以外はね。)
本当に、私を自分の愛玩人形だとでも思っているのかしら?
何か一言でも言ってくれればいいのに、ミハイルはただ、私が生きて動いていることが奇跡のようだと眺めているだけだった。
諦めて少年の腕に体を預けると、彼も安心したかのようなため息を漏らした。
「ごめん。」
何か言おうとしたら、出てきたのは謝罪の言葉だ。
私を愛玩人形のように扱ったことを謝っているの?それとも・・・。
(いっそこれが答えならいいのに。)
悲しいことに、私はこうした自己卑下的で否定的な感情を無視することができなかった。
(なんでこの状況を自分のせいだと思うの?)
違うよ、これは私が引き起こしたことだし、私が一部巻き込んだ結果だってだけ。
「ミハイル、どうして謝るの?」
「それは僕が・・・。」
「私だよ、ミハイルじゃない。深呼吸して、少し冷静になって話して。」
違う。君じゃない。
「いいから、一度くらいミハイルじゃなくて、ミハイルを困らせる相手に勇気を持ちなさい。」
私はわざともっと子供っぽく話した。
こうした話し方は、私の可愛らしい姉のおかげで慣れているからだ。
私の言葉にミハイルはしばらくの間、私を見つめた。
「子供なのに、なんでそんなに悲しそうなんだ」とでも言いたそうに。
複雑な感情がいくつも幼い少年の顔に浮かび、それが彼の頬を伝って流れていった。
唇を少し開いたかと思うと、私の手をしっかり握り、さらには私の髪をそっと触ったり、何かを考え込んで首を振ったりもしていた。
ため息のように息を吐きながら、彼は目を閉じて何かを飲み込むようにしていた。
それを何度繰り返しただろうか。
ようやく彼の腕から力が抜け、いつものミハイルらしい、少し控えめな微笑みを浮かべた。
「本当に赤ちゃんみたいだ。」
「え?」
「前から全部知っていながら、知らないふりをしてくれるんだね。」
しばらくしてから出てきた言葉がそれ?
私の心が少し空っぽになったように感じた。
それでも最後まで微笑みを浮かべていた。
少年の顔に浮かんだたくさんの感情の波よりも、この微笑みが好きだったから。
「え?それって何?」
滑稽なほど、これは今の君に必要なことだと思うよ。
何も知らずにただ夢を見ていると思ってしまう、そんな幼い弟みたいな存在。
(ずっと昔の私が、そんなふうに憧れていたときのように。)