こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は60話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
60話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 犯人は誰?
食材管理室は、これ以上ないほど穏やかだった。
ジャンヌはシアナの顔色を伺いながら静かに仕事をこなしていた。
以前は何かと文句を言いに来ていた人物も、もう姿を見せなくなっていた。
他の下級侍女たちも真面目に働いていた。
その中の一人であるソフィアが尋ねた。
「シアナ様、もうすっかり仕事に慣れましたね。」
「そう?」
「ええ。まるで何年もここにいらっしゃった方のようです。」
ソフィの称賛に、シアナはにっこりと微笑んだ。
一時的に配属された場所ではあるが、責任感を持って働いていたため、ソフィの評価が嬉しかった。
(これからも残された期間、頑張らなきゃ)
そう決意して、シアナは几帳面に食材の管理を続ける。
そんな中、シアナは一つの異常に気がついた。
「グレイス皇女殿下の宮殿からの食材の要請量が増え続けているわね?」
通常、各宮殿で必要とされる食材の量は一定である。
大きな人員の変化がないためだ。
(グレイス皇女殿下の宮殿も例外じゃない。皇女殿下お一人と、そのお付きの侍女や使用人を合わせて全部で26名。それなのに、数か月前から要請される食材の量が増えているなんて。)
現在では27人分の食事量といっても過剰なほどの量だった。
シアナは目を細めながら考える。
(まさか・・・誰かが食材を横流ししているのでは?)
その可能性は十分にあった。
このくらいの侍女や使用人たちの中には、主の目を盗んで皇宮の物品を横流しする者がいる場合もあるからだ。
もしそれが事実であれば、事態が大きくなる前に犯人を見つけなければならない。
それもまた、中級侍女として自分の管理範囲の責任である。
シアナはグレイス皇女の宮殿に向かった。
シアナが最初に会ったのは、グレイス皇女の宮殿に仕える侍女の一人であるビビだった。
「どのようなご用件でお越しになられたのですか?」
シアナはビビに丁寧にお辞儀をし、挨拶をした。
「私は食材管理室を担当する侍女シアナと申します。ですが、私がここに来た理由はそれだけではありません・・・。」
シアナから話を聞いたビビは、眉をひそめた。
「つまり、我が宮殿が要求している食材の量が多すぎることを調べに来られた、ということでしょうか?」
「その通りです。」
シアナはビビが冷静でいる様子から、彼女もまた正確な判断をする人であると感じた。
結局、良い知らせを持ってきたわけではなかったのだ。
しかしビビは、「そんな馬鹿げたことを調べに来たならすぐに帰れ!」などと怒り出すことはなかった。
代わりに、真剣な表情でシアナに向き直り、こう語った。
「本当に良く来てくださいました。実は私もおかしいと思っていたんです。」
「・・・!」
ビビの反応にシアナは目を大きく見開いた。
「変だと思う点といえば・・・。」
「最近、皇宮内の食料品が次々と消えていくんです。食卓に並べる果物やパン、肉類はもちろん、来賓用に用意したデザートまでが全く消えてしまうんです!だからこそ、要求される食材の量が増えるのも当然ですよ。」
「・・・盗賊がいるということでしょうか?」
ビビは鋭い表情でシアナに丁寧に頭を下げた。
「その通りです、盗賊!それも非常識なまでの食材の盗難です!」
「盗賊が外部の人間である可能性はありますか?」
ビビは首を横に振り、そんな可能性はないと言うように答えた。
「ありえません。皇宮に侵入するのは困難ですし、ましてや最も奥まった厨房にまで外部の人間が足を運べるはずがありません。それに、こんなことが頻繁に起きるなんて・・・。」
「事態が起きるのを見越して、私は食べ物を料理場に隠しておきました。でも、それをどれだけ器用に見つけ出して食べ尽くしているのか分かりません。どうやら内部の人間の仕業のようです。」
シアナが懸念していた状況だ。
シアナの眉が下がる。
「そうであれば、この先も犯行が続く可能性が高いですね。一刻も早く犯人を見つけなければなりません。」
ビビは待っていましたというように言葉を続けた。
「実は、犯人として疑わしい人物がいるんです。」
「誰でしょうか?」
「三か月前にここに入った下級侍女です。彼女は背が非常に高く、体つきはがっしりとして力強い、まるで熊のような見た目で、力は黄牛のように強いそうです。」
「・・・。」
シアナは妙な不安を感じた。
(その説明、どこかで聞き覚えがある気がする。)
ビビはさらに言葉を続ける。
「表向きには人前で控えめに食べているように見えるのですが、実際にはこっそり全てを食べ尽くしているそうです。確かにその侍女が食べ物を盗み食いしているのは明らかです。」
「・・・その侍女の名前は?」
ビビが確信に満ちた声で答えた。
「チュチュです!」
シアナは驚きで息を飲み、顔がこわばった。
「すぐにチュチュを連れてきて罪を問いただす必要があります。宮殿のパンや肉、果物や苺を守るためにも!」
「・・・。」
目を細めて不満げなビビに対し、シアナが話した。
「侍女様のお話はよく分かりました。ただし、罪を犯したかどうかも分からない状態で、このような件に巻き込まれただけで疑われた侍女が処罰される可能性もあります。宮殿を混乱させるような理由だけで処罰されるのは避けたいです。ですので、もう少し調査を進めさせてください。」
「まあ、でも彼女が犯人に違いないんです!」
ビビは声を張り上げ、チュチュがどれほど疑わしいかを情熱的に訴えた。
しかし、シアナの目は揺るぎないものだった。
それを察したビビが言った。
「分かりました。それでは、他の侍女たちを呼んで話を聞いてみてください。きっと皆、私と同じことを言うでしょう。」