こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
69話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 一年の最後の日
「ああ、やってしまった。」
男性の嘆き声が最後に聞こえた後、私は夢の中から無理やり目を覚まし、鈍くなった身体を震わせた。
馬鹿げた話過ぎて、私も無意識に手を出してしまったんだろうね。
そのまま彼に向かって、派手な魔法を投げつけてしまったおかげで、これから彼に会った時、どう対応すべきかが分かったのは良かった。
確かに何度も会ったからかな?
最初に夢の中で彼を見たときは何もできず、ただ無力に振り回されていただけだったが、今ではまともに対抗できるようになった気がした。
おや、でも思ったより体が軽いな。
それにしても、自分のベッドの近くに家族が集まっているという予想は外れた。
もちろん、大事になっていると思っていたから、みんなが心配しているだろうと思っていたのに。
……私、今寂しいの?
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
少し前に見た気味の悪い夢の中で、兄の姿を見たせいで余計にそう感じるのかもしれない。
最初の人生での家族のことを思い出すだけで、何となく物悲しくなると言ったらいいのか。
いや、その記憶が少し切なくなる一方で、どこか温かさも感じるのは確かだった。
そう考えながら、ふらふらする身体を奮い立たせようとした瞬間、自分の傍らには何もないことに気づいた。
ん?何だろう。
妙な感覚に駆られ、私は魔力で周囲を探り始めた。
少しして、慎重にドアが開いた。
「……お父さん?」
到底予想もしなかった親しい姿に、私は恐る恐るそう呼びかけた。
すると、薄暗い中からその人影がすぐに近づいてきた。
「おやまあ、うちの坊や。お父さんがちょっと席を外している間に目を覚ましたのかい?」
「はい。」
そう答えながら、私も知らず知らずのうちにお父さんの腕に手を伸ばしていた。
お父さんの口から嬉しそうな笑い声が聞こえてきた。
「うちの末っ子、起きた時に誰もいなくて、さぞかし怖かっただろう?」
「いいえ、大丈夫です。」
本当に怖いわけじゃなかった。
ただ、お父さんの姿を見た瞬間、知らず知らずのうちに懐かしい温もりを感じていたのだ。
「こういう時はただ大丈夫だって言えばいいのに、うちの娘は心配をかけたくないって……」
そう呟いたお父さんの声が、次第に震え出すのが聞こえた。
「……こんなに小さな娘が、どうやってあんな恐ろしい場所で頑張って耐え抜いたのかね。」
「……」
涙もろいお父さんが、その日はさすがに泣かないよう頑張っているらしい。
それでもついに涙が溢れてしまったようだった。
自由……
夢の中であの男と話している時とは異なる感情が、次第に湧き上がってきた。
どうやら、あの男が言う「自由」とは、どう考えても「転生の終わり」を意味しているようだ。
そして、それが「繰り返されることがなくなる」ということを示しているらしい。
自由を取り戻せば……
それは、絶望の瞬間さえ訪れなくなるということだろうか。
どうやら、あの男はそう言いたかったようだ。
自分は元々、別の世界で生まれるべきだったんだ。
ならば……
ここには絶望の瞬間が訪れないのかもしれない?
そう考えてみると、この場所は他のどんなところよりも特別な場所のように思えた。
はるかに穏やかな場所ではないだろうか。
もちろん、これもいつ何が起こるか分からない絶望が潜んでいる場所かもしれないが。
もしそうだとしたら。
今回こそ、この場所で二十歳以降の人生を夢見ることができるのではないか?
自分がいなかったことを父がこんなに悲しんでいる姿を見た。
ならば、これからもっと多くの時間を共に過ごした後に別れることになったら……?
たぶん、私はまた崩れ落ちてしまうのだろうけど。
それは親たちも同じではないだろうか?
私は父の首をぎゅっと抱きしめながら、軽く答えを返した。
ただ一つ確かなのは、あの男にも聞いてみなければならないということだけだ。
国王に対して民衆が恐れを抱いているのは本当に滑稽なことだな。
食べても私が作った料理だし、大したことはないだろう。
悪くない気がした。
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どうにかして私はかろうじて意識を取り戻した。
その間、両親は大臣や国王の後始末をしていた。
体調を回復するやいなや、私の話を集めて聞き始めた私は、完全に呆れてしまった。
本当に大したものだよ、あの兄貴は。
国王は病床に伏していた。
しかも、今は年が明ける新年の時期を迎えていた。
それなのに…。
国政の空白が全く感じられないなんて!
本当に驚くべき能力だ。
しかも両親の業務も一切減ることがないというのが一番驚きだ。
一体、両親は普段どれだけ多くの仕事を代わりにしていたんだ?
そんな状況でどの面下げて両親に文句を言うんだ?
本当にどうしようもない奴だ。
国王ルキウスの生涯を知ることになった私は、内心でこれ以上ないほど彼を罵倒した。
黙っていれば、新年の無礼講の際に口に卵を混ぜた生半熟のパンを突っ込もうとしたなんて。
なんて面倒なことだ。
課題を少し後回しにする必要があるみたいだ。
もちろんその前に、あの馬鹿野郎にもう一度会わなければならないが。
やっぱりこういう時には現れないものだ。
私を縛り付けていた力はすべて壊れてしまったが、発信者表示制限だけは依然としてしっかりと維持されている。
ただし、私は特に心配はしていなかった。彼が言っていたじゃないか。
『初めての出会いは特別で大切にしたい。』
つまり、夢の中で出会ったことは彼の立場では本当の出会いではないということだ。
実際に私の目の前に現れることが、本当の出会いだと彼は既に宣言していたも同然だ。
だからといって、急ぐ必要はない。
原則を曲げるのは自分の役目ではないと悟った。
代信官があれほど華々しく仕事を片付けた後、宮殿内ではさまざまな噂が飛び交い始めた。
当然と言えば当然だが、その中で一番の話題の中心は私だった。
策略を練って事件を起こしたのだから。
しかし、私が予想もしなかった方向で噂が流れていた。
私はミハイルの噂が変わることを願っていたのに……。
私は彼がさらに「両親の事故によって拾われた子供」という汚名をかぶることがなければと願った。
幼い頃に両親を失っただけでも辛いのに、自分が望んだわけでもない立場にいるなんて。
「烙印」という言葉をどうしても聞き続けなければならないのか。
ミハイルをあれほど巻き込んだ代信官がさらに罪を犯したことを堂々と明かしたのだから、そちら側も皆、誤解だと思うに違いないと思っていたのに。
正直、そちらはすべて判断保留状態だとはね。
聖国がまだ何の返答も送ってこないためだ。
首都代信殿所属の信官たちも沈黙を守っているだけだった。
だからこそ、貴族たちは公の場で明言するのをためらっているのだろう。
宗教関連の伝統的に慎重な法だったからだ。そんな理由で。
「どう見ても、末娘の公女様には特別な力があるようですね?」
「そうでしょう!きっと英雄になれる方じゃないですか?だって、名前も英雄アナスタシア様から取ったって言うじゃないですか。」
「可能性はありますよ、テクラ公主様の娘様でもありますし!」
「ああ、何ということでしょう。私はまだテクラ公主様の昔の姿を思い出すと胸がドキドキします。新聞に載った公主様の絵を切り抜いて集めたりもしたんです。」
「私もですよ!戦場では一度に敵を一掃したと有名じゃないですか。」
「ほほほ、それなら私たちは、どうやら新しい英雄の最初の活躍を目にすることになるかもしれませんね!」
自分の名前だけが浮き上がって騒がれることに少しわくわくした。
もともと、望む噂を広めるのは簡単なことではないけれど。
人間的に、この国の貴族たちはあまりにも平凡すぎるのでは?
この世界に生まれて3年が経ったけれど、いまだにこの異様な雰囲気に馴染めていない気がしている。
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あとどれだけ時間が残されているのか、首都のこちらこちらでチョコを配り耳を傾けてみても、特別な話題は聞こえてこなかった。
時期的に考えれば、聖国からの反応も新年が過ぎてからようやく届くのではないかと思われた。
すぐに反応がなかっただけでも、少しは安心だね。
正直に言えば、聖国の内情がどうなっているのか知ることはできなかったので、多少心配はしていた。
もちろん、生まれたばかりの頃のように、すべて自分が解決しなければならないとは思っていなかったし、両親を信用していないわけでもなかった。
それでも、気になるものは気になるってことだね。
しかし、本当に深刻な事態だったら、少なくとも警告くらいは送ってきたはずだと思うと、少しは気持ちを落ち着けてもよさそうだ。
パラサンの祭りにせよ、国王にせよ、物理的にも安定した状態にあるのだから、しばらくは周囲が静かだろうと安心していた。
そして、一年の最後の日。
本当に予想もしなかったことが起きた。
激しい暴風が激しく吹き荒れる中、公爵邸を訪問した。