こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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5話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ⑤
『私は一体なぜあんなことをしてしまったんだろう……。』
今日も朝目を覚ますとすぐに、暗い過去の記憶が蘇り、枕に顔を埋めたまま深くため息をついた。
それでも体を引きずるように起き上がり、メイドが用意してくれた朝食を食べ、何とか普段通りのルーティンをこなした後、短い散歩に出ることにした。
逃げ道を把握するために、私は毎日少しずつ庭園を歩き回りながら、様々な場所を探索していた。
そして今日たどり着いたのは、偶然見つけた庭園の中にある椅子だ。
「おや?君、あの子だよね?当主様の前で泣いていた子だろ?」
私より少し年上に見える少年が、ボールを片手に持ちながら、鼻先に顔を近づけて話しかけてきた。
「……いや、泣いてないし。」
「何言ってんのさ。あれくらい泣いたってことだろ?それで、ここで一人で何してるんだ?」
「……別に。」
私はベンチに座ったまま、曖昧に返事をする。
「そう?退屈してない?一緒に遊ばない?」
近くにいた少年がそわそわした様子で手を差し出してきた。
思いもよらない提案に、私は目を丸くした。
昔も今も、誰かの友達と遊んだ記憶なんてほとんどないのに。
子どもの体に入ったからといって、心まで子どもになったわけではないのに、嬉しさで胸が高鳴った。
「それでもいいの?」
「もちろん……」
素直な笑顔で笑うその少年の顔は、とても無邪気だった。
その雰囲気が一瞬で野蛮な感じに変わる。
「ダメだろ?」
少年が私の肩を軽く押した。
椅子に座っていたせいで、少し体が揺らされたけど、大して痛くはなかったが気分は悪かった。
「なあ、うちの母さんがいつも俺に言うんだけど、知ってる?親がいない奴とは遊ぶなってさ。で、お前、親いないんだろ?」
「……」
「おい、ケイレン。何してんだ?」
「こいつ、俺たちと遊びたいってさ、付きまとってきたんだよ。」
私、いつそんなこと言ったっけ。
自分が仲間に入れてやると言ったくせに。
胸が苦しく、悔しい気持ちが湧いてきた。
「何なんだよ?」
「ああ、あの子だよ。今回の会議の時泣いてた子。」
「ああ、あの子か。」
近寄ってきた子供たちが私を取り囲み、身動きすらできなくなった。
「おい、放っておけよ。あの子、家もなくてここを借りて住んでるんだろ?家もない奴とどうやって遊ぶんだよ。母さんと父さんが言ってたけど、家のない奴とはレベルが違うから遊ぶなってさ。」
「……」
すると、私を押していた子が少し引いて、私を見つめてきた。
「お前、親もいないし、家もないし、名字もないし、友達もいないよな?一体何があるんだよ?」
明確に私のトラウマを突き刺す言葉。
人前で嘲笑する言葉に、拳が震える。
『我慢しなきゃ。』
拳をギュッと握りしめて耐えていると、誰かが私の頭をトントンと叩いた。
『でも、我慢して何になるの?』
ふと浮かんだ考えとともに、私は体を動かした。
あの嫌な顔を一発殴り、髪を掴もうと手を伸ばしたが、この子供がすぐ後ろに逃げながら、皮肉な笑いを浮かべた。
「お前が俺を殴るなら金を払えよ、わかった?俺の母ちゃんが言ってたけど、殴られたら慰謝料をもらうんだってさ。」
その言葉に反射的に手がピタリと止まる。
この小さな奴が吐き出す一言一言が腹立たしかった。
これは悪意だ。
プツンと、理性が切れる音が聞こえた。
我慢して大人しくしているのは苦手で、この悪意をそのまま飲み込んで受け流す性格でもなかった。
弱い姿を見せるのは嫌だ。だからいつも笑ってやり過ごすか…
むしろ犬のように問い詰めた。
「お金もないくせに。」
「……って。」
「何?」
私は近くにあった自分の顔ほどの大きさの石を掴み、それを握りしめながら突進して冷酷に投げつけた。
「何だって!!!」
そう叫びながら振り返りつつも石をそのまま奴らに投げつけた。
ゴンッ!
鈍い音が響いた。
もちろん、その顔ほどの小さな石は遠くへ飛ばすことができず、自分の鼻先に落ちてしまった。
力強く石を投げても、奴らの近くまでは到底届かなかったのだ。
それでも、奴らはその様子に驚いたのか、「うわっ!」という妙な声を上げながら後ずさりする。
「親の遺伝子が君たちみたいな性格なら、親がいないほうがマシだ、このバカども!!」
「おい!お母さんに全部言いつけてやる!」
「私も……!」
「おい、行こうぜ。なんだか可哀想だし。」
なんだか悔しそうな言い方だった。
「うちの兄が言ってたんだけど、元々何も持たないやつってのは、自分の命以外は何を失っても平気なんだってさ。」
その言葉にうろたえたのか、私を取り囲んでいた子どもたちは、瓶の爆発音を避けるように後ずさりした。
私は遠ざかっていく子どもたちを見ながら、小さく拳を握りしめた。
「そして、損害賠償だ、このろくでなしども!」
むきになったのか、石を握った手がわずかに震えていた。
その力は壊れる寸前のように見えた。
「私が一日一つの歯を抜くと思うのか?」
はぁ。
私は手の甲で熱くなった目元を軽く押さえながら、ゆっくりと椅子に腰を下ろした。
そして、込み上げる悔しさをなんとか抑えるように唇を噛みしめる。
「大丈夫。」
腰に手をそっと当ててみた。
「なんだか気まずいな。」
このどうしようもない気まずさを紛らわせようと、ひとり言をつぶやきながら冷静を装おうとした。
『前世でも私はどれほど悪運で押しつぶされていたことか。』
こうしたことは一度や二度ではなかった。
・
・
・
前世の私は高貴な家柄の令嬢として生まれ、その家で疎まれる存在であることは明白だった。
さらに最悪だったのは、母が私の後に弟を二人も産んだことだ。
まず私を産んだ後、祖母と祖父の冷たい視線を受けていた母は、弟を産んで初めてまともな嫁として認められ、江南の高級地にあるアパートを与えられた。
【おい、君は恥ずかしくないのか?こんな学校でそんな服装をして歩くなんて。】
【お前がそんなだらしなく振る舞うから、俺たちが同じ血筋だと見られるんだぞ!こんなのが姉だなんて、本当に恥ずかしい、XX。】
【XX、この姉野郎が。俺の目の前に現れるな!】
家の中で嫌われ者のアヒルの子が生まれるのは、ただの偶然ではなかった。
それは、権力を持つ誰かが権力のない誰かを無視し、軽蔑した結果でしかない。
男子用として作られたのが明らかに分かる質素な服、今にも破れそうな制服、そして持っているお小遣いは弟たちとは比べものにならない雀の涙程度だった。
それでも家は江南にあり、学校の学区も良い場所だった。
良い学校に通うようになると、私はますます周囲の注目の的になった。
最初は些細な差別だった。
食事をしても、美味しい部分はすべて彼らのものとなり、相対的に味の落ちる部分が私に回ってきた。
新しい服を買っても、私のものはなかった。
高価で良いものはすべて弟たちに行き、私は彼らが飽きた服を着るしかなかった。
父は無関心で、母も私を顧みなかったため、幼い弟たちは私が「無視しても良い存在」だと悟った。
上下関係を理解し始めた子どもたちは、さらに私をいじめ始めた。
冬には、外に放り出されて寒さに震える私を、ただ見ているだけだった。
お金を奪われたり、図書室の隅に閉じ込められた様子を撮影され、それが学校のグループチャットに広まったこともあった。
私も黙っているだけではなかった。
「お前、今俺を殴ったのか?お母さん!姉ちゃんが俺を殴った!」
「何?見せてごらん。世の中に傷が……来週おばあちゃん家に行くのにどうするのよ、さあすぐ病院に行こう。チャミソ(※名前)!すぐ部屋に入って、正座して手をつけ!戻ったら見てやる!」
しかし、そのたびに家族たちの態度にどれほど苛立ったことか……。
・
・
・
「もう、考えるのはやめよう。」
少しずつ晴れない気分になり、私は頭を振った。
「そうだ、砂糖だ!」
マイラが後でおやつに食べようと持ってきた砂糖を、ポケットから取り出して口に入れた。
甘いものが口の中をいっぱいに満たして、気分が良くなった。
じっと座っていると、どこからか白い猫がぴょんと跳ねて、慣れ親しんだベンチの椅子に座った。
私は思わず口元から笑みがこぼれるのを抑えきれず、笑ってしまった。
「こんにちは、猫ちゃん。」
「にゃーん」
私の呼びかけに応えるように、長く鳴いた白い猫はパンを丸めるような姿勢をとり、目を閉じてしまった。
私はそっと猫のそばに少し近づく。
ふわふわの毛とその柔らかい体の温もりが感じられた。
「猫ちゃん、私と友達になる?」
昔から動物が好きだった。
動物は、私が持っているものが多いときも少ないときも、いつも同じように接してくれる。
私がしてあげた分だけ、動物も私に返してくれた。
「私が絶対に友達を欲しいわけじゃないんだけど……。ただ、たまにこうして座って話をするだけでもいいかな。それで、どうしてここに来るの?」
「にゃーん」
猫が再び長く鳴いた。
私が撫でてあげると、とても気分が良さそうな様子だ。
「さっきの犬たち、本当にお母さんに言いつけたりしたらどうしよう?」
もし損害賠償でも求められたら、ミレル公爵の耳にも入るかもしれない。
『ひょっとして、お金を全部奪って行けなんて言われたら……』
強がりはしたものの、現実的な問題を考えると、ため息がふっと漏れた。
猫に対して些細な判断や考えをする自分自身に、少し気が重くなった。
私が撫でるたびに、猫は体をすり寄せてきた。
ゴロゴロと喉を鳴らしているのは、気分が良い証拠のようだ。
「猫を飼いたいな。」
寂しい時に動物がそばにいると良いと思っていた。
別館はとても広いから、猫一匹くらいなら飼ってもいいんじゃないか?
「ねえ、一緒に暮らさない?」
私はベンチから飛び降りて、猫を抱きしめようとした。
「ミャー!」
しかし猫は、私が面倒くさいと思ったのか、私を避けるように飛び降りて水辺に向かっていった。
「ミャー!」
「にゃん!」
「ミャオ!」
すると、水辺から子猫たちが顔をぽんぽんと出してきた。
白い猫はその場で立ち上がり、ちらりとこちらを見上げた。
『本当に分かっているわけではないだろうに。』
まるで本当に言葉を理解しているかのように見えた。
もしかしたら、私が勝手に思い込んでいるだけかもしれない。
「ああ、家族がいるんだね?」
それなら仕方がない。
私は再びベンチに腰を下ろし、笑いながら手をぱたぱたと振った。
白い猫は子猫たちを何度かグルーミングして、子猫たちを連れて再び水辺に消えていった。
「私のペットじゃないんだ。」
私は頭を振った。
昔のことを思い出して、少し憂鬱になったようだ。
「マイラのところに行こう。」
何か甘いものでも食べれば、気分がすぐに晴れるかもしれないと思った。
私はベンチから飛び降り、足早に別館へ戻った。
まさか、そのすべての様子を見守っている人がいるなんて、予想だにしていなかった。
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