こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は27話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
27話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- マダム・ド・プランローズ
呆れてエレナを見上げていたレンが、突然笑い出す。
「悪くない」
恥をかいたにもかかわらず、彼は怒りの表情を浮かべずに立ち上がった。
「またな」
レンは手を振ってエレナから遠ざかる。
そして、自分の行く手を阻む令嬢に「どけ」と怒鳴り、彼本来の姿も見せることを忘れなかった。
エレナを目を白黒させながらリアブリックの姿を見つける。
ある程度距離がある事を確認し、彼女は急いである人物を探した。
(見つけた)
口元が上がる。
(マダム・ド・プランローズ)
優雅の極み。
レディーの中のレディー。
貴族の標本。
驚いたことに、これらの名称は全て彼女一人に付けられていた。
お世辞を軽蔑し、正直で礼儀作法を重視する彼女は、社交界の象徴と呼ばれている。
派閥を作っていないにもかかわらず、数多くの令嬢たちが彼女を慕っている。
彼女は名実共に社交界を代表していた。
(あなたから欲しいものがあるの)
- 過去の後悔
エレナは体を翻し、リアブリックとは反対側に歩いた。
「・・・!」
当然、自分の元に戻ってくると考えていた彼女は慌てた。
(一人になるなと言ったはず!?)
さっきのレンの状況はどうしようもなかった。
特に事故もなく済んだようで安心していたのだが・・・。
彼女は慌ててエレナの元に向かおうとするが、それは容易ではなかった。
会場が大きすぎて、反対側まで遠すぎたから。
そしてもう一つの障害。
「リアブリック子爵、お元気でしたか?」
「レディー、失礼でなければお話を」
何とかして大公家の実力者リアブリックとコネを作ろうとする貴族たちの障害。
一方のエレナも令嬢たちに囲まれて賛辞を受けていた。
「公女殿下、素晴らしかったです」
「私も公女殿下のように上手く踊れるでしょうか?」
「将来の社交界を導かれるのは、公女殿下に違いありません」
(昔は私も彼女たちのお世辞に喜んでいたわね・・・)
彼らにとってベロニカ公女は遥か遠く、手が届かない頂上にいる貴族。
彼女を中心に社交界が回ると言っても過言ではなかった。
(すべて無駄なことだったのに)
エレナは物心つかなかった過去の時代を後悔した。
あの時、自分の虚像と虚栄心に酔っていなければ、あれほど惨めに利用され殺される事はなかっただろうから。
(止めよう、昔を後悔するのは)
込み上げてくる感情を落ち着かせる。
もう少し遅かったら、目元から涙が溢れていただろう。
(前だけを見よう。前だけを)
今この瞬間を無駄には出来ない。
エレナが密かな笑みを浮かべると、令嬢たちは言葉を続ける自信を失う。
逆らえない微笑だった。
文句の付けようのない優雅な歩き方をすると、何重にも取り囲んでいた令嬢たちが道を空ける。
そしてある貴婦人の前で、エレナは立ち止まった。
「いつか挨拶を交わしたかったのですが、それが今日のようですね。こんにちは、マダム・ド・プランローズ」
- マダムの真実
エレナはとても優雅にスカートの裾を持ち上げながら頭と腰を軽く下げた。
お礼の手本といっても過言ではないくらいの完璧な所作。
「私もご挨拶出来る日をお待ちしておりました。公女殿下」
突然のエレナの挨拶に戸惑う様子もなく、マダム・ド・プランローズは上品な物腰で挨拶を受けた。
単なる挨拶のはずなのに、周囲からは感嘆の声が上がる。
「マダムと呼ばれるのは本当のようですね」
「身に余るお言葉でございます。公女殿下はまだ幼い年齢であるにもかかわらず、気品に溢れていますね」
「まだ不十分です。気持ちとしてはマダムに教えを求めたい気持ちです」
エレナの動作を鷹の目で観察していたマダム・ド・プランローズは内心で驚いていた。
全ての動作が完璧で、お手本にしたいと思ったから。
「公女殿下の頼みを、どうして私が無視できますか」
「礼法だけが貴族の徳目なのでしょうか?私は、マダムに貴族の節操について学び、討論をしたいと思っています」
エレナは節操という言葉に力を入れて話した。
その意味を知るプランローズが見逃すはずがなかった。
「節操とは・・・?」
「私はマダムのつま先にも及びません。マダムこそ節操を貴族の物差しだと思う方じゃないですか?」
「・・・」
プランローズの目に僅かな動揺が見えた。
「どうして不安そうな表情をされるのですか?節操の象徴と呼ばれる方が・・・」
エレナは笑いを抑えるのに必死だった。
マダム・ド・プランローズと、彼女の夫ロンド伯爵の婚姻物語は、諸国民なら知らない人がいないほどロマンチックな物語。
西武の草原部族との戦争に出たロンド伯爵が死んだという知らせに、マダム・ド・プランローズはガイア教団を訪れ、再婚せずに一生を夫の死を追悼することを誓った。
しかし、数年後。
死んだと思っていたロンド伯爵は奇跡的に生きて帰ってきた。
彼は両足を失っていた。
マダム・ド・プランローズは、「無事に生きて帰ってきてくれただけでも感謝します」と述べ、二人は夫婦として生きていた。
彼女がレディーの中のレディーとして称賛されたのは、それだけの犠牲があったから。
皇室ですら彼女の情操と節操を褒め称えて「マダム」という称号を直接下した。
しかし、誰が考えていたのだろうか?
彼女には人知れず会っている男がいる事を・・・。
マダム・ド・プランローズのスキャンダルは、今から3年後の帝国を騒然とさせる。
彼女が一介の使用人と数十年間姦通しているという事実が知られたのだ。
ある侍女によって。
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