こんにちは、ピッコです。
「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

92話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 告白
「もう、花が咲いてきたんですね、時間が本当に早い。」
「その間にもいろいろなことがありましたよね。」
「今年も景色を楽しめるなら、もう3回目ですね。」
「……今年も?」
疑問を抱くグレンの声に、ナディアがその視線を移した。
「私は毎年、ハンナたちと一緒に花を見に行っていたんですよ。」
「え?」
「覚えていませんか? グレイス夫妻の音楽が流れていた日、あの花が咲いた日です。花見をしていたんですけど、私が城を出るために名前を呼ばれたって。」
「あ……」
それを聞いたグレンの口からは、小さなため息が漏れた。
母親の心配と父親の健康に対する気配りで、忘れていたことを思い出した。
彼は顔をしかめながら言葉を続けた。
「その年も見られるとは思わなかった。」
「私のせいです。彼女たちが忙しくて、夜には帰れないので、私の為に遠回りして花見に行っていました。天年の木の花を見ながら、願い事をしたいじゃないですか?」
ナディアは彼女たちが可愛いと言ったように、少し笑った。
「あの子たちは、私が本当に後輩を愛していることを知っているでしょう。」
「……それで、ハンナたちと一緒に景色を見に行った時、願い事をしたのか?」
そして、グレンの表情はどこか不安げに見えた。
「はい、お願いしました。」
「な、何をお願いしたんだ……? まさか、私に告白するような嘘じゃないだろうな。」
「私の復讐が成功するようにお願いしようと思ったんですが、『愛に関する願い以外は叶えられない』と言われたんです。だから、あなたの幸せをお願いしました。」
「私の幸せ?」
「いつかあなたの愛が成就することを願って。私と離婚したら、新しい方と結婚なさるでしょう?」
そう語るナディアの表情はどこか寂しげだった。
大貴族家の家長として後継者が必要になる時が来れば、新しい公爵夫人が現れるだろう。
その時にはグレンも、他の家臣たちもみな彼女を公爵夫人と呼ぶことになるだろう。
しばらく沈黙していたナディアが再び口を開いた。
「ウィンターフェルで経験したことは、一生忘れることができません。これは冗談ではありません。」
「……」
感動を与える言葉だったが、グレンの反応はなかった。
信じていないのだろうか? 少し悲しげな表情を浮かべたナディアが彼を見つめた。
表情を少し緩めると、グレンが口を開いた。
どこか低く静かな声だった。
「ところで、その願いについてだ。」
「はい?」
「少し前後が合わないような気がするんだが。」
「……?」
「俺の愛が叶うためには、離婚できない。お前は一生ここで暮らさなければならない。」
「何ですって?」
「俺が愛する女性と幸せを築くには、お前が一生俺と一緒に暮らさなければならないということだ。」
「……」
その言葉の意味を理解するには、少し時間が必要だった。
ナディアは酔いのせいで回らない頭を無理やり動かそうとした。
自分と離婚しなければ、グレンは一生自分と夫婦として過ごさなければならない。
『でも、それが愛が成就する方法だって?』
え。
ええ?
「ええ……?」
ナディアは喉を鳴らしながら、ゆっくりと顔を横に向けた。
いつから自分を見つめていたのだろうか、顔をそらした瞬間、視線がグレンと交わった。
こんなにも真剣な表情を浮かべているグレンを見るのは初めてだった。
恋愛経験が全くない彼女だったが、これほどはっきりとした態度を見逃すほど鈍感ではなかった。
「まさか今……今私に……」
「そうだ、今お前に愛を告白している。」
グレンはいつかナディアから聞いた言葉をそのまま返した。
「いや、一体いつから……」
「ずっと前から、ずっと君を想っていた。でも、それを隠してきたのは……私の気持ちが君にとって重荷になるかもしれないと思ったからだ。」
自分が戴冠式でナディアの告白を断った時のように、彼の気持ちが彼女を困らせるのではないかと恐れた。
そのような怖さを二度と経験したくなかった。
「いつからか君が笑う姿を見るだけで十分幸せだった。」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
これはあまりにも率直すぎるのではないか?
遠回しに言うのを嫌う彼女だが、この瞬間だけは恥ずかしさに戸惑いを隠すことができなかった。
彼の告白を聞くと、これまで少し行き過ぎだと思っていた出来事が一つずつ理解できる気がした。
『やっぱり以前のあの態度は、私に向けてのものだったのか……。じゃあ、あの時のことも、またその時のことも……。』
振り返って考えると、全てがそんなふうに熱烈な求愛だったように思えてくる。
自分の気持ちを送っていたのに、なぜ今まで気づかなかったのだろう?
答える言葉を見つけられない彼女の代わりに、グレンが話を続けた。
「だからお願いだ、簡単に『離婚しよう』なんて言葉を口にしないでくれ。」
「……」
「そんな話を聞くたびに、背中にナイフを突き立てられるような気分になるんだ。」
そう話す彼の目は少し潤んでいた。
低く抑えた声でお願いする人に、どうして嫌だと言えるだろう?
彼はどこか切なげな表情で言葉を続けた。
「すぐに返事をくれとは言わない。時間をかけて、最終的に断るとしても構わない。ただ……僕たちの契約が終わる日まではまだ時間があるんだから、その間だけでも僕にチャンスをくれればいい。」
「……」
「うん?」
その顔、その声の前では、どうしても冷たい言葉が出てこない。
酔いと疲れで頭がぼんやりしているせいもあって、ナディアはついに顔を赤らめながら小さく了承の言葉を口にした。
「そ、それまでは……私が止められることじゃないかもしれません。どうぞ。あなたの思うままにしてください。」
「最善を尽くす。」
彼はそう言いながら、ナディアの手の甲に軽くキスをする。
手に唇を当てたままのグレンの視線は、彼女の目をまっすぐに見つめていた。
ナディアの頬がぱっと赤く染まる瞬間だった。
『な、なぜ……目を見つめながら……!』
過去に命の危機を経験したことはあったが、異性から告白を受けた経験はなかった。
こういった場面でどうすればいいのか、まったく心得がなかった。
恥ずかしさのあまり、目を合わせることができない彼女に対してグレンが言った。
「眠いだろう。もう戻って休むんだ。」
「はい。」
眠気は完全に吹き飛んでいたが、ナディアは彼の言葉を否定しなかった。
とにかくこの場を早く立ち去りたかったのだ。
二人が席を立ち去った場所では、千年樹の花が控えめにその蕾を開きつつあった。








