こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者

18話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 毒蝶
部屋に戻るなり、私は体に付着した血を洗い落とした。
ジェレミーも一旦自室に戻らせた。
彼の頭にも、私の手についた血が移ったせいだ。
身を清めた後、再び私を訪れたジェレミーは、しばらく私の部屋でうろうろしていたが、最終的に去っていった。
一人になった後、私はベッドの上に腰を下ろした。
包帯を巻いた腕を抱え込むその姿は、どこか妙に頼りなげに感じられた。
洗った後も大きな傷が残っていたのか、包帯を巻いた部分には血がにじみ出ており、その包帯を赤く染めていた。
それは先ほど私が毒蛾の部屋で直接処置した傷そのもの。
私は腕に巻かれた包帯を解いた。
そこには長い傷跡が残り、その肌が薄暗い光に照らされていた。
「皆、食事の時間だよ。」
血がにじんだ傷を確認した後、私は蛾たちを呼び寄せた。
真っ赤な蛾たちは一匹ずつ空中に現れた。
十数匹の蛾が血が滲み出る傷の上にひらひらと降り立つ姿は、どこか滑稽とも言えたが、彼らは毒蛾の主食が宿主の血液であるため、それを止めることはできなかった。
私が毒蛾の繭をすでに一つ孵化させた事実はまだ秘密だ。
そこでみんなには、三つの毒蛾の繭のうち、先に成長した二つの繭がすべて孵化に失敗して死んだと嘘をついている。
しかし実際に死んだのは一つだけだ。
少し前に私が西側の境界へ送り込んだ蛾、そしてカシスの部屋に留まっていた蛾も、まず孵化させた繭から生まれたその毒蝶だった。
どうやら私と毒蝶の相性は思った以上に良かったらしい。
もちろん、西の市場で繭を手に入れた時点である程度の期待はしていたが、孵化成功率が三分の一というのは驚くべき結果だ。
自分が本当に毒蝶を孵化させたことは驚きだった。
毒蝶は半分生物で、一般的な生物とは異なる特性を持つ存在だ。
普段は姿を隠しているが、私が呼ぶと目の前に現れる。
一つの繭から生まれた毒蝶は自ら増殖する習性があり、現在私が所有している毒蝶の数は十数匹に過ぎないが、時間が経てば彼らも再び増殖を繰り返し、最終的には数百匹に達することになるだろう。
また、どの種類の毒を摂取し、どれほど強力な毒を摂取するかによって、毒蝶の特性も変化する。
毒蝶の宿主となった人間が増殖した毒蝶の餌を十分に供給できなければ、彼らは宿主を襲うこともあると理解できた。
この点で、さまざまな毒を扱うアグリチェに属している私にとって、毒蝶を育てる環境は有利だと言える。
幸運にも私が孵化させた毒蝶は私の血を非常に好んでいた。
そのため、宿主である私が死ぬまで、毒蝶は完全に私に従属し、強力な武器となることが期待できる。
今後の計画においても毒蝶の存在は重要な役割を果たすだろう。
だから私は、以前に私が毒蝶の卵を一つ孵化させたことを今まで誰にも明かさなかった。
この事実は、ジェレミーにも、母親にも、さらには私の忠実な部下であるエミリーにも秘密にしておくつもりだ。
少なくともカシスをアグリチェから脱出させるその日までは。
腕の傷が完全に治癒したのを確認した後、私は一匹を除いた毒蝶たちをすべて放った。
「西の境界へ。」
放した毒蝶には、西の境界を確認するよう指示した。
これほど遠くまで移動させたのは今回が初めてだったため、以前西の境界に送り込んだ毒蝶との繋がりが薄れて再び呼び戻すことができなかったのだ。
まだ未熟な私は、一度に複数の毒蝶を扱うのが少し難しかった。
毒蝶との繋がりを強化するためには、与える毒の量をもっと増やす必要がありそうだ。
少し休んだ後、私はエミリーを部屋に呼び出し、これから自分が摂取する毒の種類と量を増やすよう指示した。
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私はまだ未成年であり、大人になるまでには受けるべき教育がまだ残っていた。
「まあ、サナじゃないの。」
今日も教育室へ行く途中、予期せぬ人物と出会った。
シングルの草木が生い茂る道端で、傘を差して立っているその女性は、デオンの母親であるマリアだ。
金髪の髪と紫色の瞳を持つ彼女は、私を見るなり、柔和な表情で近寄ってきた。
「こんにちは。散歩に出られたのですね。」
マリアを見た瞬間、私は知らずに顔をしかめてしまった。
しかし、反射的に浮かんだ感情を押し隠し、彼女に向けて柔らかい声で挨拶を返した。
「サナ、本当に会うたびにどんどん美しくなっていくわね。」
彼女はいつも私を見るたびにそうだったように、今日もまた私の美貌に感嘆していた。
どう見てもテオンの母親だとは信じ難いほど、感情をあらわにして驚嘆するその姿は、私の顔を見て感嘆している彼女の表情に純粋ささえ感じさせた。
マリアは丸顔で穏やかな表情と細やかな体型をしていて、近くで見るとまるで可愛らしい小動物のようにも見える存在だった。
彼女は一人で見える幼子たちを背負っていた。
無防備で軽やかな態度であったが、私はそんな彼女に居心地の悪さを感じていた。
それがテオンの母親だという理由だけで、私はマリアに距離を置きたいと思った。
しかし、それ以外にも、単純に彼女自身が私にとって不快な存在だった。
マリアはラント・アグリチェの三番目の夫人だ。
彼女は他の母親たちと比べても明るく寛大な性格で知られていたが、ジェレミーや私の母親と比較すると天と地ほどの差がある。
「シエラでさえ、ただ一人で風景を美しくするように、この世界でこれほど輝く美人はいないのに、どうしてあなたはそんな母親のもとに生まれたの?ますます美しくなっているわね。」
「褒めすぎですよ。」
「褒めすぎだなんて、あなたの美しさを言い表す言葉がこの世に存在するのか、そもそも疑問だけどね。」
マリアは私の顔をじっと見つめながら、惜しみなく称賛の言葉を述べた。
「ああ、そうね。こんな風に偶然会ったのも何かの縁だし、一緒に庭でお茶でもしない?」
気軽に誘う彼女の様子を見ると、ここがアグリチェの邸宅ではなく、太陽の降り注ぐ穏やかな避暑地のように思えてきた。
「それにしても、デオンを見たのも随分と久しぶりね。やっぱりこの家の子供たちは皆忙しすぎるわ。たまにはデオンを呼び出してもいいじゃない。」
デオンは現在アグリチェの邸宅にはいなかった。
彼はラント・アグリチェが命じた任務のため、家を空けている状態だ。
その事実をまだ知らないであろう人物が、今目の前にいる彼女だろう。
マリアはただ一人の自分の子供だけに関心があるような人ではなかった。
このように落ち着いた無関心とその場に立つだけで漂う気品を持つ彼女の姿は、むしろテオンに似ているところがあった。
「さあ、誰かデオンを呼んできてちょうだい。」
とはいえ、仮にテオンが邸宅にいたとしても、彼とお茶を飲むことなどあるはずもなかった。
彼と私は、同じテーブルを囲んで談笑するほど親しい間柄ではなかったのだ。
「奥様、テオン様は現在、出張中でございます。」
マリアの後ろに控えていたメイドの一人が、テオンの不在を報告する。
マリアはようやくテオンがこの邸宅にいないことを理解したようだった。
「そう? 今回はどんな用件かしら?」
「詳細はわかりませんが、旦那様の命令で任務に出られたと聞いております。」
マリアは納得したように小さく頷いた。
そしてすぐに、彼女はそのメイドに向かって尋ねた。
「あなたの名前はなんだったかしら? 少し前にルウェルの推薦を受けたという子どもだよね?」
「はい、ラナナと申します、奥様。」
「素敵な名前ね。私が知らなかったことを教えてくれて感謝するわ。」
マリアの称賛に、少女はさらに深くお辞儀をした。
マリアはそんな少女を慈しむような眼差しで見下ろし、微笑んだ。
「でも、誰が許可もなく口を開けていいと言ったの?」
その瞬間、目の前に赤い液体が飛び散った。
それと同時に、マリアの手元にいた少女の体が壊れた人形のように崩れ始めた。
ばたん。
床に倒れ込んだその体には、もう息がなかった。
「獣の餌にでもしておきなさい。」
マリアが少し前に少女の首を刈り取って去って行った羊たちを眺めながら予想するように言った。
青々とした草の上に、また一つの命が落ちた。
彼女の命令を受けた侍女たちはぎこちなく動いた。
その中で顧客を気遣うようなマリアが、私を見つめながら何か考え込むように目を丸くした。
「まあ、申し訳ないわね、サナ。もしかして血が飛んだりしてない?」
マリアの手が動いた瞬間、自分にも血がかかるかもしれないと悟り、すでに一歩下がっていた。
そのため、侍女の血が付着したのは私の足元だけだ。
「私には飛びませんでしたよ。」
「それなら良かったわ。それじゃあ、庭園に行きましょうか?」
私はマリアの透けるようなドレスをちらっと見た。
ちょうど目の前で腕を振るマリアの体に血が付いた状態だ。
それでもそんな女性と一緒に庭園に行こうと言われるなんて。
すでに彼女がどういう人か知っていたが、身の毛がよだつ思いだった。
「残念ですが、別の予定がありますので、お茶は次回ご一緒することにします。」
マリアは非常に単純な性格なのか、私の言葉にすぐ納得したようだった。
「そうね。それじゃあ、また時間があるときに私の部屋に遊びに来て。少し前に人形たちに着せるための新しい服を用意したの。あなたにあげたい可愛い服もたくさんあるわ。」
私は仕方なく微笑みながらも、軽く笑って見せた。
しかし、これまでのように自ら足を運んで彼女の部屋に行くことは、今後決してないだろうと心に誓った。
そんなふうにマリアと私はお互い違う考えを抱えたまま微笑み合った。
もちろん、しばらくして彼女と別れた後、私の顔に浮かんでいた薄い微笑みは、徐々に消えていった。



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