ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【79話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

79話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 妖精の羽根布③

「はっ、はっ……!」

ウィリアムは息を荒げながら、ひっそりとした倉庫の中へと駆け込んだ。

彼は薄暗い闇の中を見渡した。幸いにも治安隊員の姿は見当たらなかった。

そこはハウンズ商団が秘密裏に管理する倉庫。

所有者の名義も別人のものになっているため、治安隊もまだ気づいていないようだった。

「ふざけるな!」

頭の先まで怒りがこみ上げたウィリアムは、目の前にあった箱を叩きつけた。

部下の職員を蹴飛ばし、そのまま大胆に逃亡を図ろうとした。

事態がこんな風にこじれるとは。

「一体どうなっているんだ?」

治安部隊は、商団が違法行為を行ったという確信を持っていた。

さらに、直接 妖精の羽根の布 について言及するまでに至っていた。

「明らかに情報が漏れた。誰が密告したんだ?」

真っ先に賄賂を受け取っていた担当調査官の、欲望にまみれた顔が脳裏をよぎった。

だが、彼ではないはずだ。

ウィリアムが渡した賄賂は、彼の一年分の給料に相当する額だったのだから。

彼は賄賂を手放すことはなかった。

決して諦める男ではなかった。

商団の妖精羽根の密輸計画について知る者たちのリストが次々と浮かび上がる。

「家族は当然違うし、従業員たちも可能性は低い……。」

ならば、残るはただ一人。

今日、彼に直接妖精羽根の布を見せた人物。

「フィローメル、あの忌々しい女め!」

その愚かな女が余計なことをしてしまった。

母に続き、一族全体を危機に陥れたのだ。

「この裏切り者め!」

ウィリアムは怒りを抑えきれず、目の前にあった物を再び足で蹴り飛ばした。

ドン!

「うわぁっ!」

鈍い音とともに、激しい痛みが襲いかかった。

彼は足を押さえて転がった。

何か硬いものを蹴飛ばしてしまったようだ。

しばらくして立ち上がったウィリアムは、鋭く睨みつけた。

「絶対に殺してやる!」

今は仕方なく退くが、状況が落ち着いたら必ずここに戻ってくるつもりだった。

彼は暗い倉庫の内部を見渡しながら、不気味に笑った。

「フフ、これさえあれば……。」

この倉庫は、彼が隠した財産を保管している場所だった。

これらを持ってベレロフへ向かおう。

残された家族や商団の従業員たちは苦しむだろうが、一番大切なのはウィリアム自身だった。

彼らもきっと理解してくれるはずだ。

「しかし、暗いな……。」

彼は入口のそばにある棚を探った。

おそらくランプがそこにあるはず。

見つけた。

ウィリアムは懐から火打ち石を取り出し、ランプに火をつけた。

揺らめく炎が薄暗い室内を照らした。

「これは……。」

彼の視界に入ったのは、つい先ほど自分が蹴った物だった。

それはウィリアムの頭だった。

正確には、石でできたウィリアムの頭だ。

彼はすぐにそれの正体を思い出した。

それは、彼自身を模して作られた石像の頭部だった。

石像の頭が胴体を失い、床に転がっていた。

密輸品を隠して持ち込むために特別に作られた中が空洞の石像だったが、ウィリアムはその存在をすっかり忘れて倉庫に放置していたのだった。

「な、なんだよ!これが……?」

首筋に冷たい汗がにじんだ。

誰かがここにいる。

ウィリアムは慌てて、金庫のある方向へ駆け出した。

その時だった。

「これを探しているの?」

澄んだ声とともに、倉庫内に明るい光が差し込んだ。

目がくらみ、彼は反射的に顔を覆った。光に慣れた目の前には……。

「また会いましたね。」

よく知る顔がそこにあった。

彼が必死に探していた金庫の上に座るフィローメルが、にっこりと微笑んでいた。

ウィリアムは彼女がどうやってここに入ったのか考える余裕もなく、思わず叫んだ。

「お前!このふてぶてしい……。」

その瞬間、彼はある重大な事実に気づいた。

フィローメルはひとりだった。

彼女は今日の騒動を振り返るために、わざわざここに現れたのだ。

フィローメルがここに一人で来るはずがないという考えすら及ばないほど、彼は混乱していた。

彼が幼い姪を傷つけようと走り寄った瞬間。

ドン!

何かの物体が素早く彼の顔面をかすめて通り過ぎた。

同時に、鼻先から血が滴り落ちた。

彼はゆっくりと首を回し、自分を通り越して壁に激しくぶつかった物体を見た。

石像の右手だった。

「ああ、当たったな。」

槌を持った銀髪の男が平然と話した。

「それでもナイスショットでしたよ。」

隣にいた赤髪の男が床に石像の胸部分を置いた。

「今度はしっかり狙って……。」

銀髪の男がその石像の彫刻に向かって槌を振り上げた。

「うわわわっ!」

その瞬間、ウィリアムに向かって無数の石像の破片が飛び散った。

少しの間、沈黙が続いた。

「す、すみません。お願いです……一度だけ許してください。」

フィローメルは綱で縛られ、宙に吊るされた男を見つめていた。

一時はつややかだった顔は血とあざで腫れ上がり、見るも無惨な状態だった。

「善良に生きればよかったのに……」

幼い頃のフィローメルには、この件にここまで深く関わるつもりはなかった。

ウィリアムを拷問台にかけて恨みを晴らすつもりだったが、事が進むうちに気持ちが変わっていった。

自分が始めたことなのだから、最後まで見届けたくなったのだ。

ウィリアムが拷問台から逃げ出しても、後悔はなかった。

何よりも「彼」に出会ったからだ。

中央治安隊から出てすぐ、ルグィーンの推薦で出会った「彼」はフィローメルに助けを求めた。

彼女はその頼みをどうしても断れなかった。

なぜなら「彼」は……。

「そ、それにしても皆さん……いったいここは……どうして分かって……」

ウィリアムの声にフィローメルは幻覚から目覚めた。

暴力を受けた後、言葉遣いが急にぎこちなくなった外見を見て、フィローメルが答えた。

「そういうこともあるんです。」

実はルグィーンが彼に渡した追跡魔法のおかげだ。

皇宮で猫の姿でウィリアムを目撃していたとき、念のために縛っておいたのだという。

「その時から手加減してくれるよう頼んだのかもな。」

ともかく、ルグィーンとジェレミアはもともとフィローメルについてきていたので、ここにも一緒にやって来た。

レクシオンはジェレミアに別件で連絡していたが、話を聞いて面白そうだと言ってついて来た。

ジェレミアがウィリアムを剣でコツンコツンと突きながら冷ややかに言った。

「ここでただ死んじゃダメだろ。」

「ひぃぃぃっ!」

ウィリアムは苦しげな叫びを上げながら剣を避けようと身をよじった。

レクシオンは倉庫にあった木箱をひとつひとつ開けていた。

「ほう、かなり貴重な物が多いですね。我々がいただきますよ。」

暴力に略奪まで。

これではどう見ても無法な悪党集団だった。

そして今やフィローメルも、その悪党グループの一員だった。

フィローメルがなぜか後悔を強く感じたそのとき、ウィリアムが叫んだ。

「フィロメル!うわっ!」

ジェレミアの剣に切られたのをきっかけに、雰囲気が一変した。

「フ、フィローメル様。」

フィローメルは軽く手を振って、ジェレミアを制した。

「話して、叔父さん。」

「お願いです、私を解放してください!私はカトリンの兄じゃないですか?あの子の顔を見てくださいよ……」

「申し訳ないけど、私は自分の母にすらそこまでの情はないの。私を殺そうとした相手を許してやるほど優しくもないし。」

少し前に独り言をつぶやいていた男の顔色は、真っ白な紙のように青ざめた。

「申し訳ありません!私が軽率で、でたらめなことを言いました!」

「ぼーっとしてたくせに。」

「助けていただければ、私の全財産の2割を差し上げます!」

「へえ?」

「5割!」

「いらない。」

「くっ、全部差し上げます!」

「私の財産はそれよりずっと多いから断りますよ。」

「嘘だ!」

本当だった。

彼女がユースティスから受け取った財産は、ハウンズ商団の純資産の十倍にもなる額だった。

ハウンズ商団は外見とは異なり、慢性的な経営難に陥っていた。

フィローメルがウィリアムを待つ間に、ここにあった秘密帳簿を読み、知った事実だ。

ハウンズ商団の衰退は約10年前から始まっていた。

「だから問題の多い妖精が、千の葬式の日に月を見上げて泣いたなんて話になるのさ。」

一言で言えば、ウィリアム・ハウンズは道徳心もなく、能力すら欠けた人間だった。

どんな説得にもフィローメルがまったく揺るがなかったため、彼はついに声を張り上げた。

「わかった!好きにしろ!拷問台にでもなんでもかけろよ!でも一応言っとくけど、ちょっと生き延びたらそれで終わりにしようぜ!」

ウィリアムがこんなに大声を上げたのには理由があった。

法的には彼が受けることになる処罰の最大は死刑だったが、実際に死刑になるケースは稀だったのだ。

妖精が奴隷として苦しめられているのは、妖精が人間ではなかったからだ。

おそらくこのままウィリアムを治安隊に引き渡せば、重い処罰を受けるだろう。

終身刑、うまくいっても23年以上の懲役になるかもしれない。

裁判官に賄賂をうまく渡せば、それより軽くなるかもしれないが。

ウィリアムは薄く笑った。

「俺が刑務所から出たら、またお前を探し出してやる。その時は、うっ!」

ジェレミアの蹴りで男の鼻と口から血がドッと溢れ出た。

怒りに満ちた顔のジェレミアが言った。

「やはりここで殺すべきだな。」

フィローメルが彼の肩を掴んだ。

「待って。それは私たちのやり方じゃないわ。」

彼女はウィリアムを見た。

「だめよ。あなたは拷問台にも、帝国の監獄にも行けない。」

「……な、何?それってどういう……」

そのとき、光輝と共に一時席を外していたルグィーンが到着した。

「連れてきたよ。」

そして彼の後ろから、新たな人影が姿を現した。

空色に広がる淡いピンクの髪、少し青白い肌、半透明の蝶のような羽。

優雅で妖艶な魅力に満ちた女性が現れた。

「すみません。一緒に来たいと言う子どもたちが多くて、全員連れてくるのに少し時間がかかりました。」

鈴の音のように澄んだ声が耳元で響く。

フィローメルが出会った「彼」。

妖精の女王セレフィアナだった。

 



 

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