こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

191話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 試験の結果②
もちろん、アイリスが努力の末に自分でそれを成し遂げた可能性もあるけれど、私はふと思い出し、ひとりでお茶を静かに飲んでいたダニエルが頭に浮かんだ。
「そして、建物は決められましたか?」
昨日、ダニエルは私に3つの建物の候補を見せてくれた。
一つは倉庫の一区画を借りる案で、もう一つは三階建ての建物の一階全体を借りる案だった。
最後の一つは少し郊外にある空き建物。
正直に言うと、三つ目が一番気に入った。
風通しも良く、家の前に小さな川も流れていたからだ。
問題は、その三つ目の建物を全階借りる必要があり、それがとても大きく高価であること。
一方で、倉庫の一区画を借りる案は小さすぎる。
三階建ての建物の一階を借りる案は規模的に一番魅力的だが、市内中心部で周辺環境が気にかかる。
「まだ悩んでいるけど、郊外にある建物にしようかと。とても迷ってしまいますね。」
私はため息をつきながら言った。
郊外にある建物は少し高い。
市内ではなく郊外なのだから、もう少し安くしてほしい!
郊外という点では気に入ったけど、もともと木造だったため、木の部分がかなり多くて目立つ。
「それでは、三つ目の建物で契約しましょうか?」
「うーん。その方向で先輩に聞いてみます。その賃料を負担できるかどうか。」
ダニエルのほうが私よりもこういった経験が豊富なので、この程度の賃料が負担可能かどうか知っているはずだ。
しかし、聞いてみても彼はしばらく何も答えなかった。
え?どうしたの?
彼の表情が気になって視線を向けると、驚いたような彼の顔が目に入った。
「選択肢が多すぎて答えにくいですか?」
「そうではありません。あなたが作るメニューは確実に成功しますよ。賃料の分くらいは優れた結果を出して成功することを保証します。」
本当にそうだろうか?
私はダニエルの支えに微笑んだ。
この国では、ビーニュは木製のものしか使わない。
人々が動物性の脂肪やゼラチンで作られたビーニュを嫌がる気持ちも理解できる。
しかしダニエルは私の意見を尊重し、支えてくれていた。
それはとても重要なことだ。
私は深く息を吸いながら話し始めた。
「時々、自分がフレッドのようなことをしているんじゃないかって思うんです。」
「フレッドみたいなこと?」
「そう、事業病みたいなものですよ。ビーニュが今必要とされているのは分かります。でも本当に売れるのか分からない。」
「あなたはフレッドではありません。少し前も私を先輩だと見て意見を聞いてくれましたよね。フレッドがそんな人だと思いますか?」
私は頭の中でフレッドのことを思い浮かべた。
「そして、あなたのビーニュは売れます。間違いなく。」
「私がそう思わないのが不思議ですか?」
「もちろん。」
ダニエルの声が真剣さを増した。
私は彼の顔を見つめ、彼の表情も声と同じくらい真剣であることに気づいた。
少し驚いて目を見開いたが、ダニエルは小さく息を吐きながら話を続けた。
「もしそれが馬鹿げた話なら、そして市場価値のない商品だったら、私はこうしてあなたの前に立つことはなかったでしょう。私があなたに対して使える言葉は限られているかもしれませんが、失望してほしくないんです。」
「本当にビーニュが売れると思いますか?」
「数年後には木製のビーニュを忘れてしまうほど、ビーニュが普及すると思っています。」
「大体そうだろうと思います。」
そうなのだろうか。
私はため息をついてダニエルの方を振り返り、彼の真剣な顔をじっと見つめた。
「本気です。ビーニュの木は育てるのに時間が必要です。今のような干ばつや病害が続いて木が枯れてしまうと、供給量が減ることもあります。でも、あなたが作ったビーニュは違います。」
利点があるということだ。
しかし当然ながら欠点もある。私は一息ついてから話した。
「このビーニュはビーニュの木よりも少し作るのが危険なんです。それにちょっと毒性があるんですよ。」
「毒性がある?」
「樹液が肌に付着すると、火傷を負う可能性があります。」
ダニエルの表情が険しくなった。
彼は少し慌てたように尋ねる。
「怪我をしたのですか?」
「いいえ、怪我はしていません。」
念のため、いつも長袖に手袋を着けていたことを話した。
自分を助ける使用者たちにも手袋と長袖を着用させるようにし、工房を作るなら、工房の従業員たちにも長袖と長手袋のユニフォームを支給したほうが良いと思う。
私の返答に対してダニエルは少し困ったような顔をした。
「これからも作業をするなら、人に任せなさい。」
「それは命令ですか?」
私の質問にダニエルの表情が和らいだ。
彼はため息をつき、私の手を取って手の甲に軽くキスをしながら言った。
「お願いです。」
どうせ工房を作るなら、人に作業を任せるべきだと思っているようだ。
私は身を前に倒し、ダニエルの唇に自分の唇を合わせた。
彼は片手で私の背中を押さえ、もう片方の手で私の腰をしっかりと引き寄せた。
「お母さん。」
そのとき、外からアイリスがドアを叩く音が聞こえた。
私は驚いてダニエルから離れようとしたが、彼が私をしっかりと抱きしめていて動けなかった。
ダニエルの瞳の濃い輝きが次第に穏やかな色に変わり、彼は私を抱き上げて立ち上がると、慎重に床に降ろした。
「入って。」
ダニエルが私から離れると、アイリスは少し躊躇した後、ドアを開けて中に入ってきた。
そして座っている私と、いつの間にかテーブルの反対側に立っているダニエルを見て言った。
「ケイシー卿がいらっしゃいました。」
ケイシー卿?
どのケイシー卿かという疑問が浮かぶ前に、フィリップが今日リリーを連れて絵画の集まりに行く予定だと言っていたことを思い出した。
そうだ、そうだった。
私は席を立ち、身なりを整えた。
「リリーを連れて行く前に、少し話がしたいと伝えてくれる?」
「はい。」
「あ、それと。」
さっきまでダニエルと話していたことを思い出し、これも伝えなければと思った。
私はケイシー卿を待たせないようにするため、アイリスの肩を掴んで向きを変えさせた。
「この前、お城で服を着替える時のことなんだけど、誰か助けてくれる人はいなかった?」
「助けてくれる人、ですか?」
いるだろうと思いつつ、アイリスの表情が微妙に動くのを見つめた。
彼女を助けてくれた人がいると知りたかった。
「些細なことでもいいの。何かしてくれたとか?」
「ええ、リボンを握ってくれた人がいます。」
「誰?」
私の背後からダニエルがそっと近づき、尋ねた。
アイリスが動揺しているのに気づき、その表情が深刻そうなのがわかった。
私は娘に何も言わないようにと腕を軽く引いて、ダニエルの背中に問いかけた。
「その方が私を助けたことで、独りにならなければいいのですが。」
驚いたことに、アイリスの答えはアイリス自身だった。
彼女はダニエルに、助けてくれた人が危険な目に遭わなければいいと話し、ダニエルは自分の背中をつまむ私の手をそっと握り返して言った。
「一人にはならないよ。」
「ランバート夫人が手伝ってくれました。ドレスを整えるためにリボンを持ってくれて、そのリボンも彼女が結んでくれたのです。」
そうだったのか。
私の考えでは、アイリスのドレスを結んだリボンは他の誰かが結んでくれたものだった。
私はダニエルを見上げて微笑んだ。
ダニエルもまた私を見ながら微笑んでいた。








