こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

82話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 疑念②
「おかしな点が多すぎる。でももっとおかしなことがあるんだ、レリア……あの子のことだよ」
「どうして?」
「イリス皇女の娘だって言ってたよな?でも記録を見ると、その日、亡くなった元皇后も出産していたって記されてるんだ」
魔法で防音処理されたロミオの部屋の中。
グリフィスの言葉に、ロミオは眉をひそめた。
「妙だな……レオについてのことか?」
「それもちょっと…合ってない気がするな。」
答えるグリフィスの表情は良くなかった。
今朝、グリフィスは皇城の礼拝堂の奥にある秘密の部屋を訪れた。
そこには神殿が五つの帝国の王室に潜入させた神官たちの記録書があった。
その記録書が存在することは、皇帝たちでさえ知らないことだ。
神殿は五つの帝国の平和を維持するという名目のもと、潜入させた神官たちを通じて秘密裏に情報を記録していた。
その記録には王室の弱点や醜悪な秘密、噂など些細なことから機密事項まで網羅されていた。
ただし、神官個人が見聞きしたことだけを記録したものであるため、その内容がすべて正確とは限らなかった。
その記録について知っていたグリフィスは、今日の午前中にこっそりその記録を開いて見てきた。
神殿がこの事実を知れば騒動になるかもしれないため、極秘に行動したのだ。
記録書を開くためには神官級の神聖力が必要だったので、彼にとっては難しいことではなかった。
グリフィスが尋ねた。
「他に何か分かったことは?」
「ない。でも、あの時レリアが言ったのは事実だったよ」
確かにアウラリア帝国に来てからの方が、以前戦地で調査していたときよりも多くのことを知ることができた。
そこでロミオはあれこれ調査してみた結果、レリアが話していたことは事実だった。
ライディオス皇帝に関することを知っている者たちの大半はすでに亡くなっており、「レオ」を殺した犯人もその当時、すでに処刑されていた。
ロミオとグリフィスはしばらくお互いに目を見つめ合った。
ロミオが口を開いた。
「さっきの件について、もう少し詳しく話してくれ。記録書にレオについてどんな内容が書かれていたのか。」
「……」
グリフィスは答えず、指先で観察遊びのように何度もつつきながらロミオを見つめていた。
正直、あまり話したくなかったのだ。
そもそも「レオ」について調べること自体、今となっては無意味じゃない?
レオが生きているのに何が問題なのか。
しかしグリフィスは心の中を隠して平然と答えた。
「ただ、評判があまりよくなかったみたい。神官がレオを嫌っていたようだ。」
「………」
その言葉にロミオは予想通りだという表情を浮かべた。
グリフィスは複雑な気持ちになった。
『ロミオ、お前は最初から知っていたのか?』
どうりで…。そうしながらも口にしなかったというわけか…。
実はグリフィスは離れて神殿を行き来する中で、内心「レリア」の存在について疑っていた。
そうして疑念を抱いたまま再びアウラリアに戻り、成長したレリアを見たとき、かすかではあるが確信することができた。
——「レリア」はまさに彼が知っている「レオ」だと。
だが、奇妙な点も多かった。
そもそもどうしてそんなことが起きたのか、それが現実にあり得ることなのか。
「レリア」自身の身分も疑わしく、神官の記録を見てもさらに不可解だった。
神官は「レオ」について、こう記していた。
「粗暴でときに暴力的で、情緒不安定で部下をいじめる。」
彼が知っているレオとはまったく異なる人物だった。
ずっと疑っていたグリフィスは、今朝その記録を見て確信を得た。
神殿に現れたレオが、実は“レリア”だということを。
どちらが本当のレオなのかは分からないが、少なくとも彼が知っているレオは死んでおらず、“レリア”として生きているのは間違いなかった。
グリフィスはゆっくりとテーブルの上の茶杯を手に取った。
なぜレオがそれを隠しているのかは分からないが、彼は最後まで知らないふりをしてやろうと決めたのだ。
レオが自分の口で語るまでは口にしない。
さまざまな状況から見て、きっと理由があったはずなのだ。
自分が知っているレオは、理由もなくそんなことをする人ではない。
もちろん騙されたことにはなるが、レオが生きているという事実だけでも、何となく安心できた。
ロミオもまた同じように感じていた。
「………」
グリフィスの予想どおり、ロミオもまたレリアがレオだと確信していた。
だが、今はその考えを素直に受け入れられないほど動揺していた。
先ほど目の前に現れた「正体不明の幻影」のせいだ。
四角形の中には「正体不明の文字」が表示されていた。
一瞬で消え、それ以降は現れていないが——
『誰かが私に魔法を使ったのか?』
最初は目の前のグリフィスを疑った。
グリフィスには魔力はないが、純度が高く強力な神聖力があるからだ。
そのくらいの力があれば、ロミオの目の前に幻影を見せることも難しくはなかった。
しかしグリフィスはまるで何が起きたのか分かっていない様子だった。
その幻影は自分にしか見えていなかったのだ。
しかも最近なぜか、誰かが自分の思考を覗き見ているような感覚を感じていたが、それが同じ者の仕業なのではないかと思いたくなった。
「それはそうと、あのとき言ってた“錬金術”って何のこと?」
「ああ、それか。」
グリフィスが思い出すように言うと、ロミオの表情が変わった。
実は少し前、レリアが持ち歩いていた正体不明の錬金薬のことで、グリフィスに手紙で尋ねたことがあった。
もしかして最近、言葉では言い表せないほど卓越した実力を持つ錬金術師が現れたという噂を聞いたことがあるかと。
「レリアが使う錬金薬がちょっとおかしくて。」
「なぜ?」
「今まで見たこともないような特別な薬を全部持っていたよ。その程度の薬を作ったなら、かなり有名な実力者のはずなのに。私が知らないなんておかしくない?」
「ふむ……。」
グリフィスは顎を軽くさすった。
この話もまた奇妙だ。
レオが錬金術を使った?
魔力やそれに類するものは全く感じなかったのに…。
答えの出ない問題に、二人はため息をついた。
グリフィスは今すぐとなりの部屋に飛び込んでレオの胸ぐらを掴んで問い詰めたい気持ちだった。
『レオ、お前は一体何を考えているんだ?』
グリフィスが疑問を抱いたその瞬間、レリアはこんなことを考えていた。
『早く領地に逃げなきゃ。』
レリアは息を荒くしながら言葉を失った。
彼女は日が沈んで暗くなるやいなや、皇城を抜け出して馬を走らせた。
そしてすぐに首都を離れた。
友達には申し訳なかったが仕方がなかった。
ユリアナ皇女の性格を考えれば、贈り物が偽物だと分かった時に自分を告発するのは間違いないと思った。
『双子の皇子たちも激怒して私を追及するだろう。』
無実の罪までもでっち上げて追い詰めてくるだろう。
これ以上彼らに苦しめられたくなかった。
さらに、グリフィスとロミオが彼女を疑っている状況では、なおさら。
遅い夜には首都を通過する手続きが非常に厳格で厳しかったが、レリアは錬金薬を使ってとても簡単に通過した。
森の地帯に到着した後は、別の錬金薬を使うつもりだった。
一度に目的地までは行けないが、比較的遠い距離を一瞬で移動できる薬だ。
それを使えば時間を短縮し、2週間で領地に到着できた。
領地から首都へ来る時には、ペルセウス皇帝が作った魔法陣を使ったが、帰りは使えなかった。
その魔法陣は許可された商団、または莫大な金を払った個人だけが使えるものだった。
レリアには錬金薬があったので、使う必要もなかった。
魔法陣を使うには出せるようなお金もなかったし、それを使うと他の人と一緒の馬車に乗らなければならない。
レリアには一人の方が気楽だった。
そうだ、一人でいるから幸運だったのだ。
「……」
ふと、レリアは言葉を止めて後ろを振り返った。
必死に馬を走らせていたのに、なぜか何度も後ろを見たくなった。
皇城に残してきた友達のことが気になったからだ。
同じ星の下にいながらも、ようやく出会えた友達を置いて去らねばならないという事実に、胸がひどく締めつけられた。
部屋にはロミオがくれた服をきちんとしまい、「ありがとう」という手紙を残してきた。
そしてカーリクスのための鎮痛剤と安定剤も、余裕をもって入れておいた。
『グリフィスやオスカーともっと会えなくて残念だな。』
それでもロミオ、カーリクスとはかなり長い時間を過ごし、思い出も作れたので楽しかった。
レリアはしばらくの間、皇城の方を見つめていたが、やがて心を決めて再び馬を走らせ始めた。
その日の遅い午後。
バン!とロミオの部屋の扉が荒々しく開いた。
扉を開けて入ってきたのはカーリクスだった。
一時間前にまた訪れたグリフィスと会話を交わしていたロミオは、やはりそうかという表情を浮かべた。
あんなに礼儀を無視してドアを蹴って入ってくるのは、カーリクス以外にあり得なかったからだ。
「おい!レリアがいなくなった!」
「何だって?」
グリフィスとロミオの表情が固まった。
カーリクスは薄い紙を手にしてバタバタしていたが、それを受け取って読んでみると、レリアが書いた手紙のようだった。
手紙には、故郷に先に帰るという言葉と一緒に、申し訳ない気持ちと感謝の内容が書かれていた。
「………」
「かわいそうな奴め… 女装男子だからって、俺たちが変に扱ったからか。可哀想に思ってくれてるって勘違いして、傷ついたのかもな。これ全部グリフィス、ロミオ、お前らのせいだよ。血も涙もない奴らめ。」
「………」
「………」
グリフィスとロミオは、近所のバカを見るような表情でカーリクスを見つめた。
ぶっきらぼうに何かをぶつぶつ言っていたカーリクスは、「あ!」と一言発し、さらに言葉を続けた。
「それより、オスカーはどこ行ったんだ?この前あの家に行ってみたけど誰もいなかった。アイツもどっかに行ったんじゃないか?」
その言葉に、グリフィスとロミオの目がカッと見開かれた。
まさか…!
レリアの部屋へと走って行ったロミオとグリフィスは、苦笑いを浮かべた。
グリフィスが尋ねた。
「追跡はできそう?」
「…僕が追跡用に付けておいたものは全部置いていったよ。」
ロミオの返事に、グリフィスはため息をついた。
「でもあれは何?」
グリフィスは一つの瓶を見て尋ねた。
「それは僕のだよ!別でお願いしておいたことがあって。」
「……」
カーリクスはそう答えながら、薬瓶を取り出した。
レリアが彼のために残していった鎮痛剤と鎮静剤だ。
カーリクスは涙をこらえるように鼻先を押さえた。
「こいつ、人を感動させるじゃねえか……」
感動のあまり涙ぐんでいる彼を見て、ロミオとグリフィススは知らんふりをした。
とりあえず、感傷にひたるのは置いておいて。
「追跡はできそうか?」
「難しくないよ。」
ロミオは軽く答えると、胸ポケットから万年筆を取り出した。
今、ロミオの魔力は安定しつつあるところだった。
だから前にレオの万年筆を見つけたときのように追跡すればいい。
ロミオはすぐに追跡を開始した。
カフスボタンに追跡魔法がかかっていることをどうやって知ったのかは分からないが、万年筆は気づかないだろう。
もともとその用途ではなかったのだから。
しかも、万年筆で追跡が可能だと知っていたとしても、レリアは絶対にそれを捨てられないはずだ。
あの子はまさにレオなのだから。
「ちょっと…なんでこうなるんだ?」
ロミオは眉をしかめた。
すぐに追跡できると思っていたのに、魔石を通じた追跡ができなかった。
魔力が通じない壁に阻まれたような感覚だった。
いったい何だ?
「ダメなの?」
「……」
ロミオは頭をかいた。
自分の魔力は今、とても安定した状態だった。
なのに追跡できないって?そんなはずがない。
レリアは魔力やそれに類するもの、神聖力すらなかった。
一体どんな手を使ったんだ?
混乱するロミオを見て、グリフィスが言った。
「……じゃあ、オスカーを追跡してみて。」
その言葉に、ロミオは「あっ!」と叫んですぐに万年筆を取り出した。
魔石が光を放ち、ロミオの手元から流れ出た魔力を吸収した。
「この野郎……」
ロミオは低く悪態をついた。
オスカーの万年筆もやはり追跡が不可能だった。
彼が遮断したのは明らかだ。
グリフィスはそうなると思っていたのか、片方の口角を上げた。
『あいつも気づいていたのか。』
明白だった。
昨日、レリアに鋭く毒を込めて睨んだあの様子を見ればわかる。
かつて神殿で別れた後、再び仲間たちと再会したとき、グリフィスはオスカーが気が狂ったのだと思っていた。
オスカーは以前のあの柔らかく穏やかな目つきを失っていた。
赤い瞳孔は人工で作られた宝石のように生気がなかった。
オスカーは機会があるごとに一人で膝を抱えて座り、何やらぶつぶつと呟いていた。
彼を狂わせたのは、「レオ」の死だった。
そんなオスカーの手に魔剣が握られたとき、グリフィスは本能的に察した。
あの子はこの世界に破滅をもたらすかもしれないと。
さらには、オスカーは誰もが扱うのが難しい魔剣の力を自在に操り始めた。
そしてその魔剣は今、かなりの量の血を吸ったに違いない。
決して「清い」とは言えない、凄まじい力だった。
その闇の力は徐々に体を蝕み、ますます強くなるだろう。
だからこそ、今この瞬間、グリフィスは苛立ち、焦っていた。
レオに向けられたあの男の執着は、普通の人間には到底理解できないレベルだった。
あの狂った奴がレオに何をするか分からない。
あれほど執着していたレオが生きていると分かった今、何をしでかしてもおかしくなかった。
あの二人は引き離さなければならなかった。
絶対にオスカーの手中に入れてはならない。
あの執着と狂気がレオを壊してしまうのは明らかだから。









