こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は35話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
35話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ルシアの悲劇
ぐっすり寝て起きたエレナは目を覚ます。
すでに外は暗かった。
(・・・こんなに眠れたのはいつぶり?)
乱れた髪を整えていると、ノックする音が聞こえてきた。
「メイです」
「どうぞ」
部屋に入ってきたメイが、ハンカチで包んでおいたブローチを差し出す。
「在学中とは言うものの、どうしても見つかりませんでした。寮まで訪ねてルームメイトにも会ったのですが、しばらく会っていないと」
「そう?じゃあ、しょうがないわね。お疲れ様」
メイが背を向けて寝室を出る。
「ルシア、あなたはどんな人なの?」
エレナはルシアを一度も見たことがない。
以前の人生で同じ教養科目を受講していたにもかかわわらず、ルシアは一度も出席したことがなかったから。
受講申請をして一年中講義を欠席したのは、開校以来ルシアが初めてらしい。
後で知った事実だが、ルシアは学術院に残って講義を聞くことが出来ない状況だった。
北部地方の土地病として知られている熱病。
この病気が恐ろしいのは治療方法がないという事だった。
ルシアは熱病の初期症状を見せたため、治療のために学術院を立ち去ったそうだ。
そして、なぜエレナがルシアと接触したいのか?
それは彼女が皇妃に上がった時だった。
大陸中に名を馳せたカストル商会の主、エミリオ。
彼が娘のルシアを治療するために莫大な財産を注いでいるという噂が広がったからだ。
エミリオは偶然、東部の草原部族の中で熱病にかかり、完治した部族民がいるという知らせを聞いて彼らを訪ねた。
彼の真心が届いたのだろうか。
エミリオはついに北部熱病の治療剤になる薬剤を見つけ出す。
その薬剤はラムネジアの花びら。
これまでの過程で一生を捧げて築き上げた商会が破産し、全財産を使い果たしたが、エミリオは娘を治療する事ができればそれで満足だった。
しかし、後一歩遅く、ルシアは息を引き取る。
エミリオは絶叫した。
医師たちに治療方法を伝えた後、生きる理由を失った彼も息を引き取ってしまった。
エレナは悲劇が嫌いだった。
彼らに劣らない悲劇的な結末を迎えたことがあるのだから。
「そういう意味では、ルシア・・・。あなたは本当に運がいい子供ね」
高級羊皮紙を取り出す。
万年筆にインクをつけて一筆書きに文字を書き下ろし、それを折って封筒に入れた。
「あなたの命、私が救うわ。名前を借りて書いた代価だと思ってちょうだい」
これから1年。
エレナは彼女の名前と身分で学術機関を闊歩する予定だ。
カストル商会の一人娘。
本好きな考古学部の女学生。
彼女の名はルシア。
- 貴族たちの企み
フロンティア学術院は、学問を研究し、様々な資質を発展させ、優れた人材を輩出することを目的とした教育機関である。
しかし、専門的な知識や学問を学ぼうとする入学するケースはごく少数だった。
それにもかかわらず、貴族の子弟が学術院入り口を超える理由は一つだけ。
人脈。
将来、帝国を動かす人材が集まって親交を深める空間を提供するだけでも、学術院の価値は計り知れなかった。
そんな学術院にベロニカ公女が2年ぶりに復学するという噂が流れた。
現在在学中の学生たちは、自らを「祝福を受けた世代」と呼ぶ。
皇位を継ぐ皇太子、シアン。
大公唯一の後継者、ベロニカ公女。
4代目一族、ラインハルト公爵家の長女、ベラ。
新興貴族の筆頭バスタージュ家、レン。
将来、帝国を率いる人材たちと学術院に通うだけでも、権力の中心に近づくのは間違いないだろう。
エレナは笑顔を浮かべながら黙って紅茶を飲んでいる。
(面倒くさい)
寄宿舎に来た当日を除いて、もう二日間、在学生たちの訪問が続いた。
(でも今は我慢しなきゃ)
意味のないティータイムを持ち続ける理由は、リアブリックに頼まれたから。
エレナの行動はアンを通して彼女に報告される。
「これからは、私が時間を作って招待しますね」
令嬢たちの顔が明るくなる。
もちろん、エレナは二度と彼らと会うつもりなどなかった。
「訪ねてくるな」という言葉を遠回しに言っただけ。
生徒たちを帰らせた後、エレナは2階の寝室に上がる途中で何かを思いついた。
「メイは別にお使いがあるから、ちょっと来てくれる」
エレナがメイを指名すると、アンの表情は険しくなった。
「アン、それを片付けたらカーペットの掃除をなさい」
「ひ、一人でですか?」
カーペットの重さは相当なので、女一人で叩くには厳しかった。
表情を固くして聞き返す。
「私に手伝えと?」
「い、いいえ違います。そういう意味ではありません。申し訳ありません、お嬢様」
アンは青ざめた表情で謝ってきた。
- カストル商会への手紙
そんな彼女を放置して、エレナは寝室の引き出しに入れておいた封筒をメイに渡す。
「この手紙をカストル商会のエミリオに送って。用途は緊急。必ず覚えて欲しいのは、それを私が送ったという事実を知られてはいけないという事」
メイの表情に疑問が浮かぶ。
「気になる?」
「どうして私が?」
「読んでも構わないわ。別に隠す理由もないし、私はカストル商会にその手紙が届けば、それで十分なのだから」
「・・・!」
投げつけられた言葉に、メイの瞳が激しく揺れた。
エレナは微笑んで彼女に小さな羊皮紙を差し出す。
「そこに書かれた目録を買ってきなさい。一つも抜いていはいけないわ」
羊皮紙に書かれたリスト。
カツラ、度数のないメガネ、色合いの化粧品など。
中でも最も不思議なのは学術院の名札だった。
「ルシア?」
一体なぜエレナの名前ではなく、他人の名前が書かれた名札が必要なのだろうか?
「疑問だらけよね、メイ?」
「・・・」
「それはあなた自身が調べてみなさい。ただし、決してアンには知られないように。分かった?」
「はい、お嬢様」
「あなたは頭の切れる子だから、二度言わなくてもいいわよね。行きなさい。アンにもご褒美が必要だから、クッキーを買ってくるのを忘れないで」
「分かりました」
「それと、アンを呼んでちょうだい」
メイは頭を下げて急いで寝室を出た。
窓際に立つと、彼女が急いで寮を出ていく姿が見える。
「そろそろ、ロバにもニンジンをあげようかしら?」
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