こんにちは、ピッコです。
「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

116話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 3度目の結婚式
どれだけ退屈な時間を過ごしただろうか?
「到着しました、奥様。」
到着を知らせる御者の声に、ナディアは反射的に席から立ち上がった。
すぐに誰かの手が、彼女が馬車から降りられるようにと、そっと手を差し出した。
「ここは……?」
「奥様も以前、一度お越しになったことのある場所です。」
「一度来たことのある場所ですって?」
そこは本城の近くにある場所で、この4年間のうち一度は通り過ぎたはずだった。
だが目隠しをされているせいで、どこなのか全く見当がつかなかった。
『湖の近くかな?少し湿った匂いがするような……』
ナディアは軽く衣を押さえながら歩を進めた。
靴の下の感触からして、草の上を歩いているような気がした。
彼女を案内していた誰かの足音が止まったのを感じた。
銀色の靴の下の感触が変わった瞬間だった。
『これはまさか……カーペット?なぜ芝生の上にカーペットが?』
そのとき、ナディアの目を覆っていたアイマスクが外された。
真っ先に目に入ったのは、長く敷かれた赤いカーペットだった。
まるでウェディングロードのような。
『ちょっと待って、ウェディングロード?』
ナディアの顎がゆっくりと上がった。
長く赤いウェディングロードの中央に立ち、一群の侍女たちが彼女を待っていた。
侍女たちと目が合った瞬間、まるで敬意を表すかのように大きな歓声が上がった。
「いらっしゃいませ、奥様!」
「結婚4周年おめでとうございます!」
パチパチパチパチ。
皆が手のひらに火がついたかのように熱烈に拍手をしている。
その瞬間、ナディアの頭の中に4年前の結婚式の記憶がよみがえったのは、避けられないことだった。
歓迎の言葉一つなく、冷たい視線だけが突き刺さっていた結婚式。
正直、それが特に辛かったと感じたことはなかったが、それでも今の光景と対比されることで、こみ上げる感情を抑えることはできなかった。
『みんな、いつから集まってたの?気づかなかったよ。』
ナディアはぷっと笑って視線を巡らせた。
ウェディングロードの反対側の方向だった。
そこには礼服を着たグレンが司祭と共に立っていた。
彼の口元には自然な微笑みが浮かんでいた。
ナディアは侍女が渡してくれたブーケを手に、ウェディングロードの上を歩き始めた。
その間も拍手と歓声が盛大に響き渡っていた。
「いつから私に内緒でこんなことを準備してたの?」
「首都を出発したときから。南部では長く連れ添った夫婦たちがもう一度結婚式を挙げることもあるって聞いたことがある。」
「もしかして、リマインド結婚式ですか?」
「そう、その名前だったと思う。」
それは本当に、再び結婚式を挙げるという意味ではないはずだ。
しかも、たった結婚4周年で行うイベントとは到底思えない。
ナディアは彼が誤解している事実を訂正しようとしたが、やめてこう言った。
今日はプレゼントをもらった日だから、ただ喜びましょう。
彼女はグレンの目を見上げながらそう言った。
「本当にびっくりしました。人生で最高のサプライズプレゼントになりそうです。ありがとう。」
「むしろ俺が感謝しなきゃ。俺を選んでくれたことに対して。」
「前にも言ったでしょ?あなたがかわいそうだからじゃなくて、私の気持ちに従って選んだんだから、感謝されるようなことじゃないって。」
「……」
彼女は自分の意志でグレンのそばに残る道を選んだだけ。
だから、それについて感謝されるのは筋違いだ。
ナディアの確固たる言葉に、彼の目元が少し潤み始めた。
グレンが何か返事をしようと口を開いたその瞬間だった。
「コホン、コホン。」
見つめ合う二人の間に、遠慮ない咳払いの音が割り込んだ。
それは司祭の声だった。
「では、これより式を始めてもよろしいでしょうか?」
「う、うん。」
グレンは少し慌てた様子で了承の返事をした。
すると咳払いをした司祭が、再び口を開き始めた。
「これより、婚姻の誓約を始めさせていただきます。」
背後で鳴り響いていた拍手の音が、まるで嘘のように静まった。
ナディアはまるで4年前のあの時に戻ったように感じた。
背中越しに注がれる視線が、かつてとは違い祝福に満ちているという点を除けばの話だ。
司祭の声が続く。
「新郎グレン・ウィンターフェルよ、新婦ナディア・バラジットを妻として迎え、生涯にわたり永遠の愛を誓いますか?」
「はい。」
短く率直な返答。
すべてを諦めたような力のない声で答えた過去の記憶の上に、新しい記憶が重なった。
今度は司祭がナディアに質問を投げかけた。
「花嫁ナディア・バラジテは、新郎グレン・ウィンターベルの伴侶として生涯忠実であることを誓いますか?」
「はい。」
過去とは違い、少しの嘘もない答えだった。
グレンは結婚式のあとの披露宴まで完璧に再現していた。
ナディアが知っているリマインド結婚式とはやや異なる形だったが、彼女は特に指摘することはなかった。
披露宴で酒と料理を楽しむ家臣たちの表情があまりにも明るく見えたからだ。
にこにこと笑いながらパーティー会場を見つめているナディアに、グレンが尋ねた。
「まさか疲れたのか?お酒にも手をつけてないようだね。」
「酔っ払ったら早く帰らなきゃいけなくなるでしょ。もう少しこの雰囲気を味わっていたいんです。」
「そうかい?」
親しい人々が集まってパーティーを楽しむ姿は、見ているだけでも心温まる光景だった。
様々な感情がこみ上げ、目でパーティー会場を見渡していたナディアが、ふと口を開いた。
「グレン。」
「ん?」
「これからは絶対に喧嘩せずに、ずっと幸せに長生きしましょうね。子どもは、うーん……3人はちょっと私には無理そうだから、2人くらいでどう?男の子1人、女の子1人がいいな。」
「じゃあ、性別問わず2人にしよう。」
「後継ぎとなる息子は必要ですよね。」
「それなら後継者を迎えればいい。体がつらいなら産まなくてもいい。養子にすればいいんだ。」
後継者や家臣たちが聞いていたら仰天するような話を、何食わぬ顔でしている。
ナディアがクスクス笑いながら続けた。
「子どもは産みたいです。私は温かい家庭がどんなものか知らずに育ったんです。だからこそ、そんなふうに愛する人との間に子どもを授かって、その子どもを育てるっていうのがどんな感じなのか知りたいんです。」
「………」
暗い話を何事もなかったかのように語るナディアの様子に、グレンの目がわずかに柔らかくなった。
だがすぐに表情を変えたグレンが、からかうように言葉を続ける。
「じゃあ、まずは子作りから始めないとな。」
「……?」
ナディアの目が見開かれたのはその瞬間だった。
変わった彼女の表情に、グレンも怪しげな表情を浮かべる。
「どうした?」
「そんな冗談も言える人だったなんて知りませんでしたよ。てっきり恥ずかしがり屋で真面目な人だとばかり……!」
「……ナディア、そういう話はもう少し小声で言ってくれ。」
「わっ、ごめんなさい。」
家臣たちの前だから、主人のプライドを守ってあげないとね。
ナディアはあわてて口をつぐんだ。
しかしそれも束の間、口がむずむずしてたまらない彼女は、また口を開いた。
「考えてみたらあなたの言う通りですね。子どもを産むなら、その前にまず子どもを作らないと。いつがいいですか?」
「……」
しかし、それ以上の冗談を続けるのは、彼にはまだ無理だった。
顔がだんだん赤くなるのを見て、彼女は小さく笑みをこぼした。
反応があると、もっとからかいたくなるもの。
ナディアはさらに言葉を続けた。
「結婚式もして、披露宴まで終えたんですから、初夜も当然進めるのが順番じゃないですか?遠くに行く必要もなく、今日のうちにやっちゃいましょう。」
「………」
「どうして返事がないんですか?」
「……私が悪かった。もうからかうのはやめてくれ。」
その返事に、ナディアはまたくすっと笑った。
結婚4周年を迎えた日の出来事だった。
<完結>







