もう一度、光の中へ

もう一度、光の中へ【129話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【もう一度、光の中へ】まとめ こんにちは、ピッコです。 「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...

 




 

129話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 白い鳥②

兄様の皇帝継承の話も一段落し、宴会場はすでに踊り始める人々で入れ替わっていた。

それは私も例外ではなかった。

しばらく座って休んでいた私のところにも一人の人物が近づいてきたのだ。

「そ、皇女殿下……」

名前も知らない貴族の青年が私の前に立っていた。

彼はしばらくもごもごしていたが、思い切ったように私にダンスを申し込んだ。

「お、お願いです、せめて一曲だけでも踊っていただけませんか?」

名前も顔もよく知らない貴族の青年。

年齢は私と近かったが、それでもやはり慣れない印象は変わらなかった。

幼かったころなら、きっと気まずく感じていただろう。

でも今は、社交界での経験もそれなりに積んできた私は、迷うことなくその申し出を受け入れた。

「いいですよ。」

私の返事に、その若い貴族は満面の笑みを浮かべた。

「一生の栄光です!」

その言葉に、私はただ穏やかに微笑んだだけだった。

ワルツの音楽が流れ始め、私とその名も知らぬ貴族はホールの中央へと向かった。

私たちを見て、人々は自然と道を空けてくれた。

そのおかげで、私たちはシャンデリアの真下で踊ることができた。

貴族は「一生の栄光です」と言ったが、それは決まり文句ではなかったようだ。

彼はずっと私にあれこれ尋ねてきた。

しかし、私はすでに別の考えに心を奪われていて——

兄様が皇位を継ぐということは、重要なことがひとつある。

それは……。

結婚しなければならない。

思わず私は深刻な顔になった。

これまで兄様は戦争だ、仕事だと、とても忙しく過ごしてきたため、結婚する余裕がなかったのだ。

いい年頃になった皇太子がいまだに結婚していないということに、貴族たちはずっとヤキモキしていた。

しかし今、本当に皇位を継ぐとなれば、政略結婚は避けられない。

結婚して後継者を残すことも皇帝としての義務の一つなのだから。

果たして兄様の隣に立つのは誰だろうか?

そんなことを深く考えていたせいか、ふと友人の顔が浮かんだ。

“アルミナ公女”——隣国の公女である彼女の姿だ。

かつて彼女は、兄上の心を射止めようと一生懸命にアプローチしていた。

そのときの友人の姿を思い出して、私も思わずくすっと笑ってしまった。

「……はっ、皇女殿下!」

すると、目の前にいた侍従が私の様子を見て目を輝かせて喜んだ。

「ありがとうございます!」

その挨拶に、私は思わず目をぱちくりとさせた。

『ああ、そうだった。』

どうやら彼は何か一生懸命話していたようだった。

私が笑ったことで、その返答を「肯定」と受け取ったらしい。

『……うーん……』

ぼんやりと考えごとをしていたのが申し訳なくなる瞬間だった。

短いワルツが終わると、貴族は私を再び自分の席へエスコートした。顔は赤く染まっていた。

「そ、それでは……さっき申し上げたとおり……またもう一度お会いできることを願っております。」

「はい。」

彼が言っていたのは、パーティーの招待か何かだったようだ。

私はかすかに微笑んでうなずいた。

それだけでもうれしかったのか、貴族は席を離れた。

その姿をぼんやりと見つめていると、どこかで聞いたことのある声が耳に届いた。

「可哀そうな男だな……今日から恋の熱病にかかったようだ。」

「もしかしたらもうすでにかかっていたのかもしれないな。」

「同感よ。」

その声に驚いて振り返ると、私の後ろには2人の友人が立っていた。

久しぶりに会うローズとアシュリーだった。

まずローズがにっこりと笑いながら挨拶した。

「アイシャ、久しぶり!さっき皇帝陛下の退位宣言を聞いたよ。皇太子殿下の継承式が開かれること、おめでとう!」

「元気だった? 私も心からお祝いするわ。」

ローズとアシュリーの挨拶に、私は明るく笑った。

「2人ともありがとう。継承式、見に来てくれるよね?」

「もちろんよ!ああ、楽しみ!皇太子殿下が皇位に就いたら、世界で一番ハンサムな皇帝陛下が誕生するわね。」

ローズの言葉に、私はただ笑うことしかできなかった。

「ありがとう。」

「それにしてもアイシャ、今日は一段と眩しいね。何を食べたら毎日そんなに綺麗でいられるの?」

ローズはおどけたように唇を尖らせて見せた。私は肩をすくめて言った。

「褒めすぎよ。」

むしろローズこそ、舞踏会場の中で多くの人々の熱い視線を一身に受けていた。

彼女の赤い髪は真夏の薔薇のように赤く燃え上がり、緑の瞳は活気に満ちて輝いていた。

どこからどう見ても魅力的で、この女性に心を奪われないというのは不可能に近いだろう。

私はローズに言葉を返した。

「あなたこそ今日は本当に綺麗よ?特にそのドレス、初めて見るわね?」

「ふふ、そうでしょ?さすがアイシャ、気づいてくれると思った!」

ローズはその言葉に胸を躍らせていた。

首都でブティックを開くのが夢だった彼女は、まさにその夢を叶えていた。

商品を自ら売り歩き、神芸のデザイナーたちを少しずつ育てていたのだ。

そのドレスも見たことのない形式のものだったので、たぶん彼女が新たに発掘したデザイナーの新作なのだろう。

隣にいたアシュリーが口を開いた。

「じゃあ、これも調べてくれない?」

アシュリーは私をじっと見上げた。

私は不思議に思って彼女をしげしげと観察した。

以前見たときと特に変わったところはないようだったが……

しかし、彼女を少しじっくり観察した私は、思わず小さく感嘆の声を漏らした。

以前よりも霊力の気配が強くなっていて、

彼女の周りには以前よりも多くの自然精霊たちが集っていたのだった。

「まさか、中級精霊を召喚したの?」

ずっと精霊術の練習をしていた彼女だ。

私の問いに、アシュリーは答える前にぱっと明るく笑った。

「やっぱり精霊王様の契約者であるアイシャなら、ひと目で気づいてくれると思ってたよ。」

「すごい、おめでとう!」

「ありがとう、私もすごくうれしい。」

彼女は照れたように頬をかいた。

「一生懸命頑張ったけど、うまくいく保証なんてなかったから……。お母様も、無駄なことにしがみつくくらいなら、いっそ社交界に出て男たちとでも一回踊ってくるほうがマシだって言ってたの。」

その言葉に、私は暗い表情を浮かべた。

彼女の母が幼い頃からアシュリーを抑圧的な方法で教育してきたのは、私たち皆が知っている事実だった。

「アシュリー、そういう時は私が言ったこと覚えてる?」

私は力を込めてそう言った。

彼女はおどけたように笑った。

「わかってるよ、『皇女様がすでに私の後ろについてくれてるから、もう任せろ』ってことでしょ?本当にその通りだよ。男の貴族百人よりも、アイシャが後ろにいる方が何千倍も頼もしいもん。」

「まさにそれだよ。」

私は大きく頷いた。アシュリーが続けた。

「私、王宮精霊士に志願してみようかと思って。」

「王宮精霊士に?」

王宮精霊士とは、私が幼い頃に精霊を召喚して以降、父が特別に新しく設立した王宮の部署だった。

精霊士という存在自体が非常に希少だったため、少しでも私にとって助けになるようにと設けられたものだった。

「まだ実力もそれほど優れていないし、落ちこぼれるかもしれないけど……それでも一度挑戦してみたい。」

「本当に良かったね。」

友人の成長が目に見えて、私は嬉しくなった。アシュリーは笑って見せた。

「まさか、私の後ろ盾になってくださる皇女殿下が私のことを知らないふりをしたりはしませんよね?」

私たち三人の間に楽しい笑いの花が咲いた。そのとき、私たちの隣に一人の人が近づいてきた。

青い靴をきちんと履きこなした、清楚な印象の少女だったが、冷たい色合いの灰色の瞳と大きな瞳は、なぜか他の人々に威圧感を与える雰囲気を持っていた。

しかしその少女の正体を知っている私たちにとっては——彼女はただニコニコと笑っていただけだった。

『やっぱりクロエは公爵令嬢って感じだよね。』

私は彼女の名前を嬉しそうに呼んだ。

「クロエ!こっち!」

「みんなここにいたのね。」

クロエは疲れたようにため息をついた。

「ごめん。さっきからずっと人が踊ってほしいって追いかけてきてさ……。一曲だけでもって言われたけど、どれだけ愛想振りまいてんのよって。」

「人気者なんだよ、クロエ。」

「全部このドレスのせい。」

皮肉っぽく返したクロエだったが、どこか満足そうにも見えた。

「ああ、それともうすぐ継承式があるんだってね?おめでとう、アイシャ。」

「うん!ありがとう。」

「よかったわ。それと……体調はどう? 咳はもう治った?倒れていたって聞いて心配してたの。」

その言葉にアシュリーとローズは短く感嘆の声を上げた。

「そういえば、私も聞こうと思ってたんだ。」

「そうよ……大丈夫?アイシャ?無理してるんじゃない?」

彼女たちの心配そうな視線に、私はただ曖昧に笑って見せるしかなかった。

「もう完全に大丈夫よ。元気になったから。」

すると友人たちはほっと息を吐いた。

「それなら良かったわ。暖かい春の日に食中毒にかかるなんて、びっくりしたじゃない。」

「一番驚いたのは私だと思うわ。」

私は苦笑いを浮かべながら、この話題をそらそうと努めた。

「それより……こんなに人が多いのに——みんな気になる人とかいないの?」

それはなかなか効果的な話題転換だと思った。

けれど、友人たちは答えずに、ただ私をじっと見つめているだけだった。

「な、なに?」

少し戸惑った私は思わず問い返した。

エシュリーが先に、慎重に口を開いた。

「アイシャ、あなたは誰か気になる人いないの?」

「え?」

その瞬間、私は心臓がドキリとするのを感じた。

気になる人、だなんて。

まるで心の中を覗かれたような気分だった。

エシュリーがそんなに鋭いはずないのに……。

そのとき、ローズが口を開いた。

「今だって、この舞踏会にいる男の人たちの中に——みんなあんたを見てるよ、女の子たちは全員イシス殿下を見つめてるけどさ。」

「でもそのお二人とも、結婚なんて全く考えてないみたいね。皮肉な話よね。」

彼女たちの言葉に、私は少し頬を赤らめてしまった。

アシュリーが少し考える素振りをしたかと思うと、口を開いた。

「でも、男たちがアイシャに簡単に近づけないのはわかる気がする。ルミナス様がそばにいるじゃない。あの方の隣に立つだけで、どんな男でも逃げたくなると思うよ。」

私は心の中で気まずさを感じた。

気まずい話題を避けようとして、むしろさらに大きなトラブルに足を踏み入れてしまったような気分だった。

まるで野生動物を避けようとして猛獣に出会ったようだった。

友人たちはくすくすと笑い声を漏らしていた。

「今日はルミナス様がいないから、男たちも近づいてきてるみたいだけどさ。でも私はああいう人たち、嫌い。真面目さがないじゃない。」

クロエはふくれっ面をした。

私はただにっこり笑っただけだった。

隣にいると約束してくれたルン様は、その約束通り、本当にずっと私のそばにいてくれた。

私の契約者であり、エルミール皇宮の護衛神のような存在として。

彼が精霊界に戻ることもたまにはあったけれど、ほとんどの時間は一緒に過ごしていた。

エシュリーがキラキラした目で尋ねた。

「アイシャ、本当に誰にも興味ないの?本当?」

三人の友達の視線が一斉に私に注がれた。

私は頭をフル回転させて、やっと思いついた無難な言い訳を口にした。

自分でも驚くほどの即興力だった。

「……お兄様もまだ独身なのに、私が先に結婚するなんてできないわ。男の人に好意的に思われても仕方ないんじゃない?」

「そっか……」

幸いにも、その言葉で友人たちは納得してくれたようだった。

すると、ふいにローズが口を開いた。

「その言葉ってつまり、皇太子殿下にちょっとも興味ないように思えるんだけど?」

「えっ? あ、いや、そんなことないけど……。」

でも友人たちはもうニヤニヤしながら会話に没頭していた。

まるでそれが最終結論であるかのように、ローズが続けて言った。

「じゃあさ、私たちが皇太子殿下にお似合いの方を探してあげるっていうのはどう?」

その言葉に私はぽかんと口を開けてしまった。

「え、ええ?」

「心配しないで、アイシャ。私たち、社交界の人たちのことよく知ってるでしょ?それに皇太子殿下のことを一番よく知ってるのは、アイシャ、あなただから。私たちがちょっと調べれば、すぐに見つけられるって!」

「う……ん……」

私はもう一度頭を働かせた。

問題:友達がお兄様にふさわしい女性を探すことは、お兄様に失礼か?

答え:いいえ。どうせすでに多くの人が彼に縁談を持ちかけている。そこに2~3人増えたところで問題はない。

問題:友達が花嫁候補を探し出したら、私にとって得になるか?

答え:いいえ。お兄様が結婚した後には私の番が来るから。

問題:それなら、私はお兄様の結婚がなるべく遅くなることを願うべき?

答え:いいえ。お兄様は皇帝になる人だから、帝国の未来のためにも皇后と後継者は必要だし、私は愛するお兄様の幸せを願っている。

『何よりも。』

私は拳をぎゅっと握りしめた。

『私は甥っ子が見たい!』

すでに私の想像は、兄に似た可愛い子どもまで広がっていた。

宮殿の美しい庭園でよちよち歩く子どもだなんて、可愛すぎるに違いない。

国王なら、お父様や兄の金髪を受け継いだ子どもならいいな……。

「……アイシャ、アイシャ?」

「う、うん?」

しばらく妄想にふけっていた私に、エシュリーが声をかけた。

彼女は心配そうな表情だった。

「大丈夫?やっぱり風邪がまだ治りきってないんじゃ……。」

「ううん、違うの。ただちょっと考え事してただけ。」

私は慌てて首を振り、彼女たちを安心させた。

クロエが肩をすくめながら言った。

「そんなに心配しないで。皇太子殿下に無理やり押しつけようって話じゃないから。ただ、社交界に出たときに特別に似合う人がいるか見てみようってだけよ。」

「うん!それに私たちが社交界の招待状をたくさん送るわ。そうすれば、皇太子殿下もいろんな人に会えるでしょ?」

友人たちの思いやりがありがたかった。

結局、私は彼女たちの言葉にうなずいた。

決して、甥っ子が見たくてじゃなくて。

「うん、楽しみだわ。」

 



 

 

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