こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

93話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 大きな勘違い
「おい、この狂ったヤツめ。いくらなんでもそうするか?お前、いくつだ?その歳で礼儀の先生でもつけようか?子どもの頃、皇城で習ったこと全部忘れたのか?」
ロミオはカーリクスを非難しながら彼の襟首をつかんで激しく揺さぶった。
「もう、何発か殴ってやろう。むしろその方がいい。」
グリピスは超能力者らしく、自然に暴力を解決策として提示した。
ロミオは本気でそれが最善なのか悩んでいた。
「………」
その間カーリクスは無表情な顔でうつむき、唇を噛んでいた。
こみ上げるものを抑えるかのように目が真っ赤だった。
ロミオはもどかしさから自分の胸を叩きながら言った。
「なあ、むしろ俺が正直に言ってやろうか。もう俺が苦しくてやってられない。レリアってやつは….」
「やめろ!」
カーリクスは聞きたくないと言うように目を固く閉じた。
「聞きたくない!出ていけ、この裏切り者ども!出てけ!」
カーリクスは床に倒れ込み、まるで子どものように足をばたつかせた。
もし本当に子どもなら可愛い行動だったかもしれないが、カーリクスは違った。
あの大きくて筋肉質な体でこれとは… ロミオとグリピスは微妙な表情を浮かべて少し引き下がった。
「なんてイカれたやつだ。」
「正直に言ってあげようとしたのに、聞く耳もたないな。」
ロミオの嘆きに、グリピスは冷たく言った。
「もうああやって生きさせとけ。」
「…それでも、ちょっとかわいそうじゃん。あとで自分だけ知らされてたってわかったら泣いちゃうかもよ。」
「放っておけ。」
ロミオとグリピスは重大な情報をすべて共有していた。
もちろん、両者ともに見せていない手札(秘密)はあったが、それが大きな問題にはならなかった。
手札すべてを明かしていなくても、お互いが何を知っているかは把握していた。
レリアに関する情報はすべて知っていた。
ただし、2人ともレリアが口を閉ざしている「真実」については知らなかった。
ただの推測にすぎない。
その推測の内容もほぼ一致していた。
前皇帝が神殿の依頼で何かをさせたのだろうと…。
それに加え、2人ともレリアには到底及ばない「力」があることを認識していた。
しかしそれについて互いに相談したり会話したりはしなかった。
以前グリピスが言ったように、もう彼らは互いに情報を共有する必要がなかった。
共通の目的はすでに以前に終わっていたのだから。
カーリクスの部屋から出ると、グリピスは先に行くと言ってロミオの前を通り過ぎた。
ロミオは冷ややかな目で背中まで消えていくグリピスの後ろ姿を見つめた。
『あの陰険なやつ。』
彼はグリピスを非難しながらため息をついた。
本当に何を考えているのか分からないのは、オスカーではなくまさにグリピスだった。
グリピスはオスカーが明らかにレリアを危険にさらすだろうと言ったが、まったく。
ロミオの考えは違っていた。
本当に不安なのはグリピスだった。
オスカーはどう見ても狂ったやつだと目つきだけでもわかるが、グリピスは違った。
グリピスは感情であれ何であれ、自分の利益のためならすべてを冷徹に管理する方法を知っていた。
だからこそより不安で、より危険だった。
ロミオはノブを回し、閉じられたカーリクスの部屋のドアを見つめてノブを離した。
ロミオがカーリクスを一番楽だと感じるのには理由があった。
少なくとも彼は心の内が透けて見える。
あまりにも透けすぎて問題ではあるが…。
ロミオは気分転換に散歩でもしようと歩みを進めた。
その日の午後。
レリアは昼寝に入ったおばあさんのシワだらけの頬を拭いてあげた。
ここに来る前、レリアはおじいさんに会っておばあさんの治療薬を預かっていた。
おじいさんは、気持ちの準備ができたら自分でおばあさんに薬を飲ませると言った。
レリアは、念のため数種類の薬を追加で用意して渡しておいた。
もちろん服用の注意事項も伝えて。
眠りから覚めたおばあさんは、レリアを見るなり「エリザベス」を探した。
「エリザベス…?エリザベスなのね。」
「はい、ここにいますよ、おばあちゃん。」
「私の娘……」
レリアはおばあちゃんを見ながら、口元が痛くなるほど優しく微笑んだ。
あれこれ世話を焼き、一緒に夕食をとっているうちに、いつの間にか空は暗くなっていた。
「レリア、あなたが来たからかしら?テレン地域にいたときよりも状態がよくなったみたい。」
アティアス叔母の言葉に、レリアは幸いだというように微笑んだ。
『それなら……』
レリアは慎重に叔母の様子をうかがった。
領地に戻ったレリアにはやるべきことがいくつもあった。
しかし、伯父の件は友人たちのおかげであっさり解決した。
カリウス伯父は行方不明ということで、とりあえず城に閉じ込めておくつもりだ。
問題はアティアス叔母だった。
『賭場で“お母様のような”という偽名を使ったって……』
元老会の家臣たちは、それを理由にアティアスが後継者になることに反対していた。
しかし、レリアがここで育った間、叔母からは一度もそのような気配を感じたことがなかった。
見事に隠していたのか、それとも元老会の家臣たちの陰謀なのか、今のところはわからなかった。
『調べてみないと。』
しかし、秘密裏にこんなことを調査してくれる人を雇うのはなかなか難しかった。
祖父の補佐官たちに頼むわけにもいかず……。
『いっそロミオに頼んでみようか?』
こういうことはロミオが専門かもしれないと思った。
でも……。
『私を怪しんだら?説明するのがもっと面倒。』
どうにか方法を探さなければ。
変装して秘密裏に動く情報屋を雇ってもいいし――
『錬金に頼めばいいかも……。』
レリアは自分の部屋に戻り、サブメニューを眺めた。
「[大規模アップデートのための点検を進行中です。より新しくなった〈錬金復権〉をお楽しみに!(๑•̀ㅂ•́)و✧]」
メニューを選択しても、相変わらず同じメッセージしか表示されなかった。
『えっ、点検って一体何日やってるの?通知もないし?』
いくら大規模アップデートとはいえ、これはひどいのでは?
ユーザーたちが黙っているはずがない。
すでに死んだ前世の世界のゲームなので反応も分からず、もどかしかった。
『せめて報酬くらいバンバン配ってくれればいいのに。』
レリアは心の中でぶつぶつ言いながら、苛立ちを抑えきれずドタドタと歩いていた。
だが、部屋の前に着くと誰かが立っていた。
よく見ると城の使用人だった。
「お嬢様、カリウス様がお呼びです。」
「こんな時間に?叔父様が?」
「はい。どうぞお入りください。」
レリアは使用人の後ろに立っていたベッキーと一緒に、使用人について応接室へと向かった。
ベッキーがドアを開けてくれ、中へ入ると、優しい表情のカリウス叔父が見えた。
しかし――
「……」
窓際にはカーリクスが座っていた。
あの朝の出来事以来、初めて顔を合わせることになった。
レリアはそわそわと彼に気づかないふりをして、叔父の元へと向かった。
朝の出来事を全く知らない叔父はそのまま、レリアをカーリクスの隣に座らせた。
「やあ。改めて見ても本当によく似合ってるね、君たち!」
「……」
「……」
カーリクスは無表情で、レリアは唇をぎゅっと結んでいた。
『照れてるんだな、かわいいやつら。』
カリウスは内心でふふっと笑いながら、本題に入った。
「君たち二人を呼んだのはだな。数日後に開かれる宴会のことは知っているだろう?一族の重鎮たちが皆参加する予定だ。」
「……はい。」
レリアが小さく返事をすると、カリウスは一つ大きく咳払いをしてからカーリクスを見ながら言った。
「そこでカーリクス、お前にうちのレリアのエスコートを頼みたいと思ってな。」
「叔父様!」
「実は、今まで連会のたびにレリアのエスコートは私が担当していたのだが……ちょうど成人の連会をまだ終えていないこともあり、この機会にお前に任せようと思っている。」
レリアは眉をひそめた。
カーリクスは真剣な表情で叔父の言葉を傾聴した。
「成人の宴が終われば、あちこちの男たちがレリアに求婚してくるだろう。だから、その前に行われる宴でパートナーとして連れて行き、私がはっきりと示してやるのだ。軽々しく求婚するなと。」
「……あ……」
何を納得しているんだ?
レリアはこくこくと頷くカーリクスを見てあきれた。
叔父は非常に論理的にカーリクスを説得し、最後にこう尋ねた。
「もちろんやってくれるよな?」
「……わかりました。まあ、難しいことでもないですし。」
「よし、そうだと思った。」
「……」
レリアはあきれた表情で叔父を見た。
カーリクスは今、自分を男として認識していると。
目つきでそう告げると、叔父は大丈夫だというように目配せを返した。
どうせすぐに奪うだろうと考えているようだった。
だが、レリアの考えは違った。
他の人々と違い、カーリクスは自分の両目で彼女を見てきた。
皇帝と同じようには決して見ていないのだ。
彼女を女だとは思わないだろう。
『一体あのとき、どんな幻を見たっていうんだ……』
深く悩んでいる最中、カリウス叔父は「おっと、いけない!」と気まずそうに体を動かして立ち上がった。
「ちょっと二人で話していてくれ。」
叔父はそそくさと応接室を出て行った。
応接室に二人だけ残ると、カーリクスはすぐに立ち上がった。
彼は窓辺に歩いて行き、胸に手を当てた。
また胸がおかしい。
レリアがすぐそばにいるだけでこうなる。
『あの女装男は一体、俺に何をしたっていうんだ?』
少し前までは親しい弟のように感じていたやつが、今では怖く感じられた。
「カーリクス様。」
後ろから静かな声が聞こえると、カーリクスは自分の耳をふさいだ。
『なんでまた声があんなに綺麗なんだ?』
その様子を見て、レリアはため息をついた。
『わざと耳をふさぐって?』
レリアはため息をついて扇を広げた。
本当に内心がわからない……でも言わなきゃ。
『さっきみたいにカーリクスがまたあんなふうに言ってきたら……?』
男装していることを知っている叔父さんやおじいさまの前なら構わなかった。
理解してくれるだろうから。
でもそれを知らない大伯父さん、おばさん、おばあさま、そして家門の神官たちの前でそんなことをされたら……?
宴会の場でそんなことがあったら?
頭が痛くなった。
レリアは結局、勢いよく立ち上がりカーリクスの方へ歩いて行った。
カーリクスは背後から感じる気配に耳を塞いでいた手を下ろし、反射的に振り返った。
そして前と同じように腕をクロスさせた。
何してるんだよ……。
「近づくな、この変態。」
「……カーリクス様。一体なぜ私にこんなことを?」
「お前だからだよ!どこが堂々としてるんだ、その質問!」
「………」
レリアはどう言葉を切り出せばいいのか悩んで、ゆっくり口を開いた。
カーリクスが気まずそうに目を少し逸らして伏し目になったからだ。
「お願いします。さっきのようなことは、二人きりのときだけにしてください。侮辱されても構いませんから。」
「ば、侮辱… 私が君を侮辱したって?」
「構いません。でも、おばあさまの前ではやめてください。ご存じの通り、おばあさまは体が良くないので……大きなショックを受けるといけません。」
おばあさまがショックを受けるかもしれないと考えたとたん、レリアの目の端が潤んだ。
レリアがそう言った瞬間、カーリクスの心臓はドクンと大きく鳴った。
そして大きくて澄んだ目が自分を恨めしそうに見ている気がした。
「…うん、わかった。」
だからカーリクスも思わず、とてもあっさりと答えてしまった。
「ありがとうございます。やっぱり信頼できる“兄貴”ですね。」
「…‘兄貴’なんて言うな。」
いい気分で言ったつもりだったのに、どうしてこんな反応?
前はカーリクスもその呼び方を結構気に入ってたのに。
『…変態女装男には言われたくないってこと?』
まあ、どちらにしてもよかった。
レリアは唇をギュッと結んだ。
今はカーリクスにすべてを説明できないが、後でちゃんと告白して、必ず謝るつもりだった。
「…すみません。」
その気持ちを込めて、あらかじめ謝罪を述べたのだが、カーリクスは眉間にしわを寄せて顔をそむけた。
カーリクスは罪なき窓の外の月を見つめた。
左目の視野はどんよりと暗かった。
明らかに暗いのに……なぜレリアを見ると、暗かったはずの片目の視界が再び明るくなるような気がするのか。
実際にはそんなはずがないのに。
なんだか気になって、カーリクスはレリアをもう一度見つめた。
「…何かおっしゃることは?」
「ない!消えろ、消えろ!」
手をぐるぐる振って、犬でも追い払うように言うと、レリアは後ずさりしてソファに行き、腰を下ろした。
カークスは言いすぎたのではないかと、内心ハラハラして彼女をこっそりうかがった。









