こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は43話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
43話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- メイの失態
「薬を!」
2階の寝室からエレナの悲鳴が聞こえた。
1階で洗濯物を片付けていたアンと、警護に当たっていたヒュレルバードが必死の表情で階段を駆け上がる。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
部屋を開けた先には、手首を掴んで眉をひそめるエレナの姿だった。
「申し訳ありません。私は死に値する罪を犯してしまいました」
その前には、メイが頭と腰を下げて謝罪していた。
カーペットの上に注がれたカップ、立ち上げる湯気。
メイは、お湯を溢してしまったようだ。
「すみません?謝って済むのなら、何をしてもいいと?」
「本当に申し訳ありません・・・」
許しを請うメイの言葉は続かなかった。
パシぃん。
エレナの手の甲が、メイの頬を叩いたから。
あまりにも強く叩いたのか、メイは堪えきれずに泣きじゃくる。
「ああ・・・、お嬢様」
アンとヒュレルバードは前に出ることも考えられず固まっていた。
アンは、エレナの怒りを自ら体験したため。
ヒュレルバードは一度も経験したことのない状況だったので、途方に暮れていた。
「出ていきなさい。姿形も見たくないから、今すぐ出ていきなさい。早く!」
「お嬢様。一度だけお許しを・・・」
「出ていけという私の声が聞こえないの?出ていきなさい!」
エレナが猛烈に言い放つと、メイは涙声で寝室を出た。
「警告よ、私の目に入らないで」
氷のように冷たい瞳が、メイの肩を震わせた。
彼女はそのまま寮を出て行く。
「何を見ているの?冷たい水にタオルを濡らしてちょうだい」
「え?は、はい、お嬢様!」
アンは我に返る。
ヒュレルバードは自分が出る場ではないと判断して身を引く。
エレナに言いがかりをつけられるかどうか、アンは怯えながら処置をする。
「最初からあなたに頼めば良かったわ。アンならこんな間違いはしなかったでしょう」
彼女は口を震わせる。
表情を抑えていたが、メイが追い出された姿が気持ちよかったからだ。
「お嬢様。後片付けは私がしますので」
「ありがとう、アン。あなたが私の世話をしてくれて、本当に良かったと思うわ」
エレナは手首に軟膏を塗った後、寮を出た。
アンは鼻歌まで歌い、水に濡れたカーペットを乾かす苦労も厭わなかった。
- 黒髪の男性
エレナは真っ直ぐ図書館に向かう。
今日は講義のない日。
(メイには申し訳ないことをしたわ。演技とはいえ、強く叩きすぎた)
さっきの事件は、アンを騙すためにエレナとメイが仕組んだ芝居。
記録室に移動し、ルシアに変装する。
「セシリア、私はあなたとどう付き合えばいいの?」
一時は恋敵の彼女を憎んだりもした。
しかし、過去を経験し、激しかった感情は薄れた。
最初に彼女と皇太子のシアンの間に入った招かれざる客は、他でもなくエレナなのだから。
そう、エレナはセシリアに罪悪感を持っていた。
皇妃だった自分を皇后にするために、リアブリックとフランツェ大公が彼女を毒殺したのだから。
たとえエレナが直接介入したわけじゃないとしても、当時皇后の座を内心望んでいたので、申し訳ない気持ちにならざるを得ない。
「あなたも、私も、あの恐ろしい未来を繰り返す必要はないわ」
しかし、それとは別にラファエルは必要不可欠。
セシリアとぶつかるのが嫌で、ラファエルを避けるとエレナの復讐に大きな支障が生じてしまう。
学術院西側別館に足を運ぶ。
「ルシアちゃん!」
「こんにちは、先輩」
「ラファエルに会いに行く途中?」
「ええ、ちょうど休みでしたので。先輩もですか?」
「ラファエルを見に行くのは確かだけど、理由が違うの。誰かさんから逃げたくて」
いたずらっぽく笑うセシリアを見て、エレナは首を傾げた。
「逃げているのですか?」
「ええ。私にはとても難しい人」
曖昧な言葉を残したセシリアが片手に持っていた紙袋を振る。
「早く行きましょう!今日もクッキーをいっぱい焼いたから」
適当に相槌を打ちながら、仲良く別館に足を運んだとき。
セシリアが突然立ち止まる。
不思議そうに首を傾げながら、彼女の視線の先を見つめる。
そこには黒髪の男が立っていた。
「・・・!」
- クラディオス・シアン
高い鼻に吸い込まれるような瞳。
彼からは気品と生まれつきの尊さが漂っていた。
「皇太子殿下」
セシリアの小さな唇を通じて、男性の正体が明らかになる。
クラディオス・シアン。
「君は依然として僕を避けるんだな」
彼と出くわした途端に、エレナの耳にシアンの声が聞こえた。
音は鼓膜を通って入り、心臓をドキドキさせる。
世界中に彼とエレナだけが取り残されているような気がした。
これまで抑えていた感情が溢れてくる。
彼への恨みと罪悪感、後悔に染まった複合的な感情。
「避けてはいません。殿下はいつも私を困らせるのですから」
会話を交わすのはセシリアとシアンだが、エレナの耳にはシアンの声だけが聞こえていた。
彼に傷つけられた言葉が頭の中をよぎる。
『一瞬も君を愛したことはない。君は僕の過ちであり、僕の不名誉であり、僕の不幸だ』
シアンの言葉がエレナを突き刺す。
その痛みで自然と息が詰まり、背中から冷や汗が流れた。
彼女にとってシアンは痛みであり、傷であり、永遠に治療されないような苦い傷跡だった。
「あれ?ルシアちゃん?」
「・・・」
苦笑いしていたセシリアが、エレナの顔色を見て心配そうな声で尋ねる。
「どうしたの?どこか具合が悪い?」
「・・・」
返事をする余裕もない。
(クラクラする。今日はもう帰ろう)
心は帰って休もうとしたが、体が続かない。
足の力が抜ける。
「ルシアちゃん!」
驚いているセシリアの叫び声が聞こえる。
目の前が真っ白だった視界が、次第に世界を整えていく。
「・・・!」
ショックを受けてエレナの目に力が入った。
自分が誰の腕に抱かれているか理解したから。
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