影の皇妃

影の皇妃【44話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「影の皇妃」を紹介させていただきます。

今回は44をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。

皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。

そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!

自分を陥れた大公家への復讐を誓い…

エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。

リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。

フランツェ大公:ベロニカの父親。

クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。

イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。

レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。

フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。

ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。

アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

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44話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • エレナの醜態

「で、殿下・・・」

バランスを失って倒れるエレナを、反射的に助けたのは皇太子のシアンだっら。

「・・・放してください」

あの無情な視線のどれほど傷ついたことだろうか?

一生消えない傷跡として残り、今も自分を苦しめる。

もう向かい合いたくなかった。

この痛みを治すことが出来るのであれば、彼を記憶から消したいと思えるくらいに。

エレナの催促に、シアンは不思議に感じる・

隠そうとしているのに、自分を見つめる目つきはどうしてあんなに切なくて痛そうなのか。

「大丈夫!?お医者様の所に行きましょう!」

セシリアは心配したのか、そばで慌てている。

ようやく立ち上がったエレナは首を振る。

「休めば治りますから」

「でも・・・」

「大丈夫ですから」

「・・・」

エレナの切る視線にセシリアはそれ以上勧められず、口をつぐむ。

完全ではない体と心を落ち着かせて、いつものように完璧な礼儀作法を示し感謝の気持ちを表した。

「皇太子殿下のご好意に感謝いたします」

「・・・」

エレナを見送るシアンの瞳は広がっていた。

彼女が見せた礼法と動作は皇室のお手本といっても構わないほどだったから。

皇族というのは、死ぬ瞬間まで乱れることがあってはならないという言葉をそのまま体現したかのような模範的な姿勢。

「本当に大丈夫?寮まで同伴してあげるから」

「いいえ、一人でいたいので。どうか、行かせてください」

醜態はここまで。

奥歯を食いしばり線が崩れないようにバランスを保つ。

醜い姿を見せたくない。

それは、エレナが最後まで守りたい自尊心だった。

「やっぱり駄目よ。あのまま送るのは心配だわ」

セシリアは我慢できずに追いかけようとする。

「彼女が心配か?」

「また倒れるかもしれないのに、どうしてそのまま送ることができますか!?」

シアンは無関心な視線で、遠ざかるエレナを見つめる。

「彼女はあなたが心配するよりも、知らないふりをして送ってくれる方が必要に見えるが?」

「殿下はまた私が知らないことを仰るのですね」

言葉が通じないと思ったのか、セシリアはもどかしさを隠せなかった。

シアンは立ち上がり、エレナが見えなくなるまで見守った。

一体あの令嬢は誰なのだろうか?

どうして皇室の大人たちに見られる規律と節度が滲み出ているのだろうか?

疑問に思うが、シアンは些細な疑問を考え続けるほど暇ではない。

「言えなかった話を続けよう、セシリア」

同時刻。

歩いて行くエレナを遠目に見る女学生の姿が。

彼女の名前はミシェル。

ラインハルト公爵家の長女、アヴェラの取り巻き。

「早くアヴェラ令嬢に伝えないと」

ミシェルはエレナを見つめて、笑顔を浮かべる。

果たして、アヴェラが彼女にどんな報復をするのか今から楽しみだった。

 



 

  • 露骨な視線

「・・・」

エレナはようやくその場を離れて街灯に寄りかかる。

青白い顔は、今すぐ倒れてもおかしくない病人のようだった。

広場のベンチに崩れるように座り込む。

何も考えられない。

「少し休もう」

意識がどんどん薄れていく。

体も精神もここまでが限界のように、彼女に休息を強要した。

ベンチに座ったまま眠る。

『もう陛下にお世話になりません。私のせいで、あなたが傷つく姿を見ていられませんから』

悪夢にうなされる。

「あ!」

短い断末魔を鳴らして目を覚ました。

少し休んだからだろうか、さっきよりは体が軽い。

何とかベンチから立ち上がったエレナは違和感を覚える。

不穏ながらも後頭部が痛い感じ。

露骨な誰かの視線。

「・・・!」

目を疑う。

声を上げなかった自分を褒めてあげたい。

(こいつがなぜここに?)

レンは鋭い視線でベンチの端に座り、エレナをじっと眺めていた。

「お前は何だ?」

「・・・」

「聞こえないのか?」

「こんにちは、先輩」

「挨拶じゃなくて紹介」

「今年入学した新入生のル・・・」

「ルシアだろ?」

レンが私の言葉を遮る。

「えっ?どうして私の名前を?」

エレナの目が大きくなる。

「名札にそう書いてある」

「あ!」

右胸の名札を見て、エレナは内心ホッとした。

(落ち着いて、エレナ。前後の状況を考えても、先ほど偶然出会った仲なのだから)

 



 

  • レンの反応

「紹介の続きは?」

エレナに興味を示すレンに、彼女は唐突に聞き返すことにした。

「剣術学部のレン先輩ですよね?」

「それは俺の質問に対する答えじゃないけど?」

気が狂いそうになる。

「私のことを知ってもつまらないと思いますが?」

「それは俺が決めることだ」

どうしてもこの状況から抜け出す方法が思い浮かばない。

その時だった。

大きな雨が落ちてエレナの鼻を濡らす。

「雨?」

とてもタイミングのいい夕立に感謝した。

「私は体調が優れないので、自己紹介を先延ばしにしていただけないでしょうか?」

雨が激しくなる。

「それではさようなら」

憎らしい笑顔を浮かべながら別れの挨拶をして、後ろも振り向かずに逃げようとした。

(良かった、捕まらなくて。危機は免れたみたい)

「えっ!?」

レンから抜け出したと思い、安心したのが禍の元だった。

急ぎすぎたのか、エレナの足が何かに引っかかってしまう。

「あっ!」

バランスを崩した彼女は前のめりになり倒れた。

反射的に地面に手をついて手のひらはすり減り、ストッキングが地面に触れて裂けた。

「誰が行っていいと言った?」

顔を上げると、わざと足をかけて転ばせたレンが邪悪な笑みを浮かべて見下ろしていた。

「その目つきは、俺の知っているものと似ている」

「・・・!」

エレナはどうしようもなく、怒りを抑えることができなかった。

「先輩の許可なしに行くつもりだったのですが」

「しかも、声もだ」

目を細めるレンを見て、エレナは口の中が乾いていくのを感じる。

無理に笑いながら冗談を言う。

「私に似た方ですか?でしたら、とてもお綺麗なのですね?」

一度も見せたことのない軽はずみな笑い。

ベロニカと反対の性格を見せないと、レンの疑惑が生じることを恐れたから。

「・・・」

エレナの演技にもかかわらず、レンは微動だにしない。

たった数秒が、数時間のように感じる。

そして、ついにレンが反応を見せた。

 



 

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