こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
54話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 甘い毒
ジェレミーの質問に、カシスは顔色を一度も変えずに答える。
「他のアグリチェの人?誰のことか分からないな」
「言葉通り、誰かを見たこともないのか?」
「誰か探している人でもいるようだね」
(質問に答えるだけでいいのに、何をそんなに根掘り葉掘り問い詰めてくる?)
ジェレミーは苦労しながら苛立ちを抑える。
そんな彼を見て、カシスは何でもない口調で話した。
「アグリチェ内部のことを他家である私に聞くとは。首長として資格不足なのでは?」
「この・・・」
ジェレミーの目から火花が飛び散る。
しかし、彼は飛び出しそうになる悪口を噛み締めて忍耐心を最大値に引き上げた。
カシスは怒りを抑えながら我慢するジェレミーを探索するような目つきで見つめる。
しかし、ジェレミーは深く深呼吸をしながら熱を下げるため、それに気づくことはなかった。
「そうだね、お前なんかが分かるはずがない。無駄に時間を浪費してしまったようだ」
そう告げた後、ジェレミーが先に背中を向ける。
もちろん、最後にカシスに投げた彼の目つきは険しかった。
しかし、ジェレミーはカシスにそれ以上文句を言うことなく、口をつぐんで先に会議場に入った。
カシスはその姿をしばらくじっと見つめ、やがてジェレミーの後を継いで足を運ぶ。
「時間の無駄だったな」
会議を終えて退出する途中、リセルが低い声で呟く。
隣にいたカシスもそれに同意した。
今回の会議は、5家門間の結束を再び深めるための方案を議論しようと用意された席。
しかし、長い時間を費やした末に導き出された結果は大したものではなかった。
ジェレミー・アグリチェも精一杯震えながら会議場を退出する。
「もう帰ろう」
リセルが舌打ちしながらカシスにそう話した。
ちょうどその時、廊下の向こう側から歩いてくる人物がカシスの目に入った。
ベルティウムの使者。
ノエル・ベルティウムは家門の集まりにあまり参加しない代わりに、重要な会議の度にこのように部下を送っている。
黙礼した後、カシスたちを通り過ぎる男に一瞬、カシスの視線が届いた。
しばらくして彼は立ち止まる。
「父さん、私は立ち寄る場所があるので、ここからは別々に行動します」
「遅すぎないように」
「はい」
リセルはカシスに他の説明を要さず、そう言った後、彼は席を離れた。
カシスも止まっていた足を引き返し、イシドールが彼の後に続く。
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しばらくしてベルティウムの使者が再びカシスの目の前に姿を表した。
男は回廊を歩きながら印章を押して封印した封筒を胸に隠している。
カシスは男が回廊を出て芝生を踏んだ瞬間、柱の後ろから現れ、男の鳩尾を殴った。
オルカの時と同じく不意に攻撃された男は「がっ!」と断末魔の声を上げた後、ばったり倒れる。
カシスは前屈みになる男の体を掴む。
「最近は道の真ん中で倒れている人をよく見かけるね」
オルカもそうだが、今目の前にいるベルティウムの使者もカシスが気絶させたのだが。
「心身微弱の人がこんなにも多いとは、心配になるよ」
「心身微弱・・・、ですか」
カシスの厚かましい言葉にイシドールが渋々と反問する。
それでもカシスは微動だにしなかった。
「ベルティウムの使者が遠い道のりを走ってきたせいで疲れているようだ。こんなに気力を尽くして意識を失うくらいなのだから、少し休ませてあげた方がいいだろう」
イシドールもカシスの意中に気づいて相槌を打つ。
「はい、私の考えも同様です。ですが、今日ユグドラシルであった重大な議論については、ベルティウムに一刻も早く伝えた方がいいんじゃないでしょうか?」
「仕方がないね」
カシスはイシドールの言葉に小さく頷き、意識を失った男から書簡を取り出した。
その後、カシスは男に用がないというようにイシドールに押し付ける。
「私たちが代わりにベルティウムに赴こうか」
そう言った後、カシスが先頭に立つ。
男をユグドラシルの侍従たちに預けた後、彼らはユグドラシルを離れた。
もちろん、目的地はベルティウム。
翌日、ロクサナとの出会いのために万全の準備を終えたノエルは、結局彼女に会うことが出来なかった。
「起きてください、ノエル様。もう日が中天に昇りましたよ」
「ううん・・・」
「ノエル様があれほど出会いを待ち侘びていたロクサナ様が応接室でお待ちしていますが?」
「むにゃむにゃ・・・」
ノエルはダンテのあらゆる努力にもかかわらず、まだ夢から抜け出せずにいた。
ついにロクサナがベルティウムを訪問すると興奮し、数日間ほとんど徹夜した余波だ。
ニックスの説得で、昨日は早く寝ると思っていたら・・・。
普段から睡眠不足に脆弱だったノエルは、舌なめずりをしながら眠っている。
「ノエル様。ノエル様?」
ダンテがどれだけ起こそうと努めても、ノエルの目は開く気配さえ見えない。
ついに、ダンテの額に青筋が立った。
「いい加減に起きろ!」
「う〜ん・・・」
「ということで私が来ることになったんだ」
結局、ロクサナがいる応接室に入って来たのはニックスだった。
ロクサナは、ニッコリ笑っているニックスを冷たい目で見つめる。
もちろんダンテはとても気に入らなかったが、ニックスが先に自分が直接ロクサナを接待すると乗り出したのだ。
そして、「ノエルにある程度事前に指示を受けた事項があるので大丈夫だ」と話した。
ダンテはやむを得ずニックスを応接室に入れることに。
むろんニックスの言葉だけなら、不審でも彼の言葉に従わなかっただろう。
しかし、ダンテも今回の件はニックスの役割がかなり重要だという点は、既にノエルに聞いて周知していた。
「無駄足を踏んだわ。あなたとは話すことがないのに」
もちろんロクサナは躊躇なく席を立とうとした。
そんな彼女の足を引き止めたのは、相次ぐニックスの声。
「そうなの?私はむしろノエルがいないから楽に話せると思ったのに」
音もなく滑り落ちた赤い瞳が、再びニックスの顔に触れた。
しかし、ニックスは終始一貫して毅然とした表情のまま。
「それは、あなたがノエル・ベルティウムより率直だという意味かしら?」
小さく開いたロクサナの唇から低い音声が漏れる。
「もしかしたら『私』だから答えられる内容があるかもしれないという事さ」
ニックスがロクサナの微笑む。
「・・・」
ロクサナは椅子に座り、冷たい目つきで彼を見守った。
ニックスはロクサナの沈黙を無言の受諾として受け入れる。
「好みが分からないから、ベルティウムにある一番良いお茶を用意したよ」
ニックス自らがお茶の用意をする。
動きがとても自然なのを見ると、このようなことに慣れているようだ。
しかし、ベルティウムでの彼の役割を奴隷や使用人と考えるには、視野に映った姿があまりにも優雅で品位があった。
余裕が感じられ、ニックスの態度には屈従する感じがない。
ロクサナの視線が彼の右手にしばらく留まる。
もっと正確に言えば、彼女の視線が届いた場所はニックスの手の甲にある傷跡。
「もしかして甘いものは好き?そうだったら嬉しいけど」
ティーカップに続き、トレイの上に会った各種デザートが並べられていく。
見ただけでも甘く見えるケーキの種類が特に多い。
「食べてみて。自分で作ったものだから、味は保証するよ」
ロクサナはニックスの勧めを静かに見下ろした。
「これはあなたが直接作ったの?」
「うん。ベルティウムにいる間、何となく身に付くようになって」
その後、ニックスはロクサナの向かい側の席に座る。
「本来はこの場にノエルがいなければならないけど、状況が状況だからね」
「だから仕方なく」とニックスは微笑んだ。
彼の微笑はどこか妙なところがあった。
ロクサナが見たベルティウムの他の人形とは違って、ニックスの笑顔はまるで本物の人間のように自然に見える。
もしかしたら、彼女が彼の顔を見て無意識のうちに記憶を振り返り、兄のことを思い出しているからかもしれない。
目の前のコップを持ち上げて液体を一口飲む。
その後、彼女は容赦なく評した。
「砂糖の塊のお茶に、砂糖の塊のケーキなんて。好みが酷いわね」
ニックスはロクサナの言葉が予想外のように目を大きく開く。
「そう?ごめんね、君が甘いものが好きそうだったから。私の考え間違えのようだ」
「どこから出た考えなのか知らないけど、とんでもないわね」
「そうだね」
ニックスの言葉に、ロクサナは黙ってティーカップを傾ける。
ふと子供の頃を思い出した。
幼い頃からアグリチェの子供たちは、家風によって耐性を育てるために毒を摂取しなければならなかった。
甘いケーキや蜂蜜を入れた飲み物などに毒を少しずつ混ぜたりして。
今ニックスを見て、ふとあの時のことを思い出す。
反射的に浅い懐かしさが込み上げてきたが、ただそれだけ。
今この場に一緒にいることが事実ではないという事実は、誰よりもロクサナが最もよく知っている。
「ロクサナ」
その時、優しい声が彼女の名前を呼んだ。
ロクサナは静かに目の前の顔を見る。
「こんなに近くで向かい合ってみると、なぜか変な気分になるね」
本当に言葉通り、ニックスはぎこちない表情を浮かべていた。
人形と呼ぶには、あまりにも躍動感がある。
ロクサナの目が少し低く沈んだ。
彼女も変な気分だった。
このように実際に生きて動くアシルを再び見ることができるとは想像すらしたことがないのだから。
アシルの姿をした人形がロクサナに向かって再び口を開いた。
「うん、そうだよ。ずいぶん前から知っていた人に久しぶりに会ったような気分だ」
その瞬間、ロクサナの唇の間から浅い笑い声が聞こえる。
「人形のくせに人の感情を分かったかのように言うなんてね・・・」
鮮やかな笑みが浮かぶ。
「本当におかしなこと」
ロクサナは椅子にもう少し深く身を寄せる。
「まさかその体だけでなく、魂まで知っていると主張するつもり?」
ニックスが甘い言葉で誘い出したとしても、ロクサナはそれを信じないだろう。
それでも敢えてデタラメを言うつもりなら、それを聞いて嘲笑うつもりだった。
「・・・うーん、正直に言うと」
ニックスが冷気のこもったロクサナの顔を見て、自身の困惑感を示した。
「君の兄をフリをして、どうにかして君をベルティウムに長く留めておけってノエルに命令されてたんだ」
予想通りと言うべきか。
ノエルの告白にロクサナの口から自然と冷笑が滲み出る。
しかし、ニックスがこのような内容をロクサナに告白するのは、少し意外だった。
どんな甘い言葉を並べてもロクサナが信じないことを知ったためか、ニックスは意外と率直にノエルの計画を打ち明けたのだ。
「しかし、私にそう言ったところで、そういう命令は複雑だし、何をどうすればいいのかさっぱり分からないんだ。この身の持ち主の記憶が私に残っているわけでもないし」
「そうでしょうね。あなたは本物じゃないのだから」
「確かに私は人形だし、君の言葉を聞いてもよく分からない」
続いて耳元を掘り下げたニックスの声に、ロクサナの目つきが小さく微動した。
「けれど、ロクサナ。君を見た瞬間、とても嬉しくて懐かしい気分になったんだ。変な話だけど、本当だよ」
彼女を直視するニックスの瞳は本当に真実を語っているように思える。
今、彼が言った内容も偽りとはかけ離れているように感じられた。
「あなたに会いたかったと、昨日宴会場で言ったのも本当だよ」
「・・・」
ロクサナはニックスの言葉を途中で止めることができたが、彼女はそうしなかった。
「今日私がここに来たのも、ノエルの命令に従うためではなく、ただ私が君に会いたかったからさ」
嘘を突き止めようとするように向き合った顔をじっと覗き込む。
「ノエルに君の話を聞いて好奇心が湧いたんだ。だから・・・」
ロクサナは付け加えられたニックスの言葉を聞いて口を固く閉ざした。
「もちろん人形に好奇心なんて、話にならないと思うかもしれないけど」
「・・・」
「でも本当だよ。私がこの体で目を覚ました時からずっと気になっていた。蘇る前の「私」はどんな人だったのか」
ニックスを眺めるロクサナの顔は水面上に薄く作られた薄氷のように固まっていた。
「君にとっては、とんでもないと思うかもしれないが、私はこの体を完全に自分のものだと感じている。私の人生はこの肉体から始まったのだから」
ニックスはロクサナの反応を理解するかのように穏やかに微笑む。
「私に中にはノエルが修復したアシルの本当の心臓が鼓動しているし、私は他の人形と違って感情も感じられる」
確かにニックスはロクサナがベルティウムに訪れて見た他の人形たちとは違っていた。
「ダンテはこんな私を不良品だと言うけど・・・」
そのように付け加え、ニックスは少し苦笑いを浮かべる。
「ロクサナ、君はどう思う?私は人に近いと思う?人形に近いと思う?」
「・・・」
「人間を成す要素は大きく肉体と魂、この二つの部分に分けられるという。じゃあ、今の私にとって、アシルが占めている部分は何割程度だと言えるのだろうか?」
ロクサナは答えなかった。
「私にはよく分からない。ロクサナ、君はどう思う?」
自分のアイデンティティに疑問を持つ人形だなんて。
確かに前代未聞だった。
「ロクサナ。もしその答えを見つけたら、今私がどうして君を見ながらこんなに嬉しくて悲しい気持ちになるのかも分かるようになるのかな?」
まさかこのような話を聞くとは思わなかったロクサナは、沈黙を守りながらニックスの視線と合わせる。
部屋の中に静寂が敷かれた。
ロクサナは何を考えているのか分からない表情でニックスを凝視する。
ニックスはそんな彼女を見て、微かに笑った。
「あと数日ここに泊まりながら、私を観察してみるのも悪くないと思うよ」
先ほどのように強く訴える力が込められた声の代わりに、春風がそよぐように柔らかい美声の声が耳元をくすぐる。
「ノエルの招待に受諾したということは、君も私についてもう少し知る気があるということじゃないか」
「そうだよね?」と付け加え、ニックスは首をかしげる。
「どうせノエルから聞きたい説明もあると思うし」
ロクサナは依然として感情を表していない瞳でニックスを見つめた。
「予想より興味深いテーマではあったけど・・・」
ついに彼女は持っていたティーカップを下ろす。
「わざわざ時間を割いて聞くほど有益な話ではなかったわね」
その後、ロクサナは席から立ち上がった。
「先に戻らせてもらうわ」
ニックスを残したままロクサナはドアに向かって歩いていく。
彼女の背中からはどんな未練も感じられなかった。
しかし、ドアを開ける直前、ロクサナはニックスに向かって通り過ぎるように呟く。
「明日は他の紅茶を出してちょうだい。今のように舌が痛くなるほど甘いのは私の好みではないわ」
その言葉は、事実上ニックスの勧めに対する間接的な受け入れだった。
「収穫はありましたか?」
ロクサナが応接室を出た後、ダンテが中に入ってきて尋ねた。
ニックスはまだテーブルの椅子に座っている。
彼はゆっくりとお茶を飲みながら答えた。
「まあ、予想通り。もう少し泊まっていくことになったよ」
「ノエル様が喜びますね」
「そうだろう」
そうするうちにニックスが嘲笑の笑みを浮かべる。
「本当に人間たちは愚かだ」
今この場にいる唯一の人間であるダンテが眉間を狭めた。
「あまり興味のないふり、冷たいフリをしていたにもかかわらず、私の作り話のいくつかの言葉と行動にすぐに動揺するなんて。これしきの殻、これしきの肉身にどうして執着するのだろうか?」
昨日、舞踏会が開かれた宴会場がそうだったように、今ニックスの周囲には目に見えない保護結界が形成されていた。
これには結界内部の音を外部に遮断する効果もあり、たとえロクサナがあの変な蝶を送っても、今彼の言うことは盗み聞きできないはずだ。
「やはりこの体の本来の主人とあの女は生きている間、兄妹間の友愛がとても深かったようだ。そのおかげで、私が入り込む隙もできたし。思ったよりも仕事が簡単に終わりそうだ」
ニックスはそう言って、空になったグラスをテーブルの上に置く。
先ほどニックスがロクサナに見せた姿は、彼が意図的にアシルを真似したもの。
もちろんニックスは、アシルの実際の姿がどうだったのか分からない。
しかし間接的に聞いたことがあり、この体の主人がどんな人だったのか漠然としてでも頭の中で描き出すことができた。
実は彼はノエルの命令でロクサナを探しにベルティウムの外に出た時、他のアグリチェの一員に会った。
ロクサナの痕跡を追うために、真っ先にアグリチェの地を踏んだ時のこと。
当時、アグリチェはペデリアンによって廃墟になった後であり、そのような理由で各自の生きる道を探してそこを離れることに決めた人も多数いた。
ニックスは機会を窺って外に出る人々の中で最も粗末に見える男を一人釣った。
つまり、拉致したと言うことだ。
最初はロクサナの行方について聞くつもりだった。
ところが男はニックスを見て気絶しそうなくらいに驚く。
話を聞いてみると、彼はロクサナの腹違いの兄弟の一人だと言った。
名前もチラッと聞いたかもしれないが、あまり重要ではない部分なので全部忘れてしまった。
とにかく、ニックスは肉体の持ち主を知る男の反応に興味が生じ、彼に対する話を聞く要領でもう少し深い対話を試みた。
もちろんニックスが試みた方法は最も早くて効果的な体の対話。
まさに拷問だった。
しかし、期待したほど役に立つ情報はなかった。
アグリチェは家族間でも交流がほとんどなく、他の異母兄弟についても詳しく知らないと。
しかも、アシルは早くに死んでいるから情報はほとんどなかった。
それでも収穫が全くないわけではないので、ニックスはアシルがとても優しい性格だという事実を知ることができた。
もちろん、それは良い意味で。
ニックスの印象は、柔弱で情けない人間。
ちなみにニックスが拷問を加えた男は、ロクサナの行方についても知らなかった。
ニックスは残念な気持ちで直接彼女の痕跡を探して忙しなく動かなければならなくなる。
もちろん、席を離れる前に楽しい時間を一緒に過ごした男に永遠の安息を抱かせることも忘れなかった。
その時に聞いた情報をもとにニックスはロクサナの前でアシルの姿を真似してみた。
結果はまあまあ悪くなさそうだ。
大したことない些細な行動だが、ロクサナに甘いお茶と甘いケーキを出したのも意図的な行動。
年の離れた仲のいい兄妹。
兄は妹をとても大事にする善良で優しい性格。
幼い子供なら当然糖分が多量に含まれた食べ物が好きだろう。
そんな兄から飴を貰った記憶がロクサナにないはずがなかった。
予想通りニックスが茶菓を勧めたとき、固まっていたロクサナの目つきがやや緩むのが見えた。
彼女自身は否定しているだろうが、ロクサナがここに来たことは全く未練を持たないわけではないはず。
それが虚しい希望であれ、充実した自己慰安であれ。
最初の頑固な態度を捨て、ここにもう少し残ることを決めたのも同じ脈絡だろう。
当然、それは愚かな期待なのだが。
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カシスたちの画策:会議後、カシスとイシドールはベルティウムの使者を不意打ちして書簡を奪い、使者に成り代わって自らベルティウムへ向かうことにした。
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ニックスによるロクサナの揺さぶり:ノエルの代わりにロクサナを迎えた人形ニックスは、亡き兄アシルの面影や感情があるかのように演じ、ロクサナの関心を惹きつけてベルティウムへの滞在を延ばさせた。
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ニックスの真の意図と冷酷な本性:ニックスが見せた態度はすべて計算された演技であり、以前アグリチェの者を拷問して得た「善良な兄」の情報をもとに、ロクサナの情に付け込んで操ろうとしていた。