こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は86話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
86話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- レンの過去
「殿下が勝った・・・」
自分の目で見ても、エレナは信じることができずにいた。
レンは将来、帝国を守護する3本の剣の1人、荒野の狼。
ヒュレルバードを除けば、彼に勝てる相手がいないと評価された最強の剣士なのだ。
そんな彼をシアンが下した。
(ヒュレルバードの言葉は正しかったのね。殿下は実力を隠していたんだわ)
「ルシア、何をしてるんだ?早くこっちに来いよ」
カリフの呼びかけに応えて、エレナはテラスの近くに立って拍手をする。
何が何だか分かっていないが、心から優勝を祝う。
部屋の外で待機していた騎士が部屋に入ってくる。
「殿下がお目にかかりたいと存じております。ついて来てください」
事前の連絡があった通り、近衛騎士は一行を試合会場の裏側に設けられた建物に案内した。
エレナが建物に足を踏み入れようとした瞬間、偶然にもある姿が目に入る。
「・・・すぐに行きますので、先に上がっていてください」
近衛騎士にそう告げて、エレナは彼らのいる場所に向かった。
パシン!
レンの頭が傾くのが見えた。
ビックリしたエレナは、思わず堀に身を隠す。
「ここまで来たのに、負けを見せられるとは。情けない奴め」
堀の向こうから聞こえてくる声は重厚だった。
「父さんは本当に満足を知らないのですね。負けることもあります」
「口答えをするな!」
パシン!
レンに対するエレナの感情は良くない。
しかし、それとは別に決勝戦で敗れたという理由だけで、頬を殴るスペンサー子爵の行動も大人としての行動ではなかった。
「本当に頑固ですね。母さんにも、そんなに厳しかったのですか?」
「何だと?」
エレナは息を殺した。
(お母さん?)
そういえば、レンの家庭のことや個人のことについては全然知らない。
彼のことが嫌いで、避けることだけを意識していたから。
「なぜ知らないふりをするのですか?自分の体を支えられない母親を社交界に送り出し、人脈すらまとも築けないのかと罵倒していたではないですか?」
「あいつはバスタージュ家の者だ。当然の事が出来ないから怒るのは当たり前のことだ!」
「私が代わりにすると言ったはずです!だから、母さんは放っておいてくれと。それなのに、あなたは・・・」
感情が高ぶったレンが、言葉を濁す。
それだけでも、レンの母親がどんな結末を迎えたのか見当がつく。
エレナは、レンがなぜベロニカ公女を憎んで大公家に悪感情を持っていたのか、今になって少し理解出来た。
レンは、家族の事情で傷ついた自分をどうすることもできなかったのだ。
自分の傷が辛いから人を苦しめて傷つけて、その間に自分の傷は自分も知らないうちに乾いていた。
「愚か者、過去に囚われおって!お前を間違って育ててしまったようだ。もっと厳しく、強く育てるべきだったのに!」
そう吐き捨てて、スペンサー子爵は背を向けた。
最後の瞬間まで、彼は酷い父親だった。
「いつまで隠れてるんだ?」
(バレてる!?)
レンの口ぶりからすると、最初からエレナの存在に気付いていたようだ。
エレナが姿を現すと、レンはニヤニヤ笑いだす。
「堂々と盗み聞きなんて趣味が悪いな」
「・・・大丈夫ですか?」
「何が?あ、これ?」
レンが大したことのないように反問し、ニッコリ笑う。
「何?痛いって言ったら来てくれるのか?」
平気なふりをしているが、ちっとも良くなさそうな表情のレン。
そんな彼を見て、エレナは思わず前に近づいて手を伸ばした。
「・・・!」
エレナの手が、レンの腫れた頬を優しく撫でる。
傷ついた心が少しでも痛くならないようにという願いを込めて。
レンは思いがけず困惑した。
その不慣れな感情の受け入れ方を学んだことがないため、エレナの手首を握って睨みつける。
「これは何のつもりだ?同情しているのか?」
「ええ、同情しています」
「・・・!」
「どうして馬鹿みたいに殴られるのですか?体は大きいくせに、ろくに話も出来ないのですか?」
(今、私は慰められているのか?)
自身に問いかけるレンの瞳が激しく揺れる。
いつも責任感と義務を強いられて成長してきた。
彼にとって、慰めという言葉は贅沢だったのだ。
そんなレンの最も弱い部分を、エレナは撫でていた。
「痛いので放してくれませんか?」
「あ!」
レンはエレナの手首を強く握っていたことに気づき、素早く手を引く。
自分の失敗で腫れ上がったエレナの手首を見ると、心が痛む。
(これ以上はダメだ)
彼女と向き合っているとおかしくなりそうなので、レンは背を向けた。
「約束は守れなかったから、外食はまた今度にしよう。それまで、残念でも我慢してくれ」
「先輩」
低い声で呼ばれるエレナの言葉に、自分はどうしてこれほどに胸を打たれるのだろうか?
レンは立ち止まった。
「警告する。私を無闇に慰めないでくれ」
エレナを見る自信がない。
振り返らないまま、レンは本心を切り出した。
「線を超えてしまうかもしれないから」
「・・・!」
驚いたエレナを後にし、レンはポケットに手を突っ込んで、そのまま立ち去る。
実に彼らしい退場だった。
レンの過去も複雑ですね・・・。
彼の目的は大公家への復讐ですから、エレナの目的とは合致しているのですが・・・。
レンのエレナに対する気持ちにも変化が生まれたようですね。
シアンのライバルがまた増えました!
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