こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は83話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
83話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 私の人
「まったく」
気怠い声が耳元でくすんだ。
パンドラは今起こったことが信じられなかった。
呆然とした表情を浮かべるパンドラに、再び退屈さの混じった囁きが聞こえてくる。
「一口にもならないもので、私を脅かそうとするなんて」
パンドラの魔物を跡形も残さずに一瞬で平らげた蝶々がロクサナに向かって飛んでいく。
僅か1分ほどで起こったことにしては、その波及力は莫大だった。
パンドラはロクサナの後ろで威嚇的に隠れている赤い蝶を見て、呆然と呟く。
「毒蝶・・・」
魔物との交感が切れた直後、腕輪の青い宝石がガサガサと音を立てながら割れる。
赤い蝶の間に立つロクサナは、魔物たちの女王のような危険な美しさを放っていた。
パンドラが取り出したのは下級魔物だったから、死んだとしても惜しくはない。
それよりも、毒蝶の主人を目撃した驚きや衝撃、そして畏敬の念が一段と大きかった。
魔手師なら誰でも好奇心を持って欲しがる珍しい魔物たちの中で、毒蝶もその中の一つだ。
パンドラもオルカから毒蝶を発見したと聞いたからこそ、チュロべを貸したほどに。
ロクサナの毒蝶が自分の魔物を捕食したという事実をしばらく忘れて、パンドラは呆然と彼女を眺めていた。
ロクサナは退屈だと感じた。
毒蝶が「この程度の魔物では、まったく満たされない」と不満を吐露するほど、パンドラの魔物は一口足らずだったから。
それでも最近はカシスのおかげで毒蝶を以前のようにコントロールできるようになった。
そのおかげで、毒蝶も彼女の許可なしに自由に暴れることはない。
しばらくの間は外の魔物生息地を荒らしながら捕食したお陰でもあるが。
「カシスはもう私のものよ。私は私のものを他の人が欲しがるのは我慢できないから」
ロクサナはそう言って、パンドラに微笑む。
一見穏やかに見えるが、その中には鋭いガラスの破片をいっぱい含んでいるような微笑だった。
「だからあなたこそ、つまらない気持ちは改めないといけないわ」
その言葉は、棘のある警告の意味を含んでいる。
そして、ふとロクサナは彼女を見つめている目が一つではないことに気づく。
視線を動かすと遠くない場所に立っているカシスが目に入った。
彼の後ろにはオルカの姿も。
オルカはロクサナを飲み込むように猛烈に見つめていた。
けれど、ロクサナの注意を引いたのはオルカなんかではない。
ロクサナはカシスを意識して、すぐに毒蝶を帰した。
(しまった。どこから見ていたの?もしかして最初から?)
カシスがいつからそこに立っていたのか分からない。
パンドラを脅すのに集中し過ぎたようだ。
カシスはポツンとその場に立って、意味深な瞳でロクサナを見つめている。
果てしなく濁って暗く沈んだような気もするし、逆に意味の分からない輝きがあるような奇妙な目つきだった。
立ち止まっていたカシスが近づいてくると、ロクサナは思わず身をすくめて言い訳をする。
「さっきの意味は___」
カシスは一言も言わずに彼女に手を伸ばす。
体に温もりが触れた次の瞬間、視界がぐんと高まった。
それはカシスがロクサナを抱きしめたため。
「パンドラ・フィペリオン」
ロクサナを抱きしめたまま、カシスはパンドラを見て口を開く。
「フィペリオンとの信義を考え、これまで礼儀を尽くしてきたが、先にそれを見捨てて私の人を脅かしたのだから、今この瞬間からは招かざる客とみなしたい」
パンドラは、まだ余韻に浸っているような表情を浮かべていた。
カシスの言葉があまり響いていないようだ。
「ペデリアン内部で無闇に魔物を呼び入れたことに対しても黙過せずに責任を問うようにする」
庭の入り口に立っていた部下たちが、いつの間にかカシスに呼ばれて集まっていた。
「パンドラ・フィペリオンの魔物を再び差し押さえ、しばらく部屋の外に出入りしないように」
「かしこまりました」
カシスは穏やかな口調で最後まで煮詰め、ロクサナを連れて庭を出た。
別館へ向かう間に、触れ合った体から澄んだ空気が流れ込む。
「毒蝶のせいで、体に負担がかかっているかもしれないから、すぐに部屋に戻ろう」
ロクサナは耳元で低い声を聞きながら瞬く。
やっぱり、カシスはさっきのことで自分を責める気がないようだ。
ということは、パンドラが魔物を取り出した瞬間から庭にいたのだろうか?
もしそうなら、ロクサナが言った話を全部聞いていたということ。
体温が重なった体が少しずつ熱くなっていく。
ロクサナは、それがカシスから伝わる熱なのか、それとも彼女の中で広がり始めた熱なのか、見分けがつかなかった。
さっき庭で聞いていたカシスの言葉を思い出す。
『フィペリオンとの信義を考え、これまで礼儀を尽くしてきたが、先にそれを見捨てて私の人を脅かしたのだから、今この瞬間からは招かざる客とみなしたい』
私の人。
どうも心臓の辺りがムズムズしてきた。
「ロクサナ?やはり体調が___」
カシスの言葉を遮って、ロクサナがゆっくりと唇を開いて砂糖を塗ったような声で彼の耳元に囁く。
「そんなに心配なら、あなたが治療してくれればいいじゃない。昨夜のように」
その瞬間、カシスの足がピタリと立ち止まる。
すぐ近くで視線が合う。
向かい合った瞳に溜まった激しい渇きと熱望を見て、ロクサナは笑顔を浮かべる。
やっぱり昨晩できなかったことが惜しいのは自分だけではなかったようだ。
カシスの欲望を煽るロクサナ。
これ以上はカシスも我慢できないようですね。
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