こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は204話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
204話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- レンの試み
「一緒に行かないのですか?」
「先に行って。私はまだやることがあるから」
「危険です。一緒に行きましょう」
エレナはレンの安全を心から心配していた。
レンがどれだけ強くても頭数が違いすぎる。
レンはニヤリと笑った。
「だから先に行けってことだよ。心配にならないように」
「先輩」
エレナはレンをじっと見つめる。
いつもこんな感じだった。
悪戯っぽく振る舞うが、その裏には思いもよらなかった繊細な配慮が滲み出ている。
空気のように自然のように。
「そんなに見つめないでよ。夢に出てくるだろ?」
「・・・死なないでください」
淡々と見えるが、エレナの言葉の中には心からレンに向けた心配が染み込んでいた。
憎しみが情に移ったのか、レンが怪我をするのを見たくないのかもしれない。
「私は死なないよ。私に借りた願い事代も請求できなかったら悔しいからね」
こんな状況でも話すレンの言葉に、エレナは妙に安心した。
「分かりました。願い事を叶えてあげますから、生きてまた会いましょう。約束です」
「行け」
レンは振り向いて手をサッと振る。
早く行けという手振りだ。
エレナもこれ以上遅滞することはできなかった。
レンのことが心配だったが、ここで時間をもっと引っ張れば大公家の追撃にぶつかる可能性も高いだろう。
ボロボロになった流浪馬車に乗って遠ざかるエレナの視線は、レンの後ろ姿を見つめていた。
人というものは実に妙だ。
以前の人生では敵と変わらない関係であり、回帰した後もあまり良くない関係だった。
ニックネームが「ろくでなし」と呼ぶほどに。
そんなレンが変わった。
エレナの敵ではなく、隣に立ったのだ。
そのためだろうか、レンを頼りにしている自分を発見することができた。
無意識に無視して否定していたが、もう認めざるを得ないだろう。
流浪馬車が山の斜面に沿って速く下ると、レンの姿も見えなくなる。
帝国の三剣と称する強者なので、簡単に死なないのは分かっていた。
さっき自分も見たはずだ。
圧倒的な剣術で大公家の精鋭騎士たちを蹂躙するレンの果てしない強さを。
しかし、頭では理解してもレンへの心配は薄れない。
「死んだらただではおかないと思います」
その時刻。
エレナ一行が去って一人残ったレンは周辺を見回す。
散らばった騎士の遺体の周りには、熾烈だった跡がそのまま残っている。
「行ったかな?」
森には鳥のさえずりと風に揺れる木の葉の音だけが残っていた。
レンはニヤリと笑う。
彼女のことを考えると微笑みが口元から消えることはない。
「楽しいね」
レンのささやかな楽しみの一つは、一日中エレナのことを考えることだ。
天才と呼ばれるほど明晰な頭脳の持ち主であるレンは、エレナに初めて会った時から今まで、一瞬も欠かさず彼女の全てを記憶していた。
初代大公生誕祭の雰囲気、エレナの髪型、ドレス、目つき、冷たかった口調まで。
アカデミーでも、卒業後も・・・。
記憶の向こうに無意識に眠っていたエレナの姿を振り返るほど、レンにとって意味のあることはなかった。
今日も同じだ。
有意義に大切にできる記憶が増えたのだから。
レンは自分が殺したルーカスに近づく。
「ごめんね?もっと綺麗に殺すことができたのに、そうできなくて」
傲慢に聞こえるかもしれないが、レンの言葉は事実だった。
今日の戦いでレンは全力を尽くしていない。
レンが駆使する剣術の主体は「突き」だ。
アカデミーの剣術祭決勝戦でシアンと戦った時に見せた「突き」こそレンの得意技だった。
本能に頼った野生的な剣術は、相手を確実に殺せる「突き」のためのごまかしに過ぎない。
しかし、レンはルーカスを制圧する過程で一度も突きを駆使しなかった。
協攻を加えてきた騎士を相手にした時も同じ。
「あまり侮辱的に考えないでね。君がもう少し強かったら、私もこうできなかったはずだから。全部、君が弱くて起きた悲劇ぐらいに考えてほしい」
巧妙にルーカスのせいにしたレンが突きを使わなかった理由は、自分の痕跡を残さないためだ。
現帝国でレンほど孤独で完璧な突きを駆使する騎士は皆無だったから。
そしてもう一つ。
突きを隠すだけでなく、レンはそれ以上の何かを試みていたのだ。
「私が見ても最もらしい。誰が見てもウォルフォード卿の仕業だと言えるだろう」
レンは遺体になったルーカスの傷口を確認しながらニヤリと笑う。
草原部族出身の傭兵だった彼は、巨体から噴き出す力で相手の体を真っ二つにする荒々しい剣術の持ち主だ。
過去、アヘン栽培地を追っていたシアンと対決して敗北した彼は行方が分からなくなっている。
レンは以前に見識のあるウォルフォートの剣技を真似したのだ。
無知なほどの力を武器にした剣術で、まるでウォルフォートがこの場にいたかのように。
レンが本気ではなかったことに驚きです。
自分の痕跡を隠すためだったのですね。
これでレンが加担したことも分からないはず。
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