こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は28話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
28話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ラシードのお願い②
サクサク。
シアナは椅子に座り、お菓子を食べながらもぐもぐと音を立てた。
ごくり。
シアナはお菓子を飲み込みながら考える。
(私にやらせることというのは、今日作ったデザートを食べてほしいということだなんて)
やっばりこの男はおかしい。
シアナの前にはラシードがニコニコと笑うだけ。
何がそんなにいいのか、この上なく嬉しそうな顔だった。
ラシードは笑顔で言った。
「味はどう?」
「美味しいです。食材もいいものを使ったようですし、甘すぎず楽に食べられますよ。間に挟まった果物の香りもいいですし」
さすがに皇太子宮の料理人は腕がいいと付け加える瞬間だった。
「一生懸命作った甲斐があるね」
「プフッ!」
シアナはとても驚いて口の中にあった菓子を吐きそうになる。
シアナが世の中で一番奇怪な言葉を聞いたという顔で尋ねた。
「まさかこのお菓子、殿下が作ったんですか?」
ラシードはさわやかな顔でうなずく。
しかしシアナはそのようにさわやかな顔で、「そうなんだ~」と言えなかった。
(帝国最高の権力を持つ皇太子が手作り菓子を作るって?一体なぜ?)
ラシードはシアナの心に気づいたかのように言った。
「私の胸の中の子供たちには、他人が作ったものを食べさせたくないので、おやつと餌をすべて直接作ってあげているんだ。そうするうちに楽しみがついてね」
やっとラシードの胸の中から、熱心にお菓子をかじって食べる小動物たちが見えた。
自分の体くらいのお菓子を両手に持ってお菓子を食べていた白いフェレットとリスがシアナと目を合わせ「なんですか?」という顔で首をかしげる。
一生懸命つついていた鳥も一緒に。
その姿を見たラシードが目を丸くした。
可愛くてたまらないように。
「・・・」
シアナは恐ろしい光景を眺めながら思った。
(そういえば聞いたことがある。血も涙もない冷酷な皇太子殿下には秘密が一つあって、動物が大好きだと)
しかし、その後に付け加える言葉があった。
気まぐれな皇太子は昨日かわいがっていた動物も、今日気分が悪いと包丁で切ってしまうんだって。
「皇太子殿下はやっばり怖い方だよ」と、侍女たちはぶるぶる震えた。
しかし、いずれもデマだった。
ラシードは純粋な動物愛好家だ。
二つのほっぺたの膨らんだ動物たちを見つめるラシードは、本当に幸せそうに見えた。
他の人がそうだったら、ちょっと足りなく見えたかもしれないけど、ものすごく美しい顔でああするから・・・。
(いいね)
まるで一枚の絵のようだった。
(ああ、またぼうっと見つめていた)
やっと気がついたシアナが照れくさくて口を開く。
「動物が大好きなんですね」
「すべての動物が好きなわけではない。小さくて可愛い子供たちが好きなんだ」
ところで、どうしてそんなに穴があくほど私を見つめるんですか、殿下。
緊張したように眉毛を集めたシアナを眺めながら、ラシードがぷっと笑い出す。
「そして、この子たちがいると暖かくていい。私は寒がりなんだ」
そう言って、ラシードはポケットの中に入り込んだ白いフェレットを撫でた。
(・・・意外だね)
非現実的に美しい顔のように、非現実的に強い男だから、こんな弱い姿は少しもないと思ったのに。
シアナはラシードをじっと見つめながらつぶやく。
「殿下を見ると、ある話が思い出されるよ」
「何の話?」
ラシードは興味深い顔で目を輝かせた。
シアナはお菓子をもぐもぐしながら言った。
「アナと雪の女王に住んでいたあるお姫様の話です。お姫様はまぶしく美しかったですが、寒いことに少しも耐えられませんでした。一生暖炉を焚いておいた部屋から一歩も出られないほどでした。そんなお姫様がかわいそうで、ある小さな鳥が現れました。小鳥が言いました」
「・・・」
「お姫様にお日様を一切れ切ってプレゼントしたいって」
たいしたことではないように言い放った言葉。
ところがその瞬間、ラシードが目を大きく開ける。
まるで絶対に言ってはいけないことを言ったように。
ラシードはあわてて尋ねた。
「その話、誰から聞いたの?」
シアナはラシードの反応に当惑した。
シアナはラシードの機嫌を伺いながら答える。
「特定の人から聞いた話ではありません。ただ故郷から伝わってくる古い話の一つに過ぎないそうです」
「あ・・・」
ラシードは気の抜けた顔で髪をかき上げた。
「そうだったんだ。私はそれも知らずに・・・」
ラシードが自分をじっと見つめるシアナを眺めながら説明を付け加える。
「ずいぶん前に誰かが私にその話をしてくれたんだ。どういうわけかその人の顔も声も全然思い出せないけど、その話だけははっきり覚えている」
「・・・」
「それでその話がその人を捜す手がかりになると思ったが・・・私の勘違いだった」
ラシードの目つきが沈んだ。
ひどくがっかりしたように。
その様子を見ながら,シアナは両手をもぞもぞと握り合った。
心臓がドキドキしていた。
シアナはデザートをさらに3皿食べた後になってようやく席を立つことができた。
ラシードは皇太子の訪問を記念する贈り物として、シアナにお菓子をいっぱい包んだ。
かわいらしい形のお菓子はすべてラシードの手作り。
(・・・負担になる)
シアナの表情を読んだラシードは言った。
「アリスと一緒に食べなさい。あの子がとても喜ぶだろう」
ラシードの言葉通りだった。
お菓子はアリスの好みにぴったり合うように柔らかくて甘かったから。
結局シアナはおとなしくお菓子の山を貰うことに。
「ありがとうございます」
「うん」
ラシードはにっこり笑った。
シアナが頭を下げて挨拶をしようとしたとき、ラシードは言った。
「送ってあげようか?」
シアナは目を見開いた。
侍女を連れて行ってくれる皇太子とは。
世の中にそれより負担になることはなかった。
シアナは首を横に振りながら叫んだ。
「いいえ、結構です!」
「お菓子が重いと思うけど?」
「お菓子が重くてもお菓子でしょう!」
巨大なかごにいっぱい盛られた菓子は、実は重かった。
しかし、持って行けないほどではない。
シアナは素早く話した。
「それでは、失礼いたします」
シアナは慌てて体を回す。
まるで猫に捕まらないために逃げる小さなネズミのように。
後ろからラシードの声が聞こえてきた。
「残念」
「・・・」
シアナはそれを聞かなかったふりをして足を動かす。
幸いにも、ラシードはシアナを困らせるようなことを言わなかった。
無事に皇太子宮から出てきたシアナはため息をついた。
「思ったより大変な一日だった」
むしろ労働をさせたなら、これほど大変ではなかっただろう。
ガラスの天井の下に降り注ぐ太陽の光、自分を見つめていたラシードの優しい目つき、甘いお菓子、かさかさする小動物たち。
すべてがぎこちなくて緊張した。
さっきの記憶を思い出していたシアナが眉をひそめながらつぶやいた。
「・・・ところで皇太子殿下がどうしてあの話を知っているんだろう?」
アナと雪の女王に住む寒がりのお姫様。
小鳥がお日様一切れをプレゼントしてくれて、お姫様はいよいよ美しい世の中の外に出られるようになった。
その話は、実は故郷の古い童話ではなかった。
シアナが幼い頃に作った話。
それでラシードがその話を知っていると言った時、シアナは心臓が外に飛び出すと思った。
それで思わずラシードを騙した。
(もう一度考えてもいい選択だった)
なんだかラシードがその話を作った人がシアナだということを知ったら、ものすごく大変なことになりそうな気がしたから。
小動物のように敏感なシアナの本能があった。
皇太子殿下がこれ以上問い詰めなくてよかった。,
しかし、シアナの心が完全に楽になったわけではない。
ラシードがどのようにしてその話を知っているか気になったためだ。
「私がその話をしてあげたのはただ一人だけなのに」
シアナの目が細くなる。
ラシードとの食事会。
シアナが話した人物とは?
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