こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は48話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
48話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 外伝③
(シアナが気を使ってくれる人が私だけだなんて)
ラシードはシアナの世話を完全に受けたことがほとんどなかった。
シアナがラシードの宮殿に遊びに来たのは2回だけ。
それ以外は、いつもシアナに仕える人2」(「世話をされる人1」はアリス)で満足していなければならない。
しかし、今はそうではなかった。
丸いテーブルが置かれた小さな空間にはシアナと自分だけがいた。
その点がとても嬉しかった。
幼い弟への稚拙な嫉妬も忘れるほど。
ラシードはシアナが注いでくれたお茶をーロ飲みながらにっこり笑う。
「今日のお茶はもっとおいしいね、シアナ」
いつもより過度なきらめきで、シアナは目を細める。
(どうしたんだろう、本当に)
仕える者の感情を推し量らなければならない侍女にとって、ラシードはいつも仕えるのが難しい存在だった。
いったい何を考えているのか分からないから。
その時だった。
レイシスの方から見物人の歓声が上がる。
「あ、顔だ。皇太子殿下の顔だ!」
護衛騎士のソルが信じられないという顔で口を開く。
「なんと。これは本当にすごいことです。どんなに有名な画家でも皇太子殿下の容貌をすべて盛り込むことができなかったのに、こんなに完璧にそれを盛り込むとは」
ソルのそばにいたアンジェリーナ皇妃も悦惚とした顔でうなずいた。
「本当に美しいです」
ラシードと目が合うと「うわあ」と吐く表情をしていたアリスさえ、目を大きく開けて絵を眺めている。
人々があれほどに反応すると、ラシードもレイシスがどんな絵を描くのか少し気になった。
しかし、ラシードはレイシスと向かい合っているため、絵が全く見えない。
「レイシスの腕ってそんなにすごいの?」
ラシードの質問にシアナはうなずいた。
「はい。幼い年ですが、すごい才能を持っていらっしゃるそうです。単純に目に見えるものに沿って描くのではありません。隠されていた美しさまで探して描いてくださると言いましょうか?」
シアナは自分の腕前でも自慢するかのように満足げに笑った。
その点がラシードを苛立たせる。
ラシードは眉をひそめ、つぶやいた。
「ふん。たかが絵なんかそんなに大したもんじゃない」
シアナは目を丸くしてラシードを見つめ、テーブルの上に置かれていた紙一枚とペンを渡した。
一度やってみろというように。
ラシードは黙って紙を見て、ペンをびいびいと動かした。
実際、ラシードは絵をまともに描いたことがない。
帝国で絵を描くのは品位が落ちる行為だったからだ。
しかし、全く難しくなさそうだった。
ラシードは幼い頃から多方面にオ能が多かったためだ。
(絵も同じだろう。剣で落ちる木の葉を切るのと同じくらい簡単なはず)
しばらくして、紙の上に現れた絵を見てシアナが尋ねる。
「怪物ですか?」
「・・・シアナ、君だよ」
「・・・」
「・・・」
二人の間にしばらく沈黙が漂う。
シアナが何かを言う前に、ラシードは白旗を掲げた。
「絵は難しいね。私とは合わない」
シアナは眉をひそめ、深刻な顔をしたラシードの姿に笑い出す。
勝者の笑みだった。
「それを今知ったんですか?」
「うん」
「よかった」
「どういう意味?」
シアナは首をかしげるラシードに言った。
「自分が何に才能がないかを知ることは重要なことじゃないですか。努力をしても結果が良くないことを遅々としてつかめずに諦めることができますから」
「普通は反対ではないか」
人は自分が持っていないものにもっと執着するものだ。
それが才能であれ、権力であれ。
しかし、シアナは断固とした声で話した。
「上手なことをもっと上手にすることも足りないのに、下手なことに気を使う余裕がどこにありますか」
その言葉にラシドは笑い出した。
その答えが彼女らしくて。
ラシードは目の前にいる少女を今更のような目で見る。
一国の王女から一瞬で侍女になった女性。
しかし、彼女は自分の運命を少しも惨めに思わなかった。
たくましく自分ができることをしただけだ。
だから彼女は・・・。
「シアナ、中級の侍女になったことおめでとう」
「・・・」
思いがけない挨拶にシアナは目を見開いた。
下級侍女1人が中級侍女になっただけだ。
皇太子にあんなことを言われる理由はない。
何よりも、シアナは正式な試験を通じて中級の侍女になったわけではなかった。
「アンジェリーナ皇妃様の力を利用して得た席です。堂々と得たのではありません」
しかし、ラシードはこの上なくきらめく目で話した。
「敗戦国出身の外国人が中級の侍女になるのは、空の星を取るより大変だよ。それをやり遂げるなんて・・・」
「・・・」
「本当に素晴らしいよ」
ラシードの目つきはあちらでレイシスが絵を描くのを見る人たちと同じだった。
純真な感嘆。
ぼんやりとラシードを眺めていたシアナの口元が上がる。
いつもの侍女向けの微笑ではなく、シアナの本当の微笑だった。
シアナは、真夏の桃のような甘く愛らしい少女の顔で話した。
「ありがとうございます」
「・・・」
ラシードはぼんやりとシアナを見る。
ラシードがシアナのあんな笑顔を見たのは今回が2度目だった。
一度はアップルトン男爵夫人のふりをしてティーパーティーに行った時。
背中が曲がった女性に向かってシアナはあんな風に笑っていた。
すでに知っている微笑だったにもかかわらず、ショックは大きかった。
「可愛い。胸に抱いて撫でてあげたい」
思わず手が出るほどに。
しかし、ラシードの手はシアナの丸い頭に届かなかった。
遠くから駆けつけてきたアリスが2人の間を遮ったためだ。
「何よ。どうしてそんな目でシアナを眺めているの!」
ラシードは悔しくなった。
ひどいな、妹よ。
自分はただシアナのさらさらした小麦色の髪を撫でたかっただけだ。
よくやったって。
感心だって。
しかし、ラシードの心とは違って、アリスは警戒心のある顔で言い放った。
「人を見て食べたいという目をして、とにかく油断のならない兄さんだよ」
「・・・」
その瞬間、心臓がガタガタしたのはなぜだろうか。
まるで的を射たように。
ラシードは何も言わずに空中に浮かんでいた手をそっと下ろした。
数時間後、ラシードを描いた絵が完成する。
伝統的な方法で描いた肖像画なら数日かかっただろうが、レイシスは下地作業なしにスイスイと描くスタイルなので、すぐに終わった。
しかし、作品の完成度は時間に比例するものではなかった。
キャンバスに入ったラシードは美しかった。
日差しに輝く銀色の髪の毛、銀色の眉毛の間から見える鮮やかな紫色の瞳。
それでもその美しさに心置きなく酔うことができないのは、男から感じられる雰囲気のためだ。
悦惚とするほど美しいが、息が詰まるほど威圧的だった。
一目ぼれするほど魅力的だが、すぐにひざまずいて過ちを祈るほど怖かった。
全く違う2つの感情を引き出す作品だった。
長い帝国の歴史の中にも、このような肖像画はなかった。
「まあまあ似ているね」
モデルのラシードの反応はこのようだったが・・・。
レイシスはこの絵をラシードにプレゼントした。
正確にはアンジェリーナの考えだ。
しかし、レイシスは完成した絵にはあまり興味がない。
皇太子の護衛騎士、ソルは皇居の中央にそれを掛けた。
代々、皇太子の肖像画がかかっている場所だ。
最も最近描いた肖像画に取り替えただけのところが、波紋は大きかった。
「なんと。どうしてこんな絵が」
「1タッチ1タッチがこんなに驚異的だなんて。これは人間が描ける絵じゃない」
神様が描いた作品だという噂が流れた。
同時に、この絵を描いたレイシス皇子に対する関心も高まる。
12の年。
正式に絵を習ったこともない幼い少年の才能は、人々に奇跡のように感じられた。
すぐにレイシスには新しいニックネームが付けられる。
悪魔に平凡さを奪われた代わりに、神の贈り物をもらった天才画家。
以前に暗裏に呼ばれた「モジリ」や「チョンチ」とは全く違う名前だった。
その後、レイシス皇子は歴史に残る画家として名を残す。
彼が残した数百点の作品の中で最も優れた作品として挙げられるのが「皇太子ラシードの肖像画」だった。
レイシスが後世に名を残す画家となるのがいいですね!
次からは別の物語になるのでしょうか?
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